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045:地下7階7
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今回の探索の目標は8階だ。
地下7階から8階への階段室で大きな休憩を取ることを決め、それまでは7階の地図を埋める作業を行うことにする。その上で8階に下りて探索するのだ。
まずは7階を目指すことになるが、地下5階から6階、そして7階への行程はすでに慣れたもので、6階に下りて最初のエリアでは通路上のオーク1体を処理する可能性があるかどうか程度の危険しかなかった。
今回はこのオークを通路奥に発見したため、フリアがチラリと姿を見せて素早く後退することでオークを釣り出し、他のオークがいる場所からは引き離した上で倒した。これで増援の可能性は抑えられることが確認できたということでもあった。
その先は臭い魔物がいる可能性がなくはないが、どうもこの場所の臭い魔物に関しては毎回遠ざかる動きを見せている。想像よりも行動範囲が狭い可能性、またはこちらが通りたいルートに対しては関与しない範囲が行動領域になっている可能性があった。
7階に下りたならばまずは通路のオーク、それからルート上にはないが極めて近い部屋にいるオークの対処だ。
今回は階段下のオークに関しては2体がそろって右方向へ遠ざかる動きを見せていた。離れるのを待ち、これは見逃す。
左方向へ進む丁字路は差し掛かったところで次は右手の部屋にいるオーク。そして左方向の通路にいる臭い魔物だ。
フリアが通路の際から気配を探りそうっとのぞき込む。右を、左を。そして静かにというしぐさをすると左を指さし、そのまま左方向へと通路を進んでいった。クリストたちも左に寄って静かに行動を開始する。さすがに重装備のエディは音を消してというわけにはいかないが、それでも部屋のオークとは距離がある。よほど関心を引くような音を立てなければ離れることができるだろう。
この先の臭い魔物に関しては避けることは難しい。脇の通路に待避して通り過ぎるのを待つという手もあるにはあるが、あまり効率は良くないしそううまくいかないことも考えられた。強い魔物ではないのだ、倒して通った方がより安全だろう。
ピンクのコウモリのような魔物がセットで現れたこともあったが、今回は臭い魔物が2体だけのようだった。うろうろとさまようように歩いているところへエディとクリストが駆けつけそのまま殴り倒すだけだ。切ってしまうと臭いがきつくなるのでこのまま放置だ。
その先の分かれ道と扉は通り過ぎ、その次の分かれ道、左側に少し進んだところで部屋になるところでは部屋の中でブタのような魔物が2体座り込んでいるところが見て取れた。こちらに気がついてもいないようだった。
本当ならここはそのまま通り過ぎる予定だったが、あまりにも無防備な様子だったので倒していくことに決める。ここもエディとクリストが駆けつけて切り捨てるだけだ。この辺りに出る魔物は基本的に弱い物が多い。何かしらの意図はあるのかもしれないが、考えたところで結論が出るわけではないのだ。今は倒しやすいことをよしとしておく。
この部屋の先は刃の降りてくる部屋と未確認の通路だ。本来予定していたルートとは違ってしまうが、この未確認の通路から埋めることに決め、移動を再開する。
通路はしばらく続き、そしてまた壁抜け用のポータルへと行き着いた。恐らく前回見たものと同じ用途なのだろう。遠目には魔法陣に見え、そして近づくと向こう側が透けて見える。カリーナはここでも詳しく観察したそうにしていたが、今は先へ進まなければならない。そのままポータルを抜け通路を進む。
通路はしばらく続き、そして左への分かれ道を過ぎ、その先で左に扉。まだ通路は続いていたがその扉の前でフリアが水の音に気がついた。扉を開けると正面に下り階段。どうやら8階への階段室にたどり着いたようだった。
「地図はどうなった? あー、そうか、これで最短ルートができたと思っていいんだろうな」
「そうだね。他の分かれ道のことを考えてもたぶんこれが一番近いよ」
「よし、これでひとまずの目標は達成だな。次は見ていないところ、こことここの扉と、この先と、今の通路か。まずは近いところからだな」
少し引き返し、分かれ道へ入る。真っすぐにしばらく進んだ先で通路は右へ、その先で扉に行き着いた。
「鍵なし、罠なし、気配あり。何だろ、数は3体」
扉を調べたフリアが報告する。気配があって分からない魔物となると初めての遭遇ということになるだろうか。注意は必要だった。
