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1章
1-23
しおりを挟む俺の隣に座って美味しそうに焼き鳥を頬張る少年をちらりと見やる。
やっぱり耳が長い。
俺の世界のファンタジーの鉄板で耳長といえばエルフだ。初めて見るエルフにドキドキと胸が高鳴る。
「ねぇ、君ってもしかしてエルフ?」
「ん、そうだよ。エルフが珍しい?」
機嫌を損ねたらどうしようかと思ったが、そんなことはなかったようで安心した。
しかしこの子がエルフだとしたらきっと長寿で見た目より年上なんだろう。
見た目は12歳ぐらいの少年だけどきっともっと歳を取ってるに違いない。いくつぐらいなんだろう?
そんなことを考えながら串焼きを食べ終えると、丁度少年も食べ終えたようだった。
「ねぇ、名前なんていうの?」
「アキラだよ。君は?」
「僕はニルーヴァ。よろしくねアキラ」
えへへ、と笑って手を差し出されたのでそれを握って思わずこっちも笑顔になる。
こっちに来て初めての同年代?の友達だ。
ニルーヴァとお互いのことを話し合う。
彼はエルフの国からこちらの国に来たばかりで日が浅く、友達になってくれる優しい人間を探していたそうだ。
俺は記憶喪失で情報を求めて王都に向かっていると言うと、気の毒そうな顔をされた。
記憶喪失というのは嘘だから良い人を騙しているようで申し訳なくなる。
さりげなく年齢の話を持ち出すと、彼は15になったばかりだそうだ。転生後の俺の年齢の一つ下で親近感が湧く。
そのまま意気投合して二人でぶらぶらしていると、向こうから息を切らした様子のエドウィンさんが走ってきた。
「アキラ君!一人でどこか行ったら危ないじゃないか」
「一人じゃないから大丈夫だよ」
ね?とニルーヴァを見る。
彼は自信満々にこくりと頷いた。
「友達ができたのかい?こんにちは、俺はエドウィン。アキラと旅をしているんだ」
「ニルーヴァです、よろしくお願いします」
ニルーヴァは深々と頭を下げる。
「しかしこの国でエルフとは珍しいね。いないわけじゃないけど…エルフはこの国より隣のトルウベリ国の方が過ごしやすいんじゃないかな」
どういうことかと聞いてみると、隣のトルウベリ国はエルフや獣人、はたまた魔族やもちろん人間もたくさんいてそれぞれの種族が手と手を取り合って過ごしているらしい。
その点この国、クロルバ王国は人間が治める国で、エルフに対しての理解はあまり進んでいないそうだ。
そんなことを話していると、唐突にニルーヴァが王都に一緒に行きたいと言い出した。初めて出来た友達と離れたくないと言った。
エドウィンさんは少し悩んでいたが、一人立ちしたエルフなら魔法の腕も確かだろうと了承した。
同年代の友達と一緒に行くことが決まり、俺も嬉しかった。
その後宿に向かうと、不貞腐れた顔のルディが待っていた。どうやらどっちが俺と泊まるかの言い争いで負けたらしい。
ニルーヴァが一緒に来ることになったと伝えると、すごく喜んでいた。
「エルフが同行するなんて、こりゃ夜の相手には困らないな」
「ちょっと。僕の友達に変なことしたら許さないよ」
不穏なことを言うルディにクギを刺すも、何やら妙な雰囲気だ。ニルーヴァは頰を赤らめそわそわと落ち着かない様子。
「ああそっか、アキラは記憶喪失だから知らないのか。いいか?エルフってのは他人の精液を取り込んで体内で生命エネルギーに変換する生き物だから同意があれば襲い放題なんだよ」
「…は?」
そんなご都合主義あってもいいのか?
信じられなくてニルーヴァを見るも、彼は恥ずかしそうにこくりと頷いた。
「まぁでもこの国じゃエルフに人権ないって言わんばかりに無理やり襲う奴もあとが立たないって聞くけどな。俺はそんなことしないけどさ」
「あの、まだ慣れてなくて…お手柔らかにお願いします」
ぼそぼそと話すニルーヴァをよそ目に、同意を得たと言わんばかりにルディはガッツポーズをするのだった。
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