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082:別れの日に 蓮の開く音を聞く
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クリストたちが戻ってきた場所は、通常の地下1階にある行き止まりの一つで、目の前と右手には壁があり、左を向くと通路が伸びている。すぐそこにいたラットが身を起こしてこちらを見ると、目は丸く口は半開きにしてピョンと一度跳ねてから必死の勢いで遠ざかっていった。それを見送ったところで移動を開始、今日はもうこのまま地上に出て休憩だ。とにかくエディの受けたダメージ分は回復しないと次に進めないだろう。途中は無視して真っすぐに進み、ここを右へ行けば地上への階段に一番近い交差点に出るという分かれ道へ。あともう少し、そういうところでフリアが足を止める。
「ん、足音。というかこれはもしかしてオオカミかな?」
「オオカミ? ってことはセルバ家か?」
「かも。ちょっと待つ」
まあセルバ家がここに来るのはおかしな話ではない。ダンジョンのあるノッテの地はセルバ家のもので、そして10階までの昇降機の鍵もすでに受け取っている。もしかしたら確保した場所に何かするつもりでいるのかもしれなかった。とりあえずクリストたちからすれば雇用主だ。ここであいさつをすることに何の問題もない。
すぐに複数人の足音と、石に爪のあたるチャッチャッという軽い音が大きくなる。交差点に真っ先に現れたのは灰褐色の大きなオオカミだった。すでにこちらのことには気がついていたのだろう。ちらりと見るとその場でくるくると回って後ろを気にしている。続いて現れたのは森の番人を務めるというヴァイオラ、さらに続いて隣にもう一頭のオオカミ、白いオオカミを連れた子供。ステラだった。
「あれ、皆さん1階でしたか。そういえば何かやることがあるって」
真っ先に声をかけてきたのはそのステラで白いオオカミの首筋をもみながらこちらに問うてくる。ステラがここにいるのもそうおかしなことではない。というか6階には行っていた。それに護衛役としてヴァイオラとオオカミが2頭いるのだから何の問題もないのだろう。ヴァイオラも白い布地の服に茶色味がかった緑の胸当てと腰当てを付けた、いわゆるガーブと呼ばれる軽装鎧を身につけ、剣と弓を装備している。オオカミが強いことは何度も聞き及んでいて、もしかしたらこのメンバーだけでも独力で5階程度までは余裕で行けそうだななどと考えてしまう。
「まあな、今終わって戻ってきたところだ。今日はここまでだよ」
「あ、そうなんですね。どうでした?」
「まあ細かい報告は戻ってギルドでってことになるが、あれは一応アンデッドのエリアってことでいいのか? 魔法円での移動だらけで良く分からんところだったな」
「へえ、魔法円の移動ですか。面白そうですね」
「面白いは面白いんだが。で、そっちは何だ? 10階か?」
「いえ、今アーシア叔母様が行っていて、私が10階は次かなって。今日は1階で気になったことがあるので」
10階での作業はアーシアが一人で行っているらしい。それ以外の別宅組が全員そろって1階というのは単にステラの安全のためだと考えられる。フリアがしゃがんで灰褐色の方のオオカミをなで回し始めたのでここで話していてもいいのだろう。とりあえず聞いておくことにした。
「1階ってのは何かあるのか? 俺たちもこれで全部回ったことになるんだが」
「そうですね、報告は見ました。それでヴァイオラさんが下で聞いてきたことが気になって」
「そんな気になるような話があったかな。1階でだよね」
「はい。1階の、そのゴーストのところですね。何ていうか、冒険者のために用意したものにしては少し変ですよね」
確かに変は変だろうが、ゴーストという魔物が出ること自体はそうおかしなことではない。1階では強すぎると言えばそうだが、特別に配置したと言われたらそれまでだろう。それに塔を上ったという彼らの物語とも、明確に示されたわけではないがあの女性像はある程度一致している。下で聞いてきたというヴァイオラがここで口を挟んだ。
「私も少し気になりましたから。ルーナ様に聞いたのですよ。あれはそうかと」
「それはまたはっきり聞いたな。何となくそっとしておきたいことだったんだが」
「そうですね。皆さんは実際に経験されましたからそうなのかもしれません。ただ私は報告を見ただけですから。返事は、彼女がどうなったのかは”分からない”そうです。それに対してあの像はその象徴として置かれたのかという問いには”違う”と答えました。そもそもあれは女性の像ではなかったようですね」
