平凡を望む、されど...

わか

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召喚士

第19話 潜入調査の準備

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前書き

前回のあらすじ

誓いのキスをする主人公


本文


 エレノアさんと共に地下に繋がる道の入り口の蓋を外し、中に入る。入ってすぐ蓋を閉じてセメントを塗りたくる。乾くまで時間がかかるのが難点だが、これはばかりは仕方ない。

 「疲労回復、そして万力の指輪。どれも肉体労働にもってこいの宝具ですね。それに、このセメント、今後も活躍しそうです。」

 セメントを塗るのが楽しいのか分からないが、弾んだ声で感想を述べるエレノアさん。セメントならこの世界でもありそうだけど...どうなんだろうか。

 「俺の故郷にも宝具があれば、とても重宝していただろうね。この宝具をめぐって戦争になっていたかもしれないな...」

 「エルさんの故郷って、この世界にあるのですか?」

 「えっ?どうしてそう思ったんだ?」

 「宝具の存在を知らなかった。いえ、存在しない。そして、この世界にある魔道具でもない未知の技術らしき物。例えば、エルさんが持っている光を発する物とか...」

 エレノアさんが作業に集中出来るよう、灯りを照らしていた。その灯りは、懐中電灯であり、魔道具でもなんでもない。

 「まぁ、そうだね。この世界にないものだよ。俺の故郷は、この世界に存在しない。もう帰れない。正直、ここがどこなのかすら分からない。」

 「エルさん、どうして早く教えてくれなかったのですか?」

 悲しそうな目をして見つめてくるエレノアさんに対して俺は、素直に答える。

 「この世界にいるもの全て信用していないからだよ、エレノアさん。はぁ。俺は、この世界の魔法使いに身勝手な理由で召喚された。俺の全てが無くなった瞬間でもある。色々あるけど、この話は別の機会にしよう。あっ、でも、これだけは言える。今、この世界で信用出来る唯一の人はエレノアさんだけだよ。」

 「ふふふふっ。それが聞けただけで私は満足ですよ。話して頂きありがとうございます。」

 「いえいえ。セメントの方は終わった?」

 俺に纏わる話しは一旦止め、作業の進捗を確認する。

 (俺の話しなんて大したことないし...)

 「はい。作業完了しました。セメントの作業に合わせて、釣り糸も仕込みました。もし迷ったらこの糸を辿れば戻れますね。」

 「またこの場所に戻るということにならなければいいんだけど...もし戻るとなると、アクシデントが起きた時だね。」

 「はい...エルさん。私、1つ考えがあるのですが、聞いていただけますか?」

 神妙な面持ちで聞かれると俺も誠意をもって返事をしなくてはいけない。
 俺が話しを進めるよう頷く。

 「私を召喚することは可能ですか?」

 「えっ?やる?どうなるか分からないけど...」

  「エルさん、怖くないのですか?」

 エレノアさんの頬に汗が流れる。それだけでなく呼吸が荒れている?

 「エルさん、召喚される私はいつの私か分からないのですよ!なんで、なんでそんなに平然としていられるのですか!!?」

 「フッ、フッはははははは。何を悩んで怖がっているのか知らんが心配するな。俺が信用している人を召喚するなんて造作もない!」

 俺から後ずさるエレノアさん。そして、膝がおれ地面に尻がが着く。

 「な、何を根拠があって...」

 口元が上がり三日月になる。目を細め、声を低くして、

 「召喚サモン...」

 「待って、心の準備がっ!」

 「召喚サモン、俺の愛する信仰者であるエレノア」

 エレノアさんがいる地面に魔法陣が展開され光に包まれ俺の方に手を伸ばす姿が消える。数秒間であったが、エレノアさんが俺の目の前に手を伸ばす姿で出現したため、俺の股間を手が当たっている。

 「ぉう...エレノアさん、大胆なのね。」

 何度も目を閉じたり開けたりして顔を周囲を確認している。ただ、伸ばした手で股間を掴むのをやめて欲しい。

 「あ、あ、ああ。成功した!ふふふふっ、召喚する際、私を表現した言葉とても良かったです。あと、男性のここ柔らかいのですね。」

 エレノアさんの手を跳ね除け、俺は1歩後ろに下がる。


後書き

次回 潜入調査
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