2 / 3
1章 新学期
2.みんなとのショッピングはとても楽しいはずだ。
しおりを挟む
俺たちが住んでいるのは神奈川県。
それも県央地区と呼ばれる地区だ。
そんな俺たちが遊びに行く場所と言ったら誰しもが真っ先に答えるだろう。
それは"エビナウォーク"だ。
駅を出てすぐにあり、食品や服など、女子が喜ぶようなお店が並ぶ他、カラオケやゲームセンターなどの娯楽施設、オタクに優しいお店もあったりする。だからこそ、放課後に高校生たちの遊び場になる。
夕方に来てみると周囲は女子高生ばかりになるため、男だけで行くには多少勇気がいるのだが。
葵は先日まで中学生だったため、放課後の寄り道を固く禁止されていた。
だからそれから開放されたわけであってその初日である今日ははしゃぐ気満々でいたのだろう。
……本当に、せっかくのお出かけなのになぜ不機嫌なんだろうか、葵は。
なんでか聞いても「お兄さんなんて知らない」という一言が返ってくる。
自分の頭を掻きながら、葵が不機嫌な理由を考察してみるのだが、これと言って理由が見つからないから、とりあえずこの場では気にしないことにする。 本当に。
エビナウォークは、電車で2駅。
その駅を降りれば目の前に数十メートルから百メートル強の通路があり、その先には商業施設が立ち並んでいる。
駅まで歩いているときも、電車の中でも、葵は口をきいてくれなかった。
だが、目的地に到着し次第ぴょんぴょんと子供のようにはしゃぎながらこちらにとびきりの笑顔を向けてくる。
それは今朝見た表情よりもさらに明るく、楽しそうだった。
「私、すごくあこがれてました!放課後にこうやって遊ぶことに」
はしゃぎつつもそんなことを言う。
俺は、その笑顔を、太陽を直視した時よりもまぶしく感じた。
隣に立っていた裕也もポカンとしている。
軽く押したら倒れてしまう石像のような状態だ。
「葵ちゃん楽しそうだね」
由紀は顔を近付けながら葵に笑いかける。
楽しそうに笑い合う二人って、意外に絵になるもんだな……。
「はい!お兄さんが唐変木なのは置いておいても、私、今、とても楽しいです!」
「まだ、広場にすら入ってないだろう」
「それでもです!」
ツッコミを入れたら怒られてしまった。
いまだに裕也はポカンとしているので頬をつねってみた。
「いてててててて!」
唐突な大声に若干驚いた。周囲の目がこちらを見つめる。
「なにすんだよ樹!」
唾を飛ばしながらまくしたてる。
「いや、心ここにあらずって感じだったから」
だからってつねるなよ!と言いながらも周囲の目が気になったのか、苦笑しながらおとなしくなった。
周囲の目線は、何事もなかったように各々の進行方向や操作している端末に戻っていった。
そんなこんなで葵たちの方を見ると、大分遠くの方まで進んでおり、こちらに手を振っていた。
「お兄さん、裕也さんおそーい!」
「早く来なよー!」
二人はこちらをせかす様に手を振るので、こちらは駆け足でついていった。
◇◇◇
エビナウォークの中央にある広場まで付くと、葵たち女性陣のテンションはさらに上がっていた。
「由紀さん由紀さん!あそこに行きましょう!」
葵が指をさす先には、最近高校生に人気だというファッションブランドだった。もちろん由紀もいいねいいね!と便乗する。レディースが多いブランドだから若干俺らには行きづらいお店ではあるが、ついていかないっていうのは選択肢にはないんだろうな。
「早くいくよ!」
由紀に急かされながらもそのお店に入っていく。
女性陣はさらにヒートアップしていき、どんどん試着してはどう?と聞いてくる。
二人とも真っ先に俺に聞いてきて、裕也が若干空気になっているのはどうしてだろうか。
俺は、常に試着室の前に立たされ、裕也は完全に放置されている。
試着した姿をちゃんと褒めないと二人とも拗ねるので相当気を使いながら言葉を選んでいた。
女性って怖い。
女性のショッピングは長いっていうけど、それは本当なんだと確信したよ。
次から次へと服を持ち込んでは試着して感想を求める。
それを繰り返して最終的に決定したのは1時間後だった。
その後の二人はほっこりしながら洋服の入った袋を抱えていた。
洋服選びを終えた後に次はお前の番だといわんばかりに腕をつかまれ、メンズに人気のお店に連れてこられた。
「お兄さんは普段ユニロクやしもうらばっかり着てるので女性受けがあまりよくありません!まさか、いつもの服装でデートなんかにいかせられません!」
そんなこと言われると悲しくなる。
結構気に入ってたのに。
本当に俺の番が回ってきたみたいだ。
服をもってきては試着させられ目の前で二人が「おぉ~」という。
そして新しい服を持ってくる。
それの繰り返しで正直疲れたよ。
1時間くらいするとやっと気に入ったものがあったようで購入させられた。
お財布が寂しいよ。
そのあと、まだ二人は物足りないみたいでゲームセンターに連れていかれる。
そうすると、4人でいろんなゲームをプレイしながら楽しみ、最後はプリクラを撮って帰ることになった。
由紀も葵も満足げであったが、俺らはどんよりしていた。
正直もう疲れた。どうしてこんなに二人は元気なのだろうか……。
電車の中で操作する葵のスマートフォンには、笑顔な女性陣と引っ張られる俺、若干蚊帳の外な裕也が写った写真が張り付けてあった。先ほどとったものであろう。
とてもうれしそうにしていたから、これで良しとしようか。
それも県央地区と呼ばれる地区だ。
そんな俺たちが遊びに行く場所と言ったら誰しもが真っ先に答えるだろう。
それは"エビナウォーク"だ。
駅を出てすぐにあり、食品や服など、女子が喜ぶようなお店が並ぶ他、カラオケやゲームセンターなどの娯楽施設、オタクに優しいお店もあったりする。だからこそ、放課後に高校生たちの遊び場になる。
夕方に来てみると周囲は女子高生ばかりになるため、男だけで行くには多少勇気がいるのだが。
葵は先日まで中学生だったため、放課後の寄り道を固く禁止されていた。
だからそれから開放されたわけであってその初日である今日ははしゃぐ気満々でいたのだろう。
……本当に、せっかくのお出かけなのになぜ不機嫌なんだろうか、葵は。
なんでか聞いても「お兄さんなんて知らない」という一言が返ってくる。
自分の頭を掻きながら、葵が不機嫌な理由を考察してみるのだが、これと言って理由が見つからないから、とりあえずこの場では気にしないことにする。 本当に。
エビナウォークは、電車で2駅。
その駅を降りれば目の前に数十メートルから百メートル強の通路があり、その先には商業施設が立ち並んでいる。
駅まで歩いているときも、電車の中でも、葵は口をきいてくれなかった。
だが、目的地に到着し次第ぴょんぴょんと子供のようにはしゃぎながらこちらにとびきりの笑顔を向けてくる。
それは今朝見た表情よりもさらに明るく、楽しそうだった。
「私、すごくあこがれてました!放課後にこうやって遊ぶことに」
はしゃぎつつもそんなことを言う。
俺は、その笑顔を、太陽を直視した時よりもまぶしく感じた。
隣に立っていた裕也もポカンとしている。
軽く押したら倒れてしまう石像のような状態だ。
「葵ちゃん楽しそうだね」
由紀は顔を近付けながら葵に笑いかける。
楽しそうに笑い合う二人って、意外に絵になるもんだな……。
「はい!お兄さんが唐変木なのは置いておいても、私、今、とても楽しいです!」
「まだ、広場にすら入ってないだろう」
「それでもです!」
ツッコミを入れたら怒られてしまった。
いまだに裕也はポカンとしているので頬をつねってみた。
「いてててててて!」
唐突な大声に若干驚いた。周囲の目がこちらを見つめる。
「なにすんだよ樹!」
唾を飛ばしながらまくしたてる。
「いや、心ここにあらずって感じだったから」
だからってつねるなよ!と言いながらも周囲の目が気になったのか、苦笑しながらおとなしくなった。
周囲の目線は、何事もなかったように各々の進行方向や操作している端末に戻っていった。
そんなこんなで葵たちの方を見ると、大分遠くの方まで進んでおり、こちらに手を振っていた。
「お兄さん、裕也さんおそーい!」
「早く来なよー!」
二人はこちらをせかす様に手を振るので、こちらは駆け足でついていった。
◇◇◇
エビナウォークの中央にある広場まで付くと、葵たち女性陣のテンションはさらに上がっていた。
「由紀さん由紀さん!あそこに行きましょう!」
葵が指をさす先には、最近高校生に人気だというファッションブランドだった。もちろん由紀もいいねいいね!と便乗する。レディースが多いブランドだから若干俺らには行きづらいお店ではあるが、ついていかないっていうのは選択肢にはないんだろうな。
「早くいくよ!」
由紀に急かされながらもそのお店に入っていく。
女性陣はさらにヒートアップしていき、どんどん試着してはどう?と聞いてくる。
二人とも真っ先に俺に聞いてきて、裕也が若干空気になっているのはどうしてだろうか。
俺は、常に試着室の前に立たされ、裕也は完全に放置されている。
試着した姿をちゃんと褒めないと二人とも拗ねるので相当気を使いながら言葉を選んでいた。
女性って怖い。
女性のショッピングは長いっていうけど、それは本当なんだと確信したよ。
次から次へと服を持ち込んでは試着して感想を求める。
それを繰り返して最終的に決定したのは1時間後だった。
その後の二人はほっこりしながら洋服の入った袋を抱えていた。
洋服選びを終えた後に次はお前の番だといわんばかりに腕をつかまれ、メンズに人気のお店に連れてこられた。
「お兄さんは普段ユニロクやしもうらばっかり着てるので女性受けがあまりよくありません!まさか、いつもの服装でデートなんかにいかせられません!」
そんなこと言われると悲しくなる。
結構気に入ってたのに。
本当に俺の番が回ってきたみたいだ。
服をもってきては試着させられ目の前で二人が「おぉ~」という。
そして新しい服を持ってくる。
それの繰り返しで正直疲れたよ。
1時間くらいするとやっと気に入ったものがあったようで購入させられた。
お財布が寂しいよ。
そのあと、まだ二人は物足りないみたいでゲームセンターに連れていかれる。
そうすると、4人でいろんなゲームをプレイしながら楽しみ、最後はプリクラを撮って帰ることになった。
由紀も葵も満足げであったが、俺らはどんよりしていた。
正直もう疲れた。どうしてこんなに二人は元気なのだろうか……。
電車の中で操作する葵のスマートフォンには、笑顔な女性陣と引っ張られる俺、若干蚊帳の外な裕也が写った写真が張り付けてあった。先ほどとったものであろう。
とてもうれしそうにしていたから、これで良しとしようか。
0
あなたにおすすめの小説
幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。
久野真一
青春
羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。
そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。
彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―
「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。
幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、
ある意味ラブレターのような代物で―
彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。
全三話構成です。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる
釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。
他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。
そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。
三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。
新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる