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サツキ公国編
第108話 どーも、普通とはなんだ?です
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前書き
前回のあらすじ
主人公 騎士を倒し情報を得る
本文
どーも、将来の話をしながら山に向かって歩いているオッサンです。
「ユリさんとネイレスさんは、どんな所に住みたい?」
「うーん。外敵に心配しなくて自然が多いところかしら」
エルフのユリさんは、自然を重要視するんだな。心の中に留めておこう。
「私は、人がいない所ですかね。買い出しは、たまに行けばいいですし...あとは、水が綺麗な所ですね」
ネイレスさんは、人との関わりを断ちたいんだな。これも心の中に留めておこう。
「2人の意見を汲み取るとしたら、自然が豊かで水が綺麗で人が居なくて、外敵を心配しないところ。うん、そんな場所があればいいね。俺は、安心して寝れれば何処でもいいよ」
「あら、ケンさん。無いなら作ればいいじゃない」
「簡単に言うなよ。自然が豊かで水が綺麗な所なんて選択肢限られているし、それに人がいない所なんてそもそもあるのか?」
「人が居ないところならあると思いますよ。例えば魔人族領とか。あとは...獣人族の国でしょうか」
俺は顔を横に振り、却下する。
外敵に成りうる場所なんて恐ろしくて安心して寝れない。
「やっぱり、旅して見つけるしかないな。先は長いし、何処か見つかるだろうよ。それにしても、まだ山まで距離があるのに焦げた匂いがここまで届くとは。相当燃やしているなこれ」
山菜は絶望的だな。レスト王も大胆なことをする。
山を焼いてから畑にするのにどれくらいかかると思っているのやら。
「ケンさん、そろそろ商店街を抜けるわ。警戒を怠らずに進みしょう」
「そうだね。ネイレスさん、念の為にフードを被っておいて。騎士たちが気付かなかったから隠密スキルを使用しなくていいよ」
「分かりました。元女王として気付かれないとは、少し複雑な気分ですね」
「ネイレス。私も、エルフの国では誰も見向きしなかったわ。王族なんて、住民からしてみれば実際どうでもいい存在なのかもしれない。騎士なんて、勝ち馬の方に乗るのは当たり前だし...」
「はぁー」
「はぁー」
「ちょいちょい。2人とも、そんなに落ち込まないでくれよ。そうだ、俺たちのパーティ名でも決めない?もちろん仮面を装着している時だけの名前だけど」
俯いていた2人が興味を持ったのか、俺の顔を見つめる。
「どんなパーティ名にするの?リーダーは?」
「リーダーは、ケンさんでいいのでは?」
「いや、仲間の復讐の加担をする時は、首謀者をリーダーにしよう。その方がその土地の知識や情報を解析しやすい。ということで、ネイレスさんが今回のパーティリーダー。よろしく頼むよリーダー」
俺は、ネイレスさんのお尻を軽く叩く。その効果は絶大であった。
「はぁ、はぁ。えへへ、ケンさんにお尻触られました。ゾクゾクしますね、これ。任されました!私が今回のパーティリーダーをします!ケンさん、1つお願いして良いですか?私のおしりをモミモミしてください」
「あっ、ずるい!私も触って欲しいわ!」
お願いをするネイレスさんが俺の目の前にくる。それに便乗してユリさんも近づいてくる。2人の目が怖い。
「触らない。ネイレスさんのお願いは却下。それより周囲の警戒を...」
ちっ。また騎士の巡回かよ。
俺たちがいく先に騎士が数名いるのを視界で捉える。
ユリさんとネイレスさんの口を手で塞ぎ、小声でその旨を伝える。
「一旦、路地に入るぞ。まだ、騎士たちは気づいていないはず」
「了解」
「はい」
