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065:地下9階6
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9階下層部の探索を右と左どちらから挑むかという問題は向かって右という特に理由のない単純な形で決まり、休憩を終えて準備を整えたところで階段の上まで移動する。下にはすでに床面が見えていて、その先は右へ曲がる通路だということまでは確認済みだ。ここまでのようなこちらの行動を制限するような仕掛けがないことを祈りながら階段を下り、通路へと侵入する。幸い気になるようなところもなく、フリアが先行して先をうかがいながらの前進となった。しばらく進むと部屋へと到達したようで入り口でフリアが中をうかがう。
「うーん、左方向に結構広いね。天井が通路よりは高くて、天井と壁の間に少し溝って言うか隙間っていうか、開いているみたい。気配は、奥の方になにかいるかな? ちょっと待ってね」
額の上の辺りに乗せるようにして着けていたイーグル・アイズを下げて目に当て、先をうかがう。手に入れたばかりだが早速使う場面があった。
「うん。グリムロックがいっぱいいるっぽい。奥で通路になっていて、そっちから出てきているね」
「ここでグリムロックか。そら7階にいたからおかしくはないが」
「弱いよね、グリムロック。どうするつもりだろう」
ミノタウロスやハーピーよりもかなり弱い魔物だ。メドゥサのエリアのスネークよりは強いとはいえるが、あれは進行を妨害することが主目的の配置だろう。果たしてここにグリムロックを配置することの目的はなんだろうか。
「考えていても仕方がない。倒しながら前進だな」
エディとクリストを中心に、フリアが援護、数が多いようであれば初級の魔法で攻撃しながら進んでいけば何とかなるだろうと考え、部屋の中に踏み込む。そこから慎重に進んでいくとすぐにグリムロックの群れと衝突することになった。
こん棒を振り回しウオウオ、グオグオとわめくグリムロックを待ち構え、エディが斧で突き、クリストが剣を振るい、時折フリアがナイフを投げ、フェリクスやカリーナがファイア・ボルトで遠目から削る。やはりグリムロックではこちらの攻撃にそう耐えることもできず、次々に撃破されて地面に倒れていく。ゆっくりとした前進ではあったが部屋の中程までは到着した、そういうタイミングだった。
「ん? 壁の上に何かいるね?」
またグリムロックにナイフを投げつけたフリアが気がつく。
「増援か? なんだ?」
「あ、待って待って、マグミンだよ。あ、いっぱい来る」
「7階と同じセットかよ、まだグリムロックがいるぞ、壁の上から何をしようって‥‥」
考えるまでもないことだった。壁の上をちょろちょろと走って近づいてきたマグミンが自分の体をたたくと、体中のひび割れから炎を吹き出しながらこちらへ向かって飛び降りてきたのだ。
エディが盾をかざし、全員が攻撃の手を止めて後退する。その目の前でグリムロックたちがワーワーと叫びながら追ってこようと前のめりになる。そしてその頭上に振ってきたマグミンが次々に爆発し、炎を巻き上げた。奥から奥からグリムロックがあふれてくる。壁の上からは次々にマグミンが飛び込み爆発する。一見するとそれはマグミンがグリムロックの群れを炎に包んで倒そうとしているようだった。だが、間近でマグミンが爆発したことですぐに倒れるグリムロックはまれだった。炎に包まれながらもグリムロックはそのまま燃え上がるこん棒を振り回してクリストたちに迫ろうと走り出していたのだ。
「やってらんねえぞ、全力で後退だ!」
「ウィンド・ウォール! 今のうちだよ!」
フェリクスが強風の吹き荒れる壁を作りだし、グリムロックの前進を、マグミンの炎を食い止める。この壁が維持されているうちに部屋から脱出するしかないだろう。そのまま脇目も振らずに通路へと飛び出し、階段の下まで移動した。
「もう壁は消えたと思うけれど、どうかな。グリムロックは来そうかい?」
「うーん、来ない、かな? 見てくるよ」
「気をつけろよ。まだ熱いかもしれないしな」
通路を移動している間も爆発音は続いていた。今は聞こえていないということは終わったのだろうが、それでも熱気は残っているだろう。
「あれはどういう意図があるんだ? 7階で見せたものを規模を大きくしただけでこっちが逃げる余裕はかなりあったんだが」
「分かんないね。これくらいの規模でやりたかったって見せているだけにも思えるけれど、このダンジョンはそんなに単純じゃない気もするし」
考えている間にフリアが戻ってくる。
「まだ熱くて中までは見られないよ。でももう爆発も終わっているね。あとね、入り口のところでもう分かるんだけど、肉の焼ける臭いがすごくて、気配とか全然分かんない」
