6 / 7
6
しおりを挟む
私のロボットは星々の中を漂っています。時は遥かな未来。タイムパトロールと名乗った男にに手助けを受け(なんか重要な仕事があると彼は途中で分かれて行ってしまいましたが)、時間軸を未来に進みパーティから抜け出そうとロボットは、アンドロメダと我々の銀河が引き合い、ぶつかり合うそんな時代に今はいます。銀河の融合により、倍となる星々に増して、宇宙には次々と星々生まれ、満天は光の祭り。亜光速で潜り抜ける、そこは、青く揺れる光の回廊となり、その中でまどろむロボットは、タイムパトロールの男に手を引かれ、彼の指し示す出口に向かって飛んでいるのでした。
光が渦巻き、その中心にロボットは吸い込まれてゆきます。男は手を離し、その渦の中に吸い込まれるロボットに向かって笑顔で手を振ります。ロボットは少し不安になりますが、男はどんどんと離れてゆき、ロボットはさらに光の奔流の中、時と空間を更に進みます。
回る、時と空間の混ざり合う、渦巻きの中、宇宙に生まれた全ての夢、ありえた筈の物すべての中にある、天球は今は百万の光の合。百万の光が百万の光を作り出す。天が光ですべてを包み、包まれる地の創造物も光となる。
ロボットは、光に溶け、光であらず、光の中泳ぐ、私は、私の、ロボットは、光の消えたその場所に、いつのまにか立っていることに気づきます。
見渡す限りの荒野でした。何も動いていませんでした。何もありませんでした。ひたすら広がる荒野には草一本生えていないばかりか、石ころ一つさえ転がっていません。
ここは、無い以上に無い、時間と空間の果てでした。終わりでさえありませんでした。終わりがすでに終わった後、時間さえ終わり散り散りとなったのがここでした。そんな果てに一人来て、ロボットはどうすれば良いのかわからずにただ周りをきょろきょろと眺めるばかり。
しかし、荒野にも雲ひとつ無い空にも、何も、動くものさえ、ありません。少し歩いてみても風景は何も変わらず、いい加減歩き疲れて、どのくらい歩いてみたか考えて見ようにも、時間も空間もなくなっているここでは「どのくらい」と言われても閑上げる事もできません。
困り果て、
「ああ、こんな所にくるくらいなら元のままの場所にいれば良かった」とロボットは独り言を言いますが、
すると、その声が誰かに届いたのか、
「あらら、こんなところで動き回るお前はいったい誰なのだ」と、何処からか声がします。
声がしたと思われる方向に向かってロボットは振り向きますが、そこには誰もおりません。
しかし、
「誰ですか、誰かいるのですか」とのロボットの呼び掛けに答えて、
「『誰』だって、〈我〉は誰とか呼ばれるものでは無いが、おぬしが聞こえた声のぬしの話なら〈我〉である」と言う声。
「〈我〉って何の事でしょうか、あなたの事でしょうか」
「〈我〉は〈我〉であり、あなたと呼ばれるようなものではないのだが、おぬしが話しかけている相手と言うのならば、その通りである」
「じゃあ〈我〉さんと呼びますが……」
「それでも別に良い」
「ここは何処なのでしょうか」
「『何処』とな?」と少し馬鹿にしたような口調。
「……何かまずい事を言ったでしょうか」
「まあ、しょうがあるまい、ここは普通の者の来れるところではない。どう言ういきさつかは知らないが、おぬしのような者がひょいひょいとこれるところでは無いのだから、いきなり迷い込んで戸惑っているのもしょうがないだろうて」
ロボットは頷きます。その声は、今ひとつ掴み所はなさそうですが、割と物分りの良さそうな、話し合いのできる相手のように思えます。
しかし、
「この宇宙の終わりにいたって達成した超意思足る〈我〉のバランスを崩すような、余計な意思が現れるのは迷惑極まりない事なのだよ」と、ちょっとドキッとするような事を言われ、
「迷惑と言うのは私の事でしょうか」とロボット。
「そうだが、まああまり気を悪くはしないでおくれよ。罪を憎んで人を憎まずというか、おぬし自身に悪気はあるまい、しかし……」
さらにドキッとしながら、
「しかし、なんでしょうか」とまたロボット。
「おぬしがここにいてもらっては困ると言う事なんだよ。おぬしの存在によるここのバランスの崩れは許しがたい。ここはおぬしには分らないだろうが、何も無いように見えて、絶妙なバランスの上に成り立っているのだよ。せっかくの〈我〉の思索の場、〈我〉の思考のために作られたこの静かな宇宙の平衡が、バランスが崩れて動き出したら困ってしまうだろ。なので許しがたいのだよ」
