43 / 94
043:地下7階6
しおりを挟む
ヒーリング・ポーションが見つかった部屋にはそれ以上のものはなかったので、改めて探索を再開する。部屋に入ったところから右へと通路が伸びているのでその先だ。
しばらくは真っすぐな通路が続いていたが、その先は壁に突き当たっている。そしてその壁はいつもの行き止まりとは様子が違っていた。宝箱があるとかないとかではない、壁そのものが変わっていた。
「通路行き止まりっぽいんだけど、ほらこの先、壁に何か描いてある」
そう言われて見通した通路の先は確かに行き止まりのようではあったが、その突き当たった壁には扉のような大きさで上部が半円になるように模様が描かれていた。
「魔法陣ぽいわね? 何が描いてあるのかしら」
「見たことのない模様な気がするけれど、ここからだと分からないね」
魔法使い2人にもさすがに離れた場所からは暗すぎて判別できないようで、フリアが先行してそこへと近づく。そしてすぐに引き返してきたその表情は驚きが隠せなかった。
「‥‥何て言えばいいんだろう、あの模様の、外側部分ね描かれた模様、あれの内側の線があるよね? あそこから内側が全部透きとおって向こうが見えるの」
聞いても何を言っているのか分からない。いや、もちろん言っている意味は分かった。透きとおって向こうが見える。ガラスのようなものだろうか。だがここからでは内側にも模様が描かれているように見えるのだ。
「近寄ってみましょう」
そう言うとカリーナが真っ先に模様へ近づいていく。他の皆も慌ててそれに続いた。
すぐには模様は変わらなかった。だが、もう少し、もう少し近づけば模様の詳細も分かりそうという距離で、不意に模様が消え、そして壁の向こう側、こちら側と同じように通路が続いている様子が映し出された。
模様の外周部分はそのままに、内側部分が全て透けて向こうが見える。確かにそのとおりだった。
「何だこれは、どうなっているんだ?」
手を伸ばすがさすがに触れる勇気は湧いてこない。手を入れてそれがどうなるのか分からないのだ。
「‥‥ポータルよ。これは壁抜け用のポータルだと思うわ」
そう言ったカリーナは顔を覆って震えていた。
「ポータルってのはあれだろ、小包だとか手紙だとかを送れるっていう」
王都と地方都市との連絡用として設置されている貴重な空間魔法の成果だった。
「でもあれって部屋一つ丸ごと使って小包一つとかいうのじゃない? 非効率的だって言われて普及していないっていう」
「そうよ、空間魔法の研究ではあれが限界で、そしてあれが限界だったせいで研究が止まったとまで言われているものよ。生きているものは入れないと言われているものよ。でもこの魔法陣の外周部分はあれとほぼ同じものだと思うわ。同じ理論で作られていると思う。ここにあって向こうに通路が見えているということは、本来は通路をつなげられない場所をこうやってつなげているのだと思うわ」
カリーナが少し早口になって言う。
もし本当にそうなら大発見なのだろうが、しかし通ることには抵抗があり、ふらふらと近づいていくカリーナを止めなければならなかった。
「まず何か投げ込んでみよう。それで少なくとも物が通るのかどうかは分かる」
そう言うとクリストは荷物にあった革袋を1つ取り出し向こう側へと投げ込んだ。革袋には何事もなく、向こう側の地面へと落ちる。
「変化はなさそうだな。よし、まず物はいい。ここまではまあ普通のポータルと同じってことでいいだろう。次は、そうだな、なあ、どこかに捕まえられるような魔物はいないか? あのコウモリみたいなやつでいいんだが」
「ああ、投げ込んでみるんだね?」
「そうだ、それで生きていても通れて、それで戻ってこれるかどうかが分かるだろう」
自分たちで試すよりも安全を優先だ。う回するのも一つの手だが、他の所にも同じ仕組みがあるかもしれないし、下り階段がこの先かもしれない。それに放っておけばカリーナが駆け込んでしまいそうなのでここは実験した方が良さそうだった。
「ここ、こっちに行くと前はブタみたいな魔物がいた部屋なんだけど、そこからこうぐるっと回ってみようか。どこかで見つかるかもしれないよ」
方針を決め、一度引き返す。後ろを振り返り続けるカリーナをなだめるのも一苦労だったが、それはもう仕方がない。またここに来るから試すからというしかないのだ。