「あー、そうか、あの数のグリムロックが全部焼けたんならひどいよな。とはいえせっかく来ておいて部屋の中がひどい状況だから進みたくないってのも言いにくいか」
「それが狙いっぽい気もしてくるね。先に進みたくないような状況を作る」
「それもありそうだな。一度臭いってんで避けたところもあったくらいだからなあ」
あれは6階だったか。臭い魔物を倒してからあまりの臭気に撤退を選択した場面があった。それを別方向に派手にやってきたと考えることもできるだろう。
「もう少し待って熱が冷めてきたらガストで風を送りながら進んでみる?」
「そうするか。よし、部屋の近くまで行って様子を見よう」
このまま引き返すというのも負けた気がする。方法があるのならばそれを選ぶべきだろう。部屋の入り口まで移動すると、そこで部屋からもれてくる熱気を確かめる。多少は和らいだかというところで部屋へ入り、フェリクスが風を吹かせるガストの魔法を使い、熱気と臭気とを散らしていく。
「よし、行けそうだな。まあ死体が邪魔だが仕方がない」
この状況で全てのグリムロックの死体を片付けて進むという気にはなれなかった。積み重なって倒れているグリムロックを避けたり踏み越えたりしながら進んでいく。時折目に付いたマグミンの魔石を回収することは忘れなかったが、グリムロックはもうこのまま放置でいいだろう。
風で散らしたとはいえ消えたわけではない熱と臭いに耐えながら進み、奥の通路がようやく近づいてきたというタイミングだった。ローブの袖で口元を押さえていたフェリクスの背後で焼けただれて倒れていたグリムロックが不意に起き上がり、そしてフェリクス目掛けて持っていたボロボロの剣を振ったのだ。この攻撃は誰も予想をしていなかった。グリムロックの状態を確認することもなく、ただ進んでいたその背後からの動きに対応できず、フェリクスは背中を切りつけられ、その衝撃に前のめりに倒れてしまう。
すぐ隣を同じように口元を押さえながら歩いていたカリーナが驚いて立ち止まる。その左手でも同じように焼け焦げてボロボロの姿になっているグリムロックが起き上がり、こん棒を振ってカリーナに打ち付けた。
「きゃあっ!」
その声を聞いてようやく振り向いたクリストが急いで剣を抜き、グリムロックの首をはねる。エディも斧を構え直すとフェリクスに切りつけたグリムロックを斧で切り倒した。だが部屋のあちこちで起き上がる姿がある。この爆発と炎の中で倒れた振りをして機会をうかがっていたのか、焼けただれ、焼け焦げながらも立ち上がったのは全部であと5体いた。とはいえ奇襲のタイミングが終わってしまえばあとはしょせんグリムロックではあった。エディとクリスト、それにフリアも参加して攻撃をしかけ、あっという間に全滅させることには成功した。
相手がグリムロックだったこともあってダメージ自体はそれほどでもない。フェリクスとカリーナはヒーリング・ポーションを使って回復する。
「完全に油断したな。あの爆発で生き残っているグリムロックがいるわけがないという思い込みだ。熱と臭いで気が散っていたってこともあるだろうが、それ以上に油断だろう」
「そうだな。慎重を期すなら盾や武器を使って死体を動かすくらいはやっていたはずだ。グリムロックだから死んでいるだろうと思ってしまったな」
「ディテクトの魔法で感知もできるんだからやれば良かったのよね。失敗したわ。ここまで難易度は高かったのだからここも当然そうだと考えていいはずなのに」
7階でグリムロックとマグミンの組み合わせは見ていて、その時も特に苦戦などもしていない。どの程度の強度なのかを知っていて、手の内も見ているつもりになっていたのだ。これまでも上層階で見た魔物が使い方を少し変えるだけで脅威になる場面に何度も遭遇していたはずなのに、ここで油断してしまったのだ。
「それにしても、この奇襲を用意するためだけにこの数のグリムロックとマグミンを犠牲にするのか。すげーな」
「そうだよね。途中まではただの事故とか失敗とかって考えたんだ。7階だっけ、魔物同士で争ったりもしていたからね。そういうパターンかなとも思ったんだよね」
「でも違った。この規模でぐちゃぐちゃな状況を作ることが目的だったのよね。グリムロックを押し切れそうと突っ込んでいたら頭上からマグミンで逃げられなかったかもしれない。そして逃げ切ったあとでもこれ。やられたわね」
もっと慎重になれ、良く見ろ、良く考えろとダンジョンに言われているようだった。
グリムロックの死体に囲まれた状況で反省会を兼ねた休憩を取ったら探索を再開だ。すぐそこに通路が見えている。この先こそは慎重に油断せずに進むのだ。フリアが先行して通路に入り、そして先をうかがってすぐに引き返してくる。