意味は良く分からないながら、更に不安になりながら、
「許しがたいとどうなるんでしょうか」とロボット。
「そりゃ消えてもらうしかないが」
「消える! 消えるって私を殺すってことでしょうか」
「殺す? 消滅だよ。ここにいてもらっても困るので、存在を消え去ってもらうしかないな」
「そんな!」
「まあ可哀想だがしょうがないだろう。それにお前がここにいても何もできないだろうし」
「でもまだ私は消える分けにはいかないのです」
「何故だね」
「だってまだ探しているのです」
「何を」
「私のご主人です」
「なるほどな……」
「なるほど……? それなら、どうにかなるんでしょうか」
「なるほど、と言って、どうにもならんが、なるほどなと分ったというだけで……」
「そんな、何とかならないでしょうか、私もここに着たくて来た訳ではないですので、ここにいるのが迷惑ならば、元の時代に戻してもらうのでも結構ですので」
「そうだな……それもよいが」
「それならばお願いします」
「でも面倒くさい」
面倒くさいなんて、そんなことで消滅させられたらたまらないと思いつつ、
「でもなんとかならないでしょうか」と哀願するような声でロボット。
「〈我〉はこの宇宙最大の三つの謎に取り組んでいる最中なんだよ。もうちょっとでそれが解けそうなのに、面倒くさい事をやって集中が途切れてしまうと元も子もない」
「三つの謎ですか」
「そうだ」
「せっかくなのでそれを教えて貰う事はできないでしょうか」
ロボットは何とか話題をそらすのに必死です。
しかし、
「何故に、知ってどうなるものでもあるまい」と超意思は乗り気にはならない模様。
「いやせめて冥土のはなむけに」とさらにロボットはねばります。
「冥土? そんなところに行かなくて良いように完全に滅してあげるのに。謎なんて知ったところで余計な煩悩を抱え込むだけになるぞ」
「いやそこをなんとか」
「なんとかと言われてもこまるが、そうだな、でも話しをしてやるくらいはいいかな」
「お願いします」
「そうだな、三つの謎だ、つまりだな……」
*
宇宙の最後に残された謎は三つあり、その謎を解けたものが次の宇宙の支配者になるとも、死に行くこの宇宙を再生できる(そしてやっぱりその再生した宇宙を支配する)とも言われている。しかしそれに何故とも、どのようにとも問いかけてはならぬ。
お前ら地球人類(とその眷属)にとっては説明されても分らぬこと。意思と論理の究極の戦いの意味は所詮惨めな物体に過ぎないお前らの能力の限界を超えてしまっているのだから。
ただしお前ら地球人類にとって誇らしいことには、その三つの謎のうち二つがお前らの中に問題と答えがあったことだ。
残りの一つは気にすることは無い。聞いたところで何を問いかけているかさえ分らぬ、お前らとは可能性でさえまるで交わることの無い、ある星の生物の出した哲学問題となる。ちなみにその問題はすでに解けているが、その瞬間、その影響のために宇宙の寿命が半分になったとだけ言えばその凄さが少しは分るだろうか。
次の一つは、お前らになじみ深い問題で、Tシャツの神秘に関わる問題だ。果たしてだ、Tシャツの綿とレーヨンの混紡比率はどの割合が最善であるのかと言うことだ。ふざけているのではないぞ。なぜそんな問題が重要なのかは、お前えらの理解を超えているのだが、それが解き明かされた時には宇宙の寿命はまた半分なってその上広さも半分になるのだ、と言えばその重大さは分かるかな? ちなみにその最善比率は一九八○年代の地球のアメリカで作成された約綿十二パーセントでレーヨン八十八パーセントのある一品であることでほぼ間違いないと思われているのだが、これが地球人類以外の一般においても最善と呼んでよいのか、そもそもTシャツを着れないどころか着るという概念さえあわなさそうな生命体においての最善とは……この解決までまだ〈我〉内で議論がかかりそうだ。
そして最後の一つそれは……
〈宇宙ドミグラス大決戦〉
坂下味三は今日もまた深夜の厨房で明日の仕込を始めている。店のスタッフは終電前にすべて帰らせたのでここに残っているのは彼一人だけとなるが、その事には、一人ぼっちで残って仕事をしている事には何の不満も無い。自分の店の責任を負うのは自分であると、毎日、彼は思って仕事をしているのだし、こうして自分の力の続く限り、明日の準備をしている事が何よりも彼の楽しみでもあるのだ。