どうなったのかは分からないというその解答は自分たちも得ていた。聞き方は多少違うだろうが、彼らの結果は分からないということでいい。それで確定なのだ。ただあの像があの女性の象徴ではないということは少し意外だった。どう考えてもイメージが一致しているのだが。
「違うってのは意外だな。女性の像で、子供を抱いていてもおかしくないような姿をしていたんだが」
「そのようですね。ただあの隠し部屋自体、ゴーストの配置も正しいようなのですが、それが女性の像、女性のゴーストであるということは違うようですよ」
「そこで私は考えました。きっとそこにゴースト発生の仕組みはあるのですよ。でもそれは女性とは一致していないはずだった。ただ何かの問題でそこに女性がすぽっとはまってしまうかなにかしているのではないかと。そうしたら私ができることって一つかなって」「できることって何だ?」
「お参りです。事実を知ってしまった以上、私ができることはその霊を慰めることくらいでしょう」
ステラは何を言っているのか。お参りというのは聞いているとどうも墓参のようなことをイメージしているようだった。あの像に女性が捕らわれているのならそれを慰めるためにお参りするのだと。何を言っているのか、だ。ただやりたいことは分かった。要するにかわいそうだと思ってしまったということだろう。それには同意できる。
「それで隠し部屋まで行くのか? そういうことなら俺たちも着いていこうか。別に1階なら危険もないだろうが、俺たちもあそこはちょっとな、思うところがある」
どうしても子供を連れて塔を上り、子供を失い、そうして行方知れずになってしまった女性のことはあのゴーストと重なってしまってつらいのだ。自分たちがどうこうできる時代の話でもないのだが、墓参のようなものだと思うとそれに付き合うことは悪くないことのように思えた。
そこからは簡単だ。ラットが彼らを前に挑んでくるなどということはありえないので、そのまま隠し部屋まで進み、フリアが仕掛けを操作して扉を開く。全員が入るとこの扉が閉じるらしいのだが、今回はどういう判定になるのだろう。このメンバーでゴースト1体に苦戦するとも思えないので、特に気にせずに乗り込んでいいのかもしれない。念のためフェリクスとカリーナは魔法を用意、そしてこちらも念のため通路にフリアが残り、エディとクリスト、ヴァイオラがステラの護衛だ。オオカミたちは好きにするといいだろうと見ていると、ステラについてそのまま部屋の中へ入っていってしまった。
ステラは背負っていたリュックを下ろし、それを開けて中から花束を取り出した。白い花、6階で見たものによく似ているように見える。
「これはキンセンカといって、えっと、森の中でも見ることができるのです。それでえーっと、6階のイスに置いてあった花に似ているので、これにしました」
そう言うと手に持った花束を台座の下、碑文の書かれていた辺りに置く。そこに書かれた文字を読んだときにゴーストが出現したのだが、警戒しているクリストたちの前でも特に変化は起きはしなかった。ステラが手を合わせて祈りをささげている隣で、ヴァイオラも腰の剣にかけていた手を離し、胸の前で組み、祈りをささげ始める。釣られるようにエディもクリストも目礼をささげた。警戒は、まあオオカミたちがやってくれるだろう。
「あ、」
声を上げたのは誰だろうか。
目を開けたクリストの前で女性の像からふわりと白い影のようなものが現れ、それは台座に置かれた花束に手を伸ばす。ゴーストか、と一瞬思ったものの、魔物の気配のようなものはまったく感じさせず、そしてその白い影は彼らの方をまったく気にしていないようだった。白い手に花束が抱かれ、そのまま宙に浮かんでいく。白い影は花束を抱いたまま上へと上がっていき、空気に溶けるようにして消えていった。
「像が、」
そう声を上げたのは誰だだろうか。
白い影が完全に抜けきった像は、すでに女性の形をしてはいなかった。人の形をしてはいるがその造形ははっきりとはしておらず、大人の男のようではあったがそうとも言い切れず、年寄りのようにも見え、もしかしたら女かもとも見え、もとの女性の像の面影などどこにもなかった。
「消えた、な。どうやらこれで正しかったらしい」
この像を見て消息不明となった女性を思い起こすことはもうないだろう。
「良かったみたいですね。どういう仕組みかとか、全然分からないですけれど、きっとこれで良かったんですよ」
恐らくステラの言うとおりなのだろう。そう思って視線をまだしゃがんでいるステラの方、下へと向けると、台座の手前に何か落ちていることに気がついた。
「何だ? 何か落ちていないか?」
「え、何でしょう。あ、これ、指輪、ですね。うーん、ボロボロです」
のぞき込んで見てみても確かに傷だらけ、さびだらけでもう廃棄するしかないというような状態の指輪だった。輪は太くはない。女性用だろうか。
「うーん、と。気になるので、そのもう一つのところも行ってみましょうか」