「この先部屋、中に魔物。知らないやつだと思う。数は2」
「ここで初見の魔物か。マグミンの爆撃はもうないと思いたいが、フリア、警戒を頼む。あとはいつもどおりだ」
室内の壁の上部にマグミンが通れるスペースがあれば要注意ということになるだろう。初めての魔物の脅威度はどうだろうか。9階の他のエリアと同程度ということであればミノタウロスやハーピーのようにそれなりの脅威度になってくるだろう。
部屋の入り口まで進むと、部屋の中ではすでに2体の魔物がこちらを向いて戦闘態勢に入っていた。猿のような体躯だが大きさは人と同じくらい、全身が白っぽい毛皮に覆われていて牙がむき出しの口は大きい。前傾姿勢で字面に届いているほど腕が長く、手には長く鋭い爪が見えていた。
エディとクリストが1体ずつを受け持つ形で武器を構えて突撃、その背後からフェリクスはマジック・ミサイルを放ち、カリーナはファイアー・ボルトを放つ。フリアはとにかく周囲を見渡して壁と天井の間にスペースはないことを確認、そこから魔物への攻撃へ移行する。
エディの突撃を受けた1体は腕を振り上げて斧を払いのけ、また振り下ろして殴りつける。クリストの攻撃を受けた1体は横へ回り込もうとする動きに合わせて右腕を振り、その勢いのままに左腕も振るって打撃を狙い、右腕をかわしてから踏み込んだクリストの剣と爪とが打ち合う。
フェリクスとカリーナは次の魔法としてともにフロストバイトを使用。これで魔物の動きが鈍れば良い。それに続いたエディが突き込んだ斧が相手の胴をとらえ、そのまま離れた位置まで押し込む。クリストは剣を振るって相手の足を傷つけ、さらに切り返して胴を払う。
エディに突き放された魔物はそこから後ろ足に力を込めて飛び上がり、頭上から襲おうと試みるが盾に防がれてその前に下り立ち、そこにフェリクスのファイアー・ボルトを受け、さらにエディの斧にもう一度突かれて力尽きた。
クリストと戦う魔物は思い切り踏み込んできてから大きく振り上げてからたたきつけるように腕を振るが、これを一歩ずれてから剣を交差させるように振り上げられた剣によって切り落とされ、さらに追撃とばかりに投げ込まれたフリアのナイフが目に深く刺さったところで力尽きた。
「よし、こんなもんだな。このレベルが9階の標準てのはどのエリアでも同じか」
多少動きは違うが脅威度としてはミノタウロスと似た感触だった。これを標準と考えるのならばある意味安心だ。グリムロックとマグミンの組み合わせのようによく分からない展開が続くよりもよほどやりやすい。
その部屋からの通路は左へ進む1本だけで、そちらへと進んでいくと部屋へたどり着く。その部屋にはオーガが1体いて、やはり脅威度、難易度としては先ほどの魔物やミノタウロスと似ているという感想になる。戦い方も似たようなものだ。体力や筋力に頼った戦い方をしてくるのでそれを防いでかわして反撃を入れていけばいい。魔法もそこまで威力のあるものは必要ない。
そしてその先の通路はまたしても1本だけで、その先に進むと次の部屋はオーガが3体だった。この数になるとさすがに少しは工夫が必要になる。部屋の外からカリーナがコンフュージョンを投げ込み、仲間割れを起こさせて様子を見ることにする。3体が互いを敵だと認識したのか殴り合いが始まり、牙のような穂先を付けた槍を持った1体がこん棒を持った1体を突き、それを受けた1体が殴り返そうとして隣にいたもう1体を殴ってしまい、そこからは混戦だ。最終的に1体が地面に崩れ落ち、残る2体も満身創痍という状況にまで至ってから部屋へとなだれ込み、あとはエディとクリストが攻撃するだけで終わりだった。オーガは体力や筋力には優れているだろうが他が弱い。混乱が入ってしまえばあとは簡単な話だった。
その先の通路は右への1本だけで、そこを進んだ先の部屋には魔物はおらず、そして右の壁には扉があった。
「鍵なし、罠なし、気配あり。うーん、いっぱい? もしかしたらファンガスとかマイコニドとかそっち系かも」
「ここに来てキノコか。何が出るかだが、9階なんだよな。状態異常狙いって考えた方がいいか?」
「そうだね、うーん、近くにはいないような気がするからちょっとのぞく」
「気をつけろよ」
そっと扉を開けて中の様子をうかがったフリアがすぐさま扉を閉める。
「うん、キノコ確定。正面にさっきのあの毛皮の、あれっぽいのがいる。それでキノコはその近くにたぶんガス・スポア、右に紫色の、たぶんヴァイオレット・ファンガス。右側に広い部屋だったからたぶんそっちにもいろいろいると思う」
「完全に状態異常狙いだな。ガスは狙えるような位置か? よし、扉を開けて狙おう。それからだ」