エディが扉の前に立ち、その隣りにクリスト。フェリクスとカリーナは魔法の準備だ。
クリストが扉に手をかけ開け放つ。部屋の中には一見すると臭い魔物に似ているが、肉塊のようなぐちゃぐちゃとした塊に頭と胴体のような形をした魔物が2体。腕はあり足はない。肉塊がずるずるとはっている。口を開けどこかこちらでも天井でも壁でもない所を見てうごーというような音なのか声なのかを発していた。
もう1体はラットだった。1階の魔物だが確かに6階でもグールに食われてはいたが見ている。7階にいてもおかしくはないか。
「ラットの気配じゃないよ!」
フリアの忠告に気を引き締める。姿形を変える魔物というものはいるのだ。
「ファイアー・ボルト!」
それを聞いたフェリクスの魔法がラット目掛けて放たれる。ラットは飛び下がるようにして避けようとしたがその腰辺りに命中し炎を巻き上げた。
ラットは炎を振り払うように宙に浮き、そして形を変えていく。姿を現したのは赤い肌の人型の魔物だった。頭には小さな角、背にはコウモリのような翼を、そしてトゲのあるサソリのような尾を持っていた。
その魔物は壁際に下がるように移動しながらすうっと姿が透きとおっていく。この動き自体は見たことのあるものだった。
「ディテクト・イーヴル‥‥見えているわよ」
カリーナがスタッフで部屋の隅を指し、そのまま右へ指し示す先を動かして行く。
「そのまま頼む、エディ、こいつらを先に」
クリストはエディとともに肉塊のような魔物に迫り、動きの鈍いそれに剣で切りつけていく。やはりもろく弱い。頭を胴体を切り裂かれたその魔物はとろけた肉塊のように地面に崩れていった。
「近い、やるわよ。マジック・ウエポン! とりゃ!」
カリーナがスタッフに魔法をかけると見えない魔物に対して攻撃を仕掛ける。ボカッというなかなかにいい音をさせると、ギャーというような声が聞こえた。そしてそこにいると判断したフリアがナイフを投げ込むと、それが空間に突き刺さる。
見えなくなった時とは逆回しに姿が見えるようになっていく魔物はそのまま壁際で崩れるように地面に落ちた。
「よし、これでいいな。うまくやったじゃないか」
「まあね。それにしても昨日も今日も、急に私が殴る場面が出てきたわね」
このパーティーだと見えない魔物を察知するにはカリーナの魔法かフリアの感覚に頼ることになる。そしてカリーナの場合は感知魔法を使っている最中に攻撃魔法に切り替えることはさすがに難しい。今回は武器への魔法付与で即座に攻撃がうまく決まった。
「なあ、こいつはインプだよな」
エディが斧の柄で死体を指し示す。
「どれどれ、ああ、インプだね。下級の悪魔をこんなところで出してくるんだ」
「てことはだ、ここの見たことのない魔物はデビルかデーモンか、いずれにせよ悪魔の可能性があるってことだな」
7階から階段を下りて左へ進んだ先のこの辺りに関しては一部を除いて臭い魔物、ブタのような魔物、緑の人型、肉塊のような人型と見たことのないものが多かった。数が多い割には弱い魔物たちだったが、今回のインプで少し予想がついたと言っていいだろう。要するに悪魔の試用だ。ここで悪魔たちを試してきたのだ。
今までの魔物も1体2体と小出しにして試しておいてから後からまとめて、あるいは上位種と混ぜて使ってきた。それと同じパターンなのだろう。そうなると悪魔は今後、8階か9階か10階か、どこかで本格的に使いたいとダンジョンが考えているということだった。
インプを含む魔物の後始末を済ませたところで探索を再開する。この先は入ってきた所から見て正面に扉、左に通路だ。まずは通路の先を埋めるということでフリアが先行しようと動き出してすぐに止まった。
「どうした?」
「ね、床を見て。こう、左右からこすったような跡が付いている。あ、天井もだね。重い物をこすった跡」
「ああ、確かに。なあ、これはもうあれだろ、壁が動くんだろ」
一度下がってくる天井は見ている。今度は壁という予想は簡単についた。それにしてもわざわざ跡を付けて教えてくれるというのはどういうことなのか。
「気をつけろってダンジョンに教えてもらうのって変な感じ。こんな跡、つかないはずだよね?」
「跡は残さないだろうな。俺たちが散々床だ壁だを傷つけても次の時には直っている。それがここの床と天井だけが別ってことはないだろう。親切っていっていいのか?」
ダンジョンの復活する仕様からすれば不必要な要素だ。本当に罠にはめたいのならば、特にこういう狭まってくる壁という危険な罠にはめたいのであればこんなことはしない。どうやらダンジョンとしてはこういう罠があるということを見せたいだけなのだろう。
