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私は、自分がなぜため息をついたのかは分からなかった。
しかし、突然、よくわからない不安を感じたのだった。
私は予感に駆られ空を見た。
そこには空の深さに押しつぶされそうな夜があった。
宇宙がこの夜、地上に降りて来ているかのようだった。
私には分かった。
ウラヌスが。
この夜、昼に激しく揺れる地を、空から見下ろしていた天の神が、いつもの夜のように、ガイアと交わる為に降臨して来たのだった。
神話のように。
そして、神話のとおり、
——彼女の怒りも知らず、
——クロノスの潜むのも知らず、
その神は降りる。
この夜が明けて、切り取られた陽物が、血をしたたらせ、海に漂うのを、神も、我々も、まだ知らず。
いきり立つファロスは差し込まれ、燃え上がるが。
——たどり着いた電源車はなす術も無く、その崩壊を、ただ見守る。
燃え盛る炉の中に差し込まれた一物はただ崩れ落ちて行く。
この夜、運命が刈り取られる。
時が動き、神話が地に降りた。
しかしこの時、我々はまだ知らない。
我々はまだその神話の始まりを知らない。
世界の奥に魔が潜んだのもまだ知らず。
壊れた神が見えない光となって世界を飛び回るのも知らず。
弱い力が、放たれ、風にのり、世界中に広まって行く。
我々は、かつての神が、その分身が、見えない光を放ちながら動くのをしらない。
神は確率となり降臨することを。
霊場を離れ、魔に変わる神が、街をあるく者の元に、吸い込む空気とともに入るあろう。
蓋然性の神が。
不在からこの世に降り立った彼は、その者に恩寵をあたえるだろう。
十数年後、病院のベットで白い天井を見つめ苦しんでいる時にこそ、その者の目の前に顕われるだろう。
つながれた点滴のボトルがつくる虹の中、確率が刻む聖痕はその者を天に導くだろう。
——光あれ。
——見えない光こそ、そこにあれ。
確率となった神に確率により選ばれる羊を。
世界の根本原理は弱い力による崩壊を予言し、それは極小の中で現実となる。
確率、それは魔力を封じ込まれた封じ込まれ、神としてあがめられていたのではないか。
それは異様を放つ建造物として海際にそびえ立っていたのではないか。
人類には近寄れない力を抱きそこにあったのではないか。
小学生の遠足が、老人クラブの旅行が、列をなす聖体としてそれはある。
かつての霊山信仰の為に山道に列を作った人々のように、我々に日常をもたらす神をあがめてその場所に思いをはせる。
——誰もが、
我々は、前もって受け取った現世での利益を後から埋め合わせるがごとく、大地震の夜に、その神に、作られた日常に向かって、遍路をする巡礼の者達のように歩いた。
それは、家に向かっているつもりでも実は、その神の分体へ向かっていたのではないか。
つまり日常へ。
夜の闇の中で輝くそれ。
確率の収束するその場所へ。
はるかな北の地より、送電線で、我々へ運ばれたスノップの中へ。
その場所。
それは沈む。
水の中に沈む。
我々は過ぎた日常の復讐を恐れながら、神を畏れ沈める。
我々はその場所に向かって歩いていた。
かつての霊山信仰の参拝者達が列を作り山道を登って行ったように。
我々は現代の神に向かって歩くのだった。
我々はその場所に向かって、進む。
この夜。
この日。
しかし、突然、よくわからない不安を感じたのだった。
私は予感に駆られ空を見た。
そこには空の深さに押しつぶされそうな夜があった。
宇宙がこの夜、地上に降りて来ているかのようだった。
私には分かった。
ウラヌスが。
この夜、昼に激しく揺れる地を、空から見下ろしていた天の神が、いつもの夜のように、ガイアと交わる為に降臨して来たのだった。
神話のように。
そして、神話のとおり、
——彼女の怒りも知らず、
——クロノスの潜むのも知らず、
その神は降りる。
この夜が明けて、切り取られた陽物が、血をしたたらせ、海に漂うのを、神も、我々も、まだ知らず。
いきり立つファロスは差し込まれ、燃え上がるが。
——たどり着いた電源車はなす術も無く、その崩壊を、ただ見守る。
燃え盛る炉の中に差し込まれた一物はただ崩れ落ちて行く。
この夜、運命が刈り取られる。
時が動き、神話が地に降りた。
しかしこの時、我々はまだ知らない。
我々はまだその神話の始まりを知らない。
世界の奥に魔が潜んだのもまだ知らず。
壊れた神が見えない光となって世界を飛び回るのも知らず。
弱い力が、放たれ、風にのり、世界中に広まって行く。
我々は、かつての神が、その分身が、見えない光を放ちながら動くのをしらない。
神は確率となり降臨することを。
霊場を離れ、魔に変わる神が、街をあるく者の元に、吸い込む空気とともに入るあろう。
蓋然性の神が。
不在からこの世に降り立った彼は、その者に恩寵をあたえるだろう。
十数年後、病院のベットで白い天井を見つめ苦しんでいる時にこそ、その者の目の前に顕われるだろう。
つながれた点滴のボトルがつくる虹の中、確率が刻む聖痕はその者を天に導くだろう。
——光あれ。
——見えない光こそ、そこにあれ。
確率となった神に確率により選ばれる羊を。
世界の根本原理は弱い力による崩壊を予言し、それは極小の中で現実となる。
確率、それは魔力を封じ込まれた封じ込まれ、神としてあがめられていたのではないか。
それは異様を放つ建造物として海際にそびえ立っていたのではないか。
人類には近寄れない力を抱きそこにあったのではないか。
小学生の遠足が、老人クラブの旅行が、列をなす聖体としてそれはある。
かつての霊山信仰の為に山道に列を作った人々のように、我々に日常をもたらす神をあがめてその場所に思いをはせる。
——誰もが、
我々は、前もって受け取った現世での利益を後から埋め合わせるがごとく、大地震の夜に、その神に、作られた日常に向かって、遍路をする巡礼の者達のように歩いた。
それは、家に向かっているつもりでも実は、その神の分体へ向かっていたのではないか。
つまり日常へ。
夜の闇の中で輝くそれ。
確率の収束するその場所へ。
はるかな北の地より、送電線で、我々へ運ばれたスノップの中へ。
その場所。
それは沈む。
水の中に沈む。
我々は過ぎた日常の復讐を恐れながら、神を畏れ沈める。
我々はその場所に向かって歩いていた。
かつての霊山信仰の参拝者達が列を作り山道を登って行ったように。
我々は現代の神に向かって歩くのだった。
我々はその場所に向かって、進む。
この夜。
この日。
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