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063:地下9階4
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ミノタウロスとハーピーという2つのエリアの攻略を終え、いよいよアニメイテッド・オブジェクトのエリアを突破する段階に入った。今までの範囲を考えるとこの先に10階への階段があるとも思えなかったが、少なくとも一つの山場を越えることにはなるだろう。相手は剣を持ったプレート・アーマーが8体だ。今回ばかりはエディはメイスを、クリストはウォーハンマーを使用する。得意な武器ではないが、それでも鎧相手に剣で切りあうよりも殴り倒す方が簡単だからだ。
「さて、準備はいいか? この先は囲まれないように右の壁沿いを前進する。エディを先頭に俺が左から後ろを見る。回り込むような動きをするやつがいたら教えてくれ」
「僕らも防御魔法を使って必要ならマジック・ウエポンで殴るよ。あとは状況次第でファイアー・ウォール、ディスペルだね」
「私は鎧相手だと何もできなさそうだし左の壁沿いに行くね。釣れそうなのがいたら1つか2つ釣って奥へ逃げてみる」
「よし。フリアはそのまま突破してくれてもいい。どうせここの鎧も扉を越えたりはしないだろう。やれそうなら扉のところで引きつけてくれてもいいぞ。それで本当にやばいと思ったときにはフォース・ビードを使ってくれ」
「分かった。邪魔になりそうなのを狙ってみる。フォース・ビードは動きを止めるためだね?」
「ああ。1つでも2つでも止まったところを抜ける。さあて、やれそうなら全部倒す、難しそうならある程度倒したところで強引に抜ける。行こうか」
前衛3人にブレス、後衛2人はメイジ・アーマーとシールドを準備したところで扉を開ける。大広間へと踏み込むと、立ち並んでいた8体の鎧がそろった動きで下向きにしていた剣を振り上げて上へ向けて構えをとり、一歩前に出た。クリストたちは右に、フリアは1人だけ分かれて手前左側の鎧に石を投げつけてからそのまま柱の左側を回るように前進していく。その1体だけが左へと方向を変えた。
エディが先頭に立って柱の右側に入ると、壁沿いに前進。柱と柱の間から1体2体と進路をふさぐように壁沿いに姿を見せ始める。エディはそのまま盾を構えて進み互いに距離に入ったというところで振り下ろされる剣を盾ではじき、空いた正面からメイスを振り下ろす。柱と柱の間から迫る相手にはクリストが対応し、ハンマーを振って1体の腕をたたいて外側へとそらし、さらにもう1体の胴を殴りつける。1体ずつ倒して前に進むことを優先してフェリクスはエディと戦う鎧にスコーチング・レイを3本まとめて放ち、2本が正確に命中、さらにカリーナもファイアー・ボルトを命中させた。
柱と壁の間にそれほど広い空間はなく、集まってきた鎧は一斉にクリストたちに襲いかかるという形にはならない。エディの正面に2体、クリストのいる柱と柱の間に2体がせいぜいで、フリアに釣られた1体を除く他の3体がその背後をうろうろするだけだ。これで長物や遠隔武器でも持っていれば話が違うのだが、現状ではできることが少ない。
「おりゃ!」
さらに左側をぐるっと回って大広間の中央付近に出てきたフリアがクリストの側にいた1体に向かって投石をしてまた逃げ去っていった。石を投げつけられた1体がそちらへと動きだしてしまい、これで8体中2体がフリアを追い掛けて移動してしまう。さらにエディが盾で剣を防ぎメイスで殴り返した1体がその場に崩れ落ち、こちら側に残るのは残り5体となった。クリストがハンマーを振って1体の頭に命中させヘルムがひしゃげる。さらにもう1体には蹴りを放ち、それをきれいに胴にもらった1体が後ろへと下がった。フェリクスとカリーナは今度はクリストに頭を殴られた1体に魔法を集中させ、まとめて胴に受けたそのアーマーもまた地面へと崩れ落ちる。残りは移動しているものを除いて4体に減る。
