ダンジョン・エクスプローラー

或日

文字の大きさ
61 / 94

061:地下9階2

しおりを挟む
 9階下層、階段を下りた先はいつもどおりの部屋になっていて正面と左に通路がある。変わっている点があるとすれば石組みがすべて正方のマス目になっていることか。壁も縦に真っすぐその正方のマス目の延長に切り込みが入っていて横には一本もない。雰囲気は多少変わったがそれ以外に違いは見当たらず演出の延長のようにも見えた。
 正面から調べ始めることを決め、そちらへと進む。だがフリアが先行してその通路へと踏み入ったところで、どこかでガタンという大きな音がした。場所としてはどこか遠くといっていいだろう。周囲を見渡しても変化は見当たらない。やはり何かしらの仕掛けがあるのだろうと想像された。
 通路の先は丁字路になっていてそこまでフリアが進むとまたどこかでガタンと音がする。今回は比較的近いが周囲に変化はない。
 右はすぐ先で左へと折れ、左は少し先でまた丁字路になっている。ここは右へと決めてそちらにフリアが移動するとまたガタンという音。今度は近い、そう思って周囲を見渡してみると変化があった。左は少し先でまた丁字路、そう見ていた丁字路のちょうど交差点になるはずの場所が壁で埋まっていたのだ。
「え、待って待って、もしかしてさっきからしていた音ってここの地形が変わる音だったの?」
「マジか、そうなると固まって動かないと分断される危険があるってことか? 戦闘中とかそこまで気にできないぞ、大丈夫なのか?」
「地図を書き始めたところなんだけど、いきなり意味が分からなくなったね、どうすればいいんだろう」
 地形変化の迷宮、そういうことだろうと意味は分かるのだが、問題があった。フリアが先行することの危険性、戦闘中の立ち位置の危険性、そして地図は意味をなさないということだ。いくらなんでも今立っている場所が動くということはないと思いたいが、その保証はない。少なくとも離れて移動することは避けようということでフリアと後続の距離を詰めて先に進む。地図は書いていくが変わっていくことはどうしようもない、戦闘中も極力離れないように注意はするということになった。
 左に曲がり、少し先でまた左に曲がる。この間にも3回ガタンという音が遠くで聞こえたのでどこかが動きはしたのだろう。前方もう少し先の方で右に分かれ道が見えていて、その先は左に折れている。本来ならばその先はスタート地点近くの見えていた丁字路になるのだろう。その分かれ道の手前で足を止めたフリアが警戒する。
「たぶん左に魔物。結構大きい予感。数は1」
「ここで初だな。さーて、このエリアの魔物は何なのか見させてもらおう」
 戦闘態勢を整えて魔物の出現を待つ。ブシューという鼻息のような音が聞こえる。曲がり角の向こうから大型の人のような影が伸びてくる。手には斧のようなものを持っているのが影で分かる。のし、のし、というゆったりとした動きで姿を現したのはひづめを持った太い足、分厚い毛皮に覆われた頑健な体、両手でにぎる巨大な斧、そして2本の太い角を持った牛の頭部を持つ魔物。ミノタウロスだ。
「マジック・ミサイル!」
「ファイアー・ボルト!」
 ダメージの蓄積を目的にした魔法が飛ぶ。エディとクリストは地形変化を警戒して突撃はしない。
 魔法攻撃を受けたミノタウロスが足を一度地面に打ちつけると、そこから一気に加速して突っ込んできた。こちらが突撃してこないならば自分がというつもりか、その巨体をエディとクリストの間へとねじ込ませるように突っ込むと、そこから巨大な斧を振り回し、2人を離す。
 エディがまた一歩進んで間合いに入ろうとするがミノタウロスは左手一本で斧を振りそれを盾に打ち据えることで間合いを保つ。クリストも踏み込んで攻撃をしかけるが、拳をにぎって振られた右手を切りつけたものの、分厚い毛皮のせいか思ったようなダメージにはならない。
「ウェブ!」
 とにかくこれ以上の接近を許すわけにはいかない。カリーナが移動を困難にするための魔法を使い、ミノタウロスがクモの巣に捕らわれる。フェリクスは継続してダメージを稼ぎつつ行動を阻害しようとフロストバイトを使用する。
「たたみかけろ!」
 クリストが強引に距離を詰めて剣を振り回し、エディも斧を腰だめにして突撃する。後衛の方を見る形でウェブにつかまったミノタウロスはそれに対応しきれずダメージが蓄積されていき、次第に動きが悪くなっていった。どうにか左手で振り回す斧の一撃をエディに加えることはできたものの押し切れるほどの威力は出せず、さらにフェリクスとカリーナの魔法、クリストの攻撃と続けて受けたことで地面へと崩れ落ちていった。
「よし、何とかなったな。とはいえやりにくい、どうしても立ち位置が気になってうまく動けないな」
「すぐ後ろに石組みの線が見えてしまって駄目だね、下がるに下がれないから怖いよ」
「もう最初っからウェブ頼みにすれば良かったかもしれないわね。とはいえこの先どれくらい数が出てくるか分からないし、困るわ」
「しかもこのタイミングでフリアに警戒に出てもらうわけにもいかないんだよな。これは考えていたよりもきついぜ」
 地形が変わるという一点だけでこれだった。味方を分断するような地形の変化はないかもしれないという楽観的な予想では動けないのだ。その予想で動いて分断されたところへミノタウロスに突っ込まれては終わりだ。ミノタウロスの防御を抜けないという判断で参戦しなかったフリアがこの一息ついている間に先行するということもできないのだ。

 後始末を終えたところで移動を再開。分かれ道に入りその先の丁字路は右、そしてすぐに左に折れしばらく進む。途中の右への分かれ道を通り過ぎ、左への分かれ道も通り過ぎたところで止まる。その先で通路は右へ折れているのだが、その先にすでにちらりと影が見えていた。大きさは先ほどのミノタウロスとほぼ同じだ。
「釣り出してウェブではめるか?」
「そうだな。カリーナはしばらくウェブを常に使えるようにしていてもらった方がいいだろう。捕まえてしまえばあとは俺たちでダメージを稼ぐ」
「分かったわ。それじゃあ、そこの場所にウェブをはるわね」
 方針を決めるとエディが先頭に立ち、曲がり角の先の壁に斧をたたきつけ、その音でミノタウロスを誘い出した。動き出した影が近づいてくる。その動きに合わせてカリーナが目の前のスペースを埋めるようにしてウェブをはる。そしてその網の中へ突入するようにミノタウロスが姿を現したのだが。
「なっ! こいつスケルトンか!」
 現れたミノタウロスに肉はなく、骨だけだった。カタカタと骨組みを揺らしながら斧を構え、ウェブの中へと突入してくる。
「フロストバイト!」
 先制はフェリクスの魔法、そしてクモの網に捕らわれて動きが止まったところをエディが正面から盾で殴りつけ、クリストも脇から剣を寝かせて殴りつける。ミノタウロスは強引に前へ出て斧を振り回すがウェブから逃れるというところまではいかず動きは限定されている。斧の攻撃はエディが受け止め、クリストは離れては接近してを繰り返す。今回は先ほどよりも手間取ることもなく撃破することに成功した。
「こいつはミノタウロス・スケルトンってことでいいのか。さっきのやつよりは弱かったな?」
「そうだな。防御も体力も低い印象だ。これならウェブはいらなかったかもしれないな」
「ウェブだって使い放題っていうわけにはいかないし、できれば見てから使いたいわね。地形変化がなければ平気なんでしょうけど」
「動くたびにどこかが変わってんだよなあ。面倒だな」
 せめてスケルトンかどうかが事前に分かるような状況であればいいのだが、それを期待できるかどうか。