ガス・スポアは毒や病気の、ヴァイオレット・ファンガスは腐敗の状態異常を与えてくるやっかいな魔物として知られている。ガス・スポアは攻撃を受けるとその場で爆発するので遠目から魔法で攻撃し、処理してしまった方がいいだろう。うまくいけば周囲の他の魔物を状態異常に巻き込めるという計算もある。
扉に張り付いたフリアが気配を探りながらそっと扉を開け、ガス・スポアのいる場所を指さすと、フェリクスがそこへファイアー・ボルトを放つ。細い触手のようなうねうねとした柄に風船のようなかさを乗せたガス・スポアはその攻撃を受けてから炎の中で一瞬縮まり、そしてその場で爆発して周囲に紫色の煙をまき散らした。それを見ながら扉を閉め、あとはガスが治まるのを待つだけだ。
しばらく扉に張り付いていたフリアが口元を布で覆ってから扉をそっと開ける。中の様子をうかがってから後ろを振り返ってうなずくと大きく開けて部屋へと踏み込んだ。正面にあったガス・スポアは破裂した状態で地面に落ちていて、その脇では毛皮を紫のまだらに染めた魔物が倒れビクビクとけいれんしている。右側ではこれも破裂したのか上部分が吹き飛んだようになって動かないヴァイオレット・ファンガスがいた。
「正面に扉、近くにヴァイオレット・ファンガス。右、部屋の奥の方、真ん中にガス・スポア、左右にヴァイオレット・ファンガス、毛皮の魔物2、もっと奥に、あれは、マイコニドかな。真ん中のが大きい。もしかしたら王様かも?」
「よし、ここから狙えるか? ガス・スポアとヴァイオレット・ファンガスを燃やしてくれ。毛皮のやつは俺とエディで見る」
指示を受けフェリクスとカリーナが左右のヴァイオレット・ファンガスにファイアー・ボルトを放つ。それを見た毛皮の魔物がゆっくりとした動きでこちらへ向かってくるがまだ距離がある。エディとクリストは1体ずつを受けられるように位置を変え、待機だ。さらに続けてカリーナがファイアー・ボルトをガス・スポアに命中させるとその場で爆発が起き、周囲に紫色の煙が広がる。フェリクスはマジック・ミサイルに魔法を切り替え、迫る魔物の右に2発、左に1発を命中させた。ようやく近くまで来たところでエディで盾で攻撃を防ぎ斧で突く。クリストは腕をかわしてから足へ胴へ切りつけた。その後はフェリクスとカリーナがファイアー・ボルトを使い、エディとクリストが攻撃して問題なく撃破することができた。
「ここまではよし、あとはマイコニドか。お、やる気のようだな。エディ、王を頼む。俺は左から回って右の順で引き取る。って、おい」
最奥、中央にいたマイコニドが手に持っていた杖を振るとその場に魔法の矢が形成され、こちらへ向かって放たれる。1本はクリストが剣で切り払い、1本はエディが盾で防ぎ、もう1本はフェリクスに命中してしまう。
「マジック・ミサイルかよ! ち、仕方がない、突っ込むか」
エディとクリストはすぐさま突撃を開始、エディは右側にいたマイコニドを跳ね飛ばしながら王に接近し盾を正面から打ち付ける。クリストも左側のマイコニドに剣を構えた状態で突っ込み胴を串刺しにするとそのままの勢いで振り回した。フリアも続いて駆け込むと、エディに弾かれてふらふらとしているマイコニドにナイフを振るう。そしてカリーナはマジック・ミサイルを受けてしまったフェリクスの回復に回る。
左右でふらふらしているマイコニドは、右側の1体はフリアがそのまま攻撃を続けて撃破、左の1体はカリーナのファイアー・ボルトで炎上し崩れ落ちる、エディとクリストは王に接近戦を挑み、左右から挟むようにして殴り、切りつける。そして立て直したフェリクスが反撃のマジック・ミサイルをまとめて命中させると王はその場に崩れ落ちた。
「よし。大丈夫か? マイコニドの王が魔法を使うってのは知らない情報だが、あー、この杖の効果って可能性もあるか。まあそれほどでもなかったな」
「さすがに予想していなかったから驚いたけれど一発だからね、耐えられる程度だよ。それで、これでここは終わりかな?」
「もう他にはいないね、良さそうだよ」
「何となくだが、あっけないよな? まあ仕方がないんだが。あとはそこの扉の先か」
これまでの9階の各エリアはどこも相応に強力な魔物がボスとして控えていた。それに対してマイコニドの王では少し実力が劣るように感じられる。だがとにかくこれでこのエリアは終わりなのだろう。そう判断して先に進むことにした。
扉の先は部屋になっていて、右側に通路が伸びている。先行して調べに行ったフリアはすぐに戻ってきた。
「おかしい、魔物がいるよ」
「マジか? 今までと同じパターンならボスを倒せば消えるよな。ここは別か?」
「うーん、も一つ、何となく地形が通ってきたところと似ている気がする。こう通路の付き方とか、曲がり方とか、何となく。それでこの先の魔物は毛皮のあいつだと思う」
「何だ? 左右の階段の先が同じような作りになっていて、その間にマイコニドの部屋があった? それならやっぱりここがボスのいる場所になるよな」