手すりのある部屋へ戻り、そこから通路へ。丁字路を左へ進みすぐに右へ折れるとその先には部屋がある。
「ブタみたいなの1、臭いの2、あと羽音もするからたぶん当たり」
幸運なことにコウモリのような魔物もいそうだった。他の魔物も大したことはない。コウモリのような魔物を倒してしまわないように気をつけるだけだ。
エディとクリストがすぐさま突入してブタのような魔物をクリストが切り、エディが盾と斧で臭い魔物を殴り飛ばす。戦闘自体はこれでほぼ終了だ。
「メイジ・ハンド!」
待ってましたとばかりにカリーナが魔法の手でコウモリのような魔物をつかんだ。
「お、捕まえたな。そいつは足にでもロープを縛って袋に入れておいてくれ」
弱い魔物だ、下手にいじって死なせてしまっては元も子もない。成功に大喜びのカリーナが早速フリアの手助けを受けてその足にロープを結び、危険と思われるくちばし部分もひもで縛って袋に詰め込んだ。目的は達成されたのでここから引き返し、ポータルまで移動する。
慎重に袋から取り出したコウモリのような魔物は無事まだ生きていた。
焦るカリーナから引き取ったクリストがその胴体をつかみ、ポータルへと投げ込んだ。ロープにつながった魔物は投げ込まれた勢いのまま地面に落ちそうになりながら、必死に羽ばたいて体勢を整える。その行動はポータルを抜けてからも続いた。
「これ、向こう側に行っているわよね」
「たぶんな、逃げたそうだが、引っ張るぞ」
クリストがロープを引くと、羽ばたく力だけでは抗えずに魔物がこちらまで引き戻されてくる。ポータルを抜けてこちら側に戻っても必死に向こうへと逃げようと羽ばたいているところをみると、どうやら何事もなく無事のようだった。申し訳ないがこの魔物の役目はこれで終了だ。ナイフを差し込んで倒しておく。
「行くわよ」
宣言したカリーナがポータルをにらむと、そのまま駆けだしてしまった。
「あ、おい、」
そうなるだろうとは予想していたが、さすがにもう少し慎重に動いてほしかった。そのままポータルを駆け抜けたカリーナが後ろを振り返り、壁をぐるっと見渡す。恐らく向こう側のポータルを見ているのだろう。そして右手にはスタッフを握り、左手には拳を作って両手を上に突き上げる。にんまりとした表情からは今にも歓喜の声が聞こえてきそうだった。
「このダンジョンには空間魔法の未来があるわ」
カリーナが興奮を隠せないように言うその気持ちも分からなくはない。
空間魔法というものにはさまざまな可能性があり研究が行われてきたのだが、成果が少ないことでも知られているのだ。基本理念は完成しているというし研究はずっと続けられているというのに実現した要素は少ないのだ。研究を続けるだけの長い長い時間が経過し、その成果の少なさゆえに空間魔法はすっかり時代遅れの行き詰まった魔法扱いとなっていた。
そこにこれだ。完全な形で実現している場所と場所をつなぐ、しかも人が通ることのできるポータルだ。目の前にあるのは壁を抜けるだけの短距離だが、短距離があって長距離がないとは考えにくい。大体だ、短距離のポータルが実現しているということは夢物語だったショートテレポートもまた可能になるということなのではないだろうか。
夢が広がる。まさに空間魔法の未来がここにはあった。
あれも、これもとカリーナの口から荒唐無稽と言われ実現せずにいる魔法の数々が飛び出してくる。
「あまり興奮するなよ。まだ7階だぞ」
「ふぅ、分かってはいるのよ。でもねえ、これはさすがにすごいわよ。とてもすごいわよ。最高よ。失われたとかいうレベルじゃないわ。完全に私たちの上を行っているわよ」
とても楽しそうに上気した顔で言う姿を見るとうらやましくもなってくる。
「こうなるとさ、僕らも僕ら向きのものを見たくなるよね」
そうなるのだ。フェリクスから言えば力術系統の普通の攻撃魔法の変わり種だとか、変化球の魔法でも良い。あるいは武器や防具だ。風変わりな道具は出ているが武器防具などの装備品はほとんど出てきていない。