 後始末をすませ移動を再開。右へ曲がり、左へ曲がり、真っすぐに進み、左へ曲がりまた左へ曲がり、右へ曲がり。丁字路に到達し、奥へ向かえるだろう右へ曲がるとすぐ先でまた左へと曲がる。その先はしばらく直進で、突き当たりで左へ曲がっているのが見え、そこにゆっくりと進んでくるミノタウロスだろう影があった。
「これはいい位置だな。来るのを待とう。カリーナ、ウェブの準備を」
 戦闘態勢を整えてミノタウロスの出現を待つ。ゆっくりと現れるのはミノタウロスかそれともスケルトンか。それ次第でウェブを使うかどうかも決まる。曲がり角から登場したのははたして肉体を持ったミノタウロスだった。こちらをちらりと見ると斧を両手で構え、直線上へと全身を現すと、身をかがめ左肩を前に出すようにして突撃の体勢をとる。
「ウェブ!」
 エディとクリストの前にクモの巣のような網がかけられる。ちょうどそのタイミングで突撃してきたミノタウロスがその網に捕まり、そのまま突っ込んでこようと一歩二歩と出るがそこで止まってしまった。
「よし!」
 こうなってしまえばあとはダメージを積み上げるのみ。エディも斧に力を込めて打ち込み、クリストも剣を振るう。フェリクスも確実にダメージを稼ぐためにマジック・ミサイルをまとめて命中させた。
 この攻撃にほえたミノタウロスは前に出てこようという動きを止め、手に持っていた斧を網の隙間から腕を伸ばし前方へと投げつけてきた。動きが制限されているとはいえ十分な威力で飛んできたそれはフェリクスをかすめるようにして後ろへと飛んでいく。命中しなかったことは単に幸運だったというべきだろう。だが武器を失ったミノタウロスはあとは的になるだけだった。
「ふぅ。なんとかはなるんだが、いちいち怖いんだよな」
「こっちもうかつに動けないからね。今のはかなり危なかったよ」
 それでもこれでミノタウロスは撃破だ。このまま大きなダメージを受けることなく探索を終えられると良いのだが。

 探索を再開し、そこから左へ曲がり右へ曲がり、右への分かれ道を選んで進んでいくと通路は行き止まりにたどり着いた。
「わー、ここでもちゃんと宝箱はあるんだね」
 その行き止まりにはいつものように宝箱が鎮座していた。鍵もなく、罠もなく、安心して箱を開けたフリアが中から革袋を一つ取り上げる。
「ん、これはお金な予感。この量だと、もしかしたら私たちお金持ちになれるかも」
「かなりの量じゃないか? 金貨か銀貨か、どうだ?」
「うーん、残念、銀貨だった。あ、しかも模様が違う。えー、これはどこで使えるんだろう」
「マジか、マジだな。違う模様だ。とはいえ銀貨でもこの枚数だと100か200か。銀貨で100枚もあれば地上ならどうだ、2週間くらいの生活費になるのか?」
「そうだね、それくらいじゃないかな。もし下で使えるのなら、同じくらいの貨幣価値なら、やっぱりそれくらいこれでどうにかなるっていうことだね」
「もうこれはあれよね、生活費にしろっていうことなんじゃない?」
「俺たちはダンジョンに生活費を融通してもらってんのか? それはさすがにどうなんだと思わないでもないが、だがこれはありがたいな。ここまでの貨幣は全部ギルドに渡してある。これが下でも使えるとなればかなりありがたい話だ」
 いちいち地下世界のものだろう品を出してくるダンジョンのことだ、あり得そうな話ではあった。