「とりあえず行ってみる」
「待って待って、そのままは危ないから、デイライトを向こうへ飛ばすわ」
カリーナが行こうとするフリアを止めると魔法を使って作り出した光球を通路の先へと放り投げた。ゆっくりと飛んでいく光球は通路を照らし、その先で部屋への入り口に達し、そしてその部屋の床へと落ちた。
「部屋になっていて、光に反応するようなものはなし。魔物もいないようね」
「ありがと、それじゃ行ってみる」
今度こそフリアが通路に踏み入ると、ズズと音がしてわずかに壁が動いたように見えた。そのままフリアは駆け出し、あっという間に通路を抜けて部屋へ到達する。壁はまだゆっくりと狭まってくる途中で、この程度であれば歩いても問題なく通過できそうな速度だった。
「ずいぶんゆっくりだな? こんなもんなのか?」
「見せたかっただけみたいだよね。これじゃ罠っていうほどの罠でもない。ほら、止まって戻っていく。通路にいないと狭まらないんだ。もうこれじゃ罠じゃないよ」
通路をゆっくり歩いていてようやくという程度の速度では何の意味もないように思える。罠としてはほとんど機能していないだろう。これもここでは試しということで今後本格的な運用を考えているのだろうか。
「そっちはどうだ?」
通路越しにフリアに声を掛ける。状況次第ではあるが、わざわざこの通路を通る必要があるのだろうか。
「宝箱発見、あとはなし、通路も扉もないよ。開けて戻るね」
通る必要はなかったようだ。
すぐにフリアが手にスクロールを持って戻ってきた。また動き出した壁だったが、わずかに狭まったところでフリアが通り抜けたため、すぐに元の場所へ戻っていく。
スクロールを受け取ったカリーナがそれを開いて中身を確認する。
「見たことのない魔法ね。どう?」
「僕も見たことがないなあ。これは扱いに困るね」
「私としては鑑定したいところだけど、さすがに保留ね」
ここは興味の引かれる魔法が出てくるので調べたいところではあったが、今回の探索では8階も調べる予定でいる。持ち込んだ鑑定のスクロールの数には限界があるのだ。ここは我慢だった。
インプのいた部屋から入ったのとは反対側の壁にあった扉から外へ出る。その先は通路で、すぐ先で丁字路になっていた。
「待って、右に気配。たぶんあの、悪魔たちのどれか」
「あーっと、待って、地図地図、えーとね、これってここが階段でしょ? それで今こう回ってきて、ね、ここじゃない?」
昨日壁抜けポータルを通ってきた通路の形状と一致していた。場所も手書きの地図だとどうしてもずれは生じるが、それでもほぼ一致する。
「なるほどね。そうなるとここが埋まるのか。よし、確認していこう。その悪魔のいる部屋の先が階段室前の通路だろう? そこまで行って確認、そこから左のこの通路だ」
方針を決め、通路を右へ。確かにすぐ先で部屋に行き着き、その室内には悪魔たちがうろうろと所在なげにうごめいていた。
緑の人型が2体と臭い魔物が2体だ。前回もめていたブタのような魔物は今回は外してきたようだった。
エディとクリストが武器を構え突入する。魔物たちの反応は鈍い。先手を取ったクリストが緑の人型の魔物に対して剣を振り抜き、エディは斧を同じく緑の人型の魔物に突き刺してそのまま持ち上げ壁へとたたきつける。
「ファイアー・ボルト!」
フェリクスとカリーナは臭い魔物に対して魔法攻撃だ。本当に悪魔であれば魔法に対して抵抗を持っているかもしれないが、しょせん臭い魔物は弱いのだ。1体はすぐに炎上して崩れ落ち、もう1体はうごうごと炎上しながらも動いていたが、そこへ投げ込まれたフリアのナイフが致命傷になったのか前のめりに倒れていった。
「よし。さすがに慣れたってのもあるが、ここはどうにも弱いやつが多いな」
「まあありがたいことだよ。強い魔物が増えるのは痛いからね」
この部屋はこれで終了。特に見るべき所はなく、部屋から出たところで丁字路に差し掛かり右へ行くと階段室前だということが確認できた。次は今の丁字路を逆側へ進む方向だ。その先はまもなく右へ折れ、その先で扉へと行き着いた。
「鍵あり、罠なし、気配なし、開けるよ」
フリアが解錠し、扉を開ける。その先は通路になっていて左へそして右へと折れている。
「気配あり。ていうか何かいっぱいいるような? 小さいのがいっぱいいる?」
慎重に前進したフリアが通路の先を確認する。
「いっぱいいた。ラットだと思う。部屋中にいるよ」
「ここでラットか? 意味がわからんな。フェリクス、ファイヤーボールで頼む」