何しろ彼の料理を一流としている霊感はこんな時にこそ現れるのだから。
今日もばたばたとした一日が終わり、落ち着いて朝から閉店までを振り返るその瞬間、ばらばらに起きていたと思われる色々な出来事が相互につながり、からみ合い、一つの光の構築物が彼の頭の中に現れるのだった。それは彼のひらめきの元、霊感の出所であった。
彼は、それを塔と呼んでいた。それは光り輝く螺旋の構築物であった。料理にとどまらない幾多の創造物が、その塔の中に渦巻きながら吸い込まれ、一つの大きな塊を作り出しているように彼には感じられた。
空間と時間を越え、この世のすべての物事の、その波動が集まり、揺れる、それじゃ音楽であった。それは無数の音が集まり奇跡的に共鳴する、和音の、そして、その進行のように思えた。ありえるものすべての集合。それがそこに在った。玉ねぎの皮を剥きながら、彼は、その塔に問いかける。明日の世界の調和を。見えない蝶の羽ばたきがつくる世界の揺らぎを。
塔は七色に光を変えながら答えるだろう、坂下がフォンの灰汁をすくいながら嗅ぐ、その匂いの中に答えを潜ませ、彼のふる塩の、宙を舞う中その答えはこの世に出る。その瞬間雷鳴に打たれたような悟りをもって、彼には「分る」。この世の営みが、宇宙を統括する意思の実在が。
光る、揺らぐ蒸気を光らせる白熱灯の明かり。坂下は厨房から店内を眺める。スタッフがしっかりと掃除してから帰った店内はぴかぴかに磨かれていて、清潔で気持ちが良い。 椅子が角につまれテーブルだけになった店内は広々として、彼が考え事しながら歩くのにちょうど良いのだが、それでも明日のレシピに夢中になると腰をテーブルの角にぶつけてしまったり。
坂下は、今、自分の中に溢れるインスピレーションを、どのように実在のものにしたら良いのかと考える。それは明日のドミグラスソースのレシピであった。彼がいま実在の物としようとしているのは、まだ自分の中でもイメージから明確な手順に落とし込めていないのだが、何か昨日と違う確信をもって仕込みを始めたその料理、それは今だかつて無く完璧なドミグラスソースであった。
「この宇宙の法則を変える事になっても、必ず完成させる」
彼が呟いたその瞬間、光り輝くその身体は震え、時空は大きく揺らいだ。彼の身体は時空の中揺らぐ。その姿は、消え、また現れる。彼は今、この二十一世紀の東京にだけあるのではなく、あらゆる時間、あらゆる空間、次元に向けて広がる連続体として存在していた。彼は時間と空間を越えて存在する新たな人類の祖としてその後知られるのであるが、現在のところその超次元生命体としての覚醒はまだ限定された条件にとどまり、いつの間にかまた彼はこの時間この空間に固定されてその姿を現す。
いつのまにか閉じていた目を開けると、
「よし、決まった」と大声で坂下。
彼は、厨房に戻るとすべての迷いが消えた表情で、寸胴の火力を調整する。
宇宙最高のドミグラスソースの誕生が迫っているのだった。昨日届けられた肉の筋の入り具合を見て、坂下は今までで最高のソースができると確信していたのだった。
炒める時間も、そのフライパンを揺らすリズムも完璧。彼は、何か、目の前に見える物以上の、何か、宇宙を貫くリズムに合わせて、自分が、今動いている、そんな気がしていた。
宇宙の真実に命じられ動いている、彼は、フォンの味見をしながら、そんな考えとらわれる。
——しかし実は、坂下は勘違いをしている。逆なのだ。宇宙のリズムを作り出しているのは坂下であったのだ。彼の作り出す料理、その動きが宇宙を動かし変えつつあった。
宇宙の暗黒が胎動し、生まれ変わろうとしている。煮え泡立ち、渦を巻くソースの中に宇宙が現れる。星々、渦を巻く星雲。星雲たちは互いに引かれ合い、ぶつかり、また離れ。
——光が生まれ消える。時が動き止まる。
坂下は今、時と空間を越えて広がった自我となり、宇宙の意思と向き合っている。
「お前は誰だ」
「お前をずっと見ていたものだ」
「何故俺を見る」
「お前は自分の重要性に気づいていない」
「俺はただの料理人でそんなたいそうなもんじゃない」
「その通りでよい」
「どういう意味だ」