俺たちは街路から細い路地に入り、警戒は緩めず小声で話しをする。
「流石に面倒だな。いちいち騎士を相手するのは避けたい。ネイレスさんに1つ確認したいんだけど、当初の目的のレスト王への復讐だけでいい?」
「うーん。悩ましいですね。兄レストへの復讐は、あの商人によってほぼ達成しています。ただ、私自身の手による復讐ではない。やはり、もう少し痛い目にあってもらいます」
ネイレスさんの決断に対して、俺たちからとやかく言うつもりはない。
「了解。確かに、プルトスさんの工作で公国に混乱が生じているけど、ネイレスさんもとい俺たちはまだレスト王に何もしていないな」
「そうね。スカッとざまぁをしたいわね。ほら、帝国の姫たちみたいに...あれは中々良かったわ。ふふ」
妖艶な笑みを浮かべるユリさんを見て、ネイレスさんがその話を聞きたがる。
「ユリさん、ネイレスさんに帝国でしたざまぁ作戦を詳しく教えてあげて。その間、俺は隠密スキルを使用して周囲の探索をしてくるよ」
「分かったわ。戦闘になるようだったら叫んで。私が必ず聞き取って2人で向かうから」
「あいよ。それじゃあ、また後で」
俺は、ユリさんとネイレスさんに手を振り、隠密スキルを発動させ路地から街道に出る。
久しぶりの1人行動に感じるのは何でだろう。
あれ?いつ以来だ?
この世界に来てから濃密の時間を過ごしている。
何度も死にかけたり...殺されそうになったり、色々あったな。
「なんか、普通の生活がしたいという夢が遠ざかっている気がする...何もせず、ただボーッと生活することは出来るけど、刺激がないといずれ飽きちゃうし。はぁ、具体性がなさすぎるだろ俺。そもそも、普通の生活とはなんだ?」
この世界の普通の基準って何?
うーん。この辺り、しっかり考えないといけないかも。
俺は顔を横に振り、今考えていることをリセットする。
「とりあえず、探索に集中しなきゃ。」
闇に紛れて、出来る限り音を立てず探索を開始する。
後書き
次回 未定
前回のあらすじ
主人公 騎士を倒し情報を得る
本文
どーも、将来の話をしながら山に向かって歩いているオッサンです。
「ユリさんとネイレスさんは、どんな所に住みたい?」
「うーん。外敵に心配しなくて自然が多いところかしら」
エルフのユリさんは、自然を重要視するんだな。心の中に留めておこう。
「私は、人がいない所ですかね。買い出しは、たまに行けばいいですし...あとは、水が綺麗な所ですね」
ネイレスさんは、人との関わりを断ちたいんだな。これも心の中に留めておこう。
「2人の意見を汲み取るとしたら、自然が豊かで水が綺麗で人が居なくて、外敵を心配しないところ。うん、そんな場所があればいいね。俺は、安心して寝れれば何処でもいいよ」
「あら、ケンさん。無いなら作ればいいじゃない」
「簡単に言うなよ。自然が豊かで水が綺麗な所なんて選択肢限られているし、それに人がいない所なんてそもそもあるのか?」
「人が居ないところならあると思いますよ。例えば魔人族領とか。あとは...獣人族の国でしょうか」
俺は顔を横に振り、却下する。
外敵に成りうる場所なんて恐ろしくて安心して寝れない。
「やっぱり、旅して見つけるしかないな。先は長いし、何処か見つかるだろうよ。それにしても、まだ山まで距離があるのに焦げた匂いがここまで届くとは。相当燃やしているなこれ」
山菜は絶望的だな。レスト王も大胆なことをする。
山を焼いてから畑にするのにどれくらいかかると思っているのやら。
「ケンさん、そろそろ商店街を抜けるわ。警戒を怠らずに進みしょう」
「そうだね。ネイレスさん、念の為にフードを被っておいて。騎士たちが気付かなかったから隠密スキルを使用しなくていいよ」
「分かりました。元女王として気付かれないとは、少し複雑な気分ですね」
