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2章
2-12
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「ところでお前…いつの間にまた合鍵を作った?鍵を変えたばかりだというのに」
その言葉にクライヴはにこっと笑って答えない。
こういうところも嫌だとこの前クリストフが愚痴っていた。
「せっかく仕事の合間に兄さんに会いに来たのに気分が台無しだ。また後で来る、兄さん」
「来なくていい」
「あっ、待ってクライヴ!」
俺の制止を無視して出て行こうとするクライヴ。慌ててクリストフに助けを求めると、眉をひそめてため息を吐いた。
「待てクライヴ」
「何、兄さん」
クライヴは名前を呼ばれて嬉しそうに振り返る。俺の時とはとんでもない違いだ。
「ニルーヴァというエルフの少年を知っているか?」
その言葉に少し考えた後こくりと頷くクライヴ。
「そいつがお前に会いたがっているらしい。会ってやれ」
「でも俺、仕事が忙しくて…」
「私に会いに来る時間を削れ。毎日のように会いに来るな」
うーん、と考えるクライヴ。
もうひと押し必要だ。
「お前もデートの一つでもこなして男になれ」
「デ、デートって…彼とはそういう関係では…」
「そういう関係になって来いと言っているのだ。オトして来い」
クライヴはこの辺りでは珍しく堅物な男で、誰かに手を出したことも出されたこともないらしい。
言ってしまえば童貞で処女。
昔から兄大好きだったため他の人とそういう関係になったことがないようだった。
「デートは好きな人と行う行為だ。安易に誘ったり承諾したりすることじゃない」
困ったように反論するクライヴ。
それだからいい大人になっても童貞なんだぞという言葉は飲み込んだ。
「そいつとデートしてきたら…そうだな、褒めてやろう」
「えっ!?」
クリストフの言葉に身を乗り出してきた。
キラキラと瞳が輝いている。
「そ、それって…あ、頭、撫でてくれたり…?」
「望むならそうしてくれよう」
「や、やる!デートする!」
先ほどの言葉を覆して手のひらを返すようにデートを承諾した。
「では明後日の12時に時計塔の前で待っていろ。相手にはエドウィンが伝える」
「分かった、兄さん」
そう言ってクライヴは上機嫌で出て行き仕事へと戻った。
「ありがとうクリストフ、助かったよ」
「他の誰でもない貴様からの頼みだからな。一回で許してやろう」
その言葉に体が硬直する。
クリストフに頼みごとをした以上、タダでは済まないと思っていたけれどまさか体を要求されるなんて。
「…俺、アキラ君と正式に付き合い始めたんだよね」
「貴様が上だろう?ならば私に組み敷かれるのは問題ないな。貴様が抱かなければ浮気にはならん」
謎理論を展開されて冷や汗が出る。
何か言い訳しなければ本当にクリストフに抱かれる。
「血だけじゃダメかい?」
「私が奴を褒めるなどという約束まで取り付けられたんだぞ?血液だけでは割に合わん」
確かにああでも言わなければ堅物のクライヴはデートを承諾しなかっただろう。
本当にどれだけ実の弟のことを嫌ってるんだ?