「ただの料理人だよお前は。それでかまわない、その通りだ。お前はお前の思ったとおりのものだ。しかし宇宙はお前を待っていた」
「俺は俺のやりたい事をやるだけだ」
「その通りでよいといっただろ。哀れな人の身では分らないかもかもしれないがな、お前はこの宇宙の歴史の中重要な鍵を握っている」
「鍵?」
「鍵だよ。お前の今作っているドミグラスソースがそれだ。それがこの宇宙の再生の鍵となる」
「再生?」
「そうだ再生だ。この行き詰った宇宙が生まれ変わるための鍵穴にはまるのがお前の作るドミグラスソースだ」
「ふざけてるのか……」
坂下は、宇宙の始まりと宇宙の終わりを同時に体験していた。それは一つの大きな絵のようにも見えたし、誰かに語って聞かされた偉大な人物の伝記の様でもあった。
虚無から生まれた光の玉が次第に物質を作り、物質は意思を作り、その意思が宇宙に大きな塊をつくる。意思は生命を生み、それを吸収してさらに大きくなった。
その意思は坂下の事を見ていた。しかし意思は坂下の生命を見ているのではない。その手が作り出す、ドミグラスソースが完璧なものと鳴る瞬間をじっと待っていたのだった。
そう言えば、と坂下は思い出す。今までの人生、常に監視されていたような感覚のあった事を。
「その通りだ、我はお前を監視して、常に完成を心待ちにしておった、そしてそのかいあって、お前のドミグラスは明日完成すると言う事なのだよ」
「覗き見か。感心しない趣味だが、男が覗かれても何がどうするわけでもあるまい。で、それはどうでも良いとして、そのドミグラスが完成するとどうなるって?」
「ああ、悲しき地球人よ。気にする事はない。お前には理解の範疇を越える事が起きるのだ。光栄ではないか、おろかな肉に縛られた未熟な魂よ。そのお前が宇宙を次のレベルに向かわせるのじゃ」
「信じないね」
「なに?」
「俺は信じない」
「何をじゃ」
「お前の言う世界のことだ。お前なんかにこの宇宙の事は分らない」
「おろかな、おろか過ぎる肉体よ。この世のものすべての結実であるこの意思に分らぬものがあるというのか」
「ああ、そうだ。お前には分っていない」
「なんとも、あわれな。一介の肉のかたまりにすぎぬお前がこの宇宙の意思に意見をするとはな」
「その肉が語っているんだ」
「何?」
「お前が捨てた肉だよ。出汁がらのようにすてたその滓が知っているんだ。俺の腕が、鼻が、舌が知る。この宇宙にあるものすべてがお前に吸収されたとしても、その先があるということを。……ありえないものがでてくるのだ」
坂下には宇宙がひっくり返るかというほど鳴り響く高笑いが聞こえた。それは通常の人間であればたちまち気が狂ってしまっても可笑しくないほどの圧力に満ちていたのだが、彼は、少しもひるまず、
「何故だか分るか」と。
高笑いはおさまり、
「……ほほお、なぜだ」と問う声。
坂下は、ゆっくりと、言葉を区切りながら、
「それは、俺が、料理人だからだ……」と。
——東京、中目黒付近、山手通り近い坂下の店は今日も客がひっきりなしに訪れている。
ランチの始まりと同時に、通りに溢れるまで並ぶ彼の料理のファン達は店内になだれ込み、あっという間に席は埋まる。そして戦争のような昼休みが過ぎ、やっと少し客の姿も少なくなった午後一時過ぎ、いつものように店に入ってきた常連の老人が席に着くと、坂下は声をかける。
「いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」
「うむ」
「今日のおすすめは和牛ハンバーグのドミグラスソースがけですが……」
「うむ」
老人は気難しげにメニューを眺める。
坂下の会心のできのドミグラスソースは今日のランチだけでまたたくまに売れて行き、残りはもうわずかしかない。
坂下はこの老人に今日のドミグラスソースを食べて欲しいと思っていた。昨晩の妙にリアルな夢、と坂下は思っている、の中で見た宇宙の運命などどうでも良かった。いつも彼の料理を信頼して食べに来てくれる人がいてその人に会心の作を食べて欲しい、それだけの事だった。
老人は坂下の進める通りにドミグラスソースのハンバーグを食べ終えると、
「シェフ……」と。
「はい」と坂下。
「この”デ”ミグラスソースおいしいね」
「はい!」と満面の笑みを湛えながら坂下。
その瞬間、この宇宙のすべてのもの、ありえるものはすべて以上のものがそこに現れていた。