「まあな。とはいえ俺たち向きってなると危ないんだよな。あれだ、+1の剣と矢ってのが出ているだろう。+1があって2だ3だがないはずがない。それこそ+10だとかな、それ以上の数字が付いているものもだ。出せないんだと思うぜ。今まで出たものを考えるとな、魔法も使い方次第ってのはいろいろと出ているがダメージに直結するようなものがない。危ないからだろう」
強力な武器が宝箱から出たケースは今のところなかった。宝飾品のナイフはあったがあれは武器としては使えないものだろう。だが+1の矢が出ているのだから出せないわけではないのだろうと思える。武器だけではなく、盾や鎧だってそうだ。そうなると何か理由があるということになるが、それで思い当たるのは単純に探索の効率を考慮しているのではないかということだった。
強力な攻撃性能の魔法や武器を出してしまってダンジョンの難易度そのものが変わることを懸念しているのではないかということだ。今はまだ普通の武器防具魔法を使って探索してほしいのではないかと思えるのだ。
「なるほどね、そう考えると魔法が全部ひねりが効いているのも分かるよね」
「ああ、直接攻撃に使える魔法がないとは考えられないからな。恐らく出ないというのは出せないからだろう」
このダンジョンに探索のために入っている冒険者は自分たちだけだ。そのパーティーを10階へと案内している最中なのだ。難易度のバランスを崩すような装備を冒険者の側に持たせたくなくて出してこない、そう考えるのがもっとも納得の行く理由だった。
「話はこれくらいとして、なあ、これは鑑定できないのか?」
「ああ、そうね、そうよね。鑑定してみましょう。ポータルの鑑定ができるのか、それともダンジョンの壁って言われるかしらね」
鑑定結果はこうだ。
この魔法円と対になる魔法円との間をつなぐポータル。このポータルに入れば即座にもう1つの魔法円に移動できる。これは永続的な効果でありそのほかの魔法円に移動するように書き換えることは出来ない。またほかの魔法円からこの魔法円に移動するようにすることもできない。このポータルはあくまでも対になっている2つの魔法円の間だけで効果を発揮する。
「すごいわね。ほかの魔法円があるということも分かった。これは先が楽しみになるわね」
名残惜しむようなカリーナを引っ張ってポータルを離れ、再び通路を進み始める。
その通路はすぐ先で右に折れ、そこからはしばらく直進だった。
「何だろう、何だかわちゃわちゃしている声が聞こえる」
フリアの言う声に足を止め耳を澄ますと、確かに通路の先の方から話し声のような音が聞こえてきていた。
「そうだな、ここでもう聞こえるってのがおかしなもんだ。魔物同士でもめてんのは一度見たが、またか? 魔物の配置をミスってんじゃないのか」
冒険者に存在がばれているというのは魔物の側からすれば良いことではないだろう。もめている最中であれば不意打ちも食らいやすい。どう考えてももめる魔物を同じ場所に配置してしまったダンジョン側のミスであるように思えた。それとも魔物同士でももめることもあるというのを見せたかっただけなのか。
「ん、目の前に部屋。当然のようにまだもめてる。右にも別れ道があるけれど、こっちは少し先が部屋かな。扉があるね」
正面に見えている部屋の中に数体の魔物がいるが、これが言い争いをしているように見える。たまに手が出ている辺り確実に問題があるだろうと思われた。
そのうち2体は今までにも何度も見たブタのような魔物で、2体は臭い魔物。もう1体の見たことのない魔物は大きさは60センチほどと小さい。緑色をした人型で頭には角が生え、トゲのある尻尾を持っていた。その緑色の魔物が盛んにブタのような魔物に何か言っては頭をたたいたりつついたりと手を出している。ブタのような魔物もそれにいら立っているようで、手を払ったり緑色の魔物を突き飛ばそうとしたりだ。臭い魔物はわれ関せずでいたいのか後ろを向いてしまっているようだ。
これは不意打ちが可能、そう判断するとそのまま静かに近づく。
「ファイアー・ボルト!」
フェリクスとカリーナが同時に臭い魔物に対して炎の矢を放つ。
そしてエディとクリストがそれに続くように部屋に駆け込みブタのような魔物に迫り、斧のそして剣の攻撃を確実に当てていく。どの魔物も弱いことは分かっている。不意打ちが決まった時点で勝負は決まっていた。
残りは緑色の魔物、となったところでその魔物がすうっと透きとおるようにして姿を消していく。