「部屋中だとたぶんそれなりに漏れるよ、いい?」
「ああ、とにかく減らそう。それからだ」
通路から部屋が見通せる位置まで移動する。もうその段階でわさわさざわざわと部屋の中で何かがうごめいているのが分かった。
「ファイアーボール!」
フェリクスが火球を部屋の中央目掛けて投げ入れる。ゴウッという音と光が部屋中に広がり、その炎の渦に多くのラットが飲み込まれていくのが見えた。
キーキーという鳴き声、逃げ惑うラット。その中から2体、浮き上がるラットがいた。身にまとわりつく炎を振り払い、その姿が赤い人型に変わっていく。インプだった。
「ガイディング・ボルト!」
カリーナの魔法がそのインプ目掛けて飛び、その光に包まれたインプが墜落する。残るはラットが数体とインプが1体。
魔法の炎はすぐに消えた。そこへ待ち構えていたエディとクリストが駆け込む。インプが姿を隠そうと消え始めたところへフリアがナイフを投じ、腕を振ってそれを弾いたことによって時間が稼がれる。
エディが突き出した斧の先端がインプの翼を貫き、引っかかったところで手前に引く。
近づいてきたところをクリストが手早く首を切り落とした。これで残るはラットのみだ。適当に剣を振り、盾をぶち当てればそれで済む。部屋の隅に固まったり通路へと我先に逃げようとするところを捕まえて倒しきった。
「よーし、こんなもんか? こんなもんだな。よく分からん配置の仕方だったが、まあいいだろう」
相変わらず悪魔を出してくるにしても使い方がよく分からなかった。ラットはどう考えても脅威度が低すぎる。これがもう少し上層であれば効果は高いかもしれないが、今はもう7階だ。手持ちの魔法にも強力なものが多い状況ではあれではまとめて倒してくれと言っているようなものだった。
「宝箱があるよ」
フリアの声に部屋の中を見回すと、部屋の中央に宝箱があった。ここはファイアーボールがさく裂した場所だと思うが、ラットの群れの中に宝箱はあっただろうか。その後はインプの対処が優先されたため覚えていないが。
「さっきまではなかった気がする。たぶん最後のラットを倒した辺り? で出てきたような気がするよ」
「‥‥そういうパターンか。ゴーストの時もそうだったな。倒したところで宝箱。あまり見所のない戦闘だったような気がするが、ここはそういう部屋だったってことだな」
特別感の薄い戦闘ではあったが宝箱の出現の仕方は少し特別感があった。
「鍵あり、罠あり、うーん、ダーツ! 解除! 開けるよ」
解錠、そして覚えのあるダーツの罠を手早く解除し、フリアが蓋を開ける。
「でーん、これはいい物な予感!」
取り出したものを掲げる。それは確かに良さそうな物に見えた。
黒光りする細いワンドは先端近くにはガラスのように透き通った長円体が付いていた。
「あー、これも鑑定したくなるわね、あー、我慢よ我慢」
さすがに特別感のある宝箱からは良さそうな物が出てくる。先ほどのスクロールではないがこれも鑑定の候補として今は我慢の時だった。
部屋の先は通路に続き、それは左へ右へと折れて扉に行き着いた。扉には鍵がかかっておりこれをフリアが手早く解錠する。その先はしばらく真っすぐな通路が続いてそして部屋へたどり着いた。
「この部屋は見覚えがある。真ん中を通らないようにして」
「ああ、覚えがあるね、となると地図のここだね、ここへつながったと。うん。これで残りはここを右に行ったところの扉かな」
これで7階の地図はほぼ完成した。吹き抜けの向こう側に見えている場所には行くことができていないという点が気になったが今は仕方がないだろう。
部屋の隅を通るように注意して右側の通路へと進む。その先には確かに右の壁に扉があった。扉には鍵や罠もなく、気配もないということで開けて進む。
扉の先で通路が真っすぐに伸びていたが、その通路はまもなく行き止まりとなっていた。
そこには床から円柱状の岩のようなものが伸びていて、そして天井からも不格好ながら同じように円柱状と言っていい形の岩が下に向かって伸びていて、上の岩からは水滴がぽたりぽたりと落ちている。
「何だこれ?」
「さあ、上の岩を伝わって水滴が下の岩に落ちている。だけかな?」
「良く分からないな。まあいい、念のため少し持ち帰ろう」
革袋に水滴をためて持ち帰ることにした。これが何であるかはギルドに任せることになるだろう。
「よし、とにかくこれで7階は埋まったな。向こう側が気になるが今はどうしようもない。とにかく階段室へ行って休憩にしよう。完全に回復したら次は8階だ」
