勘違いから始まる反逆王

わか

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開拓

第46話 首都イスパニア

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 クレイモラン伯爵領が地図から消失してから一月。
 アルディア王国の首都イスパニアのとある飲み屋では、クレイモラン伯爵領が消滅していたという話題で持ちきりだ。

 「おい、聞いたか?あのホープ伯爵の領地が更地になっているらしいぜ。」

 「おう。俺もその話し、聞いたぜ。武勇で名を馳せていたホープ伯爵。そんな人がおさめていた、領土全てが消えるとか本当に有り得るのか?俺は、真実味が無さすぎて疑っている...」

 大柄な男2人が、酒を口に入れる。

 「かぁーっ。仕事終わりの一杯は、格別だなぁ!クレイモラン伯爵領を実際見た奴の話しを俺は聞いたんだぜ?真実味がないっつても、実際、目で見て持ち帰った情報だ。真実なんだろうよ。そこまで疑うなら、お前、見に行けよ?」

 「仕事終わりの酒については、激しく同意だぜ。お前の話しが本当だったら、やべぇな。街が滅びる...いや更地になったってことは、相当な戦力が必要だぞ?」

 2人は、つまみをほうばり、一口、酒を飲み、喉を潤す。

 「ああ。それもそうだが、もっと恐ろしい事実がある。聞きてぇか?」

 1人の男は、メニュー表の酒の欄を指でつつく。もう1人の男に、この話しの続きを聞きたければ酒エールを奢れと暗に伝えているのだ。

 「ちっ...。強情な奴め。オヤジ!エールをもう一杯頼む!さぁ、酒を奢ったんだ。最後まで聞かせろよ?」

 「がはははははっ。もちろんだ、兄弟!恐ろしい事実ってぇーのは、クレイモラン伯爵領に人が一人もいなかったことだ。もぬけの殻だったそうだぞ...」

 エールを奢ってもらい、気を良くした男は、運ばれてきたエールを一気飲みする。

 「は?嘘だろ?人間が一人もいなかったのかよ!?そんなこと、有り得るのか?」

 「うなーことぉ、知らねぇーよ。有り得ることねぇーだろぉ。人間だけじゃねぇ。亜人も獣人もいやしねぇらしい。」

 「そ、それは...」

 アルコールが回ってきたのか、顔を赤くする男。その男の話しを聞いていた、もう一人の男は考える。
 先程の話しが本当だとしたら、亜人や獣人はともかく、人間が一人残らず殺されたことになる。

 「どうした、兄弟?そんなに気にすんなや。こう言っちゃなんだが、俺たちには関係ねぇ話しだ。」

 「まぁ、そうだな!どうせ、話しのオチはアレか?奴隷として、連れていかれたとかだろ?」

 「あー、そこは分かんねぇな。誰もいやしねぇんだから、真実は闇の中だ。」

 エールを再び注文し、男2人は、クレイモラン伯爵領に起きた話し以外に移り、楽しく飲む。

 そんな、男2人の席に近いところに、

 「うわ、不味い...。異世界の酒って、なんでこんなに不味いんだろ?」

 「この世界の飲み物は、全部こんな感じよ?お店間違えたかしら...」

 エールをちびちび飲む、フードを被った者と、ボサボサした髪に、メガネをかけた男がいた。

 「間違えていないよ?こういうお店で良いんだ。値が高いレストランだと、話し聞こえないし。」

 「まぁ、そうね...。はぁ。」

 ため息をつく、フードを被った女性に男は、苦笑いをしながら言う。

 「ははっ。これがデートだったら、最悪なチョイスなのは認めるよ。でも、これは情報収集の一環なのだから、我慢してよね。」

 「はぁ。分かっているわ...でも、今度は、レストランに2人っきりで行きましょう?」

 顔を近づけ、圧をかける女性。

 「それは...まぁ、うん。時間があればいいよ。時間があればね。」

 「約束よ、約束。ナインさん。」

 「あぁ、約束だ。ルナさん。」


 アルディア王国の首都イスパニア。
 広大な土地に、温暖な気候。とても過ごしやすい街として有名。環境が良いことから、多くの人間がこの街に住み着いている。人口は、およそ150万人。
 教育機関、商業、工業、その他多様な機関が活発であり、眠らない街とも呼ばれているらしい。朝も昼も夜も、絶えず人の声が聞こえ、活気に溢れているのは、最近やってきた、ナインは肌で感じていた。

 「うーん...」

 「どうしたのかしら?」

 俺の隣りに座る女性は、白騎士副隊長、ハーフエルフのルナさん。アリエスさんの親友であり、大人びた空気を放ち、とても綺麗な顔立ち。なんと言えば、しっかり表現出来るのだろうか...婉容えんような女性かな。

 婉容えんようとは、言動が落ち着いていて好ましい印象を与え、また姿や身のこなしが穏やかで、顔つきが素直であること。

 「例のアレの話しが聞こえてこないんだよね。」

 「あぁ、アレのことね。そうね...アレについて、箝口令が出ているのかしら?」

 「箝口令ねぇ...この国では、やりかねないな。うへぇ。この揚げ物、まっずぅ。どう、揚げたら、こんなベトベトの油がつくんだよ。」

 「あっ、私は要らないわよ?お腹壊したくないしね。」

 俺は、揚げ物をもって、ゲラゲラ笑っている男たちに料理とエールを渡し、店をあとにする。
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