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用間篇 第十三
用間篇3・マジで戦争は騙し合いっす。
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特によーく判ってないとイケないのは、
「諜報活動のキモになる部分は、【反間】の活用方法にある」
ってことです。
反間さんにとっては敵さんチームは故郷ですから、こっちの味方をしてくれるって事は、故郷を裏切るってことになっちゃうでしょ?
それ、当人もメチャクチャ覚悟しないといけないですよね。
だから、よっぽどのお得があるか、負い目なんかがなければ、裏切って付いたこっちのチームのことをも一遍裏切って、元鞘に戻っちゃう可能性だってなくなくないですか?
そりゃホントにヤバイ。
だから、反間になってくれた人の事は、絶対にもの凄く大切にしてあげなきゃイケません。
昔の、強敵を破って強国を治めた伝説的な王様は、コレがよくわかってた、ってお話をしましょう。
まずは、昔々の……ぶっちゃけ伝説とか神話の時代になっちゃいますけども、それくらいずっと昔、殷の湯王王さまの時代のこと。
夏とか商とかいう当時一番の国の桀王っていう……そうそう、奥さんが末喜っていって、夫婦揃って贅沢大好きで、肉山脯林大バーベキュー大会を開いて、国中の人達から大顰蹙を喰らった、困った人……あの人を、殷の|湯王王さまが倒したころの話です。
この時に湯王さまから宰相として厚く信任されてたのが、伊摯さんです。
あ、伊尹って通称で呼んだ方がわかりやすいっすか? じゃ、そっちで呼びましょう。
ちょっとマニアックな四文字熟語で、伊尹負鼎ってのがあるんですけどね。
意味としては、
「大きな志のためにわざと身分の低いところから始めて、コツコツと努力する」
って感じすかね。
その伊尹負鼎の語源になってる人ですね、伊尹さんって方は。
なんでこんな四文字熟語ができちゃったかって言いますと、この方ってば、元々料理人さんだったんですよ。ほら、さっきの四文字熟語の中にある鼎ってのは「三本足のお鍋」のことでしょ?
伊尹さんは元々偉い政治家になりたかったんだけど、コネが無かった。
昔は良いとこに就職するには、まず偉い人の推薦が必要だったでしょ? 今でもそうですけど。
だから人脈ってメチャクチャ重要だったんですよ。ところが、残念なことに、伊尹さんにはそれが無かった。
だからお鍋やまな板を背負ってって、まずは全然政治と関係の無い料理人として湯王さまのトコに就職したってんですね。
んで、美味しい料理をジャンジャン作り続けた。そっちの才能もあったってのがまた偉いですけど。
そのうちに湯王さまの胃袋がガッチリ捕まれちゃった。
「この料理を作った料理長を呼べ!」
ってなことになって、伊尹さんは湯王さまと直接話す機会をゲットできた。上手いことやったって感じですね。
そもそも湯王さまは賢明な人ですからね。そのときの伊尹さんの話しっぷりで、
「お、こいつなかなか賢いんじゃね? 料理人としても一流だけど、どっちかというと政治顧問に向いてるかも!?」
って思い付いちゃった。
そうやって登用されてからは後は、元々才能がある人だから、ドンドン出世してった……って故事からあの熟語が出来た訳ですけども。
そうやって宰相になった伊尹さんですから、湯王さまに献策するって時は、料理にたとえちゃったりしたりしたんですね。
例えば、
「この世の美味は大体外国に材料があるんです。王様がもっと珍しい、おいしい物を味わいたいとおっしゃるのなら、外国を攻めて、天下を取っちゃわないといけないですよ」
ってふうに。
そんなこんなで、この伊尹さんを宰相にしたおかげで、湯王さまは桀王を追放して夏王朝を滅ぼしちゃって、殷の国を栄えさせた、と。
そんで、ここから先がとっても重要なことなんですよ。
この伊尹さんが、夏の支配地域の出身だったって話があったりするんですね。御存知でした?