 探索を再開し進み始めたところで近いところからガタンという音が聞こえた。そのまま通路を引き返していくと先ほどまでは右へ進めるはずだった場所が壁で埋まっている。ここはよしとして左へ曲がると、また近くでガタンという音が聞こえた。通路を進み右へ曲がる。その先は直進して丁字路になるはずだったのだが、そこが壁で埋まり、代わりに左側の埋まっていた壁が消えて通れるようになっていた。奥へ向かうには好都合とそちらへ入ると、今度は遠いところで、また次は近いところで音がする。突き当たりの丁字路を右へ進むと左へ折れて行き止まり。引き返してもう1つの方向へ進むとしばらく先で通路は右へ折れ、そしてその先は広い部屋が待っていた。
「待って、この部屋、たぶんボス部屋だよ。ほら、奥」
 離れすぎないように少しだけ前を進んでいたフリアが止まり、部屋の中が見とおせるという位置で止まって指さした。その先、部屋の奥の方には床にあぐらをかいて座るミノタウロスがいた。
「でかいな。今までのやつよりも一回りはでかい。で、床に線が入っていないな。これはここは安心していいってことなのか」
「どうみてもここのボスでしょ。どうする? ここから狙ってみる?」
「よし、ブレスをくれ、分断の危険がないのなら安心、俺たちは突っ込む。2人はこの辺から狙ってくれ。まあどう見てもこれまでのボスよりは明らかに強そうだからな。やばそうなら支援に切り替えてくれ」
「魔法がどの程度通るかだよね。これでこの先もだいたい予想できるようになってくる。頑張ってみようか」
 今までのボスとみたてた魔物はそのフロアで一番格上ではあったが、そこまで突き抜けて強いというわけではなかった。だがこのミノタウロスは違うだろうと簡単に予想できる。そしてこのミノタウロスと戦ってみれば、隣のハーピーのエリアのボスの程度も分かるということだ。ここは全力でやってみるべきだろう。
 カリーナがブレスを前衛3人にかける。そして後衛2人は念のためのメイジ・アーマ-とシールドも準備。さあ戦闘の開始だ。
 エディとクリストが武器を構えて室内へと踏み込む。それをちらりと見たミノタウロスがゆっくりと斧の柄を立ててそれを支えに立ち上がる。フェリクスとカリーナはその途中に割り込むようにして魔法を放っていく。
「ライトニング・ボルト!」
「スロー!」
 大ダメージ狙いの攻撃魔法と行動を阻害する魔法だ。
「! やだ、耐えたわよ!」
 ミノタウロスは立ち上がりながら腕を振ってライトニング・ボルトを払いのけるように受ける。ダメージはどこまで入ったのか。そしてカリーナの反応からしてスローは効果がなかったのか。やはりこのミノタウロスは違う。
 迫り来る2人に対しては踏み込んで斧の柄を振ってクリストの接近に割り込み、剣の攻撃をそのままそらす。目の前から相手がずれてしまったエディはそこから盾を振るがそれを振り上げた斧の石突きを器用に使って打ち合う形に持っていき防ぐと、そのまま持ち手をずらすようにして斧をクリスト目掛けて突き出して攻撃する。
「マジック・ミサイル!」
 フェリクスは確実に命中し、そして確実にダメージを重ねるためにマジック・ミサイルを4本に増やして攻撃する。
「マインド・スリヴァー!」
 カリーナは抵抗されにくいであろう精神攻撃を選択、これは次の手の仕込みでもある。
 クリストの剣は分厚い皮膚を切り裂けず、エディの攻撃もまた跳ね返される。魔法による攻撃は通ったものの、そこからの展開が描けない。ミノタウロスは自分の番とばかりに斧を振るってクリストを遠ざけ、そのままエディにもたたきつけた。
「ホールド・パースン! 入った! 効果が短いから急いで!」
 先に精神魔法で抵抗力を落としておいてからの麻痺効果を与える魔法だ。これが通ったことでミノタウロスの動きが止まる。それを聞いたフェリクスがもう一度ライトニング・ボルトを発動、今度こそ命中する。そこからはクリスト、エディに加えフリアも参加して攻撃を全力で加えることになるのだが、それでもミノタウロスは倒れなかった。
「やった、毒が入った!」
 フリアの攻撃が幸運にも決まり毒の追加効果を加えることに成功。これでもかなりのダメージが稼げるだろう。だが麻痺の効果が切れたミノタウロスが怒りの表情を浮かべ、斧を振り上げると叫び声とともにエディにたたきつけ、抑えきれなかったエディが膝を着く。さらにそこから斧を投げ捨てるようにクリストにぶつけると、身をかがめて角のある頭から突っ込めるように体勢を作ると離れていたフェリクスとカリーナ目掛けて突進した。
 その攻撃は次の魔法を準備していたフェリクスをかすめて転倒させ、そしてカリーナに半身程度の幅で衝突しそのまま跳ね飛ばした。壁際に転がったカリーナが起き上がろうともだえているところへ追撃をかけようとミノタウロスがもう一度構えるが、さすがにそれをさせるわけにはいかない。フリアがダーツを手当たり次第に投げつけ、クリストも駆けつけて背後から切りつける。最後に、起き上がったフェリクスがマジック・ミサイルをまとめて命中させたことでようやくミノタウロスは地面に崩れ落ちた。

「よし、何とかなったな。大丈夫か?」
「‥‥はー、アーマーとシールド両方かけておいて本当に良かったわ。なかったら駄目だったかもね」
「力が強くて押し切れない、皮膚が硬くて攻撃が通らない、おまけにへたをすればこっちよりも速い。どうなってんだ」
「最後の突進、速すぎじゃない? 見てからじゃとても対応できないよ」
 明らかにこれまで戦ったボスといえる魔物とは格が違った。これまではそのエリアの魔物よりも一回り上を想定していればそう間違ってはいなかったのだが、このエリアはその通常の魔物がミノタウロスな上に、それよりも一回り以上強力だっただろう。
「‥‥ねえ、周り見て」
「あん? ああ、どうなってんだろうな、壁がない」
「気がついたら、だな。倒したあとは変わりなかった。落ちていた斧を拾って視線を上げたら消えていた」
「私も同じく。今気がついたら、だよ。他のミノタウロスもいない。それで宝箱が見えてる」
「帰り道はサービスってところか。まあありがたいが。ふぅ、とりあえず一休みしよう。それからだ」
「それじゃ私、宝箱見てくるよ」
 クリストがボスだったミノタウロスから魔石と角を1本回収している間にフリアがうろうろと見えている宝箱を調べて回り、他の3人はダメージの回復に努める。見えている範囲に魔物はいないので戻るまで大丈夫だろうとは思われるが、それでも何があるか分からない。一度回復しておきたかった。
「一つは宝石、10個入っていたよ。もう一つはワンドかな? これ」
「こんなところで出るならいいものなんでしょうねえ、楽しみね」
 ミノタウロスが使っていた斧を含め、これで回収は完了。休憩を終え広い何もなくなったエリアを通り抜け階段を上ると9階の休憩が可能な場所まで戻ってくる。ここで改めてしっかりとした休憩を取るのだ。
「鑑定しておいてくれ。俺は扉の先が変わっていないか見てくる」
 ミノタウロスのエリアに他の仕掛けはなかった。ボスを倒したことで中央のアニメイテッド・オブジェクトのエリアに変化がないかどうかは確認しておく必要があった。変化がなければもしかしたら強引に通る方法を考えなければならないし、変化があるのならばもう一つ、ハーピーのいるエリアの攻略を考える必要がある。果たしてクリストが扉を開けると鎧の数こそ変わらなかったが柱に掲げられていた盾と剣のセットが全て消滅していた。つまりミノタウロスのクリアによって難易度の引き下げが行われたということだ。こうなるとハーピーのエリアをクリアすれば次は鎧が消えるか数が減るかの変化があるのではないかと考えられた。
「柱の盾と剣が消えていた。確定だろう。今の段階でも強引に進むことはできそうだが、どうだった?」
「いい話だね。それで、やるならハーピーもクリアしてからが良さそうだよ。見てよこの結果」
 銀貨はイネスで流通していたものとなっていて、これまでのキルケーという地名とは違っているが恐らくこれも地下世界で分かるだろう。宝石はアンバー、アメジスト、ガーネット、コーラルが1個、ジェット、スピネル、トルマリンが2個だった。
 そしてワンドがウォー・メイジ・ワンド。呪文攻撃に+2のボーナスが得られ、遮蔽の2分の1を無視できるという強力なものだった。
「これはフェリクスが持ちなさいよ。どう考えてもいいものよ。使うべきよ」
「そうだね。そうしたらこのファイアー・スタッフはカリーナが使うといい」
「そうね、これで私も高レベルの攻撃魔法が使えるわね」
 ということだった。攻撃魔法を基本にするフェリクスが使えば申し分のない威力を発揮してくれるだろう。
 そしてボスのミノタウロスが使っていた斧。これはパワー・アックスといい、攻撃に+2のボーナスを得られるグレーター・アックスとして使用でき、持っているだけで防御にも+2のボーナスを得られ、それに加えて1日に10チャージ分まで強撃という力場による追加ダメージを発生させられるというものだった。チャージも夜明けごとに回復するというのだから文句などない。これはエディが使用するということで決まった。
「すげーな、なんだこのアックス。それはあいつが強いわけだよな」
「これね、たぶん私たちも魔法の武器を装備して強くなりなさいっていうことだと思うのよ。ワンドにしろアックスにしろ、普通の武器では通用しなくなるぞっていうことでしょう」
「ありそうな話だな。それでハーピーのところも、か」
「そう、やってみるべきだよ。ハーピーがどういう装備なのか見ないと僕らの強化につながるかは分からないけどさ、少なくとも同じレベルのものは宝箱からも出るかもしれないしね」
 ダンジョンが必要だと考えて魔法の装備品を出してきているのだ。もしかしたらミノタウロスレベルが標準になるのなら地下世界の難易度はとてつもないことになる。それに対応するためにも自分たちを強化しろと用意してきているのかもしれない。これまでの展開を考えるとありそうな話で、そうなるとやはり、ハーピーのエリアも探索してみるべきということになるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

処理中です...