クリストはエディの方を指さして援護するように指示、自分は目の前の1体に集中する。振られる剣をハンマーの柄で受け、それを振り回して逆に相手の足を殴ると、そこから下がりながら振り上げたハンマーを真っすぐ頭を狙って振り下ろすがこれは避けられて地面を食う。間合いが離れたところでもう一度仕切り直しだ。
エディはまた2体の鎧を受け持ち、左側を盾でけん制、右側からの攻撃に対しては腕で受けてからそのまま伸ばしてメイスで反撃だ。フェリクス、カリーナの攻撃魔法を加えてもまだ倒しきれはしない。
そんな中で大広間を奥へと逃げていたフリアがもう少しで扉にたどり着くという場面で変化が起きた。扉の左右高くに掲げられていた旗が、壁を離れて動き出したのだ。そのことを予期していなかったフリアが左側から下りてきた旗に気付かずに扉に手をかけたところで横からはたかれて地面に転がる、さらにそこへ右側から下りてきた旗がふわりと身をくねらせるようにして上からたたいた。そこへ追い掛けていた鎧2体も駆けつけて攻撃を加えようとしたが、フリアはそのまま転がって距離を取ると、フォース・ビードを1つ、鎧2体を巻き込める位置に投げつけてから大広間の中央に向かって駆け戻る。
「ごめん! 失敗した!」
「って何だそれ! 旗も動くのかよ!」
これで相手は鎧6体と旗2枚となった。攻撃を空振りした鎧2体はまだ黒い球体の中で動けないが、旗2枚はそのままフリアを追うようにして広間を移動してくる。
「ファイアー・ウォール!」
カリーナが持っていたファイアー・スタッフの能力を使い炎の壁を旗を巻き込めるようにして立ち上げる。その炎に包まれた旗はバタバタと動いて炎を逃れようとするが、さすがに布製の旗では炎に対しては分が悪いのか炎から逃れることができない。その間にエディとフェリクスの攻撃を受けた鎧1体が撃破され、残る鎧は5体に減った。エディの前に2体、クリストが1体と炎の壁の向こうに2体だ。黒い球体と炎の壁が消えるまでにまだ時間はある。その間に手前の3体を倒しきればいいだけだ。奥から戻ってきたフリアはそのままクリストと協力して1体を相手取る。クリストがハンマーで正面から鎧と打ち合い、その間にフリアがナイフで防御の薄そうな場所を狙って切りつける。
エディは正面から迫る2体に対して左側を盾を使って受け、右側はメイスで打ち合う。フェリクス、カリーナはその右側に魔法を集中させて撃破を早めるのだ。クリストはハンマーで鎧の足を破壊することに成功、そのまま振り上げたハンマーを思い切りたたきつけて1体を撃破。確認したフリアは中央を通ってエディと戦う残り2体の背後に回り、エディと戦っている2体のうち手前側の鎧が剣を振り上げて脇が空いたところを狙って体当たりをすると、押されてもう1体にぶつかり、そのぶつかられた鎧が壁に手をついて動きを止める。
「そいつもらうぞ」
駆けつけたクリストが下から振り上げて壁についた手を打ち上げ、体勢を崩したところへ今度は思い切りハンマーを打ち下ろす。これでヘルムをつぶされて床に落ちたところへフェリクスのスコーチング・レイが集中して命中し、そのまま動きを止めた。横から体当たりを受けて体勢を崩した残る1体にはカリーナのフロストバイトが命中し、さらに動きを鈍らせる。エディが盾とメイスで器用に殴りつけ、どうにか体勢を整えて反撃にでようとしたところを今度はクリストが背中側からハンマーを横殴りにたたきつけるとそのままエディの盾にぶつかり、反動で転がるようにして地面に倒れる。そこをエディがメイスで殴りつけると動きを止めた。
「よし、これで終わりだな? あとはまだ動いてこない奥のやつらだ」
そろそろ黒い球体も炎の壁も消えるだろう。そう考えて大広間の中央へ移動すると、炎の中の旗が1枚燃え尽きるようにして消えていくところで、そしてその向こう側から人型の影が炎を乗り越えて前へと出てこようとしているところだった。
「わざわざダメージを受けてきてくれるとはね、片付けよう」