だから、夏の王室の内情とか、国民の暮らしぶり、軍隊の気質、国土の地形とか、割と詳しかった。その情報を湯王さまがキッチリ利用したおかげで、夏を倒せたんじゃないか……って説があるんですよ。
もう一つ行きますか。
湯王さまから五百年ぐらいあとの殷の王様の、紂っていう王様……はい、ご存じでしょ? さっきちらっと名前だけ出しましたし。
マジ有名ですもんね。それも、めっちゃ悪い意味で。
奥さんの妲己さんと一緒になって、真っ裸で酒池肉林とか、夜通し長夜之飲とかの変態パーティをバンバン開いちゃったり、包絡之刑とか隗肉刑からの肉餅とか、そういう残酷な刑罰をやらかしたってことで、歴史に悪名を刻んじゃいましたね。
この紂さんってのは、元来、頭の良よい人だったそうですよ。それで、口が上手くて、腕力があって、家臣は誰も適わなかった。その上で思い切り残酷な性格だった、と。
つまり「チートな暴君」だったんですね。奥さんの妲己に唆されて酷いことをやらかしたって説もありますけど、元々暴君の下地があったんじゃないかなぁ。想像ですけど。
んで、そいつを打ち倒したのが周の文王さまと、そのご子息の武王さま&周公さまのご兄弟。
まだ文王さまたちが紂王討伐を実行する前のことになるんですけど……。
ある日、文王さまが狩りに出かけようとして、その前に、
「今日の獲物は何じゃらホイ?」
って占いをしたんだそうですよ。文王さまの占いってば、良く当たるって評判だったらしいっすよ。
そしたら、
「今日の得物はナイスな人材。ラッキーアイテムは釣り竿。今日も元気にいってらっしゃーい♥」
みたいな結果が出たっていうんですね。
実際、渭水の河ッ縁まで出かけたら、貧乏そうだけどなんかオーラのあるおじいちゃんが釣りをしてるのを見つけちゃう。話を聞いてみるとスゴク優秀そう。
それで文王さんは、
「あ、今朝の占いに出たのはコレだ!
そういや死んだ大公じいちゃんが、いつだったか、
『そのうち聖者が現れて、周をもり立ててくれる日が来てほしいと、じいちゃんは望んでるんだぞ』
って言ってたけど、その聖者ってのはこの人のことに違いない!」
って事で、その呂尚とか姜子牙とかいうその人を速攻でスカウトしちゃった。その人に「大公おじいちゃんが望んでた人」って意味で「太公望」って渾名を付けて重用したってのは、これ有名なお話。
そんな太公望さんが、政治面でも戦争面でも大活躍してくれたおかげで、周は紂王を打ち倒して、今も続く王朝を打ち立てたワケで。
ええ、春秋戦国時代でも続いてますよ、周王朝。一応ね。
んで、コレが重要情報。
太公望さんも、実は殷の内情をよく知ってる人だったそーなんですよ。
なんでも、最初は紂王に使えたらしいんですよ。まだ紂王が若い頃だったらしいんですけど、それでも
「頭は良いけど人間としてゼンゼンダメダメな王様だ。それに、自分が何をやっても、この人は良い人にはならないぞ」
ってことを見抜いたんですね。それで、自分の才能をこの人のために使っちゃイケないぞ、って逃げちゃったんですって。
だから紂王のことはよく知ってるし、殷の国情もよくわかってた、という説があったりします。
とまあ、伊尹さんも太公望さんも、直接自分が諜報活動をしてた人だった、ってワケじゃないんですけど、敵国の情報をしっかり把握していたって意味では、ざっくり「反間」みたいなものだった、と言っちゃえなかぁないかなって思うんですよ。
んで、そういう「敵の情報をよく知っていて、その上、御当人の能力がどえらく高い人」っていうのは、明君・賢将じゃないと使いこなせないんじゃないでしょうかね。
っていうか明君・賢将だからこそ、敵の国の方から来たチート軍師を使いこなせるって言ったほうがイイかなぁ。
んで、その結果、大成功しちゃうと。
総まとめになりますけど、間者の使い方っちゅーか、間諜がゲットしてくれる情報の上手い使い方っちゅーものが、戦争するときの一番のキモってことになるンですよね。
しっかり訓練をして、故郷の民衆からの協力を得て、物資も資材も変にケチらずに投入してて、士気を高めて、将軍さんや王様と兵隊さんたちとの「信頼の絆」ってヤツをガッチリ結んで、そうやってまとめ上げた全軍が、いざ決戦って時の行動の基準として最後に頼りにするのは、正確な情報なんですよ。
だから敵味方に関する正確な情報をキッチリかっちり集めて、充分比較検討して、勝てると確信持てちゃったら戦争賛成。負けが確実なら戦争反対。
いやぁ、オレってばいつもこの辺きっちり調べて、かっちり把握してから戦争おっ始めるんで、いっつも勝っちゃうんすよねー。
「諜報活動のキモになる部分は、【反間】の活用方法にある」
ってことです。
反間さんにとっては敵さんチームは故郷ですから、こっちの味方をしてくれるって事は、故郷を裏切るってことになっちゃうでしょ?
それ、当人もメチャクチャ覚悟しないといけないですよね。
だから、よっぽどのお得があるか、負い目なんかがなければ、裏切って付いたこっちのチームのことをも一遍裏切って、元鞘に戻っちゃう可能性だってなくなくないですか?
そりゃホントにヤバイ。
だから、反間になってくれた人の事は、絶対にもの凄く大切にしてあげなきゃイケません。
昔の、強敵を破って強国を治めた伝説的な王様は、コレがよくわかってた、ってお話をしましょう。
まずは、昔々の……ぶっちゃけ伝説とか神話の時代になっちゃいますけども、それくらいずっと昔、殷の湯王王さまの時代のこと。
夏とか商とかいう当時一番の国の桀王っていう……そうそう、奥さんが末喜っていって、夫婦揃って贅沢大好きで、肉山脯林大バーベキュー大会を開いて、国中の人達から大顰蹙を喰らった、困った人……あの人を、殷の|湯王王さまが倒したころの話です。
この時に湯王さまから宰相として厚く信任されてたのが、伊摯さんです。
あ、伊尹って通称で呼んだ方がわかりやすいっすか? じゃ、そっちで呼びましょう。
ちょっとマニアックな四文字熟語で、伊尹負鼎ってのがあるんですけどね。
意味としては、
「大きな志のためにわざと身分の低いところから始めて、コツコツと努力する」
って感じすかね。
その伊尹負鼎の語源になってる人ですね、伊尹さんって方は。
なんでこんな四文字熟語ができちゃったかって言いますと、この方ってば、元々料理人さんだったんですよ。ほら、さっきの四文字熟語の中にある鼎ってのは「三本足のお鍋」のことでしょ?
伊尹さんは元々偉い政治家になりたかったんだけど、コネが無かった。
昔は良いとこに就職するには、まず偉い人の推薦が必要だったでしょ? 今でもそうですけど。
だから人脈ってメチャクチャ重要だったんですよ。ところが、残念なことに、伊尹さんにはそれが無かった。
だからお鍋やまな板を背負ってって、まずは全然政治と関係の無い料理人として湯王さまのトコに就職したってんですね。
んで、美味しい料理をジャンジャン作り続けた。そっちの才能もあったってのがまた偉いですけど。
そのうちに湯王さまの胃袋がガッチリ捕まれちゃった。
「この料理を作った料理長を呼べ!」
ってなことになって、伊尹さんは湯王さまと直接話す機会をゲットできた。上手いことやったって感じですね。
そもそも湯王さまは賢明な人ですからね。そのときの伊尹さんの話しっぷりで、
「お、こいつなかなか賢いんじゃね? 料理人としても一流だけど、どっちかというと政治顧問に向いてるかも!?」
って思い付いちゃった。
そうやって登用されてからは後は、元々才能がある人だから、ドンドン出世してった……って故事からあの熟語が出来た訳ですけども。
そうやって宰相になった伊尹さんですから、湯王さまに献策するって時は、料理にたとえちゃったりしたりしたんですね。
例えば、
「この世の美味は大体外国に材料があるんです。王様がもっと珍しい、おいしい物を味わいたいとおっしゃるのなら、外国を攻めて、天下を取っちゃわないといけないですよ」
ってふうに。
そんなこんなで、この伊尹さんを宰相にしたおかげで、湯王さまは桀王を追放して夏王朝を滅ぼしちゃって、殷の国を栄えさせた、と。
そんで、ここから先がとっても重要なことなんですよ。
この伊尹さんが、夏の支配地域の出身だったって話があったりするんですね。御存知でした?
だから、夏の王室の内情とか、国民の暮らしぶり、軍隊の気質、国土の地形とか、割と詳しかった。その情報を湯王さまがキッチリ利用したおかげで、夏を倒せたんじゃないか……って説があるんですよ。
もう一つ行きますか。
湯王さまから五百年ぐらいあとの殷の王様の、紂っていう王様……はい、ご存じでしょ? さっきちらっと名前だけ出しましたし。
マジ有名ですもんね。それも、めっちゃ悪い意味で。
奥さんの妲己さんと一緒になって、真っ裸で酒池肉林とか、夜通し長夜之飲とかの変態パーティをバンバン開いちゃったり、包絡之刑とか隗肉刑からの肉餅とか、そういう残酷な刑罰をやらかしたってことで、歴史に悪名を刻んじゃいましたね。
この紂さんってのは、元来、頭の良よい人だったそうですよ。それで、口が上手くて、腕力があって、家臣は誰も適わなかった。その上で思い切り残酷な性格だった、と。
つまり「チートな暴君」だったんですね。奥さんの妲己に唆されて酷いことをやらかしたって説もありますけど、元々暴君の下地があったんじゃないかなぁ。想像ですけど。
んで、そいつを打ち倒したのが周の文王さまと、そのご子息の武王さま&周公さまのご兄弟。
まだ文王さまたちが紂王討伐を実行する前のことになるんですけど……。
ある日、文王さまが狩りに出かけようとして、その前に、
「今日の獲物は何じゃらホイ?」
って占いをしたんだそうですよ。文王さまの占いってば、良く当たるって評判だったらしいっすよ。
そしたら、
「今日の得物はナイスな人材。ラッキーアイテムは釣り竿。今日も元気にいってらっしゃーい♥」
みたいな結果が出たっていうんですね。
実際、渭水の河ッ縁まで出かけたら、貧乏そうだけどなんかオーラのあるおじいちゃんが釣りをしてるのを見つけちゃう。話を聞いてみるとスゴク優秀そう。
それで文王さんは、
「あ、今朝の占いに出たのはコレだ!
そういや死んだ大公じいちゃんが、いつだったか、
『そのうち聖者が現れて、周をもり立ててくれる日が来てほしいと、じいちゃんは望んでるんだぞ』
って言ってたけど、その聖者ってのはこの人のことに違いない!」
って事で、その呂尚とか姜子牙とかいうその人を速攻でスカウトしちゃった。その人に「大公おじいちゃんが望んでた人」って意味で「太公望」って渾名を付けて重用したってのは、これ有名なお話。
そんな太公望さんが、政治面でも戦争面でも大活躍してくれたおかげで、周は紂王を打ち倒して、今も続く王朝を打ち立てたワケで。
ええ、春秋戦国時代でも続いてますよ、周王朝。一応ね。
んで、コレが重要情報。
太公望さんも、実は殷の内情をよく知ってる人だったそーなんですよ。
なんでも、最初は紂王に使えたらしいんですよ。まだ紂王が若い頃だったらしいんですけど、それでも
「頭は良いけど人間としてゼンゼンダメダメな王様だ。それに、自分が何をやっても、この人は良い人にはならないぞ」
ってことを見抜いたんですね。それで、自分の才能をこの人のために使っちゃイケないぞ、って逃げちゃったんですって。
だから紂王のことはよく知ってるし、殷の国情もよくわかってた、という説があったりします。
とまあ、伊尹さんも太公望さんも、直接自分が諜報活動をしてた人だった、ってワケじゃないんですけど、敵国の情報をしっかり把握していたって意味では、ざっくり「反間」みたいなものだった、と言っちゃえなかぁないかなって思うんですよ。
んで、そういう「敵の情報をよく知っていて、その上、御当人の能力がどえらく高い人」っていうのは、明君・賢将じゃないと使いこなせないんじゃないでしょうかね。
っていうか明君・賢将だからこそ、敵の国の方から来たチート軍師を使いこなせるって言ったほうがイイかなぁ。
んで、その結果、大成功しちゃうと。
総まとめになりますけど、間者の使い方っちゅーか、間諜がゲットしてくれる情報の上手い使い方っちゅーものが、戦争するときの一番のキモってことになるンですよね。
しっかり訓練をして、故郷の民衆からの協力を得て、物資も資材も変にケチらずに投入してて、士気を高めて、将軍さんや王様と兵隊さんたちとの「信頼の絆」ってヤツをガッチリ結んで、そうやってまとめ上げた全軍が、いざ決戦って時の行動の基準として最後に頼りにするのは、正確な情報なんですよ。
だから敵味方に関する正確な情報をキッチリかっちり集めて、充分比較検討して、勝てると確信持てちゃったら戦争賛成。負けが確実なら戦争反対。
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