今通ってきたルートを戻り、階段室へ向かう。安全な室内でしっかりとした休憩を取って回復し、そうしたらいよいよ8階。洞窟の先を探索するのだ。
地下7階から8階への階段室で大きな休憩を取ることを決め、それまでは7階の地図を埋める作業を行うことにする。その上で8階に下りて探索するのだ。
まずは7階を目指すことになるが、地下5階から6階、そして7階への行程はすでに慣れたもので、6階に下りて最初のエリアでは通路上のオーク1体を処理する可能性があるかどうか程度の危険しかなかった。
今回はこのオークを通路奥に発見したため、フリアがチラリと姿を見せて素早く後退することでオークを釣り出し、他のオークがいる場所からは引き離した上で倒した。これで増援の可能性は抑えられることが確認できたということでもあった。
その先は臭い魔物がいる可能性がなくはないが、どうもこの場所の臭い魔物に関しては毎回遠ざかる動きを見せている。想像よりも行動範囲が狭い可能性、またはこちらが通りたいルートに対しては関与しない範囲が行動領域になっている可能性があった。
7階に下りたならばまずは通路のオーク、それからルート上にはないが極めて近い部屋にいるオークの対処だ。
今回は階段下のオークに関しては2体がそろって右方向へ遠ざかる動きを見せていた。離れるのを待ち、これは見逃す。
左方向へ進む丁字路は差し掛かったところで次は右手の部屋にいるオーク。そして左方向の通路にいる臭い魔物だ。
フリアが通路の際から気配を探りそうっとのぞき込む。右を、左を。そして静かにというしぐさをすると左を指さし、そのまま左方向へと通路を進んでいった。クリストたちも左に寄って静かに行動を開始する。さすがに重装備のエディは音を消してというわけにはいかないが、それでも部屋のオークとは距離がある。よほど関心を引くような音を立てなければ離れることができるだろう。
この先の臭い魔物に関しては避けることは難しい。脇の通路に待避して通り過ぎるのを待つという手もあるにはあるが、あまり効率は良くないしそううまくいかないことも考えられた。強い魔物ではないのだ、倒して通った方がより安全だろう。
ピンクのコウモリのような魔物がセットで現れたこともあったが、今回は臭い魔物が2体だけのようだった。うろうろとさまようように歩いているところへエディとクリストが駆けつけそのまま殴り倒すだけだ。切ってしまうと臭いがきつくなるのでこのまま放置だ。
その先の分かれ道と扉は通り過ぎ、その次の分かれ道、左側に少し進んだところで部屋になるところでは部屋の中でブタのような魔物が2体座り込んでいるところが見て取れた。こちらに気がついてもいないようだった。
本当ならここはそのまま通り過ぎる予定だったが、あまりにも無防備な様子だったので倒していくことに決める。ここもエディとクリストが駆けつけて切り捨てるだけだ。この辺りに出る魔物は基本的に弱い物が多い。何かしらの意図はあるのかもしれないが、考えたところで結論が出るわけではないのだ。今は倒しやすいことをよしとしておく。
この部屋の先は刃の降りてくる部屋と未確認の通路だ。本来予定していたルートとは違ってしまうが、この未確認の通路から埋めることに決め、移動を再開する。
通路はしばらく続き、そしてまた壁抜け用のポータルへと行き着いた。恐らく前回見たものと同じ用途なのだろう。遠目には魔法陣に見え、そして近づくと向こう側が透けて見える。カリーナはここでも詳しく観察したそうにしていたが、今は先へ進まなければならない。そのままポータルを抜け通路を進む。
通路はしばらく続き、そして左への分かれ道を過ぎ、その先で左に扉。まだ通路は続いていたがその扉の前でフリアが水の音に気がついた。扉を開けると正面に下り階段。どうやら8階への階段室にたどり着いたようだった。
「地図はどうなった? あー、そうか、これで最短ルートができたと思っていいんだろうな」
「そうだね。他の分かれ道のことを考えてもたぶんこれが一番近いよ」
「よし、これでひとまずの目標は達成だな。次は見ていないところ、こことここの扉と、この先と、今の通路か。まずは近いところからだな」
少し引き返し、分かれ道へ入る。真っすぐにしばらく進んだ先で通路は右へ、その先で扉に行き着いた。
「鍵なし、罠なし、気配あり。何だろ、数は3体」
扉を調べたフリアが報告する。気配があって分からない魔物となると初めての遭遇ということになるだろうか。注意は必要だった。
エディが扉の前に立ち、その隣りにクリスト。フェリクスとカリーナは魔法の準備だ。