そういうとステラが立ち上がる。オオカミたちがわっふわっふとその周りをぐるぐると周り、それから部屋を出ていく。ステラとヴァイオラがそれに続くようにして部屋を出るのでクリストたちも続いた。
「どうするんだ?」
「あ、はい、見てみたかったのでギルドから何でしたっけ、ディテクト・マジックが使えるっていう杖を借りてきているのです」
「あああったな、そんなの。ただその先はさすがに危ないぞ。魔法が使えないしな」
「え、使えない? まったくですか?」
「ああ。詠唱が必要な魔法は駄目なようだ。幸い道具は全部使えたんでね、結局それで押し切ったんだが」
「おー、さすがですね。だって道具っていってもそんなにないですよね?」
「いや十分だぞ。さすがに下層で出た魔道具はすげーよ。便利すぎて感覚が鈍らないかの方が心配になるくらいだ」
そんなことを言っているうちに目的地に到着した。クリストたちにとっては今日2回目のディテクト・マジックが必要な場所だ。道具に頼るまでもなくカリーナがディテクト・マジックを使って通路を開く。そして念のためこの場所でシールドとメイジ・アーマーを使用しておく。これが通路の向こう側でも維持できるのなら戦術の幅も広がることになるのだが。
「さーて、この先も行くのなら俺たちが先行する。で、魔物はスペクターとレイスだけなんだが、怖いのはレイスだけだな。そこまで先導するぞ」
「はい、お願いします。では行きましょう」
前回と同じようにフリアが先行して通路へ入る。クリストたちもそれに続いた。
「ああ、駄目ね。シールドが解けている。メイジ・アーマーも。つまり魔法は事前だろうが事後だろうがなしっていうことなのね」
「これは困るね。レイス、どうするんだい」
「さあて、どうするか。極端な話、フォース・ビードで止めて抜けるができればそれでいいんだが。無理なようなら基本的には俺たちで周りからつつき回すってことだな」
前回はマジック・ミサイルとファイアー・ボールが使えた。だが今回はそれはなし。その代わり戦力としてはヴァイオラとオオカミ2頭がいるのだが。
「悩んでいるところなんだけど、見て、いないよ」
クリストたちが頭を付き合わせてレイス戦の相談をしている横で、イーグル・アイを使って周囲を偵察していたフリアが告げる。
ここでようやく周囲を観察しはじめたクリストたちにもその変化が分かった。
まず前回ここからすでに見えていたスペクターがいない。そしてその向こうにかすかに見えていたレイスもいない。理由は分からない。自分たちが倒したばかりだからかもしれないが、とにかくこれは幸運だ。そしてもう一つ、水面に浮かぶ葉の上に、花のつぼみのようなものが伸びていた。これは前回はなかったはずだ。完全に思い出せるわけではないが、一度も花のつぼみを見てはいないのではなかっただろうか。
「どうされました?」
「いや、魔物がいない。それと、花のつぼみか? これもさっきはなかったはずだ」
ステラの問いかけに答える。この変化が何によるものなのかは分からない。可能性があるとすれば先ほどのゴーストのところなのだが。
「花ですか。これ、ハスの花ですよね。この葉、茎が高く上がっているのもあるから睡蓮ではなくて、花が茎の先端に付いているから、たぶんハスでしょう」
「この植物はハスっていうのか?」
「そうですよ。花が咲くのは7月とか8月とかだった気がしますが、えっと、花も実も茎も、あと根っこも食べられますね。特に根っこはおいしいです。実の部分は薬にもなったかな」
ステラは意外なことにこういったことに詳しかった。食べられて薬にもなるのなら収穫していくこともありなのだろうが、今回はそこまではしなくてもいいだろう。前回の地図を頼りに魔法円に次々に入って先へ進む。何度も何度も何度も何度も魔法円に入って、ようやくレイスがいた部屋の前へとたどり着いた。すでに鉄の門は開かれ、部屋の奥にある小さな祭壇が見えていた。さっさと部屋へと入っていったオオカミたちがふんふんと祭壇を嗅いでいる。何か匂うのか、単に気にしているだけか。
最後にヴァイオラとともに部屋に入ってきたステラが祭壇の前でまたリュックを下ろすと、中からもう一つ花束を取り出した。念のため3つ持ってきているのだという。何のための念のためかは分からないが今回は役に立ったということだ。その花を祭壇に置き、そして先ほどゴーストのところで手に入れていたボロボロの指輪もそこに置いた。
「何となくですよ、何となくつながっていそうじゃないですか。同じ1階だし。ここもアンデッドでしょう? 何となく、ですね」