「ネイレス。私も、エルフの国では誰も見向きしなかったわ。王族なんて、住民からしてみれば実際どうでもいい存在なのかもしれない。騎士なんて、勝ち馬の方に乗るのは当たり前だし...」
「はぁー」
「はぁー」
「ちょいちょい。2人とも、そんなに落ち込まないでくれよ。そうだ、俺たちのパーティ名でも決めない?もちろん仮面を装着している時だけの名前だけど」
俯いていた2人が興味を持ったのか、俺の顔を見つめる。
「どんなパーティ名にするの?リーダーは?」
「リーダーは、ケンさんでいいのでは?」
「いや、仲間の復讐の加担をする時は、首謀者をリーダーにしよう。その方がその土地の知識や情報を解析しやすい。ということで、ネイレスさんが今回のパーティリーダー。よろしく頼むよリーダー」
俺は、ネイレスさんのお尻を軽く叩く。その効果は絶大であった。
「はぁ、はぁ。えへへ、ケンさんにお尻触られました。ゾクゾクしますね、これ。任されました!私が今回のパーティリーダーをします!ケンさん、1つお願いして良いですか?私のおしりをモミモミしてください」
「あっ、ずるい!私も触って欲しいわ!」
お願いをするネイレスさんが俺の目の前にくる。それに便乗してユリさんも近づいてくる。2人の目が怖い。
「触らない。ネイレスさんのお願いは却下。それより周囲の警戒を...」
ちっ。また騎士の巡回かよ。
俺たちがいく先に騎士が数名いるのを視界で捉える。
ユリさんとネイレスさんの口を手で塞ぎ、小声でその旨を伝える。
「一旦、路地に入るぞ。まだ、騎士たちは気づいていないはず」
「了解」
「はい」
俺たちは街路から細い路地に入り、警戒は緩めず小声で話しをする。
「流石に面倒だな。いちいち騎士を相手するのは避けたい。ネイレスさんに1つ確認したいんだけど、当初の目的のレスト王への復讐だけでいい?」
「うーん。悩ましいですね。兄レストへの復讐は、あの商人によってほぼ達成しています。ただ、私自身の手による復讐ではない。やはり、もう少し痛い目にあってもらいます」
ネイレスさんの決断に対して、俺たちからとやかく言うつもりはない。
「了解。確かに、プルトスさんの工作で公国に混乱が生じているけど、ネイレスさんもとい俺たちはまだレスト王に何もしていないな」
「そうね。スカッとざまぁをしたいわね。ほら、帝国の姫たちみたいに...あれは中々良かったわ。ふふ」
妖艶な笑みを浮かべるユリさんを見て、ネイレスさんがその話を聞きたがる。
「ユリさん、ネイレスさんに帝国でしたざまぁ作戦を詳しく教えてあげて。その間、俺は隠密スキルを使用して周囲の探索をしてくるよ」
「分かったわ。戦闘になるようだったら叫んで。私が必ず聞き取って2人で向かうから」
「あいよ。それじゃあ、また後で」
俺は、ユリさんとネイレスさんに手を振り、隠密スキルを発動させ路地から街道に出る。
久しぶりの1人行動に感じるのは何でだろう。
あれ?いつ以来だ?
この世界に来てから濃密の時間を過ごしている。
何度も死にかけたり...殺されそうになったり、色々あったな。
「なんか、普通の生活がしたいという夢が遠ざかっている気がする...何もせず、ただボーッと生活することは出来るけど、刺激がないといずれ飽きちゃうし。はぁ、具体性がなさすぎるだろ俺。そもそも、普通の生活とはなんだ?」
この世界の普通の基準って何?
うーん。この辺り、しっかり考えないといけないかも。
俺は顔を横に振り、今考えていることをリセットする。
「とりあえず、探索に集中しなきゃ。」
闇に紛れて、出来る限り音を立てず探索を開始する。
後書き
次回 未定
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