転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

文字の大きさ
117 / 314
本編

古代遺跡14

しおりを挟む
スノウside

〈話す前に聞くけど、お前たちはティアの事をどこまで知っているの?〉


 僕は眠ったティアを確認して話しかける。


「どこまでと言われると…ティアとは出会って間もないんだよな。ティアは記憶が曖昧な部分があるらしくて未だに身元の手がかりも見つからないんだ。」


「ギルドの方でも調べてはいるのですがこちらも手がかり一つ見つけ出せてません。」


 ふーん。なるほどね。


〈ティアについて何も手がかりを見つけられないのは当たり前だよ。この先もの手がかりは見つかる事はないだろうね。〉


 ティアの姿を見て分かったんだ。あの姿はどう考えてもアティス様風だってね。ついにアティス様がティアに干渉出来た証拠だから嬉しいけど、、、あからさま過ぎるよアティス様。


「なぁ、それはどういう意味だ。何か含んだような言い回しだな。」


 えっとティアの父親エリックだっけ?話を聞いた限り、養父になったってところだね。


〈ティアがこの遺跡の契約者だって言ったよね?契約は魂に刻まれるものだってことは知っているよね。だからじゃなくても他の名前でも有効になる。ティアは契約した記憶がないと言っていたよね。それはとしてでは契約してないからなんだ。〉


「…それはティアさんが真名ではないということですか?ティアさんは自分の名前をだと思っているが実際は違うという事ですか?」


 たしかニールだったよね。彼はこの中で一番頭の回転がはやいようだね。


〈いいやそうじゃない。今の名前はティアで合ってる。その名も真名だから。〉


 よく分からないって顔しているね。


〈この遺跡で契約したのはティアではなくなんだ。リーナはティアでもあるんだ。あのゴーレムたちを作ったのもリーナだ。だからマスターはリーナであるティアだ。〉


「だぁああ!!頭の中ごちゃごちゃしてきたじゃないかー!つまりティアの別名がリーナって事でいいんだよな!?」


 へぇ。思ったよりは理解力あるんだねエリックは。少し驚いたや。


〈微妙に違うけどそんな感じだよ。別名じゃないからね。僕がリーナに聞いたらリーナは自分にはたくさんの名前があるらしいって言っていたし。例えば●●●だったり●●●だったり。まぁ今はティアってだけさ。〉


「何でそんなに名前があるんだ?」


〈それは……ティアが背負っている運命のせいだよ。僕じゃ手が出せないようなものなんだ。ティアの命に関わることだからね。おそらく今回が最後なんだ。ティアを救うチャンスは今回だけだ。僕はティアを助けたい。守りたいんだ。〉


 後ろの方は独り言のようになってしまったな。


「ティアの背負ってる運命ってなんだよ。ティアの命に関わるってどういうことだ。答えろよスノウ!!」


〈…ティアに執着している奴がいるんだ。そいつにティアが見つかって、手を出してきたら僕たちに勝ち目はほとんどない。また、そいつをどうにかしないとティアが救われる事もない。そいつの力によってティアは死の運命を背負わされているから。〉


「「「……っ!!!」」」


 誰かが息を呑んだ。いや誰かではなく、この話を聞いた全員かもしれない。


「ティアさんを狙っているとは誰ですか?今すぐにでも私がこの世から消してきましょう。」


「俺も同行するぞ。ティアを渡したり等しない!」


 ニールとエリックに賛同するかのように他の者たちも武器に手をかけている。


〈無理だよ。言ったよね?神獣である僕でさえ手が出せないんだよ。勝ち目もない。お前たちが増えたところで結果は変わらない。〉


「そんなに強いっていうのかよ!!」


〈強いよ。確実に今の僕らじゃ負ける。だから今は相手が誰かを教えるわけにはいかない。ティアを危険に晒すわけにはいかないんだ。〉


 僕は■■■の存在をアティス様から聞いているからこそ譲れないんだ。


「今は教えられないと言うことは時がくれば教えて下さるのですね?もしくは自分で知ればいいのですね。」


〈ティアと一緒にいる限りいつかは知る事になるだろうからね。〉


「分かりました。今は引きます。」


「ニールさん!!」

 
「エリックさん。今はその時ではないのです。来たる時に備え力をつけるのが得策なのです。私はティアさんを危険に晒したくはない。ティアさんには笑顔でいて欲しい。ティアさんを守りたい気持ちはエリックさんと同じです。本当は今すぐにでもティアさんを狙う奴を殺しに行きたいくらいです。ですが情報が少なすぎる。スノウさんが居ても負けるというのならかなりの強敵です。そんな敵に無策で挑むような真似は死にに行くようなもの。今は堪えましょう…」


 どうやら周りで影響されている者はいないようだね。良かった。


「では!お嬢さんにゴーレムの事を聞いても答えられないのですか!?」


 えっとオービー教授だっけ?それともウォーリー教授?まぁいいか。


〈ここまでのレベルのゴーレムは今のティアには作れないだろうけどそれなりのゴーレムならティアは作れるはずだよ。だからティアが答えられる範囲なら聞けるはずだよ。〉


「それは本当かい!?」


 分かりやすく喜ぶエルフだな。


〈本当だけど、あまりティアを困らせないでよね。〉


「勿論さ。お嬢さんが困るような事だったらすぐに止めるさ。私のこの興奮は職業病みたいなものだから少しは大目に見てくれないかい?」


 なんとなく掴みにくいエルフだな。


「あのー。隊長たちは気にならないんですか?私たちの周り、ずっとゴーレムたちが囲んだままなのを……」

 
「「「あっ…」」」


 完全に背景と化していたもんねゴーレムたち。ティアの指示で攻撃はしてこないしね。


〈一応僕もゴーレムたちに命令出せるようにはなってるから安心していいよ。僕とティアだとマスターであるティアの命令の方が優先されるけど、ティアは眠ってるしね。〉


 僕は今まで通り行動するように命令する。このゴーレムたちはこの場所を守るよう設定されている。エリックたちを含めたここにいる者たちへの滞在許可を出しておく。これでティアも心配することはないよね。


「さてと。そろそろ一度遺跡から出ましょうかね。ティアさんも無事に見つける事も出来たわけですし。」


「「「賛成~」」」


 こうして僕たちは遺跡の外へと出ることとなった。出てから僕を初めて見た者たちの反応は言うまでもなく面白かった。僕はお前たちなんか食べたりしないよ?エリックやニールたちが必死に僕をシルバーハイウルフだって説明していたっけ。とりあえずお疲れ様。






 

しおりを挟む
感想 169

あなたにおすすめの小説

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした

ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。 しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。 オリバーはエミリアを愛していない。 それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。 子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。 それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。 オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。 一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

処理中です...