クリストが扉に手をかけ開け放つ。部屋の中には一見すると臭い魔物に似ているが、肉塊のようなぐちゃぐちゃとした塊に頭と胴体のような形をした魔物が2体。腕はあり足はない。肉塊がずるずるとはっている。口を開けどこかこちらでも天井でも壁でもない所を見てうごーというような音なのか声なのかを発していた。
もう1体はラットだった。1階の魔物だが確かに6階でもグールに食われてはいたが見ている。7階にいてもおかしくはないか。
「ラットの気配じゃないよ!」
フリアの忠告に気を引き締める。姿形を変える魔物というものはいるのだ。
「ファイアー・ボルト!」
それを聞いたフェリクスの魔法がラット目掛けて放たれる。ラットは飛び下がるようにして避けようとしたがその腰辺りに命中し炎を巻き上げた。
ラットは炎を振り払うように宙に浮き、そして形を変えていく。姿を現したのは赤い肌の人型の魔物だった。頭には小さな角、背にはコウモリのような翼を、そしてトゲのあるサソリのような尾を持っていた。
その魔物は壁際に下がるように移動しながらすうっと姿が透きとおっていく。この動き自体は見たことのあるものだった。
「ディテクト・イーヴル‥‥見えているわよ」
カリーナがスタッフで部屋の隅を指し、そのまま右へ指し示す先を動かして行く。
「そのまま頼む、エディ、こいつらを先に」
クリストはエディとともに肉塊のような魔物に迫り、動きの鈍いそれに剣で切りつけていく。やはりもろく弱い。頭を胴体を切り裂かれたその魔物はとろけた肉塊のように地面に崩れていった。
「近い、やるわよ。マジック・ウエポン! とりゃ!」
カリーナがスタッフに魔法をかけると見えない魔物に対して攻撃を仕掛ける。ボカッというなかなかにいい音をさせると、ギャーというような声が聞こえた。そしてそこにいると判断したフリアがナイフを投げ込むと、それが空間に突き刺さる。
見えなくなった時とは逆回しに姿が見えるようになっていく魔物はそのまま壁際で崩れるように地面に落ちた。
「よし、これでいいな。うまくやったじゃないか」
「まあね。それにしても昨日も今日も、急に私が殴る場面が出てきたわね」
このパーティーだと見えない魔物を察知するにはカリーナの魔法かフリアの感覚に頼ることになる。そしてカリーナの場合は感知魔法を使っている最中に攻撃魔法に切り替えることはさすがに難しい。今回は武器への魔法付与で即座に攻撃がうまく決まった。
「なあ、こいつはインプだよな」
エディが斧の柄で死体を指し示す。
「どれどれ、ああ、インプだね。下級の悪魔をこんなところで出してくるんだ」
「てことはだ、ここの見たことのない魔物はデビルかデーモンか、いずれにせよ悪魔の可能性があるってことだな」
7階から階段を下りて左へ進んだ先のこの辺りに関しては一部を除いて臭い魔物、ブタのような魔物、緑の人型、肉塊のような人型と見たことのないものが多かった。数が多い割には弱い魔物たちだったが、今回のインプで少し予想がついたと言っていいだろう。要するに悪魔の試用だ。ここで悪魔たちを試してきたのだ。
今までの魔物も1体2体と小出しにして試しておいてから後からまとめて、あるいは上位種と混ぜて使ってきた。それと同じパターンなのだろう。そうなると悪魔は今後、8階か9階か10階か、どこかで本格的に使いたいとダンジョンが考えているということだった。
インプを含む魔物の後始末を済ませたところで探索を再開する。この先は入ってきた所から見て正面に扉、左に通路だ。まずは通路の先を埋めるということでフリアが先行しようと動き出してすぐに止まった。
「どうした?」
「ね、床を見て。こう、左右からこすったような跡が付いている。あ、天井もだね。重い物をこすった跡」
「ああ、確かに。なあ、これはもうあれだろ、壁が動くんだろ」
一度下がってくる天井は見ている。今度は壁という予想は簡単についた。それにしてもわざわざ跡を付けて教えてくれるというのはどういうことなのか。
「気をつけろってダンジョンに教えてもらうのって変な感じ。こんな跡、つかないはずだよね?」
「跡は残さないだろうな。俺たちが散々床だ壁だを傷つけても次の時には直っている。それがここの床と天井だけが別ってことはないだろう。親切っていっていいのか?」
ダンジョンの復活する仕様からすれば不必要な要素だ。本当に罠にはめたいのならば、特にこういう狭まってくる壁という危険な罠にはめたいのであればこんなことはしない。どうやらダンジョンとしてはこういう罠があるということを見せたいだけなのだろう。
「とりあえず行ってみる」
「待って待って、そのままは危ないから、デイライトを向こうへ飛ばすわ」