ほほ笑み、ありえるものすべて以上のほほ笑み。
坂下には、それは、この瞬間、この宇宙以上の物の様に思えたのであった。
光が渦巻き、その中心にロボットは吸い込まれてゆきます。男は手を離し、その渦の中に吸い込まれるロボットに向かって笑顔で手を振ります。ロボットは少し不安になりますが、男はどんどんと離れてゆき、ロボットはさらに光の奔流の中、時と空間を更に進みます。
回る、時と空間の混ざり合う、渦巻きの中、宇宙に生まれた全ての夢、ありえた筈の物すべての中にある、天球は今は百万の光の合。百万の光が百万の光を作り出す。天が光ですべてを包み、包まれる地の創造物も光となる。
ロボットは、光に溶け、光であらず、光の中泳ぐ、私は、私の、ロボットは、光の消えたその場所に、いつのまにか立っていることに気づきます。
見渡す限りの荒野でした。何も動いていませんでした。何もありませんでした。ひたすら広がる荒野には草一本生えていないばかりか、石ころ一つさえ転がっていません。
ここは、無い以上に無い、時間と空間の果てでした。終わりでさえありませんでした。終わりがすでに終わった後、時間さえ終わり散り散りとなったのがここでした。そんな果てに一人来て、ロボットはどうすれば良いのかわからずにただ周りをきょろきょろと眺めるばかり。
しかし、荒野にも雲ひとつ無い空にも、何も、動くものさえ、ありません。少し歩いてみても風景は何も変わらず、いい加減歩き疲れて、どのくらい歩いてみたか考えて見ようにも、時間も空間もなくなっているここでは「どのくらい」と言われても閑上げる事もできません。
困り果て、
「ああ、こんな所にくるくらいなら元のままの場所にいれば良かった」とロボットは独り言を言いますが、
すると、その声が誰かに届いたのか、
「あらら、こんなところで動き回るお前はいったい誰なのだ」と、何処からか声がします。
声がしたと思われる方向に向かってロボットは振り向きますが、そこには誰もおりません。
しかし、
「誰ですか、誰かいるのですか」とのロボットの呼び掛けに答えて、
「『誰』だって、〈我〉は誰とか呼ばれるものでは無いが、おぬしが聞こえた声のぬしの話なら〈我〉である」と言う声。
「〈我〉って何の事でしょうか、あなたの事でしょうか」
「〈我〉は〈我〉であり、あなたと呼ばれるようなものではないのだが、おぬしが話しかけている相手と言うのならば、その通りである」
「じゃあ〈我〉さんと呼びますが……」
「それでも別に良い」
「ここは何処なのでしょうか」
「『何処』とな?」と少し馬鹿にしたような口調。
「……何かまずい事を言ったでしょうか」
「まあ、しょうがあるまい、ここは普通の者の来れるところではない。どう言ういきさつかは知らないが、おぬしのような者がひょいひょいとこれるところでは無いのだから、いきなり迷い込んで戸惑っているのもしょうがないだろうて」
ロボットは頷きます。その声は、今ひとつ掴み所はなさそうですが、割と物分りの良さそうな、話し合いのできる相手のように思えます。
しかし、
「この宇宙の終わりにいたって達成した超意思足る〈我〉のバランスを崩すような、余計な意思が現れるのは迷惑極まりない事なのだよ」と、ちょっとドキッとするような事を言われ、
「迷惑と言うのは私の事でしょうか」とロボット。
「そうだが、まああまり気を悪くはしないでおくれよ。罪を憎んで人を憎まずというか、おぬし自身に悪気はあるまい、しかし……」
さらにドキッとしながら、
「しかし、なんでしょうか」とまたロボット。
「おぬしがここにいてもらっては困ると言う事なんだよ。おぬしの存在によるここのバランスの崩れは許しがたい。ここはおぬしには分らないだろうが、何も無いように見えて、絶妙なバランスの上に成り立っているのだよ。せっかくの〈我〉の思索の場、〈我〉の思考のために作られたこの静かな宇宙の平衡が、バランスが崩れて動き出したら困ってしまうだろ。なので許しがたいのだよ」
意味は良く分からないながら、更に不安になりながら、
「許しがたいとどうなるんでしょうか」とロボット。
「そりゃ消えてもらうしかないが」
「消える! 消えるって私を殺すってことでしょうか」
「殺す? 消滅だよ。ここにいてもらっても困るので、存在を消え去ってもらうしかないな」
「そんな!」