「不可視化か!」
すぐに完全に見えなくなる。これはそのまま逃げようというのか、それとも何か仕掛けようというのか。だがそれをわざわざ待っている必要はない。
「ディテクト・イーヴル‥‥そこね!」
カリーナが魔物を感知する魔法を使い場所を特定すると、スタスタと近づいてスタッフを思い切り振り降ろした。
ボコリというたたく音がするとともに見えなくなっていた魔物が再び姿を現し、痛かったのだろう頭を押さえながら牙を剥いてカリーナに向かって何事かをほえた。だがほえたところで見えてしまえば単なる的だ。すぐ近くにいたフリアが珍しくナイフを振るってとどめを刺した。
「弱い」
スタッフで殴りナイフで切るだけで倒せるのだ。攻撃を担当したのはソーサラーとスカウトだ。直接の攻撃力など期待されないクラスだった。それがこれで簡単に倒せる魔物。それは7階にしては随分弱い魔物だろう。
「何かここにいた意味があるのかもしれんが、何も分からないうちに終わったな。まあいい、そんなもんだろう」
意図があるのかどうかを気にする必要はないだろう。もしかしたらホブゴブリンの隊長のように指揮を執るつもりだったのかもしれないが、しょせん魔物のすることで、どこまで理解できるかも分からないことなのだ。今はこの場にいた全ての魔物を倒しきった、それだけで十分だった。
部屋には宝箱もなく、見るべき所はなかった。通路は入ってきたところから正面へ抜けるものがあり、探索はそのまま正面へ進む形で再開される。そしてその通路の先は丁字路に突き当たっていた。
右へも左へもしばらくは通路が続くように見え、今回は右へ折れて進むことにする。するとその先で右側の壁に扉があり、その前まで行ったところでフリアが足を止め、後続を振り返った。
「当たりだと思う。水音がする」
その報告には何度も会っている。扉の前で水音、それはこれまでと同じパターンであれば階段室があるということと同じだった。
「鍵なし、罠なし、気配なし、水音あり。今までと全部同じ」
そうして扉を開けると部屋の中、扉から見て右側の奥には水場が、そして入り口から正面には下り階段があった。ここに8階への階段を発見したのだ。
しばらくは真っすぐな通路が続いていたが、その先は壁に突き当たっている。そしてその壁はいつもの行き止まりとは様子が違っていた。宝箱があるとかないとかではない、壁そのものが変わっていた。
「通路行き止まりっぽいんだけど、ほらこの先、壁に何か描いてある」
そう言われて見通した通路の先は確かに行き止まりのようではあったが、その突き当たった壁には扉のような大きさで上部が半円になるように模様が描かれていた。
「魔法陣ぽいわね? 何が描いてあるのかしら」
「見たことのない模様な気がするけれど、ここからだと分からないね」
魔法使い2人にもさすがに離れた場所からは暗すぎて判別できないようで、フリアが先行してそこへと近づく。そしてすぐに引き返してきたその表情は驚きが隠せなかった。
「‥‥何て言えばいいんだろう、あの模様の、外側部分ね描かれた模様、あれの内側の線があるよね? あそこから内側が全部透きとおって向こうが見えるの」
聞いても何を言っているのか分からない。いや、もちろん言っている意味は分かった。透きとおって向こうが見える。ガラスのようなものだろうか。だがここからでは内側にも模様が描かれているように見えるのだ。
「近寄ってみましょう」
そう言うとカリーナが真っ先に模様へ近づいていく。他の皆も慌ててそれに続いた。
すぐには模様は変わらなかった。だが、もう少し、もう少し近づけば模様の詳細も分かりそうという距離で、不意に模様が消え、そして壁の向こう側、こちら側と同じように通路が続いている様子が映し出された。
模様の外周部分はそのままに、内側部分が全て透けて向こうが見える。確かにそのとおりだった。
「何だこれは、どうなっているんだ?」
手を伸ばすがさすがに触れる勇気は湧いてこない。手を入れてそれがどうなるのか分からないのだ。
「‥‥ポータルよ。これは壁抜け用のポータルだと思うわ」
そう言ったカリーナは顔を覆って震えていた。
「ポータルってのはあれだろ、小包だとか手紙だとかを送れるっていう」
王都と地方都市との連絡用として設置されている貴重な空間魔法の成果だった。