「ちょっと部屋の中を調べてみたい。もしかしたら何かあるかもしれないし」
部屋の中に気になる場所があったというわけではないが、状況からみてももう一度調べることは必要かもしれない。扉を開けてもう一度マイコニドの王が控えていた部屋へと戻ることにした。
「うーん、左方向に結構広いね。天井が通路よりは高くて、天井と壁の間に少し溝って言うか隙間っていうか、開いているみたい。気配は、奥の方になにかいるかな? ちょっと待ってね」
額の上の辺りに乗せるようにして着けていたイーグル・アイズを下げて目に当て、先をうかがう。手に入れたばかりだが早速使う場面があった。
「うん。グリムロックがいっぱいいるっぽい。奥で通路になっていて、そっちから出てきているね」
「ここでグリムロックか。そら7階にいたからおかしくはないが」
「弱いよね、グリムロック。どうするつもりだろう」
ミノタウロスやハーピーよりもかなり弱い魔物だ。メドゥサのエリアのスネークよりは強いとはいえるが、あれは進行を妨害することが主目的の配置だろう。果たしてここにグリムロックを配置することの目的はなんだろうか。
「考えていても仕方がない。倒しながら前進だな」
エディとクリストを中心に、フリアが援護、数が多いようであれば初級の魔法で攻撃しながら進んでいけば何とかなるだろうと考え、部屋の中に踏み込む。そこから慎重に進んでいくとすぐにグリムロックの群れと衝突することになった。
こん棒を振り回しウオウオ、グオグオとわめくグリムロックを待ち構え、エディが斧で突き、クリストが剣を振るい、時折フリアがナイフを投げ、フェリクスやカリーナがファイア・ボルトで遠目から削る。やはりグリムロックではこちらの攻撃にそう耐えることもできず、次々に撃破されて地面に倒れていく。ゆっくりとした前進ではあったが部屋の中程までは到着した、そういうタイミングだった。
「ん? 壁の上に何かいるね?」
またグリムロックにナイフを投げつけたフリアが気がつく。
「増援か? なんだ?」
「あ、待って待って、マグミンだよ。あ、いっぱい来る」
「7階と同じセットかよ、まだグリムロックがいるぞ、壁の上から何をしようって‥‥」
考えるまでもないことだった。壁の上をちょろちょろと走って近づいてきたマグミンが自分の体をたたくと、体中のひび割れから炎を吹き出しながらこちらへ向かって飛び降りてきたのだ。
エディが盾をかざし、全員が攻撃の手を止めて後退する。その目の前でグリムロックたちがワーワーと叫びながら追ってこようと前のめりになる。そしてその頭上に振ってきたマグミンが次々に爆発し、炎を巻き上げた。奥から奥からグリムロックがあふれてくる。壁の上からは次々にマグミンが飛び込み爆発する。一見するとそれはマグミンがグリムロックの群れを炎に包んで倒そうとしているようだった。だが、間近でマグミンが爆発したことですぐに倒れるグリムロックはまれだった。炎に包まれながらもグリムロックはそのまま燃え上がるこん棒を振り回してクリストたちに迫ろうと走り出していたのだ。
「やってらんねえぞ、全力で後退だ!」
「ウィンド・ウォール! 今のうちだよ!」
フェリクスが強風の吹き荒れる壁を作りだし、グリムロックの前進を、マグミンの炎を食い止める。この壁が維持されているうちに部屋から脱出するしかないだろう。そのまま脇目も振らずに通路へと飛び出し、階段の下まで移動した。
「もう壁は消えたと思うけれど、どうかな。グリムロックは来そうかい?」
「うーん、来ない、かな? 見てくるよ」
「気をつけろよ。まだ熱いかもしれないしな」
通路を移動している間も爆発音は続いていた。今は聞こえていないということは終わったのだろうが、それでも熱気は残っているだろう。
「あれはどういう意図があるんだ? 7階で見せたものを規模を大きくしただけでこっちが逃げる余裕はかなりあったんだが」
「分かんないね。これくらいの規模でやりたかったって見せているだけにも思えるけれど、このダンジョンはそんなに単純じゃない気もするし」
考えている間にフリアが戻ってくる。
「まだ熱くて中までは見られないよ。でももう爆発も終わっているね。あとね、入り口のところでもう分かるんだけど、肉の焼ける臭いがすごくて、気配とか全然分かんない」
「あー、そうか、あの数のグリムロックが全部焼けたんならひどいよな。とはいえせっかく来ておいて部屋の中がひどい状況だから進みたくないってのも言いにくいか」
「それが狙いっぽい気もしてくるね。先に進みたくないような状況を作る」
「それもありそうだな。一度臭いってんで避けたところもあったくらいだからなあ」
あれは6階だったか。臭い魔物を倒してからあまりの臭気に撤退を選択した場面があった。それを別方向に派手にやってきたと考えることもできるだろう。
「もう少し待って熱が冷めてきたらガストで風を送りながら進んでみる?」
「そうするか。よし、部屋の近くまで行って様子を見よう」
このまま引き返すというのも負けた気がする。方法があるのならばそれを選ぶべきだろう。部屋の入り口まで移動すると、そこで部屋からもれてくる熱気を確かめる。多少は和らいだかというところで部屋へ入り、フェリクスが風を吹かせるガストの魔法を使い、熱気と臭気とを散らしていく。
「よし、行けそうだな。まあ死体が邪魔だが仕方がない」
この状況で全てのグリムロックの死体を片付けて進むという気にはなれなかった。積み重なって倒れているグリムロックを避けたり踏み越えたりしながら進んでいく。時折目に付いたマグミンの魔石を回収することは忘れなかったが、グリムロックはもうこのまま放置でいいだろう。
風で散らしたとはいえ消えたわけではない熱と臭いに耐えながら進み、奥の通路がようやく近づいてきたというタイミングだった。ローブの袖で口元を押さえていたフェリクスの背後で焼けただれて倒れていたグリムロックが不意に起き上がり、そしてフェリクス目掛けて持っていたボロボロの剣を振ったのだ。この攻撃は誰も予想をしていなかった。グリムロックの状態を確認することもなく、ただ進んでいたその背後からの動きに対応できず、フェリクスは背中を切りつけられ、その衝撃に前のめりに倒れてしまう。
すぐ隣を同じように口元を押さえながら歩いていたカリーナが驚いて立ち止まる。その左手でも同じように焼け焦げてボロボロの姿になっているグリムロックが起き上がり、こん棒を振ってカリーナに打ち付けた。
「きゃあっ!」
その声を聞いてようやく振り向いたクリストが急いで剣を抜き、グリムロックの首をはねる。エディも斧を構え直すとフェリクスに切りつけたグリムロックを斧で切り倒した。だが部屋のあちこちで起き上がる姿がある。この爆発と炎の中で倒れた振りをして機会をうかがっていたのか、焼けただれ、焼け焦げながらも立ち上がったのは全部であと5体いた。とはいえ奇襲のタイミングが終わってしまえばあとはしょせんグリムロックではあった。エディとクリスト、それにフリアも参加して攻撃をしかけ、あっという間に全滅させることには成功した。
相手がグリムロックだったこともあってダメージ自体はそれほどでもない。フェリクスとカリーナはヒーリング・ポーションを使って回復する。
「完全に油断したな。あの爆発で生き残っているグリムロックがいるわけがないという思い込みだ。熱と臭いで気が散っていたってこともあるだろうが、それ以上に油断だろう」
「そうだな。慎重を期すなら盾や武器を使って死体を動かすくらいはやっていたはずだ。グリムロックだから死んでいるだろうと思ってしまったな」
「ディテクトの魔法で感知もできるんだからやれば良かったのよね。失敗したわ。ここまで難易度は高かったのだからここも当然そうだと考えていいはずなのに」
7階でグリムロックとマグミンの組み合わせは見ていて、その時も特に苦戦などもしていない。どの程度の強度なのかを知っていて、手の内も見ているつもりになっていたのだ。これまでも上層階で見た魔物が使い方を少し変えるだけで脅威になる場面に何度も遭遇していたはずなのに、ここで油断してしまったのだ。
「それにしても、この奇襲を用意するためだけにこの数のグリムロックとマグミンを犠牲にするのか。すげーな」
「そうだよね。途中まではただの事故とか失敗とかって考えたんだ。7階だっけ、魔物同士で争ったりもしていたからね。そういうパターンかなとも思ったんだよね」
「でも違った。この規模でぐちゃぐちゃな状況を作ることが目的だったのよね。グリムロックを押し切れそうと突っ込んでいたら頭上からマグミンで逃げられなかったかもしれない。そして逃げ切ったあとでもこれ。やられたわね」
もっと慎重になれ、良く見ろ、良く考えろとダンジョンに言われているようだった。
グリムロックの死体に囲まれた状況で反省会を兼ねた休憩を取ったら探索を再開だ。すぐそこに通路が見えている。この先こそは慎重に油断せずに進むのだ。フリアが先行して通路に入り、そして先をうかがってすぐに引き返してくる。
「この先部屋、中に魔物。知らないやつだと思う。数は2」
「ここで初見の魔物か。マグミンの爆撃はもうないと思いたいが、フリア、警戒を頼む。あとはいつもどおりだ」
室内の壁の上部にマグミンが通れるスペースがあれば要注意ということになるだろう。初めての魔物の脅威度はどうだろうか。9階の他のエリアと同程度ということであればミノタウロスやハーピーのようにそれなりの脅威度になってくるだろう。
部屋の入り口まで進むと、部屋の中ではすでに2体の魔物がこちらを向いて戦闘態勢に入っていた。猿のような体躯だが大きさは人と同じくらい、全身が白っぽい毛皮に覆われていて牙がむき出しの口は大きい。前傾姿勢で字面に届いているほど腕が長く、手には長く鋭い爪が見えていた。
エディとクリストが1体ずつを受け持つ形で武器を構えて突撃、その背後からフェリクスはマジック・ミサイルを放ち、カリーナはファイアー・ボルトを放つ。フリアはとにかく周囲を見渡して壁と天井の間にスペースはないことを確認、そこから魔物への攻撃へ移行する。
エディの突撃を受けた1体は腕を振り上げて斧を払いのけ、また振り下ろして殴りつける。クリストの攻撃を受けた1体は横へ回り込もうとする動きに合わせて右腕を振り、その勢いのままに左腕も振るって打撃を狙い、右腕をかわしてから踏み込んだクリストの剣と爪とが打ち合う。
フェリクスとカリーナは次の魔法としてともにフロストバイトを使用。これで魔物の動きが鈍れば良い。それに続いたエディが突き込んだ斧が相手の胴をとらえ、そのまま離れた位置まで押し込む。クリストは剣を振るって相手の足を傷つけ、さらに切り返して胴を払う。
エディに突き放された魔物はそこから後ろ足に力を込めて飛び上がり、頭上から襲おうと試みるが盾に防がれてその前に下り立ち、そこにフェリクスのファイアー・ボルトを受け、さらにエディの斧にもう一度突かれて力尽きた。
クリストと戦う魔物は思い切り踏み込んできてから大きく振り上げてからたたきつけるように腕を振るが、これを一歩ずれてから剣を交差させるように振り上げられた剣によって切り落とされ、さらに追撃とばかりに投げ込まれたフリアのナイフが目に深く刺さったところで力尽きた。
「よし、こんなもんだな。このレベルが9階の標準てのはどのエリアでも同じか」
多少動きは違うが脅威度としてはミノタウロスと似た感触だった。これを標準と考えるのならばある意味安心だ。グリムロックとマグミンの組み合わせのようによく分からない展開が続くよりもよほどやりやすい。
その部屋からの通路は左へ進む1本だけで、そちらへと進んでいくと部屋へたどり着く。その部屋にはオーガが1体いて、やはり脅威度、難易度としては先ほどの魔物やミノタウロスと似ているという感想になる。戦い方も似たようなものだ。体力や筋力に頼った戦い方をしてくるのでそれを防いでかわして反撃を入れていけばいい。魔法もそこまで威力のあるものは必要ない。
そしてその先の通路はまたしても1本だけで、その先に進むと次の部屋はオーガが3体だった。この数になるとさすがに少しは工夫が必要になる。部屋の外からカリーナがコンフュージョンを投げ込み、仲間割れを起こさせて様子を見ることにする。3体が互いを敵だと認識したのか殴り合いが始まり、牙のような穂先を付けた槍を持った1体がこん棒を持った1体を突き、それを受けた1体が殴り返そうとして隣にいたもう1体を殴ってしまい、そこからは混戦だ。最終的に1体が地面に崩れ落ち、残る2体も満身創痍という状況にまで至ってから部屋へとなだれ込み、あとはエディとクリストが攻撃するだけで終わりだった。オーガは体力や筋力には優れているだろうが他が弱い。混乱が入ってしまえばあとは簡単な話だった。
その先の通路は右への1本だけで、そこを進んだ先の部屋には魔物はおらず、そして右の壁には扉があった。
「鍵なし、罠なし、気配あり。うーん、いっぱい? もしかしたらファンガスとかマイコニドとかそっち系かも」
「ここに来てキノコか。何が出るかだが、9階なんだよな。状態異常狙いって考えた方がいいか?」
「そうだね、うーん、近くにはいないような気がするからちょっとのぞく」
「気をつけろよ」
そっと扉を開けて中の様子をうかがったフリアがすぐさま扉を閉める。
「うん、キノコ確定。正面にさっきのあの毛皮の、あれっぽいのがいる。それでキノコはその近くにたぶんガス・スポア、右に紫色の、たぶんヴァイオレット・ファンガス。右側に広い部屋だったからたぶんそっちにもいろいろいると思う」
「完全に状態異常狙いだな。ガスは狙えるような位置か? よし、扉を開けて狙おう。それからだ」
ガス・スポアは毒や病気の、ヴァイオレット・ファンガスは腐敗の状態異常を与えてくるやっかいな魔物として知られている。ガス・スポアは攻撃を受けるとその場で爆発するので遠目から魔法で攻撃し、処理してしまった方がいいだろう。うまくいけば周囲の他の魔物を状態異常に巻き込めるという計算もある。
扉に張り付いたフリアが気配を探りながらそっと扉を開け、ガス・スポアのいる場所を指さすと、フェリクスがそこへファイアー・ボルトを放つ。細い触手のようなうねうねとした柄に風船のようなかさを乗せたガス・スポアはその攻撃を受けてから炎の中で一瞬縮まり、そしてその場で爆発して周囲に紫色の煙をまき散らした。それを見ながら扉を閉め、あとはガスが治まるのを待つだけだ。