エディとクリストが鎧を1体ずつ受け持ち、戦闘に入る。エディは剣を受け止めてメイスで反撃、クリストはハンマーで受けてそのまま殴り返す形だ。フェリクスのマジック・ミサイルが支援として命中し、ダメージを積み重ねる。
その向こう側で炎の壁が消え、焦げ付いた旗が1枚、ふらふらとした動きでこちらに近づこうとしてくるが、そこへはカリーナのファイアー・ボルトが命中し、再び炎上させると旗はそのまま地面へと落下していった。
鎧2体も炎の壁を無理をして突破してきたダメージと、そのまま戦闘に入ってから積み上がったダメージに耐えられなくなったのか、エディに盾で殴られて崩れ、クリストにハンマーで殴られてとどめを刺された。
「よーし、これでクリアだな? まあ旗が動いたのは驚いたが、ファイアー・ウォールさまさまだったな」
「フォース・ビードもすごく良かった。あって良かったよ」
「なんていうか、手に入れてすぐに使う場面があるのって、何だかうまくやらされている感じがするよね」
「そんな気はするな。それか用意したはいいが難易度が高すぎて調整するつもりで道具を用意したかな」
「どっちもありそうな話よね。ま、今回は助かったっていうことでいいでしょ」
8階でファイアー・スタッフを手に入れたことによってファイアー・ウォールを使う余裕を持っていたこと、直前でフォース・ビードを手に入れたことによって相手の動きを一時封じる手段を持っていたこと、どちらも今回は大きな力になった。そこに意図があったかどうかは分からないが、いずれにせよ自分たちは勝利したのだ。これでまた先に進むことができる。
大広間の奥の両開きの扉を開けると通路になっていて、その先は大きな円形の部屋になっていた。中央には水をためられる円形の池のような形のものがあり、正面と左右に通路が伸びている。円形の外周部分、通路と通路のちょうど中間の場所の壁には目線の高さに逆三角形の飾りがある。全部で4つあるそれは、奥側の右側が緑色、左側が青色をしていて、薄く光っている。手前側、アニメイテッド・オブジェクトのいた広間の側を向いて右側は黄色、左側は赤色をしていて、こちらは光っていない。
正面の通路はしばらく先で両開きの扉に行き着き、それを開けるとその先は先ほどまでと同じくらいの広さの大広間になっていて、やはり同じように等間隔で柱が立ち並んでいた。今回はアニメイテッド・オブジェクトは一つも見当たらず、代わりにそれぞれの柱の上部に悪魔の形をした石像が2体ずつ飾られている。
さらにその大広間の奥は部屋ほどの広さの通路へとつながっていて、そこは左右の壁面に高さ30センチほどの間隔で窪みがあり、くぼみからくぼみへと横に光の線が走っていた。一番奥が青色、その手前が緑色だ。その手前にも左右の壁にくぼみはあったがそこは光が走っていない。その場所の最奥部分には、恐らく階段の入り口だろう場所が見えていた。
「ここだな。あれが10階への階段ってことでいいんじゃないか。それでこれはあれだろう、左右のガーゴイルが動くんだろう」
大広間には入らずに観察している分には動くことがないだろうことはすでに分かっている。入れば恐らく動き出し、そして襲ってくるのだろう。
「ね、奥から2本目かな、床に魔法陣がある。なんだろ」
「どれ? それ貸してよ。うーん? ああ確かに魔法陣ね。何かの召喚魔法陣な気がするわね」
「てーことはガーゴイルに加えてこのフロアのボスがいると思えばいいんだろうな。倒して階段を下りろと。で、あの横に走っている光はなんだ」
「さっきの円形の部屋のさ、飾りというかあったじゃない。ちょうど色が合っている。緑と青が光っていて、見てのとおり光が走っている。合っていそうじゃないかい」
「待ってて、もいちど見てくる」
そういうとフリアが円形の部屋へ戻り、その色の付いた飾りを調べ始める。奥の赤を調べ始めたところで何かをすると、クリストたちが見ている前で大広間の奥で赤い光が横に走った。
「どう? あ、そういうこと。分かった。あのね、あの飾り押せたの。押したら光がついて、それでああなった。見たんだけど、緑と青は押せなかったよ」