「でもあれって部屋一つ丸ごと使って小包一つとかいうのじゃない? 非効率的だって言われて普及していないっていう」
「そうよ、空間魔法の研究ではあれが限界で、そしてあれが限界だったせいで研究が止まったとまで言われているものよ。生きているものは入れないと言われているものよ。でもこの魔法陣の外周部分はあれとほぼ同じものだと思うわ。同じ理論で作られていると思う。ここにあって向こうに通路が見えているということは、本来は通路をつなげられない場所をこうやってつなげているのだと思うわ」
カリーナが少し早口になって言う。
もし本当にそうなら大発見なのだろうが、しかし通ることには抵抗があり、ふらふらと近づいていくカリーナを止めなければならなかった。
「まず何か投げ込んでみよう。それで少なくとも物が通るのかどうかは分かる」
そう言うとクリストは荷物にあった革袋を1つ取り出し向こう側へと投げ込んだ。革袋には何事もなく、向こう側の地面へと落ちる。
「変化はなさそうだな。よし、まず物はいい。ここまではまあ普通のポータルと同じってことでいいだろう。次は、そうだな、なあ、どこかに捕まえられるような魔物はいないか? あのコウモリみたいなやつでいいんだが」
「ああ、投げ込んでみるんだね?」
「そうだ、それで生きていても通れて、それで戻ってこれるかどうかが分かるだろう」
自分たちで試すよりも安全を優先だ。う回するのも一つの手だが、他の所にも同じ仕組みがあるかもしれないし、下り階段がこの先かもしれない。それに放っておけばカリーナが駆け込んでしまいそうなのでここは実験した方が良さそうだった。
「ここ、こっちに行くと前はブタみたいな魔物がいた部屋なんだけど、そこからこうぐるっと回ってみようか。どこかで見つかるかもしれないよ」
方針を決め、一度引き返す。後ろを振り返り続けるカリーナをなだめるのも一苦労だったが、それはもう仕方がない。またここに来るから試すからというしかないのだ。
手すりのある部屋へ戻り、そこから通路へ。丁字路を左へ進みすぐに右へ折れるとその先には部屋がある。
「ブタみたいなの1、臭いの2、あと羽音もするからたぶん当たり」
幸運なことにコウモリのような魔物もいそうだった。他の魔物も大したことはない。コウモリのような魔物を倒してしまわないように気をつけるだけだ。
エディとクリストがすぐさま突入してブタのような魔物をクリストが切り、エディが盾と斧で臭い魔物を殴り飛ばす。戦闘自体はこれでほぼ終了だ。
「メイジ・ハンド!」
待ってましたとばかりにカリーナが魔法の手でコウモリのような魔物をつかんだ。
「お、捕まえたな。そいつは足にでもロープを縛って袋に入れておいてくれ」
弱い魔物だ、下手にいじって死なせてしまっては元も子もない。成功に大喜びのカリーナが早速フリアの手助けを受けてその足にロープを結び、危険と思われるくちばし部分もひもで縛って袋に詰め込んだ。目的は達成されたのでここから引き返し、ポータルまで移動する。
慎重に袋から取り出したコウモリのような魔物は無事まだ生きていた。
焦るカリーナから引き取ったクリストがその胴体をつかみ、ポータルへと投げ込んだ。ロープにつながった魔物は投げ込まれた勢いのまま地面に落ちそうになりながら、必死に羽ばたいて体勢を整える。その行動はポータルを抜けてからも続いた。
「これ、向こう側に行っているわよね」
「たぶんな、逃げたそうだが、引っ張るぞ」
クリストがロープを引くと、羽ばたく力だけでは抗えずに魔物がこちらまで引き戻されてくる。ポータルを抜けてこちら側に戻っても必死に向こうへと逃げようと羽ばたいているところをみると、どうやら何事もなく無事のようだった。申し訳ないがこの魔物の役目はこれで終了だ。ナイフを差し込んで倒しておく。
「行くわよ」
宣言したカリーナがポータルをにらむと、そのまま駆けだしてしまった。
「あ、おい、」
そうなるだろうとは予想していたが、さすがにもう少し慎重に動いてほしかった。そのままポータルを駆け抜けたカリーナが後ろを振り返り、壁をぐるっと見渡す。恐らく向こう側のポータルを見ているのだろう。そして右手にはスタッフを握り、左手には拳を作って両手を上に突き上げる。にんまりとした表情からは今にも歓喜の声が聞こえてきそうだった。
「このダンジョンには空間魔法の未来があるわ」
カリーナが興奮を隠せないように言うその気持ちも分からなくはない。
空間魔法というものにはさまざまな可能性があり研究が行われてきたのだが、成果が少ないことでも知られているのだ。基本理念は完成しているというし研究はずっと続けられているというのに実現した要素は少ないのだ。研究を続けるだけの長い長い時間が経過し、その成果の少なさゆえに空間魔法はすっかり時代遅れの行き詰まった魔法扱いとなっていた。
そこにこれだ。完全な形で実現している場所と場所をつなぐ、しかも人が通ることのできるポータルだ。目の前にあるのは壁を抜けるだけの短距離だが、短距離があって長距離がないとは考えにくい。大体だ、短距離のポータルが実現しているということは夢物語だったショートテレポートもまた可能になるということなのではないだろうか。
夢が広がる。まさに空間魔法の未来がここにはあった。
あれも、これもとカリーナの口から荒唐無稽と言われ実現せずにいる魔法の数々が飛び出してくる。
「あまり興奮するなよ。まだ7階だぞ」
「ふぅ、分かってはいるのよ。でもねえ、これはさすがにすごいわよ。とてもすごいわよ。最高よ。失われたとかいうレベルじゃないわ。完全に私たちの上を行っているわよ」
とても楽しそうに上気した顔で言う姿を見るとうらやましくもなってくる。
「こうなるとさ、僕らも僕ら向きのものを見たくなるよね」
そうなるのだ。フェリクスから言えば力術系統の普通の攻撃魔法の変わり種だとか、変化球の魔法でも良い。あるいは武器や防具だ。風変わりな道具は出ているが武器防具などの装備品はほとんど出てきていない。
「まあな。とはいえ俺たち向きってなると危ないんだよな。あれだ、+1の剣と矢ってのが出ているだろう。+1があって2だ3だがないはずがない。それこそ+10だとかな、それ以上の数字が付いているものもだ。出せないんだと思うぜ。今まで出たものを考えるとな、魔法も使い方次第ってのはいろいろと出ているがダメージに直結するようなものがない。危ないからだろう」
強力な武器が宝箱から出たケースは今のところなかった。宝飾品のナイフはあったがあれは武器としては使えないものだろう。だが+1の矢が出ているのだから出せないわけではないのだろうと思える。武器だけではなく、盾や鎧だってそうだ。そうなると何か理由があるということになるが、それで思い当たるのは単純に探索の効率を考慮しているのではないかということだった。
強力な攻撃性能の魔法や武器を出してしまってダンジョンの難易度そのものが変わることを懸念しているのではないかということだ。今はまだ普通の武器防具魔法を使って探索してほしいのではないかと思えるのだ。
「なるほどね、そう考えると魔法が全部ひねりが効いているのも分かるよね」
「ああ、直接攻撃に使える魔法がないとは考えられないからな。恐らく出ないというのは出せないからだろう」
このダンジョンに探索のために入っている冒険者は自分たちだけだ。そのパーティーを10階へと案内している最中なのだ。難易度のバランスを崩すような装備を冒険者の側に持たせたくなくて出してこない、そう考えるのがもっとも納得の行く理由だった。
「話はこれくらいとして、なあ、これは鑑定できないのか?」
「ああ、そうね、そうよね。鑑定してみましょう。ポータルの鑑定ができるのか、それともダンジョンの壁って言われるかしらね」
鑑定結果はこうだ。
この魔法円と対になる魔法円との間をつなぐポータル。このポータルに入れば即座にもう1つの魔法円に移動できる。これは永続的な効果でありそのほかの魔法円に移動するように書き換えることは出来ない。またほかの魔法円からこの魔法円に移動するようにすることもできない。このポータルはあくまでも対になっている2つの魔法円の間だけで効果を発揮する。
「すごいわね。ほかの魔法円があるということも分かった。これは先が楽しみになるわね」
名残惜しむようなカリーナを引っ張ってポータルを離れ、再び通路を進み始める。
その通路はすぐ先で右に折れ、そこからはしばらく直進だった。
「何だろう、何だかわちゃわちゃしている声が聞こえる」