「まあ可哀想だがしょうがないだろう。それにお前がここにいても何もできないだろうし」
「でもまだ私は消える分けにはいかないのです」
「何故だね」
「だってまだ探しているのです」
「何を」
「私のご主人です」
「なるほどな……」
「なるほど……? それなら、どうにかなるんでしょうか」
「なるほど、と言って、どうにもならんが、なるほどなと分ったというだけで……」
「そんな、何とかならないでしょうか、私もここに着たくて来た訳ではないですので、ここにいるのが迷惑ならば、元の時代に戻してもらうのでも結構ですので」
「そうだな……それもよいが」
「それならばお願いします」
「でも面倒くさい」
面倒くさいなんて、そんなことで消滅させられたらたまらないと思いつつ、
「でもなんとかならないでしょうか」と哀願するような声でロボット。
「〈我〉はこの宇宙最大の三つの謎に取り組んでいる最中なんだよ。もうちょっとでそれが解けそうなのに、面倒くさい事をやって集中が途切れてしまうと元も子もない」
「三つの謎ですか」
「そうだ」
「せっかくなのでそれを教えて貰う事はできないでしょうか」
ロボットは何とか話題をそらすのに必死です。
しかし、
「何故に、知ってどうなるものでもあるまい」と超意思は乗り気にはならない模様。
「いやせめて冥土のはなむけに」とさらにロボットはねばります。
「冥土? そんなところに行かなくて良いように完全に滅してあげるのに。謎なんて知ったところで余計な煩悩を抱え込むだけになるぞ」
「いやそこをなんとか」
「なんとかと言われてもこまるが、そうだな、でも話しをしてやるくらいはいいかな」
「お願いします」
「そうだな、三つの謎だ、つまりだな……」
*
宇宙の最後に残された謎は三つあり、その謎を解けたものが次の宇宙の支配者になるとも、死に行くこの宇宙を再生できる(そしてやっぱりその再生した宇宙を支配する)とも言われている。しかしそれに何故とも、どのようにとも問いかけてはならぬ。
お前ら地球人類(とその眷属)にとっては説明されても分らぬこと。意思と論理の究極の戦いの意味は所詮惨めな物体に過ぎないお前らの能力の限界を超えてしまっているのだから。
ただしお前ら地球人類にとって誇らしいことには、その三つの謎のうち二つがお前らの中に問題と答えがあったことだ。
残りの一つは気にすることは無い。聞いたところで何を問いかけているかさえ分らぬ、お前らとは可能性でさえまるで交わることの無い、ある星の生物の出した哲学問題となる。ちなみにその問題はすでに解けているが、その瞬間、その影響のために宇宙の寿命が半分になったとだけ言えばその凄さが少しは分るだろうか。
次の一つは、お前らになじみ深い問題で、Tシャツの神秘に関わる問題だ。果たしてだ、Tシャツの綿とレーヨンの混紡比率はどの割合が最善であるのかと言うことだ。ふざけているのではないぞ。なぜそんな問題が重要なのかは、お前えらの理解を超えているのだが、それが解き明かされた時には宇宙の寿命はまた半分なってその上広さも半分になるのだ、と言えばその重大さは分かるかな? ちなみにその最善比率は一九八○年代の地球のアメリカで作成された約綿十二パーセントでレーヨン八十八パーセントのある一品であることでほぼ間違いないと思われているのだが、これが地球人類以外の一般においても最善と呼んでよいのか、そもそもTシャツを着れないどころか着るという概念さえあわなさそうな生命体においての最善とは……この解決までまだ〈我〉内で議論がかかりそうだ。
そして最後の一つそれは……
〈宇宙ドミグラス大決戦〉
坂下味三は今日もまた深夜の厨房で明日の仕込を始めている。店のスタッフは終電前にすべて帰らせたのでここに残っているのは彼一人だけとなるが、その事には、一人ぼっちで残って仕事をしている事には何の不満も無い。自分の店の責任を負うのは自分であると、毎日、彼は思って仕事をしているのだし、こうして自分の力の続く限り、明日の準備をしている事が何よりも彼の楽しみでもあるのだ。
何しろ彼の料理を一流としている霊感はこんな時にこそ現れるのだから。
今日もばたばたとした一日が終わり、落ち着いて朝から閉店までを振り返るその瞬間、ばらばらに起きていたと思われる色々な出来事が相互につながり、からみ合い、一つの光の構築物が彼の頭の中に現れるのだった。それは彼のひらめきの元、霊感の出所であった。