「決まりか。エリアのクリアであれが消える。そういうことだろう」
少なくともミノタウロスとハーピーのエリアをクリアしたことで2つ消えているのだ。理解できたところでもう1つやってみれば確定する。あの横に走る光がどういうものなのかは気にはなるがあそこまで行って調べるつもりはないのだ。
扉を閉じて円形の部屋へ引き返し、そこから左右の通路を調べることになる。右側の通路を進むと、先ほどの部屋よりは小さい、9階から下りてきたところの円形の部屋と同じくらいの広さの同じような円形の部屋へとつながり、正面には水場、そして右に下り階段、左に上り階段があった。下り階段の下は左方向に曲がって進む通路にそのままつながっていて、上り階段はすぐに洞窟につながっていた。
そこからまた引き返し、もう1つの通路の先を調べる。そこでも同じように水場のある円形の部屋につながり、右に上り階段、左に下り階段があった。下り階段の先は先ほどの下り階段と同じように今度は右に曲がって進む通路につながっている。上り階段の先は薄暗い宮殿風の装飾が施された部屋へとつながっていた。
「ここは中央の部屋で休めってことのようだが、さて、どこからやるか」
「下の2つはどっちも似たような作りなのが気になるよね。上2つはまったく違うのに」
「最低でもあと2つでしょ? そうすると上の2つが怪しいわよね」
「そうなると下の2つは何なのかってことになるが、一番怪しいのはそこの噴水なんだがな」
「下2つがどこか奥でつながっていて実は1つだってことならそれでいいんじゃないか。水場があるのに噴水が動いてそれが何なんだって気はするがな」
「そうだな。まあ上2つが優先ではありそうだが、ここまで来ると下も見てみたいよな。それで何が変わるのか、何が手に入るのか、どうしたって気にはなる」
当然そういうことになる。クリアするだけならば優先の2つのうち1つをやれば確定なのだが、やはりこれまでの展開を考えると下も攻略はすべきではないかと思えるのだ。クリストたちはそのまま中央の円形の部屋で十分な回復ために休憩を取りながら今後の方針を相談していった。
「さて、準備はいいか? この先は囲まれないように右の壁沿いを前進する。エディを先頭に俺が左から後ろを見る。回り込むような動きをするやつがいたら教えてくれ」
「僕らも防御魔法を使って必要ならマジック・ウエポンで殴るよ。あとは状況次第でファイアー・ウォール、ディスペルだね」
「私は鎧相手だと何もできなさそうだし左の壁沿いに行くね。釣れそうなのがいたら1つか2つ釣って奥へ逃げてみる」
「よし。フリアはそのまま突破してくれてもいい。どうせここの鎧も扉を越えたりはしないだろう。やれそうなら扉のところで引きつけてくれてもいいぞ。それで本当にやばいと思ったときにはフォース・ビードを使ってくれ」
「分かった。邪魔になりそうなのを狙ってみる。フォース・ビードは動きを止めるためだね?」
「ああ。1つでも2つでも止まったところを抜ける。さあて、やれそうなら全部倒す、難しそうならある程度倒したところで強引に抜ける。行こうか」
前衛3人にブレス、後衛2人はメイジ・アーマーとシールドを準備したところで扉を開ける。大広間へと踏み込むと、立ち並んでいた8体の鎧がそろった動きで下向きにしていた剣を振り上げて上へ向けて構えをとり、一歩前に出た。クリストたちは右に、フリアは1人だけ分かれて手前左側の鎧に石を投げつけてからそのまま柱の左側を回るように前進していく。その1体だけが左へと方向を変えた。
エディが先頭に立って柱の右側に入ると、壁沿いに前進。柱と柱の間から1体2体と進路をふさぐように壁沿いに姿を見せ始める。エディはそのまま盾を構えて進み互いに距離に入ったというところで振り下ろされる剣を盾ではじき、空いた正面からメイスを振り下ろす。柱と柱の間から迫る相手にはクリストが対応し、ハンマーを振って1体の腕をたたいて外側へとそらし、さらにもう1体の胴を殴りつける。1体ずつ倒して前に進むことを優先してフェリクスはエディと戦う鎧にスコーチング・レイを3本まとめて放ち、2本が正確に命中、さらにカリーナもファイアー・ボルトを命中させた。
柱と壁の間にそれほど広い空間はなく、集まってきた鎧は一斉にクリストたちに襲いかかるという形にはならない。エディの正面に2体、クリストのいる柱と柱の間に2体がせいぜいで、フリアに釣られた1体を除く他の3体がその背後をうろうろするだけだ。これで長物や遠隔武器でも持っていれば話が違うのだが、現状ではできることが少ない。
「おりゃ!」
さらに左側をぐるっと回って大広間の中央付近に出てきたフリアがクリストの側にいた1体に向かって投石をしてまた逃げ去っていった。石を投げつけられた1体がそちらへと動きだしてしまい、これで8体中2体がフリアを追い掛けて移動してしまう。さらにエディが盾で剣を防ぎメイスで殴り返した1体がその場に崩れ落ち、こちら側に残るのは残り5体となった。クリストがハンマーを振って1体の頭に命中させヘルムがひしゃげる。さらにもう1体には蹴りを放ち、それをきれいに胴にもらった1体が後ろへと下がった。フェリクスとカリーナは今度はクリストに頭を殴られた1体に魔法を集中させ、まとめて胴に受けたそのアーマーもまた地面へと崩れ落ちる。残りは移動しているものを除いて4体に減る。
クリストはエディの方を指さして援護するように指示、自分は目の前の1体に集中する。振られる剣をハンマーの柄で受け、それを振り回して逆に相手の足を殴ると、そこから下がりながら振り上げたハンマーを真っすぐ頭を狙って振り下ろすがこれは避けられて地面を食う。間合いが離れたところでもう一度仕切り直しだ。
エディはまた2体の鎧を受け持ち、左側を盾でけん制、右側からの攻撃に対しては腕で受けてからそのまま伸ばしてメイスで反撃だ。フェリクス、カリーナの攻撃魔法を加えてもまだ倒しきれはしない。
そんな中で大広間を奥へと逃げていたフリアがもう少しで扉にたどり着くという場面で変化が起きた。扉の左右高くに掲げられていた旗が、壁を離れて動き出したのだ。そのことを予期していなかったフリアが左側から下りてきた旗に気付かずに扉に手をかけたところで横からはたかれて地面に転がる、さらにそこへ右側から下りてきた旗がふわりと身をくねらせるようにして上からたたいた。そこへ追い掛けていた鎧2体も駆けつけて攻撃を加えようとしたが、フリアはそのまま転がって距離を取ると、フォース・ビードを1つ、鎧2体を巻き込める位置に投げつけてから大広間の中央に向かって駆け戻る。
「ごめん! 失敗した!」
「って何だそれ! 旗も動くのかよ!」
これで相手は鎧6体と旗2枚となった。攻撃を空振りした鎧2体はまだ黒い球体の中で動けないが、旗2枚はそのままフリアを追うようにして広間を移動してくる。
「ファイアー・ウォール!」
カリーナが持っていたファイアー・スタッフの能力を使い炎の壁を旗を巻き込めるようにして立ち上げる。その炎に包まれた旗はバタバタと動いて炎を逃れようとするが、さすがに布製の旗では炎に対しては分が悪いのか炎から逃れることができない。その間にエディとフェリクスの攻撃を受けた鎧1体が撃破され、残る鎧は5体に減った。エディの前に2体、クリストが1体と炎の壁の向こうに2体だ。黒い球体と炎の壁が消えるまでにまだ時間はある。その間に手前の3体を倒しきればいいだけだ。奥から戻ってきたフリアはそのままクリストと協力して1体を相手取る。クリストがハンマーで正面から鎧と打ち合い、その間にフリアがナイフで防御の薄そうな場所を狙って切りつける。
エディは正面から迫る2体に対して左側を盾を使って受け、右側はメイスで打ち合う。フェリクス、カリーナはその右側に魔法を集中させて撃破を早めるのだ。クリストはハンマーで鎧の足を破壊することに成功、そのまま振り上げたハンマーを思い切りたたきつけて1体を撃破。確認したフリアは中央を通ってエディと戦う残り2体の背後に回り、エディと戦っている2体のうち手前側の鎧が剣を振り上げて脇が空いたところを狙って体当たりをすると、押されてもう1体にぶつかり、そのぶつかられた鎧が壁に手をついて動きを止める。
「そいつもらうぞ」
駆けつけたクリストが下から振り上げて壁についた手を打ち上げ、体勢を崩したところへ今度は思い切りハンマーを打ち下ろす。これでヘルムをつぶされて床に落ちたところへフェリクスのスコーチング・レイが集中して命中し、そのまま動きを止めた。横から体当たりを受けて体勢を崩した残る1体にはカリーナのフロストバイトが命中し、さらに動きを鈍らせる。エディが盾とメイスで器用に殴りつけ、どうにか体勢を整えて反撃にでようとしたところを今度はクリストが背中側からハンマーを横殴りにたたきつけるとそのままエディの盾にぶつかり、反動で転がるようにして地面に倒れる。そこをエディがメイスで殴りつけると動きを止めた。
「よし、これで終わりだな? あとはまだ動いてこない奥のやつらだ」
そろそろ黒い球体も炎の壁も消えるだろう。そう考えて大広間の中央へ移動すると、炎の中の旗が1枚燃え尽きるようにして消えていくところで、そしてその向こう側から人型の影が炎を乗り越えて前へと出てこようとしているところだった。
「わざわざダメージを受けてきてくれるとはね、片付けよう」
エディとクリストが鎧を1体ずつ受け持ち、戦闘に入る。エディは剣を受け止めてメイスで反撃、クリストはハンマーで受けてそのまま殴り返す形だ。フェリクスのマジック・ミサイルが支援として命中し、ダメージを積み重ねる。
その向こう側で炎の壁が消え、焦げ付いた旗が1枚、ふらふらとした動きでこちらに近づこうとしてくるが、そこへはカリーナのファイアー・ボルトが命中し、再び炎上させると旗はそのまま地面へと落下していった。
鎧2体も炎の壁を無理をして突破してきたダメージと、そのまま戦闘に入ってから積み上がったダメージに耐えられなくなったのか、エディに盾で殴られて崩れ、クリストにハンマーで殴られてとどめを刺された。
「よーし、これでクリアだな? まあ旗が動いたのは驚いたが、ファイアー・ウォールさまさまだったな」
「フォース・ビードもすごく良かった。あって良かったよ」
「なんていうか、手に入れてすぐに使う場面があるのって、何だかうまくやらされている感じがするよね」
「そんな気はするな。それか用意したはいいが難易度が高すぎて調整するつもりで道具を用意したかな」
「どっちもありそうな話よね。ま、今回は助かったっていうことでいいでしょ」
8階でファイアー・スタッフを手に入れたことによってファイアー・ウォールを使う余裕を持っていたこと、直前でフォース・ビードを手に入れたことによって相手の動きを一時封じる手段を持っていたこと、どちらも今回は大きな力になった。そこに意図があったかどうかは分からないが、いずれにせよ自分たちは勝利したのだ。これでまた先に進むことができる。
大広間の奥の両開きの扉を開けると通路になっていて、その先は大きな円形の部屋になっていた。中央には水をためられる円形の池のような形のものがあり、正面と左右に通路が伸びている。円形の外周部分、通路と通路のちょうど中間の場所の壁には目線の高さに逆三角形の飾りがある。全部で4つあるそれは、奥側の右側が緑色、左側が青色をしていて、薄く光っている。手前側、アニメイテッド・オブジェクトのいた広間の側を向いて右側は黄色、左側は赤色をしていて、こちらは光っていない。
正面の通路はしばらく先で両開きの扉に行き着き、それを開けるとその先は先ほどまでと同じくらいの広さの大広間になっていて、やはり同じように等間隔で柱が立ち並んでいた。今回はアニメイテッド・オブジェクトは一つも見当たらず、代わりにそれぞれの柱の上部に悪魔の形をした石像が2体ずつ飾られている。
さらにその大広間の奥は部屋ほどの広さの通路へとつながっていて、そこは左右の壁面に高さ30センチほどの間隔で窪みがあり、くぼみからくぼみへと横に光の線が走っていた。一番奥が青色、その手前が緑色だ。その手前にも左右の壁にくぼみはあったがそこは光が走っていない。その場所の最奥部分には、恐らく階段の入り口だろう場所が見えていた。
