ダンジョン・エクスプローラー

或日

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064:地下9階5

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 まずは上を1つクリアする。それで光が消えることが確認できたらもう1つも上と考えて問題ないだろう。その後はやはり気になっている下を見に行く。やれそうならそこを攻略して、それからもう1つの上だ。
 方針を決めたところで上のどちらからやるかという話になるのだが、今回は左側を選択した。洞窟になっているよりは普通の部屋になっている方がまだしもやりやすいだろうという程度の理由だったのだが、その結果は果たしてどうなるか。階段を上って部屋へ踏み入ると、外よりも光量が落ちていることがはっきりと分かる。外が屋外と同じような明るさだとすると、ここは日暮れか夜の入り口かというような暗さを持っていた。それでも先が見えないというほどでもなく、部屋の中を見渡すと正面と左に通路が伸びているのが分かる。通路は上部がアーチ状になっていて、天井部分には装飾と装飾の間に等間隔で穴のようなものが開いている。やはり雰囲気としては宮殿か神殿かというようだった。
 進む方向として正面を選択し、フリアがそこに踏み込んだが、すぐさま慌てた様子で引き返してきた。
「どうした?」
「これはひどいよ。天井の穴あるでしょ、あそこから、ほら下見て、スネークじゃない? ぼとぼと落ちてくるんだよ」
「あ? 何だその嫌がらせは。こっちはどう‥‥駄目だな。こっちも同じだ。スネークが落ちてくる。通路だけか、部屋までは来ないな。通路にいる間だけ落ちてくるのか」
「うーん、どうしよう、予備の盾貸してもらってそれで進もうかな」
 スネーク自体は魔石を持ったヘビでしかなく、毒のことを考えなければどうということのない魔物だ。ただ通路にいる間中落ちてくるとなると面倒この上ない。
「仕方がないな。エディの盾の下にフェリクス、俺も盾を持ってカリーナ、入ってくれ。あとは落ちたやつは倒すなり追い払うなりでいいだろう」
 手がふさがってしまうが仕方のないことだろう。とにかく頭上を防いで落ちてくるうちの近づいてくるものだけを処理していくしかない。
 これで隊列を確認したところで再び先へ進む。盾を頭上にかざしたフリアが通路に入り、ぼとぼとと落ちてくるスネークを無視して進んでいく。しばらく先で立ち止まり、気配を探ってから後に続いていた仲間のところへ戻る
「この先に気配。1だと思う。あの感じはたぶんコッカトリスだよ」
「分かった。1だな。まあ気をつけるのは石化を食らわないことくらいだ。行こう」
 くちばしの攻撃を受けると石化の効果が発揮されてしまうが、それさえ避けることができればそこまで強力な魔物ではない。部屋へ入るとうろうろと動き回っていたコッカトリスが羽を広げクケーと鳴く。素早く横へずれたフリアの方を向いていて、続いて部屋に入ってきたエディやフェリクスの方には気がついているのかどうか。フェリクスがそのままファイアー・ボルトを命中させ、エディが斧を構えて突撃し横腹に刃を潜らせるとジタバタと動き逃げようとする。さらに部屋に入ってきたカリーナもファイアー・ボルトを命中させ、盾を放り出して駆け込んだクリストが剣を刺すとそのまま横倒しに倒れた。
「よし。部屋にはスネークが出ないってんならそう心配する必要はなさそうだな。ここは、同じか、正面と左。まあ正面から埋めていこう」
 数が多ければ、他の魔物がいればまた違ってくるだろうが、コッカトリスが1体で何ができるというほどもない。そこから再び盾を頭上にかざして通路を進む。しばらくするとまた前方に部屋が見えてきたが、柱が立ち並びかなり広そうだった。後続を手をかざして止めたフリアが気配を探る。
「うん、いるね。2かな。これ、2階で見たのだと思う。特別大きなジャイアント・スネーク。1体は向こうに見えているけれど、たぶんもう1体いるよ」
「柱の上にはりがあるのか。見えないってんならあの上かもしれないな。と、足元気をつけろ、結構寄ってくるやつがいる」