そう言って手を合わせここでも祈りをささげる。今回はオオカミたちも近くに腰を下ろして祭壇の方を見ている。ヴァイオラもすでにステラの背後で立ったままだが手を合わせていた。クリストたちもそれに釣られて一様に祈りをささげる。もしかしたら女性の霊はこちらにも来ているかもしれないし、一緒に塔を上ったうちの誰かがいるかもしれないし、それこそもしかしたら失ったという子供の霊がここにいるかもしれない。そういう想像がされたからだ。
パキン、という乾いた音が聞こえた。
目を開けると祭壇に斜めにひびが入っている。先ほどまではなかったはずだ。このダンジョンにあるものが、こういう反応を返すということはこれで正しかったのかもしれない。すでにレイスは倒してしまっている。レイスが召喚したスペクターも倒してしまっている。もしあれが彼らの内の誰かだとしたら申し訳なかった。どうかこれで、少しは慰められてほしい。もう現れることがないように願う。そういう気持ちだ。
祈り終えたステラが手を下ろし祭壇を見る。
「花束も指輪も、ありませんね。これで良かったみたいです」
そうか。指輪も消えたのか。だとしたら女性か、それとも子供か。ここに来ていた霊もこれで慰められたことだろう。これで良かったのだ。
クリストたちはここでやるべきことは終わったと判断し、祭壇の後ろにある魔法円へと移動する。その魔法円に全員が乗った時、今度はバキンという少し大きい音がして祭壇が割れて崩れるところが目に入った。
少し離れた場所にある別の通路の魔法円に全員が転移する。周囲の空気が少しもやがかかったようになっていた。だがそれは気持ちが悪くなるようなものではなく、少し霧が出てきたかな、もやがかかっているなという、そう、朝の空気のようだった。
どこかでポンという音がした。
ポン、ポン、ポポン。
辺りを見渡すと、あちらこちらでつぼみが開き、桃色の大きな花が開いている。
ポン。
ポポポポポン。
一面でハスの花が開いていく。
ふと視線を上げると、霧の向こうの祭壇があった辺りに人影のようなものが見えた。大人のような背丈の影と、小さな子供のような背丈の影。それが互いに近づいて、そして抱き合ったように見えた。その先はもう霧が濃くなって見えない。
クリストたちはそれ以上振り返ることはせず、時折聞こえるハスの花の開くポンという音を聞きながら出口を目指した。
「これで良かったんだよな」
「そう思いますよ。気のせいと言われたらそれまでなのですが、どうしても気になっていましたから。思い過ごしだと言われたら、自己満足だと言われたらそれまでなのですが、良かったと思います」
下から上を目指した彼ら、子供を失った女性、ゴースト、レイスに召喚されるスペクター。それはもちろん気のせいだ。気になるように配置されただけの良くある演出の一つだ。だがそれでも、気にはなってしまうのだ。それがこれで一つ区切りが付く。気持ちの整理ができた、そういう話だ。
クリストたちはそのまま全員そろって地上へ戻り、ギルドに行く。地上の天気は晴れ。彼らの気持ちにちょうど合っていた。明日にはステラたちも10階に下りるという。そういえばステラは王都の学園に行っているのではなかったのか。なぜいるのだろう。しかもヴァイオラは承知していますと言わんばかりの付き従い方だったがそれでいいのか。学園はどうした。
そうしてクリストたちは戦果をギルドに預け、休息の時間だ。今日は無駄な時間がなかった。レイスのエリアはなかなか興味深い場所だったし、そのあとのステラ一行との行動も面白かったと言っていい。探索の行程としては1フロアの半分程度を主に移動しただけの短いものだが、それでも満足度は高かったと言っていい。
ちなみに発見物の鑑定結果もどれも良いものだった。
レジスタンス・ポーション。飲んでから1時間、冷気ダメージに対する抵抗を得るというもの。使いどころを考えなければならないが、間違いなく価値の高いものだ。これはギルドで取り扱うことになる。
プロテクション・リング。着用している間アーマークラスに+1のボーナスを得るというもの。それ以外に一切の説明がない。ということはそれだけの効果でそれ以外の一切を気にする必要がないということで、そうなるとクリストかフリアか、誰かが持っていていいものだろう。アーマークラスの説明はルーナに聞いた。これは欲しいものだった。
ブラッドウェル・ヴァイアル。小さな空き瓶にしか見えないそれは、ソーサラーのみが使用できる道具で、中に自身の血を一滴いれることで効果を発揮するのだという。所持しているだけで魔力の回復効果があり、そして呪文の効果にボーナスが得られるのだ。どう考えてもカリーナが使うべきだろう。
最後に(戦の声援:バードスキル)・ホーン。その音色を聞いた者は攻撃時にボーナスが得られるのだという。その効果は命中率やダメージ量に及ぶのだそうだ。ただ使用にはバードが同調する必要があるということで、クリストたちには不要なものだし、もっと言うと自分たちが知っているバードがこれを使えるのかといったらだいぶ疑問ではあった。
とにかくこれが今回の成果だ。プロテクション・リングとブラッドウェル・ヴァイアルは使わせてもらうことになった。これから有効に使わせてもらおう。何しろこれで目的は達成されたのだ。金属板は5枚そろった。これで次に挑むのは門前の魔物になる。今日のところはゆっくり休ませてもらって、そうして次は10階でルーナにあの魔物、ドラコリッチとの戦い方を問うのだ。
「ん、足音。というかこれはもしかしてオオカミかな?」
「オオカミ? ってことはセルバ家か?」
「かも。ちょっと待つ」
まあセルバ家がここに来るのはおかしな話ではない。ダンジョンのあるノッテの地はセルバ家のもので、そして10階までの昇降機の鍵もすでに受け取っている。もしかしたら確保した場所に何かするつもりでいるのかもしれなかった。とりあえずクリストたちからすれば雇用主だ。ここであいさつをすることに何の問題もない。
すぐに複数人の足音と、石に爪のあたるチャッチャッという軽い音が大きくなる。交差点に真っ先に現れたのは灰褐色の大きなオオカミだった。すでにこちらのことには気がついていたのだろう。ちらりと見るとその場でくるくると回って後ろを気にしている。続いて現れたのは森の番人を務めるというヴァイオラ、さらに続いて隣にもう一頭のオオカミ、白いオオカミを連れた子供。ステラだった。
「あれ、皆さん1階でしたか。そういえば何かやることがあるって」
真っ先に声をかけてきたのはそのステラで白いオオカミの首筋をもみながらこちらに問うてくる。ステラがここにいるのもそうおかしなことではない。というか6階には行っていた。それに護衛役としてヴァイオラとオオカミが2頭いるのだから何の問題もないのだろう。ヴァイオラも白い布地の服に茶色味がかった緑の胸当てと腰当てを付けた、いわゆるガーブと呼ばれる軽装鎧を身につけ、剣と弓を装備している。オオカミが強いことは何度も聞き及んでいて、もしかしたらこのメンバーだけでも独力で5階程度までは余裕で行けそうだななどと考えてしまう。
「まあな、今終わって戻ってきたところだ。今日はここまでだよ」
「あ、そうなんですね。どうでした?」
「まあ細かい報告は戻ってギルドでってことになるが、あれは一応アンデッドのエリアってことでいいのか? 魔法円での移動だらけで良く分からんところだったな」
「へえ、魔法円の移動ですか。面白そうですね」
「面白いは面白いんだが。で、そっちは何だ? 10階か?」
「いえ、今アーシア叔母様が行っていて、私が10階は次かなって。今日は1階で気になったことがあるので」
10階での作業はアーシアが一人で行っているらしい。それ以外の別宅組が全員そろって1階というのは単にステラの安全のためだと考えられる。フリアがしゃがんで灰褐色の方のオオカミをなで回し始めたのでここで話していてもいいのだろう。とりあえず聞いておくことにした。
「1階ってのは何かあるのか? 俺たちもこれで全部回ったことになるんだが」
「そうですね、報告は見ました。それでヴァイオラさんが下で聞いてきたことが気になって」
「そんな気になるような話があったかな。1階でだよね」
「はい。1階の、そのゴーストのところですね。何ていうか、冒険者のために用意したものにしては少し変ですよね」
確かに変は変だろうが、ゴーストという魔物が出ること自体はそうおかしなことではない。1階では強すぎると言えばそうだが、特別に配置したと言われたらそれまでだろう。それに塔を上ったという彼らの物語とも、明確に示されたわけではないがあの女性像はある程度一致している。下で聞いてきたというヴァイオラがここで口を挟んだ。
「私も少し気になりましたから。ルーナ様に聞いたのですよ。あれはそうかと」
「それはまたはっきり聞いたな。何となくそっとしておきたいことだったんだが」
「そうですね。皆さんは実際に経験されましたからそうなのかもしれません。ただ私は報告を見ただけですから。返事は、彼女がどうなったのかは”分からない”そうです。それに対してあの像はその象徴として置かれたのかという問いには”違う”と答えました。そもそもあれは女性の像ではなかったようですね」
どうなったのかは分からないというその解答は自分たちも得ていた。聞き方は多少違うだろうが、彼らの結果は分からないということでいい。それで確定なのだ。ただあの像があの女性の象徴ではないということは少し意外だった。どう考えてもイメージが一致しているのだが。
「違うってのは意外だな。女性の像で、子供を抱いていてもおかしくないような姿をしていたんだが」
「そのようですね。ただあの隠し部屋自体、ゴーストの配置も正しいようなのですが、それが女性の像、女性のゴーストであるということは違うようですよ」
「そこで私は考えました。きっとそこにゴースト発生の仕組みはあるのですよ。でもそれは女性とは一致していないはずだった。ただ何かの問題でそこに女性がすぽっとはまってしまうかなにかしているのではないかと。そうしたら私ができることって一つかなって」「できることって何だ?」
「お参りです。事実を知ってしまった以上、私ができることはその霊を慰めることくらいでしょう」
ステラは何を言っているのか。お参りというのは聞いているとどうも墓参のようなことをイメージしているようだった。あの像に女性が捕らわれているのならそれを慰めるためにお参りするのだと。何を言っているのか、だ。ただやりたいことは分かった。要するにかわいそうだと思ってしまったということだろう。それには同意できる。
「それで隠し部屋まで行くのか? そういうことなら俺たちも着いていこうか。別に1階なら危険もないだろうが、俺たちもあそこはちょっとな、思うところがある」
どうしても子供を連れて塔を上り、子供を失い、そうして行方知れずになってしまった女性のことはあのゴーストと重なってしまってつらいのだ。自分たちがどうこうできる時代の話でもないのだが、墓参のようなものだと思うとそれに付き合うことは悪くないことのように思えた。
そこからは簡単だ。ラットが彼らを前に挑んでくるなどということはありえないので、そのまま隠し部屋まで進み、フリアが仕掛けを操作して扉を開く。全員が入るとこの扉が閉じるらしいのだが、今回はどういう判定になるのだろう。このメンバーでゴースト1体に苦戦するとも思えないので、特に気にせずに乗り込んでいいのかもしれない。念のためフェリクスとカリーナは魔法を用意、そしてこちらも念のため通路にフリアが残り、エディとクリスト、ヴァイオラがステラの護衛だ。オオカミたちは好きにするといいだろうと見ていると、ステラについてそのまま部屋の中へ入っていってしまった。
ステラは背負っていたリュックを下ろし、それを開けて中から花束を取り出した。白い花、6階で見たものによく似ているように見える。
「これはキンセンカといって、えっと、森の中でも見ることができるのです。それでえーっと、6階のイスに置いてあった花に似ているので、これにしました」
そう言うと手に持った花束を台座の下、碑文の書かれていた辺りに置く。そこに書かれた文字を読んだときにゴーストが出現したのだが、警戒しているクリストたちの前でも特に変化は起きはしなかった。ステラが手を合わせて祈りをささげている隣で、ヴァイオラも腰の剣にかけていた手を離し、胸の前で組み、祈りをささげ始める。釣られるようにエディもクリストも目礼をささげた。警戒は、まあオオカミたちがやってくれるだろう。
「あ、」
声を上げたのは誰だろうか。
目を開けたクリストの前で女性の像からふわりと白い影のようなものが現れ、それは台座に置かれた花束に手を伸ばす。ゴーストか、と一瞬思ったものの、魔物の気配のようなものはまったく感じさせず、そしてその白い影は彼らの方をまったく気にしていないようだった。白い手に花束が抱かれ、そのまま宙に浮かんでいく。白い影は花束を抱いたまま上へと上がっていき、空気に溶けるようにして消えていった。
「像が、」
そう声を上げたのは誰だだろうか。
白い影が完全に抜けきった像は、すでに女性の形をしてはいなかった。人の形をしてはいるがその造形ははっきりとはしておらず、大人の男のようではあったがそうとも言い切れず、年寄りのようにも見え、もしかしたら女かもとも見え、もとの女性の像の面影などどこにもなかった。
「消えた、な。どうやらこれで正しかったらしい」
この像を見て消息不明となった女性を思い起こすことはもうないだろう。
「良かったみたいですね。どういう仕組みかとか、全然分からないですけれど、きっとこれで良かったんですよ」
恐らくステラの言うとおりなのだろう。そう思って視線をまだしゃがんでいるステラの方、下へと向けると、台座の手前に何か落ちていることに気がついた。
「何だ? 何か落ちていないか?」
「え、何でしょう。あ、これ、指輪、ですね。うーん、ボロボロです」
のぞき込んで見てみても確かに傷だらけ、さびだらけでもう廃棄するしかないというような状態の指輪だった。輪は太くはない。女性用だろうか。
「うーん、と。気になるので、そのもう一つのところも行ってみましょうか」
そういうとステラが立ち上がる。オオカミたちがわっふわっふとその周りをぐるぐると周り、それから部屋を出ていく。ステラとヴァイオラがそれに続くようにして部屋を出るのでクリストたちも続いた。
「どうするんだ?」
「あ、はい、見てみたかったのでギルドから何でしたっけ、ディテクト・マジックが使えるっていう杖を借りてきているのです」
「あああったな、そんなの。ただその先はさすがに危ないぞ。魔法が使えないしな」
「え、使えない? まったくですか?」
「ああ。詠唱が必要な魔法は駄目なようだ。幸い道具は全部使えたんでね、結局それで押し切ったんだが」
「おー、さすがですね。だって道具っていってもそんなにないですよね?」
「いや十分だぞ。さすがに下層で出た魔道具はすげーよ。便利すぎて感覚が鈍らないかの方が心配になるくらいだ」
そんなことを言っているうちに目的地に到着した。クリストたちにとっては今日2回目のディテクト・マジックが必要な場所だ。道具に頼るまでもなくカリーナがディテクト・マジックを使って通路を開く。そして念のためこの場所でシールドとメイジ・アーマーを使用しておく。これが通路の向こう側でも維持できるのなら戦術の幅も広がることになるのだが。
「さーて、この先も行くのなら俺たちが先行する。で、魔物はスペクターとレイスだけなんだが、怖いのはレイスだけだな。そこまで先導するぞ」
「はい、お願いします。では行きましょう」
前回と同じようにフリアが先行して通路へ入る。クリストたちもそれに続いた。
「ああ、駄目ね。シールドが解けている。メイジ・アーマーも。つまり魔法は事前だろうが事後だろうがなしっていうことなのね」
「これは困るね。レイス、どうするんだい」
「さあて、どうするか。極端な話、フォース・ビードで止めて抜けるができればそれでいいんだが。無理なようなら基本的には俺たちで周りからつつき回すってことだな」
前回はマジック・ミサイルとファイアー・ボールが使えた。だが今回はそれはなし。その代わり戦力としてはヴァイオラとオオカミ2頭がいるのだが。
「悩んでいるところなんだけど、見て、いないよ」
クリストたちが頭を付き合わせてレイス戦の相談をしている横で、イーグル・アイを使って周囲を偵察していたフリアが告げる。
ここでようやく周囲を観察しはじめたクリストたちにもその変化が分かった。
まず前回ここからすでに見えていたスペクターがいない。そしてその向こうにかすかに見えていたレイスもいない。理由は分からない。自分たちが倒したばかりだからかもしれないが、とにかくこれは幸運だ。そしてもう一つ、水面に浮かぶ葉の上に、花のつぼみのようなものが伸びていた。これは前回はなかったはずだ。完全に思い出せるわけではないが、一度も花のつぼみを見てはいないのではなかっただろうか。
「どうされました?」
「いや、魔物がいない。それと、花のつぼみか? これもさっきはなかったはずだ」
ステラの問いかけに答える。この変化が何によるものなのかは分からない。可能性があるとすれば先ほどのゴーストのところなのだが。
「花ですか。これ、ハスの花ですよね。この葉、茎が高く上がっているのもあるから睡蓮ではなくて、花が茎の先端に付いているから、たぶんハスでしょう」
「この植物はハスっていうのか?」
「そうですよ。花が咲くのは7月とか8月とかだった気がしますが、えっと、花も実も茎も、あと根っこも食べられますね。特に根っこはおいしいです。実の部分は薬にもなったかな」
ステラは意外なことにこういったことに詳しかった。食べられて薬にもなるのなら収穫していくこともありなのだろうが、今回はそこまではしなくてもいいだろう。前回の地図を頼りに魔法円に次々に入って先へ進む。何度も何度も何度も何度も魔法円に入って、ようやくレイスがいた部屋の前へとたどり着いた。すでに鉄の門は開かれ、部屋の奥にある小さな祭壇が見えていた。さっさと部屋へと入っていったオオカミたちがふんふんと祭壇を嗅いでいる。何か匂うのか、単に気にしているだけか。
最後にヴァイオラとともに部屋に入ってきたステラが祭壇の前でまたリュックを下ろすと、中からもう一つ花束を取り出した。念のため3つ持ってきているのだという。何のための念のためかは分からないが今回は役に立ったということだ。その花を祭壇に置き、そして先ほどゴーストのところで手に入れていたボロボロの指輪もそこに置いた。
「何となくですよ、何となくつながっていそうじゃないですか。同じ1階だし。ここもアンデッドでしょう? 何となく、ですね」
そう言って手を合わせここでも祈りをささげる。今回はオオカミたちも近くに腰を下ろして祭壇の方を見ている。ヴァイオラもすでにステラの背後で立ったままだが手を合わせていた。クリストたちもそれに釣られて一様に祈りをささげる。もしかしたら女性の霊はこちらにも来ているかもしれないし、一緒に塔を上ったうちの誰かがいるかもしれないし、それこそもしかしたら失ったという子供の霊がここにいるかもしれない。そういう想像がされたからだ。
パキン、という乾いた音が聞こえた。
目を開けると祭壇に斜めにひびが入っている。先ほどまではなかったはずだ。このダンジョンにあるものが、こういう反応を返すということはこれで正しかったのかもしれない。すでにレイスは倒してしまっている。レイスが召喚したスペクターも倒してしまっている。もしあれが彼らの内の誰かだとしたら申し訳なかった。どうかこれで、少しは慰められてほしい。もう現れることがないように願う。そういう気持ちだ。
祈り終えたステラが手を下ろし祭壇を見る。
「花束も指輪も、ありませんね。これで良かったみたいです」
そうか。指輪も消えたのか。だとしたら女性か、それとも子供か。ここに来ていた霊もこれで慰められたことだろう。これで良かったのだ。
クリストたちはここでやるべきことは終わったと判断し、祭壇の後ろにある魔法円へと移動する。その魔法円に全員が乗った時、今度はバキンという少し大きい音がして祭壇が割れて崩れるところが目に入った。
少し離れた場所にある別の通路の魔法円に全員が転移する。周囲の空気が少しもやがかかったようになっていた。だがそれは気持ちが悪くなるようなものではなく、少し霧が出てきたかな、もやがかかっているなという、そう、朝の空気のようだった。
どこかでポンという音がした。
ポン、ポン、ポポン。
辺りを見渡すと、あちらこちらでつぼみが開き、桃色の大きな花が開いている。
ポン。
ポポポポポン。
一面でハスの花が開いていく。
ふと視線を上げると、霧の向こうの祭壇があった辺りに人影のようなものが見えた。大人のような背丈の影と、小さな子供のような背丈の影。それが互いに近づいて、そして抱き合ったように見えた。その先はもう霧が濃くなって見えない。
クリストたちはそれ以上振り返ることはせず、時折聞こえるハスの花の開くポンという音を聞きながら出口を目指した。
「これで良かったんだよな」
「そう思いますよ。気のせいと言われたらそれまでなのですが、どうしても気になっていましたから。思い過ごしだと言われたら、自己満足だと言われたらそれまでなのですが、良かったと思います」
下から上を目指した彼ら、子供を失った女性、ゴースト、レイスに召喚されるスペクター。それはもちろん気のせいだ。気になるように配置されただけの良くある演出の一つだ。だがそれでも、気にはなってしまうのだ。それがこれで一つ区切りが付く。気持ちの整理ができた、そういう話だ。
クリストたちはそのまま全員そろって地上へ戻り、ギルドに行く。地上の天気は晴れ。彼らの気持ちにちょうど合っていた。明日にはステラたちも10階に下りるという。そういえばステラは王都の学園に行っているのではなかったのか。なぜいるのだろう。しかもヴァイオラは承知していますと言わんばかりの付き従い方だったがそれでいいのか。学園はどうした。
そうしてクリストたちは戦果をギルドに預け、休息の時間だ。今日は無駄な時間がなかった。レイスのエリアはなかなか興味深い場所だったし、そのあとのステラ一行との行動も面白かったと言っていい。探索の行程としては1フロアの半分程度を主に移動しただけの短いものだが、それでも満足度は高かったと言っていい。
ちなみに発見物の鑑定結果もどれも良いものだった。
レジスタンス・ポーション。飲んでから1時間、冷気ダメージに対する抵抗を得るというもの。使いどころを考えなければならないが、間違いなく価値の高いものだ。これはギルドで取り扱うことになる。
プロテクション・リング。着用している間アーマークラスに+1のボーナスを得るというもの。それ以外に一切の説明がない。ということはそれだけの効果でそれ以外の一切を気にする必要がないということで、そうなるとクリストかフリアか、誰かが持っていていいものだろう。アーマークラスの説明はルーナに聞いた。これは欲しいものだった。
ブラッドウェル・ヴァイアル。小さな空き瓶にしか見えないそれは、ソーサラーのみが使用できる道具で、中に自身の血を一滴いれることで効果を発揮するのだという。所持しているだけで魔力の回復効果があり、そして呪文の効果にボーナスが得られるのだ。どう考えてもカリーナが使うべきだろう。
最後に(戦の声援:バードスキル)・ホーン。その音色を聞いた者は攻撃時にボーナスが得られるのだという。その効果は命中率やダメージ量に及ぶのだそうだ。ただ使用にはバードが同調する必要があるということで、クリストたちには不要なものだし、もっと言うと自分たちが知っているバードがこれを使えるのかといったらだいぶ疑問ではあった。
とにかくこれが今回の成果だ。プロテクション・リングとブラッドウェル・ヴァイアルは使わせてもらうことになった。これから有効に使わせてもらおう。何しろこれで目的は達成されたのだ。金属板は5枚そろった。これで次に挑むのは門前の魔物になる。今日のところはゆっくり休ませてもらって、そうして次は10階でルーナにあの魔物、ドラコリッチとの戦い方を問うのだ。
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