しばらく扉に張り付いていたフリアが口元を布で覆ってから扉をそっと開ける。中の様子をうかがってから後ろを振り返ってうなずくと大きく開けて部屋へと踏み込んだ。正面にあったガス・スポアは破裂した状態で地面に落ちていて、その脇では毛皮を紫のまだらに染めた魔物が倒れビクビクとけいれんしている。右側ではこれも破裂したのか上部分が吹き飛んだようになって動かないヴァイオレット・ファンガスがいた。
「正面に扉、近くにヴァイオレット・ファンガス。右、部屋の奥の方、真ん中にガス・スポア、左右にヴァイオレット・ファンガス、毛皮の魔物2、もっと奥に、あれは、マイコニドかな。真ん中のが大きい。もしかしたら王様かも?」
「よし、ここから狙えるか? ガス・スポアとヴァイオレット・ファンガスを燃やしてくれ。毛皮のやつは俺とエディで見る」
指示を受けフェリクスとカリーナが左右のヴァイオレット・ファンガスにファイアー・ボルトを放つ。それを見た毛皮の魔物がゆっくりとした動きでこちらへ向かってくるがまだ距離がある。エディとクリストは1体ずつを受けられるように位置を変え、待機だ。さらに続けてカリーナがファイアー・ボルトをガス・スポアに命中させるとその場で爆発が起き、周囲に紫色の煙が広がる。フェリクスはマジック・ミサイルに魔法を切り替え、迫る魔物の右に2発、左に1発を命中させた。ようやく近くまで来たところでエディで盾で攻撃を防ぎ斧で突く。クリストは腕をかわしてから足へ胴へ切りつけた。その後はフェリクスとカリーナがファイアー・ボルトを使い、エディとクリストが攻撃して問題なく撃破することができた。
「ここまではよし、あとはマイコニドか。お、やる気のようだな。エディ、王を頼む。俺は左から回って右の順で引き取る。って、おい」
最奥、中央にいたマイコニドが手に持っていた杖を振るとその場に魔法の矢が形成され、こちらへ向かって放たれる。1本はクリストが剣で切り払い、1本はエディが盾で防ぎ、もう1本はフェリクスに命中してしまう。
「マジック・ミサイルかよ! ち、仕方がない、突っ込むか」
エディとクリストはすぐさま突撃を開始、エディは右側にいたマイコニドを跳ね飛ばしながら王に接近し盾を正面から打ち付ける。クリストも左側のマイコニドに剣を構えた状態で突っ込み胴を串刺しにするとそのままの勢いで振り回した。フリアも続いて駆け込むと、エディに弾かれてふらふらとしているマイコニドにナイフを振るう。そしてカリーナはマジック・ミサイルを受けてしまったフェリクスの回復に回る。
左右でふらふらしているマイコニドは、右側の1体はフリアがそのまま攻撃を続けて撃破、左の1体はカリーナのファイアー・ボルトで炎上し崩れ落ちる、エディとクリストは王に接近戦を挑み、左右から挟むようにして殴り、切りつける。そして立て直したフェリクスが反撃のマジック・ミサイルをまとめて命中させると王はその場に崩れ落ちた。
「よし。大丈夫か? マイコニドの王が魔法を使うってのは知らない情報だが、あー、この杖の効果って可能性もあるか。まあそれほどでもなかったな」
「さすがに予想していなかったから驚いたけれど一発だからね、耐えられる程度だよ。それで、これでここは終わりかな?」
「もう他にはいないね、良さそうだよ」
「何となくだが、あっけないよな? まあ仕方がないんだが。あとはそこの扉の先か」
これまでの9階の各エリアはどこも相応に強力な魔物がボスとして控えていた。それに対してマイコニドの王では少し実力が劣るように感じられる。だがとにかくこれでこのエリアは終わりなのだろう。そう判断して先に進むことにした。
扉の先は部屋になっていて、右側に通路が伸びている。先行して調べに行ったフリアはすぐに戻ってきた。
「おかしい、魔物がいるよ」
「マジか? 今までと同じパターンならボスを倒せば消えるよな。ここは別か?」
「うーん、も一つ、何となく地形が通ってきたところと似ている気がする。こう通路の付き方とか、曲がり方とか、何となく。それでこの先の魔物は毛皮のあいつだと思う」
「何だ? 左右の階段の先が同じような作りになっていて、その間にマイコニドの部屋があった? それならやっぱりここがボスのいる場所になるよな」
「ちょっと部屋の中を調べてみたい。もしかしたら何かあるかもしれないし」
部屋の中に気になる場所があったというわけではないが、状況からみてももう一度調べることは必要かもしれない。扉を開けてもう一度マイコニドの王が控えていた部屋へと戻ることにした。
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