彼は、それを塔と呼んでいた。それは光り輝く螺旋の構築物であった。料理にとどまらない幾多の創造物が、その塔の中に渦巻きながら吸い込まれ、一つの大きな塊を作り出しているように彼には感じられた。
空間と時間を越え、この世のすべての物事の、その波動が集まり、揺れる、それじゃ音楽であった。それは無数の音が集まり奇跡的に共鳴する、和音の、そして、その進行のように思えた。ありえるものすべての集合。それがそこに在った。玉ねぎの皮を剥きながら、彼は、その塔に問いかける。明日の世界の調和を。見えない蝶の羽ばたきがつくる世界の揺らぎを。
塔は七色に光を変えながら答えるだろう、坂下がフォンの灰汁をすくいながら嗅ぐ、その匂いの中に答えを潜ませ、彼のふる塩の、宙を舞う中その答えはこの世に出る。その瞬間雷鳴に打たれたような悟りをもって、彼には「分る」。この世の営みが、宇宙を統括する意思の実在が。
光る、揺らぐ蒸気を光らせる白熱灯の明かり。坂下は厨房から店内を眺める。スタッフがしっかりと掃除してから帰った店内はぴかぴかに磨かれていて、清潔で気持ちが良い。 椅子が角につまれテーブルだけになった店内は広々として、彼が考え事しながら歩くのにちょうど良いのだが、それでも明日のレシピに夢中になると腰をテーブルの角にぶつけてしまったり。
坂下は、今、自分の中に溢れるインスピレーションを、どのように実在のものにしたら良いのかと考える。それは明日のドミグラスソースのレシピであった。彼がいま実在の物としようとしているのは、まだ自分の中でもイメージから明確な手順に落とし込めていないのだが、何か昨日と違う確信をもって仕込みを始めたその料理、それは今だかつて無く完璧なドミグラスソースであった。
「この宇宙の法則を変える事になっても、必ず完成させる」
彼が呟いたその瞬間、光り輝くその身体は震え、時空は大きく揺らいだ。彼の身体は時空の中揺らぐ。その姿は、消え、また現れる。彼は今、この二十一世紀の東京にだけあるのではなく、あらゆる時間、あらゆる空間、次元に向けて広がる連続体として存在していた。彼は時間と空間を越えて存在する新たな人類の祖としてその後知られるのであるが、現在のところその超次元生命体としての覚醒はまだ限定された条件にとどまり、いつの間にかまた彼はこの時間この空間に固定されてその姿を現す。
いつのまにか閉じていた目を開けると、
「よし、決まった」と大声で坂下。
彼は、厨房に戻るとすべての迷いが消えた表情で、寸胴の火力を調整する。
宇宙最高のドミグラスソースの誕生が迫っているのだった。昨日届けられた肉の筋の入り具合を見て、坂下は今までで最高のソースができると確信していたのだった。
炒める時間も、そのフライパンを揺らすリズムも完璧。彼は、何か、目の前に見える物以上の、何か、宇宙を貫くリズムに合わせて、自分が、今動いている、そんな気がしていた。
宇宙の真実に命じられ動いている、彼は、フォンの味見をしながら、そんな考えとらわれる。
——しかし実は、坂下は勘違いをしている。逆なのだ。宇宙のリズムを作り出しているのは坂下であったのだ。彼の作り出す料理、その動きが宇宙を動かし変えつつあった。
宇宙の暗黒が胎動し、生まれ変わろうとしている。煮え泡立ち、渦を巻くソースの中に宇宙が現れる。星々、渦を巻く星雲。星雲たちは互いに引かれ合い、ぶつかり、また離れ。
——光が生まれ消える。時が動き止まる。
坂下は今、時と空間を越えて広がった自我となり、宇宙の意思と向き合っている。
「お前は誰だ」
「お前をずっと見ていたものだ」
「何故俺を見る」
「お前は自分の重要性に気づいていない」
「俺はただの料理人でそんなたいそうなもんじゃない」
「その通りでよい」
「どういう意味だ」
「ただの料理人だよお前は。それでかまわない、その通りだ。お前はお前の思ったとおりのものだ。しかし宇宙はお前を待っていた」
「俺は俺のやりたい事をやるだけだ」
「その通りでよいといっただろ。哀れな人の身では分らないかもかもしれないがな、お前はこの宇宙の歴史の中重要な鍵を握っている」
「鍵?」
「鍵だよ。お前の今作っているドミグラスソースがそれだ。それがこの宇宙の再生の鍵となる」
「再生?」
「そうだ再生だ。この行き詰った宇宙が生まれ変わるための鍵穴にはまるのがお前の作るドミグラスソースだ」
「ふざけてるのか……」
坂下は、宇宙の始まりと宇宙の終わりを同時に体験していた。それは一つの大きな絵のようにも見えたし、誰かに語って聞かされた偉大な人物の伝記の様でもあった。
虚無から生まれた光の玉が次第に物質を作り、物質は意思を作り、その意思が宇宙に大きな塊をつくる。意思は生命を生み、それを吸収してさらに大きくなった。
その意思は坂下の事を見ていた。しかし意思は坂下の生命を見ているのではない。その手が作り出す、ドミグラスソースが完璧なものと鳴る瞬間をじっと待っていたのだった。
そう言えば、と坂下は思い出す。今までの人生、常に監視されていたような感覚のあった事を。
「その通りだ、我はお前を監視して、常に完成を心待ちにしておった、そしてそのかいあって、お前のドミグラスは明日完成すると言う事なのだよ」
「覗き見か。感心しない趣味だが、男が覗かれても何がどうするわけでもあるまい。で、それはどうでも良いとして、そのドミグラスが完成するとどうなるって?」
「ああ、悲しき地球人よ。気にする事はない。お前には理解の範疇を越える事が起きるのだ。光栄ではないか、おろかな肉に縛られた未熟な魂よ。そのお前が宇宙を次のレベルに向かわせるのじゃ」
「信じないね」
「なに?」
「俺は信じない」
「何をじゃ」
「お前の言う世界のことだ。お前なんかにこの宇宙の事は分らない」
「おろかな、おろか過ぎる肉体よ。この世のものすべての結実であるこの意思に分らぬものがあるというのか」
「ああ、そうだ。お前には分っていない」
「なんとも、あわれな。一介の肉のかたまりにすぎぬお前がこの宇宙の意思に意見をするとはな」
「その肉が語っているんだ」
「何?」
「お前が捨てた肉だよ。出汁がらのようにすてたその滓が知っているんだ。俺の腕が、鼻が、舌が知る。この宇宙にあるものすべてがお前に吸収されたとしても、その先があるということを。……ありえないものがでてくるのだ」
坂下には宇宙がひっくり返るかというほど鳴り響く高笑いが聞こえた。それは通常の人間であればたちまち気が狂ってしまっても可笑しくないほどの圧力に満ちていたのだが、彼は、少しもひるまず、
「何故だか分るか」と。
高笑いはおさまり、
「……ほほお、なぜだ」と問う声。
坂下は、ゆっくりと、言葉を区切りながら、
「それは、俺が、料理人だからだ……」と。
——東京、中目黒付近、山手通り近い坂下の店は今日も客がひっきりなしに訪れている。
ランチの始まりと同時に、通りに溢れるまで並ぶ彼の料理のファン達は店内になだれ込み、あっという間に席は埋まる。そして戦争のような昼休みが過ぎ、やっと少し客の姿も少なくなった午後一時過ぎ、いつものように店に入ってきた常連の老人が席に着くと、坂下は声をかける。
「いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」
「うむ」
「今日のおすすめは和牛ハンバーグのドミグラスソースがけですが……」
「うむ」
老人は気難しげにメニューを眺める。
坂下の会心のできのドミグラスソースは今日のランチだけでまたたくまに売れて行き、残りはもうわずかしかない。
坂下はこの老人に今日のドミグラスソースを食べて欲しいと思っていた。昨晩の妙にリアルな夢、と坂下は思っている、の中で見た宇宙の運命などどうでも良かった。いつも彼の料理を信頼して食べに来てくれる人がいてその人に会心の作を食べて欲しい、それだけの事だった。
老人は坂下の進める通りにドミグラスソースのハンバーグを食べ終えると、
「シェフ……」と。
「はい」と坂下。
「この”デ”ミグラスソースおいしいね」
「はい!」と満面の笑みを湛えながら坂下。
その瞬間、この宇宙のすべてのもの、ありえるものはすべて以上のものがそこに現れていた。
ほほ笑み、ありえるものすべて以上のほほ笑み。
坂下には、それは、この瞬間、この宇宙以上の物の様に思えたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
予言姫は最後に微笑む
あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。
二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる