フツウな日々―ぼくとあいつの夏休み―

神光寺かをり

文字の大きさ
39 / 78
夏休みの間

39.女の子と男の子とスカートとズボン。

しおりを挟む
「彼女っていうのは、女の人って事ですよね?」

 ズボンを引っ張ったまま、龍は言う。目玉はズボンの中とY先生の間を行ったり来たりしていた。

「女の子だけど、男の子の服を着ているの」

 Y先生はにっこりと笑った。
 女子が男物を着たって変じゃない、と、龍はっている。
 スカートよりズボンの方が、動いたときにめくれたり足に絡まったりしないから、ずっと便利なんじゃないかと思う。なんでスカートなんて洋服があるんだろう、とさえ思うこともある。

 龍のクラスでずっと学級委員長イインチョーに選ばれてる女子は、入学式にスカートで出た以外は、ほとんどズボンをはいている気がする。
 あるとき、別の学年の先生が、その子に「スカートをはかない理由」を聞いた。
 なんでそんなことを聞く必要があるのか、龍には判らなかったけれど、ともかく学級委員長イインチョーは、

「わたし、ちっちやいころからお腹が弱いんです。スカートだと下から風がスースー入って、お腹が冷えて、すぐお手洗いに行きたくなっちゃうから、ダメなんです」

 と説明した。本当にそういう理由なのかどうかは判らない。
 学級委員長イインチョーにはお兄さんがいるから、下がりの男物のズボンをはく。
 お古ズボンでも、膝に可愛いアップリケを付けたり、お尻のポケットのふちにリボンとかバイアステープとかチロリアンテープとかを縫いつけたりしている。自分で改造しているんだそうだ。
 だから、かわいいのが嫌いなわけじゃない。
 新品を買うときだって、女の子用のズボンは選ばないとも言っていた。
 最初から女の子用に仕立ててあるズボンは色も模様もデザインもとてもかわいらしいけれど、はき慣れた男の子用のズボンと違って、

「なんだかお尻のあたりが落ち着かない」

 ということらしい。

 龍は学級委員長イインチョーがズボンをはくことがオカシイと思ったことは一度だってない。服は自分が気に入ったものを着ればいいと思う。
 でも、下着はどうなんだろう。学級委員長イインチョーは下着まで男物にしてるとは言わないけれど、確認するわけにもいかない。
 でも学級委員長イインチョーの言いぶりだと、男物の下着でもはき慣れてしまえばそっちのが良いって事になるだろう。

 龍はなんだか急にまたのあたりがむずかゆくなってきた気がした。お尻にぎゅっと力を入れれば我慢できるんじゃないかと思ったので、お尻に力を入れたら、全身の筋肉にもぎゅっと力が入ってしまった。
 頬の肉がぴくりと引きつった彼の様子を見て、Y先生は可笑しいような、それでいてちょっと辛いような、寂しそうな顔をした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...