「ここだな。あれが10階への階段ってことでいいんじゃないか。それでこれはあれだろう、左右のガーゴイルが動くんだろう」
大広間には入らずに観察している分には動くことがないだろうことはすでに分かっている。入れば恐らく動き出し、そして襲ってくるのだろう。
「ね、奥から2本目かな、床に魔法陣がある。なんだろ」
「どれ? それ貸してよ。うーん? ああ確かに魔法陣ね。何かの召喚魔法陣な気がするわね」
「てーことはガーゴイルに加えてこのフロアのボスがいると思えばいいんだろうな。倒して階段を下りろと。で、あの横に走っている光はなんだ」
「さっきの円形の部屋のさ、飾りというかあったじゃない。ちょうど色が合っている。緑と青が光っていて、見てのとおり光が走っている。合っていそうじゃないかい」
「待ってて、もいちど見てくる」
そういうとフリアが円形の部屋へ戻り、その色の付いた飾りを調べ始める。奥の赤を調べ始めたところで何かをすると、クリストたちが見ている前で大広間の奥で赤い光が横に走った。
「どう? あ、そういうこと。分かった。あのね、あの飾り押せたの。押したら光がついて、それでああなった。見たんだけど、緑と青は押せなかったよ」
「決まりか。エリアのクリアであれが消える。そういうことだろう」
少なくともミノタウロスとハーピーのエリアをクリアしたことで2つ消えているのだ。理解できたところでもう1つやってみれば確定する。あの横に走る光がどういうものなのかは気にはなるがあそこまで行って調べるつもりはないのだ。
扉を閉じて円形の部屋へ引き返し、そこから左右の通路を調べることになる。右側の通路を進むと、先ほどの部屋よりは小さい、9階から下りてきたところの円形の部屋と同じくらいの広さの同じような円形の部屋へとつながり、正面には水場、そして右に下り階段、左に上り階段があった。下り階段の下は左方向に曲がって進む通路にそのままつながっていて、上り階段はすぐに洞窟につながっていた。
そこからまた引き返し、もう1つの通路の先を調べる。そこでも同じように水場のある円形の部屋につながり、右に上り階段、左に下り階段があった。下り階段の先は先ほどの下り階段と同じように今度は右に曲がって進む通路につながっている。上り階段の先は薄暗い宮殿風の装飾が施された部屋へとつながっていた。
「ここは中央の部屋で休めってことのようだが、さて、どこからやるか」
「下の2つはどっちも似たような作りなのが気になるよね。上2つはまったく違うのに」
「最低でもあと2つでしょ? そうすると上の2つが怪しいわよね」
「そうなると下の2つは何なのかってことになるが、一番怪しいのはそこの噴水なんだがな」
「下2つがどこか奥でつながっていて実は1つだってことならそれでいいんじゃないか。水場があるのに噴水が動いてそれが何なんだって気はするがな」
「そうだな。まあ上2つが優先ではありそうだが、ここまで来ると下も見てみたいよな。それで何が変わるのか、何が手に入るのか、どうしたって気にはなる」
当然そういうことになる。クリアするだけならば優先の2つのうち1つをやれば確定なのだが、やはりこれまでの展開を考えると下も攻略はすべきではないかと思えるのだ。クリストたちはそのまま中央の円形の部屋で十分な回復ために休憩を取りながら今後の方針を相談していった。
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そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
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ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
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