勘違いから始まる反逆王

わか

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開拓

第28話 交渉

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 全力で楽しみ、怒り、悲しむ。自然体でいることが、敵を油断させる。いつも通りの素の自分たちは、隙があるように見えるだろう。

 「アホやなー。ウチらが警戒を解いたと思ってたんかー?」

 ナイフで、敵の心臓を一突きする、白熊の獣人。

 「恐らく知能が低いんでしょう。」

 魔銃で、心臓を撃ち抜く、ハーフエルフ。

 「ナインさんが特別であるだけでは?」

 レイピアで、心臓を一突きする、黒熊の獣人。

 俺がテントを出た瞬間、敵を特定し、瞬時に抹殺する3名。さすが、エタンセルで鍛えられただけある。技術部隊だからといって、弱いわけではない。むしろ、高レベルである。そこらの素人の盗賊ごときに負けるわけがない。

 「昼間会った、人間たちが言っていた盗賊だろうな。まぁ、今も俺たちをエサにして見張っているけど...」

 道中に会った5人組が俺たちのあとを一定の距離を保ってついてきているのは分かっていた。そして、その理由も判明した。
 テントの影で死んだ盗賊。見張っている人間たちには、気づかれていない。人間側にだけ、防音の膜をかける魔法を使用している。

 「アマンダさん、ロジェさん、ステラちゃん。ありがとう。そして、お疲れ様。ご飯出来ているから、食べておいで。」

 3人の頭を撫でて、ここから離れるよう指示する。
 俺は獣人の死体にロープを巻き付け、台車に乗せ、5人組のところへ歩いていく。
 俺だけが向かってくるのに気づいたようだ。これでも、俺もエタンセルで死地を何度も潜ている。見え見えだよ。5人組に声が届く距離で立ち止まり、交渉を始める。

 「えー、聞こえますか?昼間会いましたよね?どうして、私たちを監視しているのですか?こちらが気づいていないとお思いですか?バカにしているんですか?死にたいんですか?」

 盗賊の一人が持っていたマジックバッグから鞘に装飾が施されているナイフを取り出す。

 「これ、何か紋章に見えますね?見覚えのある紋章ですね?このナイフ貰ってもいいですかね?」

 これだけ煽って出てこないならどうしようと思ったけど、ようやく姿を現してくれた。
 昼間会った5人組で間違いなさそうだ。まぁ、完全に敵視しているという点では、昼間と違うかな。

 「なにが目的だ?」

 「はぁ?バカですか?こちらが有利な立場にいるんですよ?そちらの目的を話してくださいよ?それすら分からない単細胞なのですか?」

 「ぐっ...。我々は、ホープ・フォン・クレイモラン伯爵様にお仕えしている者だ。屋敷に侵入し、強盗した盗賊を追っていた。」

 昼間話した、リーダー的存在の人が応対してくれる。まだ、立場を理解していないみたいだ。

 「それで?私たちをエサにして、盗賊を捕らえようとしていたのですか?お答えしてください。答えないのであれば、このナイフはもちろん、強盗した物はお返ししませんよ?」

 「き、貴様!先程からなにを言っている!所有者の元へ返すため、それを渡せ!もしや、貴様たちも盗賊の一味か!?」

 あー、何か、リーダーではない男がでしゃばりだしたよ。事実確認も取らず、決めつけは良くないなー。俺たちは、良くするけど。あははははっ。

 「他の4人も、その男の発言が正しいとおもっているのですか?バカですか?」

 「黙れ、グレッグ。話しをややこしくするな。すまない、君があまりにも挑発するから短気を起こしていまった。認めよう。君たちを囮にして、盗賊を捕らえる予定であった。」

 「そうですかー。それで、どう落とし前付けるのですか?」

 「少し時間をくれないか?」

 「時間ですか?別にいいですけど、こちらとしては私以外女性でしてね。監視されて、非常に苦痛だったのですよ。それを加味して考えてくださいね?あと、時間は何分ですか?1分ですか?」

 「き、貴様!」

 遂に、挑発に耐えられず、こちらに剣を向け突進してくる男。ふむ、若いな。見た目からして、20代前半か?
 俺は、突進して剣を振るう男から逃げず、身体を斜めにして、剣の腹を抑え、突進をかわす。勢いよく、地面に転げ回る男。

 「なるほど。これがあなた方が言う時間ですか。よく分かりました。」

 「まっ、待ってくれ!こちらの落ち度は、認める。だから、グレッグを許してくれ!」

 リーダーなのかは知らんが、やられたらやり返す。エタンセル流でお返しだ。
 装飾が施されているナイフを鞘から抜き、グレッグと呼ばれていた男の太ももに突き刺す。

 「ガァァァァああっ!」

 「動くなっ!」

 俺の制止する言葉で、動きを止めた4人。グレッグが持っていた剣を足で蹴り、遠ざける。

 「さて、もう充分な時間を与えましたよ?お返事頂けますよね?」

 「こ、降伏する。私含めた男3人を奴隷として売って欲しい。ただ、ここにいる女2人は見逃して欲しい。」

 さて、どうしてあげようか...。くふふふっ。

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