「貴様はどれだけ私が貴様を好いているかまるで理解していないな。こうまでして強引な手を使わないとお前は私に体を許すことは無いだろう」
少し寂しそうに言われてちくりと胸がいたんだ。
クリストフが俺のことを好きなのは充分分かってる。
妙な性癖さえなければほだされて体を許してもいいとさえ思っていた。
ただ、玩具を中に挿れたまま町を連れ歩かれたり、野外で犯されたり、一年に渡って地下室に監禁されて調教されたのは流石に辛かった。
あの時はクリストフが俺の全てになっていて、彼の気まぐれで解放された時はどうしたらいいか分からなくなって彼に泣きついて縋ったものだ。
今では忘れたい黒歴史の一つだった。
暗い顔をして黙り込んでしまった俺の頰を、クリストフは手袋を外して素手で撫でる。
「普通にベッドで抱くだけなら…いいよ」
「そうしたらどうやって私は貴様に愛を伝えればいい?」
「言葉で伝えて。そうしてくれたら全部受け止めるから」
クリストフの手に自分の手を重ねて頰をすり寄せる。
彼は少し不服そうな顔をしていたが、それが俺の最大限の譲渡だと理解するとこくりと頷いた。
その言葉にクライヴはにこっと笑って答えない。
こういうところも嫌だとこの前クリストフが愚痴っていた。
「せっかく仕事の合間に兄さんに会いに来たのに気分が台無しだ。また後で来る、兄さん」
「来なくていい」
「あっ、待ってクライヴ!」
俺の制止を無視して出て行こうとするクライヴ。慌ててクリストフに助けを求めると、眉をひそめてため息を吐いた。
「待てクライヴ」
「何、兄さん」
クライヴは名前を呼ばれて嬉しそうに振り返る。俺の時とはとんでもない違いだ。
「ニルーヴァというエルフの少年を知っているか?」
その言葉に少し考えた後こくりと頷くクライヴ。
「そいつがお前に会いたがっているらしい。会ってやれ」
「でも俺、仕事が忙しくて…」
「私に会いに来る時間を削れ。毎日のように会いに来るな」
うーん、と考えるクライヴ。
もうひと押し必要だ。
「お前もデートの一つでもこなして男になれ」
「デ、デートって…彼とはそういう関係では…」
「そういう関係になって来いと言っているのだ。オトして来い」
クライヴはこの辺りでは珍しく堅物な男で、誰かに手を出したことも出されたこともないらしい。
言ってしまえば童貞で処女。
昔から兄大好きだったため他の人とそういう関係になったことがないようだった。
「デートは好きな人と行う行為だ。安易に誘ったり承諾したりすることじゃない」
困ったように反論するクライヴ。
それだからいい大人になっても童貞なんだぞという言葉は飲み込んだ。
「そいつとデートしてきたら…そうだな、褒めてやろう」
「えっ!?」
クリストフの言葉に身を乗り出してきた。
キラキラと瞳が輝いている。
「そ、それって…あ、頭、撫でてくれたり…?」
「望むならそうしてくれよう」
「や、やる!デートする!」
先ほどの言葉を覆して手のひらを返すようにデートを承諾した。
「では明後日の12時に時計塔の前で待っていろ。相手にはエドウィンが伝える」
「分かった、兄さん」
そう言ってクライヴは上機嫌で出て行き仕事へと戻った。
「ありがとうクリストフ、助かったよ」
「他の誰でもない貴様からの頼みだからな。一回で許してやろう」
その言葉に体が硬直する。
クリストフに頼みごとをした以上、タダでは済まないと思っていたけれどまさか体を要求されるなんて。
「…俺、アキラ君と正式に付き合い始めたんだよね」
「貴様が上だろう?ならば私に組み敷かれるのは問題ないな。貴様が抱かなければ浮気にはならん」
謎理論を展開されて冷や汗が出る。
何か言い訳しなければ本当にクリストフに抱かれる。
「血だけじゃダメかい?」
「私が奴を褒めるなどという約束まで取り付けられたんだぞ?血液だけでは割に合わん」
確かにああでも言わなければ堅物のクライヴはデートを承諾しなかっただろう。
本当にどれだけ実の弟のことを嫌ってるんだ?
「貴様はどれだけ私が貴様を好いているかまるで理解していないな。こうまでして強引な手を使わないとお前は私に体を許すことは無いだろう」
少し寂しそうに言われてちくりと胸がいたんだ。
クリストフが俺のことを好きなのは充分分かってる。
妙な性癖さえなければほだされて体を許してもいいとさえ思っていた。
ただ、玩具を中に挿れたまま町を連れ歩かれたり、野外で犯されたり、一年に渡って地下室に監禁されて調教されたのは流石に辛かった。
あの時はクリストフが俺の全てになっていて、彼の気まぐれで解放された時はどうしたらいいか分からなくなって彼に泣きついて縋ったものだ。
今では忘れたい黒歴史の一つだった。
暗い顔をして黙り込んでしまった俺の頰を、クリストフは手袋を外して素手で撫でる。
「普通にベッドで抱くだけなら…いいよ」
「そうしたらどうやって私は貴様に愛を伝えればいい?」
「言葉で伝えて。そうしてくれたら全部受け止めるから」
クリストフの手に自分の手を重ねて頰をすり寄せる。
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