カリーナが行こうとするフリアを止めると魔法を使って作り出した光球を通路の先へと放り投げた。ゆっくりと飛んでいく光球は通路を照らし、その先で部屋への入り口に達し、そしてその部屋の床へと落ちた。
「部屋になっていて、光に反応するようなものはなし。魔物もいないようね」
「ありがと、それじゃ行ってみる」
今度こそフリアが通路に踏み入ると、ズズと音がしてわずかに壁が動いたように見えた。そのままフリアは駆け出し、あっという間に通路を抜けて部屋へ到達する。壁はまだゆっくりと狭まってくる途中で、この程度であれば歩いても問題なく通過できそうな速度だった。
「ずいぶんゆっくりだな? こんなもんなのか?」
「見せたかっただけみたいだよね。これじゃ罠っていうほどの罠でもない。ほら、止まって戻っていく。通路にいないと狭まらないんだ。もうこれじゃ罠じゃないよ」
通路をゆっくり歩いていてようやくという程度の速度では何の意味もないように思える。罠としてはほとんど機能していないだろう。これもここでは試しということで今後本格的な運用を考えているのだろうか。
「そっちはどうだ?」
通路越しにフリアに声を掛ける。状況次第ではあるが、わざわざこの通路を通る必要があるのだろうか。
「宝箱発見、あとはなし、通路も扉もないよ。開けて戻るね」
通る必要はなかったようだ。
すぐにフリアが手にスクロールを持って戻ってきた。また動き出した壁だったが、わずかに狭まったところでフリアが通り抜けたため、すぐに元の場所へ戻っていく。
スクロールを受け取ったカリーナがそれを開いて中身を確認する。
「見たことのない魔法ね。どう?」
「僕も見たことがないなあ。これは扱いに困るね」
「私としては鑑定したいところだけど、さすがに保留ね」
ここは興味の引かれる魔法が出てくるので調べたいところではあったが、今回の探索では8階も調べる予定でいる。持ち込んだ鑑定のスクロールの数には限界があるのだ。ここは我慢だった。
インプのいた部屋から入ったのとは反対側の壁にあった扉から外へ出る。その先は通路で、すぐ先で丁字路になっていた。
「待って、右に気配。たぶんあの、悪魔たちのどれか」
「あーっと、待って、地図地図、えーとね、これってここが階段でしょ? それで今こう回ってきて、ね、ここじゃない?」
昨日壁抜けポータルを通ってきた通路の形状と一致していた。場所も手書きの地図だとどうしてもずれは生じるが、それでもほぼ一致する。
「なるほどね。そうなるとここが埋まるのか。よし、確認していこう。その悪魔のいる部屋の先が階段室前の通路だろう? そこまで行って確認、そこから左のこの通路だ」
方針を決め、通路を右へ。確かにすぐ先で部屋に行き着き、その室内には悪魔たちがうろうろと所在なげにうごめいていた。
緑の人型が2体と臭い魔物が2体だ。前回もめていたブタのような魔物は今回は外してきたようだった。
エディとクリストが武器を構え突入する。魔物たちの反応は鈍い。先手を取ったクリストが緑の人型の魔物に対して剣を振り抜き、エディは斧を同じく緑の人型の魔物に突き刺してそのまま持ち上げ壁へとたたきつける。
「ファイアー・ボルト!」
フェリクスとカリーナは臭い魔物に対して魔法攻撃だ。本当に悪魔であれば魔法に対して抵抗を持っているかもしれないが、しょせん臭い魔物は弱いのだ。1体はすぐに炎上して崩れ落ち、もう1体はうごうごと炎上しながらも動いていたが、そこへ投げ込まれたフリアのナイフが致命傷になったのか前のめりに倒れていった。
「よし。さすがに慣れたってのもあるが、ここはどうにも弱いやつが多いな」
「まあありがたいことだよ。強い魔物が増えるのは痛いからね」
この部屋はこれで終了。特に見るべき所はなく、部屋から出たところで丁字路に差し掛かり右へ行くと階段室前だということが確認できた。次は今の丁字路を逆側へ進む方向だ。その先はまもなく右へ折れ、その先で扉へと行き着いた。
「鍵あり、罠なし、気配なし、開けるよ」
フリアが解錠し、扉を開ける。その先は通路になっていて左へそして右へと折れている。
「気配あり。ていうか何かいっぱいいるような? 小さいのがいっぱいいる?」
慎重に前進したフリアが通路の先を確認する。
「いっぱいいた。ラットだと思う。部屋中にいるよ」
「ここでラットか? 意味がわからんな。フェリクス、ファイヤーボールで頼む」
「部屋中だとたぶんそれなりに漏れるよ、いい?」
「ああ、とにかく減らそう。それからだ」
通路から部屋が見通せる位置まで移動する。もうその段階でわさわさざわざわと部屋の中で何かがうごめいているのが分かった。
「ファイアーボール!」
フェリクスが火球を部屋の中央目掛けて投げ入れる。ゴウッという音と光が部屋中に広がり、その炎の渦に多くのラットが飲み込まれていくのが見えた。
キーキーという鳴き声、逃げ惑うラット。その中から2体、浮き上がるラットがいた。身にまとわりつく炎を振り払い、その姿が赤い人型に変わっていく。インプだった。
「ガイディング・ボルト!」
カリーナの魔法がそのインプ目掛けて飛び、その光に包まれたインプが墜落する。残るはラットが数体とインプが1体。
魔法の炎はすぐに消えた。そこへ待ち構えていたエディとクリストが駆け込む。インプが姿を隠そうと消え始めたところへフリアがナイフを投じ、腕を振ってそれを弾いたことによって時間が稼がれる。
エディが突き出した斧の先端がインプの翼を貫き、引っかかったところで手前に引く。
近づいてきたところをクリストが手早く首を切り落とした。これで残るはラットのみだ。適当に剣を振り、盾をぶち当てればそれで済む。部屋の隅に固まったり通路へと我先に逃げようとするところを捕まえて倒しきった。
「よーし、こんなもんか? こんなもんだな。よく分からん配置の仕方だったが、まあいいだろう」
相変わらず悪魔を出してくるにしても使い方がよく分からなかった。ラットはどう考えても脅威度が低すぎる。これがもう少し上層であれば効果は高いかもしれないが、今はもう7階だ。手持ちの魔法にも強力なものが多い状況ではあれではまとめて倒してくれと言っているようなものだった。
「宝箱があるよ」
フリアの声に部屋の中を見回すと、部屋の中央に宝箱があった。ここはファイアーボールがさく裂した場所だと思うが、ラットの群れの中に宝箱はあっただろうか。その後はインプの対処が優先されたため覚えていないが。
「さっきまではなかった気がする。たぶん最後のラットを倒した辺り? で出てきたような気がするよ」
「‥‥そういうパターンか。ゴーストの時もそうだったな。倒したところで宝箱。あまり見所のない戦闘だったような気がするが、ここはそういう部屋だったってことだな」
特別感の薄い戦闘ではあったが宝箱の出現の仕方は少し特別感があった。
「鍵あり、罠あり、うーん、ダーツ! 解除! 開けるよ」
解錠、そして覚えのあるダーツの罠を手早く解除し、フリアが蓋を開ける。
「でーん、これはいい物な予感!」
取り出したものを掲げる。それは確かに良さそうな物に見えた。
黒光りする細いワンドは先端近くにはガラスのように透き通った長円体が付いていた。
「あー、これも鑑定したくなるわね、あー、我慢よ我慢」
さすがに特別感のある宝箱からは良さそうな物が出てくる。先ほどのスクロールではないがこれも鑑定の候補として今は我慢の時だった。
部屋の先は通路に続き、それは左へ右へと折れて扉に行き着いた。扉には鍵がかかっておりこれをフリアが手早く解錠する。その先はしばらく真っすぐな通路が続いてそして部屋へたどり着いた。
「この部屋は見覚えがある。真ん中を通らないようにして」
「ああ、覚えがあるね、となると地図のここだね、ここへつながったと。うん。これで残りはここを右に行ったところの扉かな」
これで7階の地図はほぼ完成した。吹き抜けの向こう側に見えている場所には行くことができていないという点が気になったが今は仕方がないだろう。
部屋の隅を通るように注意して右側の通路へと進む。その先には確かに右の壁に扉があった。扉には鍵や罠もなく、気配もないということで開けて進む。
扉の先で通路が真っすぐに伸びていたが、その通路はまもなく行き止まりとなっていた。
そこには床から円柱状の岩のようなものが伸びていて、そして天井からも不格好ながら同じように円柱状と言っていい形の岩が下に向かって伸びていて、上の岩からは水滴がぽたりぽたりと落ちている。
「何だこれ?」
「さあ、上の岩を伝わって水滴が下の岩に落ちている。だけかな?」
「良く分からないな。まあいい、念のため少し持ち帰ろう」
革袋に水滴をためて持ち帰ることにした。これが何であるかはギルドに任せることになるだろう。
「よし、とにかくこれで7階は埋まったな。向こう側が気になるが今はどうしようもない。とにかく階段室へ行って休憩にしよう。完全に回復したら次は8階だ」
今通ってきたルートを戻り、階段室へ向かう。安全な室内でしっかりとした休憩を取って回復し、そうしたらいよいよ8階。洞窟の先を探索するのだ。
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