「これはここから狙い撃ちするにも気が散ってよくないね」
 とにかく足元の安全をと部屋へ入ることを決め、フリアがまずは踏み込む。すると部屋の中の床一面に変化が現れた。30センチ四方だろうか正方に区切られたマス目が現れ、その一枚一枚の段差が少しずつ違っているのだ。フリアが最初に踏んだ一枚はわずかに沈み、その前の一枚がわずかに上がり、右はそのまま変わらず、左は一番上がっている。30センチ四方のマス目全ての段差が違っているのだ。それが部屋一面を覆っている。
「待て待て待て、これでやれってのか? へたに動くと足を取られるぞ。フェリクス、カリーナ、ここから狙えるか」
「待って、通路のスネークがこっち見ているんだよ。気になって仕方がない。ちょっと左右に分かれ、うわ」
 フェリクスがいいながらフリアより右側の一枚に足を降ろすと、また床一面の段差に変化現れる。フリアが最初に踏んだ一枚は元の高さに戻り、前の一枚は沈み、左は上がる。要するに一枚移動するたびに変化するということなのだろう。それは分かるのだが。
「マジかよ、これだと動いての戦闘は無理だぞ。かといって向こうが来るのを待っているってのも怖い。仕方がない。俺とエディは前に出てからはあまり動けない。フェリクス、カリーナはできるだけ動かずに狙ってくれ。フリア、はりに登れるか。向こうに頭が見えている、あいつがはりの上にいるんだろう。引きつけておいてくれ。割り込まれると怖い」
「分かった。うん、こっちから投げてみようかな。うん、何とかしてみる」
「時間をかけると面倒そうだ。魔法は強めでやってくれ」
 フリアが近くの柱を使ってはりの上へ。エディとクリストはそこから下にいるジャイアント・スネークを目指すのだが、一歩進むたびに足元がガタンと動いて段差が変わる。近づくことすら一苦労だった。
 2人がもう少しで接近戦に入れるという距離まで移動したところでスネークも動き始める。とぐろを解き、長い胴体を動かしてまずはエディの方へ頭を向け、さらに尻尾を柱の向こう側に回すようにしてからクリストのいる方へ打ち付ける。これを剣を振って切りつけることで避けるが、本当なら移動しながら切りつけたかった。足元が気になって思うように動けない。
「ライトニング・ボルト!」
 フェリクスの雷撃が胴体を貫きダメージを与える。
「ファイアー・ボール!」
 カリーナはファイアー・スタッフの力を借りて前衛2人を巻き込まないようにスネークの胴体を狙い魔法を放つ。大きな音と炎の渦が胴体を包み燃え上がらせる。このダメージは大きかったのかスネークが大きく動きを変え、炎の渦に捕まった胴体がズリズリとはってそこから離れようとする。その間に足元を確かめながら一歩踏み込んだエディが斧を頭部目掛けて突き込んだ。
 はりの上でははす向かいにいるスネークに向かってフリアがナイフを投げつける。1本は弾かれ、1本はかすめただけに終わり、3本目がようやく深く刺さった。このダメージを気にしたスネークが頭をはりの上まで上げ、そして尻尾を振り上げてフリア目掛けて振り下ろす。予想していたフリアをそれを避けて一度はりから飛び降り、そしてまた柱を駆け上ってスネークの頭部目掛けてナイフを投げた。
 クリストは離れていったスネークの胴を追って前進しようとしたところで軽くつまずき前傾姿勢になってバタバタと動いてしまい、横から振られてきた尻尾を避けられずに攻撃を受けて転がされてしまう。エディは立ち位置を変えずに斧で突いての攻撃なのだが、頭が離れ、近づいてかみつこうとされ、また離れとこちらも思うように攻撃できていない。
「フロストバイト!」
 前衛2人がやりにくいことを見て取ったフェリクスがダメージとともに動きを鈍らせる狙いで魔法を使う。転がったところから立て直して再度接近を試みるクリストがちょうど近かった頭に狙いを付け、地面を蹴って飛び上がり、その勢いのまま剣をスネークの目に突き刺すことに成功するが、自分はそのまま地面に転がってしまい剣からも手を離すことになった。のたうちまわるスネークの動きを盾で受け止めたエディが斧を口に向けて突き刺すように投げ入れる。カリーナがファイアー・ボルトを命中させるとようやくスネークの動きがビクビクとけいれんするようなものに変わる。最後にクリストが予備のショートソードを抜いて頭に突き立て、これでようやく1体を撃破することができた。これで残りははりの上の1体だ。
 引きつけていたフリアが飛び降りるとそれを追うようにしてスネークの頭部がズルリと下りてくる。場所はちょうど左側、今までエディとクリストがいた反対側になる。エディは盾と引き抜いた斧を構え直し、クリストは倒したスネークから剣を取り戻す。フリアがスネークにナイフを投げながらそちらへと移動してくる。
 フェリクスがライトニング・ボルトを命中させるとスネークの頭がそちらを向く。続いたカリーナはフロストバイトでダメージと動きの阻害の2重の効果を狙った。横を向いた頭を狙ってエディが前で出ながら斧を突き、クリストは足元を確かめながら接近を試みるが、スネークはまだ下りきっていなかった尻尾を上から振ってエディを狙い、エディはそれを盾を構えて防ぐが勢いは殺しきれずに膝を着いた。頭部はそのまま近づいてきたクリストを狙ってかみつきに動き、クリストはそれを横に転がって避け、振った剣で傷を付ける。
 そこへフェリクスのマジック・ミサイル、カリーナのファイアー・ボルトが命中し、思わずのけ反った頭に向かって、エディが下から斧を突き刺し強撃を放つと、立て直したクリストも剣を振って攻撃をしかける。
 スネークは尻尾を振り戻した勢いのまま全身をズシンという音を響かせながら床に下ろし、頭を振って刺さっていた斧を振り払い、今度はまだ膝を着いているエディにかみつこうと迫るものの盾に防がれてしまう。そこへフェリクスとカリーナからファイアー・ボルトが命中し、クリストが目を狙って剣を突き刺し、そこからぐるりと体全体を回すようにしてえぐりこむと、スネークの体がビクリとけいれんして動きを止めた。

「ジャイアント・コンストリクター・スネークだっけ。本当に2階は試しただけだったんだね」
「段差、柱、はり、どれもこれもスネークに有利だったな。つまずく罠は使ってこないなとは思っていたが、まさかこういう使い方をするとはね。俺は動くのが基本だからなあ、やりにくいぜ」
 この巨大なスネークは2階の通常サイズの部屋で1体と戦っている。あの時は部屋の大きさが災いしてスネークの動きに制限がかかり戦いやすかった。それが今回は広い部屋、スネークの動きを分かりにくくする柱とはり、そして足元の段差でこちらの動きを制限してくるという方法を採ってきた。強力な魔法をいくつも使ってなお、倒すのに苦労したのだ。
「ね、はりの上に宝箱があったよ」
「マジか、気がつかないかもしれないじゃないか。そんなとこに置くなよ」
 今回はフリアがはりの上にいたから気がつけたものの、戦い方次第では見落とす可能性も高い場所だった。改めて調べに行ったフリアがポーションを持って戻ってくる。
「残念、普通のヒーリングぽいよ。ほら」
 赤い液体が入った薬瓶。今までどおりならヒーリング・ポーションで確定だろう。ただダメージを負っている現状では悪くないものでもあった。スネークの後始末をするとともに回復を図り、次に備える。魔法を消耗するよりも現状はすでに見つけて効果が確定しているヒーリング・ポーションを使用するのだ。

 後始末と回復を終えたところで探索を再開する。正面に伸びている通路を進み、丁字路に突き当たったところで右にコッカトリスがいそうということでここは左へ。そのまましばらく進むとまた広いだろう部屋へとたどり着く。部屋の中には柱があり、はりがある。ここの床も段差が発生するのであればまたしても戦いにくい環境になるだろう。果たしてここの魔物はなんなのか。フリアが先行して部屋へ入ると、ここでもマス目で段差は発生した。難度の高い戦闘になるだろうことが決まる。そこから慎重に壁際を進んでいってフリアが1本目の柱を通過、2本目の陰から先を見たところであわてて視線をずらすように頭を動かすが、そこからつまずきながらも全力で仲間のところに戻ってきた。
「メドゥサだよ!」
「マジか、大丈夫か?」
「危なかった。こっちに気がついたみたいだったけど、目は合わなかったから」
「さーて、そうなるとこの床と併せてとんでもなくやりにくい相手なわけだが、どうするか」
「ねえ、あれは? 鏡で視線を反射できるわよね」
「‥‥あったな、そういえば。使おう、俺の剣とエディの盾、あとフリア、盾を持っておけ、それで3回だ」
 メドゥサの特徴といえばやはり視線による石化だが、その効果はメドゥサ自身にも効果があることが知られている。最大の対処方法は鏡による視線の反射だと言われるゆえんだ。そして自分たちは8階で手に入れたリフレクト・ミラー・チャイムを持っている。装備品に魔法を反射する鏡面を作り出すという魔道具だ。まさかこのために用意したというわけではないだろうが、それでも今回は使える道具になる。足元の段差、視線を合わせない、この2点があるだけでも戦闘の難易度は非常に高いものになるのだが、この難易度の高さはこのエリアのボスを予想させる。やるしかないだろう。
 カリーナがブレスをかけ、魔法使い2人はアーマーとシールドの魔法も使っておく。全員の準備ができたところで戦闘開始だ。とにかく視線をはずすこと、それを意識しながら接近を試みる。フリアは今回も柱を上りはりを上を移動する。手前の柱を越えて室内を見渡せる場所へ移動すると、中央奥に立つ人の姿があった。黒い衣をまとった青白い肌、やや背の高い女性だろうか、だがその髪はうごめくヘビとなっている。メドゥサだ。目を合わせないように胸辺りを見るような形で足元にも注意を払いながら位置に着く。メドゥサはこちらを見ながら右手をくるりと回すと、その手の中に黒っぽい色をしたロングソードが現れた。そして、その剣でこちらを指し示す。
「※※※※※、※※※※、※※※※※※」
 何事かを言うと、エディとクリストが範囲に収まるような形で地面が黒く染まり、そこから無数の触手が生え、エディの足元に絡みつき、クリストを殴りつけようと動く。とっさにかわしたクリストはかかとを床の段差に引っかけ、さらに一歩下がらなければならなかった。
「ファイアーボール!」
 フェリクスの魔法がメドゥサをとらえ炎の渦で包み込む。その間にエディは足元の触手を切り払って拘束を抜け、クリストも柱を回り込むようにしてメドゥサの方へと向かう。フリアはようやくメドゥサの近くまで進むことができたが頭上近くからとはいえ1人で攻撃を開始するのは無謀なのでここで待機だ。
 炎の渦が消え、メドゥサが再び剣をくるくると回しながらフェリクス、カリーナの方へ向かって指をさす。
「※※※※※――」
「カウンター・スペル!」
 何事かを言いかけたメドゥサの言葉をカリーナの魔法が止める。これでメドゥサの行動を一つつぶすことができた。このタイミングを逃さずに接近したエディが鏡面になっている表がメドゥサの視線の先に来るようにかざしながら斧を突き込みさらに強撃も使って攻撃する。横から迫るクリストも鏡面になっている剣の腹を見せるような形で構えてそのまま殴りつける形だ。そして頭上からは鏡面になっている盾を立ててその陰からフリアがナイフを投げつける。
 鏡に取り囲まれた状況を嫌ったメドゥサが一歩下がりまた剣をくるくると回すと、その剣から黒い闇のようなもやが湧きだしてメドゥサの姿を見えなくし、さらにその周辺にも闇をまき散らした。
「ダークネスよ! ええい、ディスペル・マジック!」
 カリーナの魔法の効果を打ち消すための魔法がその暗闇を晴らしていく。闇の中から再びメドゥサが姿を現す。剣を上げカリーナの方を指していた。
「※※※※※※」
 何事かを言うと唐突にカリーナの体が浮き上がり、そのままメドゥサから見て左奥、通路の入り口方向の壁を目掛けて勢いを付けて放り投げた。カリーナの体はそのまま壁にたたきつけられ地面に落下する。
「ライトニング・ボルト!」
 フェリクスの雷撃の魔法が命中し、メドゥサがそのダメージに身震いする。エディが一歩踏み込み盾をかざして斧を突き入れやはり今回も強撃を放つ。さらにクリストも接近してこちらを見ていないメドゥサの胴をなぎ払い、さらに剣の腹を見せて殴りつける。フリアも盾の陰からナイフを投げつけ、頬をかすめて傷を残す。その攻撃を受けたメドゥサがはりの上のフリアを指さして「※※※※※、※※※※※」何事かを言うとフリアの足元から炎が吹き上がり、思わずのけ反ったフリアがはりの上から落下する。
「このお、やってくれたわね! ファイアーボール!」
 壁に投げつけられ地面に落下したカリーナが立ち直って柱に寄りかかるようにして姿を見せ、そこからファイアー・スタッフを振るってメドゥサに向けて魔法を放つと、その背後で炎の渦が巻き起こった。その炎の中でもだえるメドゥサに向かってエディが斧を突き立てると手から剣を取り落とし、そしてだらりと腕が垂れて動きが止まる。炎の渦が消えると斧からメドゥサの体がずるりと地面に落ちていった。

「はあ、大丈夫か? よし、何とかなったな」
 見渡して全員の無事を確認するとクリストは膝に手をついてそのまましゃがみ込んだ。エディもフェリクスもその場に腰を下ろし、フリアやカリーナは柱に寄りかかっている。
「何ていうか、強かったね? 地形のことは抜きにしても予想以上だったよ」
「知っている魔法もあったけれど知らない魔法もあった。剣も使うみたいだし単純に魔法使いというわけでもないんでしょうね」
「単純だった最初のミノタウロスがかわいく思えてくるよな。段々レベルが上がっている印象だ。それにこういう地形は俺にはきついんだよなあ」
 だがそれでもこれでまた一つエリアをクリアしたことになるのだ。ここで休憩を取り、メドゥサの後始末をしたらまだ見つけていない宝箱を回収して戻ることにしよう。
 そこからは通路でスネークが頭上から落ちてくることもなく、部屋にいたはずのコッカトリスを見ることもなく、宝箱を順調に発見していくことができた。もう一つ柱の立つ大きな部屋があり、そこでは宝箱がまたしてもはりの上に置いてあったが、これで他のエリアと同じ宝箱3つだ。メドゥサの持っていた剣とともに十分な成果になってくれるだろう。
 そのまま中央の円形の部屋まで戻ってくると壁の青色のランプが消灯していた。やはり上の2つがこのランプの対象なのだろう。仲間が休憩している間に両開きの扉の先を確認しにいったクリストは、大広間の奥、青く横に走っていた光が消えていることを確かめ、そして柱の上にあった悪魔の像が1つずつになっていることも確認できた。そうするともう1つのエリアをクリアすればこの悪魔の像は全て消えることになるのだろう。中央の円形の部屋に戻ると皆それぞれに荷物を広げ、ダメージを回復し、装備のメンテナンスを進めている。あとは休憩しながら鑑定をしてみればいい。

 そして鑑定の結果はやはり期待に応えてくれるものだった。1つはグレーター・ヒーリング・ポーション、1つはさらに回復力の高いスペリアー・ヒーリング・ポーション、1つはイーグル・アイズという顔の上半分を覆うような形をした黒い眼鏡で、装備している間は視覚に基づく判定に有利を得ることができ、さらに視界が明瞭であれば遠く離れた物体をすぐ近くから見ているかのように細かいところまで見ることができるというものだった。使い方には慣れが必要かもしれないが、かなり便利な道具だろう。
 そして最後にメドゥサの持っていた剣だ。ナイト・ソード、夜の剣という。魔法の武器としてはロングソード+1に相当し、加えて使用者を中心とするダークネスと同じ暗視や光源を打ち消す暗闇を発生させることができるのだという。この暗闇はダークネスの魔法とは異なり使用者の視界を遮らないというのだから使い道は多いだろう。これはすぐにクリストが使うべきということに決まった。
 やはりこの9階の宝箱から出るものは素晴らしかった。次に攻略すべきなのは残る上1つ。洞窟に変わる場所なのだろうが、それでもやはり下り階段の先も気になってきてしまうのだ。今日はこれで十分な休息を取り、そして目が覚めたところで気持ちが固まっていたらそのまま下を攻略しよう。悩むようならば避けて上だ。だがすでに気持ちは下へと向かっていることも確かだった。
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