フリアの言う声に足を止め耳を澄ますと、確かに通路の先の方から話し声のような音が聞こえてきていた。
「そうだな、ここでもう聞こえるってのがおかしなもんだ。魔物同士でもめてんのは一度見たが、またか? 魔物の配置をミスってんじゃないのか」
冒険者に存在がばれているというのは魔物の側からすれば良いことではないだろう。もめている最中であれば不意打ちも食らいやすい。どう考えてももめる魔物を同じ場所に配置してしまったダンジョン側のミスであるように思えた。それとも魔物同士でももめることもあるというのを見せたかっただけなのか。
「ん、目の前に部屋。当然のようにまだもめてる。右にも別れ道があるけれど、こっちは少し先が部屋かな。扉があるね」
正面に見えている部屋の中に数体の魔物がいるが、これが言い争いをしているように見える。たまに手が出ている辺り確実に問題があるだろうと思われた。
そのうち2体は今までにも何度も見たブタのような魔物で、2体は臭い魔物。もう1体の見たことのない魔物は大きさは60センチほどと小さい。緑色をした人型で頭には角が生え、トゲのある尻尾を持っていた。その緑色の魔物が盛んにブタのような魔物に何か言っては頭をたたいたりつついたりと手を出している。ブタのような魔物もそれにいら立っているようで、手を払ったり緑色の魔物を突き飛ばそうとしたりだ。臭い魔物はわれ関せずでいたいのか後ろを向いてしまっているようだ。
これは不意打ちが可能、そう判断するとそのまま静かに近づく。
「ファイアー・ボルト!」
フェリクスとカリーナが同時に臭い魔物に対して炎の矢を放つ。
そしてエディとクリストがそれに続くように部屋に駆け込みブタのような魔物に迫り、斧のそして剣の攻撃を確実に当てていく。どの魔物も弱いことは分かっている。不意打ちが決まった時点で勝負は決まっていた。
残りは緑色の魔物、となったところでその魔物がすうっと透きとおるようにして姿を消していく。
「不可視化か!」
すぐに完全に見えなくなる。これはそのまま逃げようというのか、それとも何か仕掛けようというのか。だがそれをわざわざ待っている必要はない。
「ディテクト・イーヴル‥‥そこね!」
カリーナが魔物を感知する魔法を使い場所を特定すると、スタスタと近づいてスタッフを思い切り振り降ろした。
ボコリというたたく音がするとともに見えなくなっていた魔物が再び姿を現し、痛かったのだろう頭を押さえながら牙を剥いてカリーナに向かって何事かをほえた。だがほえたところで見えてしまえば単なる的だ。すぐ近くにいたフリアが珍しくナイフを振るってとどめを刺した。
「弱い」
スタッフで殴りナイフで切るだけで倒せるのだ。攻撃を担当したのはソーサラーとスカウトだ。直接の攻撃力など期待されないクラスだった。それがこれで簡単に倒せる魔物。それは7階にしては随分弱い魔物だろう。
「何かここにいた意味があるのかもしれんが、何も分からないうちに終わったな。まあいい、そんなもんだろう」
意図があるのかどうかを気にする必要はないだろう。もしかしたらホブゴブリンの隊長のように指揮を執るつもりだったのかもしれないが、しょせん魔物のすることで、どこまで理解できるかも分からないことなのだ。今はこの場にいた全ての魔物を倒しきった、それだけで十分だった。
部屋には宝箱もなく、見るべき所はなかった。通路は入ってきたところから正面へ抜けるものがあり、探索はそのまま正面へ進む形で再開される。そしてその通路の先は丁字路に突き当たっていた。
右へも左へもしばらくは通路が続くように見え、今回は右へ折れて進むことにする。するとその先で右側の壁に扉があり、その前まで行ったところでフリアが足を止め、後続を振り返った。
「当たりだと思う。水音がする」
その報告には何度も会っている。扉の前で水音、それはこれまでと同じパターンであれば階段室があるということと同じだった。
「鍵なし、罠なし、気配なし、水音あり。今までと全部同じ」
そうして扉を開けると部屋の中、扉から見て右側の奥には水場が、そして入り口から正面には下り階段があった。ここに8階への階段を発見したのだ。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる