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1章
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しおりを挟む俺たちは次の町、デリジャンの町に訪れていた。ここは王都に一番近い町で、そこそこ大きく行商で栄えている町らしい。
なんと言っても一番の目玉は街中に存在しているダンジョンだ。
この町の中には二つのダンジョンが東と西に存在し、そこを覆うように町が作られたという話だそうだ。
ダンジョン、と聞いてファンタジー好きの俺としては胸が高鳴る。
しかしダンジョンに入れるのはDランク冒険者からで、未だにEランク冒険者の俺はダンジョンに入れないと分かり項垂れた。
「王都行きは急いでいるわけじゃないから…アキラ君さえよければここでしばらくランク上げしようか?」
「いいんですか…!?ぜひっ!」
エドウィンさんの言葉に食い付きエドウィンさんの手を握ると、微笑ましいものを見るように笑われた。
デリジャンの町には流石に栄えているだけあっていくつかの宿があり、冒険者が泊まる宿、観光客が泊まる宿、行商人が泊まる宿とあるらしい。
グレードもピンからキリだが、あまり安い宿を選ぶと防犯がキッチリしていなくて空き巣にあったり寝ている間に侵入されて犯されたりするそうだ。
そんなことは絶対にごめんだ!と、エドウィンさんにお願いして防犯のキッチリしている宿を選んでもらった。
そこで揉めたのが部屋割りだ。
二人部屋だったため二つ部屋を取ることになったのだが…。
「俺だってアキラと一緒に寝たい!エドだってアキラと一緒に寝たことあるんだろ?」
「お前に任せたらアキラ君がどんな目に遭わされるか分かったもんじゃない。それに何かあった時Bランク冒険者の俺の方がアキラ君を守れる」
「俺はCランクだけど人との殴り合いなら俺の方が強い!」
いい大人が二人して言い合いを始めたので、仲間だと思われたくなくてそそくさとその場を去った。ほとぼりが冷めた頃に戻ってこよう。
一人で生産ギルドに向かい、ここまでの道中錬金で作ったポーションを卸した。
今回作ったのは鮮やかな青色をしているマナポーション。飲むとMPを回復する魔法使いには必須のポーションだ。
等級はもちろん特急。
初級のマナポーションとはいえ、それはいくらあっても足りないもので大変喜ばれた。
着々と資金がたまっていく。
そろそろ自分の物を何か買ってもよさそうだ。
と、言ってもこの世界には娯楽という娯楽はなく、体と服にはクリーンという汚れを落とす生活魔法を使うので服なんかも必要ない。
選ぶなら食べ物ぐらいか。
しばらくこの町に滞在する予定だし、日持ちしなくても美味しそうな食べ物を買ってみよう。
市場をうろうろしていると、流石に活気のある街だけあって色んな屋台が出ていた。
ほとんどが肉のようだ。
何か買ってみようか。
そのうちの一つの屋台に目をつけ、近付く。
鳥の肉を串に刺して焼いているようだ。
この匂いはタレかな?
「すみません、一つください」
「はいよ!200ガルだよ」
ポケットから銅貨2枚を取り出すと、1枚をぽろっと取りこぼしてチャリン、と地面に落としてしまった。
慌てて拾おうとすると、誰かが俺より先に銅貨を拾ってくれた。
「はい、どうぞ」
にこっと笑ったその子は金の髪を結って橙の瞳をした耳の長い少年だった。今の俺より3つほど年下に見えた。
「ありがとう」
こちらもにこっと笑い返して屋台の店主に銅貨4枚を渡す。
「おじさん、やっぱり二本ください」
「はいよ!」
俺の意図を汲み取った店主はにかっと笑った。
「はい、拾ってくれたお礼」
そう言って串焼きを一つ男の子に渡すと、その子は大きな目をきょとん、とさせて俺を見た。
「え、お金拾っただけなのに。いいの?」
「うん、一緒に食べよう」
「ありがとう!」
男の子は串焼きを受け取り、にこっと愛らしい笑顔で笑った。
二人でベンチに腰掛け串焼きを食べる。
日本のタレの焼き鳥によく似た味がした。
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