転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

古代遺跡19

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〈現在地は…一階…玄関扉前…です〉


「そういえばこの扉は玄関扉とか言ってたね。説明ありがとうゴーレム!それでなんだけど、近くを案内してくれないかな?」


〈了解…何階…行かれますか…〉


 な、何階とな!?前に上から下りて落ちてきたけどスノウが速すぎて景色はすぐに変わってたから見てないんだよね。


「そもそも最上階って何階なの?」


〈10階…です。どの階層でも…我々が…守護しております。…ゴーレムダンジョンハウス…と…マスター…名付けました。…1階は…特に何も…ありません。…2階からは…ダンジョンとハウス…が存在します。〉


 ゴーレムダンジョンハウス。ネーミングセンス…ゴーレムしかいないからゴーレムなのね。そしてダンジョンでありハウス。

〈各フロア…ダンジョン…8割…ハウス…2割…です。…ハウス空間…案内…しますか?〉


 ふむふむ。今いる1階はゴーレムのお出迎えしかないのね。それで2階からはゴーレムたちとは別にハウス部分が存在している。ハウス空間って言ってることから隠し部屋がハウス空間って感じかな。


「おいティアどうする?そのハウス空間ってとこに行くのか?」


 それしかないよね。だって何階に行ってもゴーレムしかいないんだよね。


「うん行こうと思う。ゴーレムが言った通りなら1階は何もないってことだし。2階以降もダンジョンはゴーレムばかりらしいし。同じゴーレム見続けても…」


〈上…行くほど…我々も…強くなります。…数は…少なく…なります。〉


 あ、ゴーレムが落ち込んだ。私がゴーレムばかりだと言ったから。同じゴーレムを見続けても飽きるかなって思った事が伝わったのかな。ごめんねゴーレム。落ち込まないで。


 そう言えば!今のゴーレムの話で思い出した。最上階のゴーレムはここにいるゴーレムより少し大きかったな。数もあの場に居た数だけだとすると今いる1階で見る数よりは少ない。


「ティア嬢、ゴーレムが待ってるぞ。」


 おっとそうだった。


「ゴーレム、ハウス空間に行きたいのだけど、具体的に何があるの?」


〈2階…温室…3階…財宝庫…4階…娯楽室…5階…武器庫…6階…書庫…7階…風呂場…8階…キッチン…9階…寝室…10階…フェンリルの家…です。なお…フェンリルの家へは…1階…ある場所より…移動可能。〉


 お、おう。色々あるんだね。たぶんスノウはフェンリルの家に行ったんだ。ある場所ってのはフェンリルの家の入り口の穴のことだね。前にそこから行ったもんね。まぁ行き方覚えてないけど。    


「武器庫とか面白そうだな!剣あるかな。短剣、長剣、双剣……見てぇ!!」


「何を言う!ここは書庫だろう。きっと過去の歴史についてまとめられた素晴らしい本があるに違いない。失われた歴史を解き明かすチャンスかもしれないのだよ!」


 エリック隊長とオーディ教授が武器庫と書庫で言い合いを始めた。


「はぁ…エリックさん、オーディ教授、あなた方が何を言おうとゴーレムはティアさんの決定に従うのですよ?」


 ニールさんの言葉に2人はグルリと私へと向きなおった。そして…


「「武器庫だよな?/書庫だよね?」」


 これは完全なる脅しです。顔が怖いよ。


「ふぇ…」


 思わす涙目に。


「ティア嬢泣くな。あの馬鹿どもはほっといていい。ティア嬢の行きたい所に行こう。」


「そうですよ。この特に何もないという1階に置いていきましょう。我々だけで行きましょう?」


「あい…」


 バンさんとニールさんと手を繋いでゴーレムに声をかける。


「2階の温室行きたいですっ!」


〈了解…それでは…移動魔法陣…発動…魔法陣の中へ…〉


 ゴーレムを中心に魔法陣が地面に展開された。私はバンさんとニールさんと手を繋いだまま魔法陣の中へ。


「待て待てー!俺も行くっ!温室でもいいから置いて行かないでくれー」


「私も付いていくよ!その魔法陣に入れてくれ。」


 慌てたように魔法陣へと入り込んだエリック隊長とオーディ教授。その瞬間魔法陣が光り出し…次の瞬間には温室へと来ていた。


「すごい!ここが温室なんだね!」


 どういう仕組みなのか明るく空気も澄んでいる。


「あれは太陽…いや赤魔法の応用か?それとも魔道具?そして空気の綺麗さ。これは青魔法と緑魔法によるものと考えられる。」


 ニールさんが興味深そうに辺りを見渡している。


「あっ!凄い綺麗なお花があるー!あれ?よく見るとこのお花と横にある花は同じだね。色が違うんだね。赤、青、黄、緑、白、黒ってあるよ!他にも紫、オレンジ……色んな色があるね。」


 それぞれの花からは何か力が溢れてる?これは属性のオーラが染まったような感じ。


「「「これは!?」」」


 私以外の全員の声が驚愕を表していた。


「すごいな。見事な宝花だ。」


「ほうか?」


 エリック隊長よ、もうちょい説明頂戴!


「ティアが知らないのは当然だな。俺もこの目で見たのはこれが2度目だしな。これは宝花と言って、文字通り宝だとされる花だ。現在ラーロルド王国にはこれと同じ宝花が1本大切に王家で管理されている。この花は、使用すると使用した本人の力を増幅させる効果があるんだ。花の色は属性の色を指している。その色の属性の力を得る事が出来るんだ。英雄になった奴もいるとか。」


「えぇ、その通りです。残っている文献によると、青魔法の適性はあったがほとんど使えない者が偶々発見した青の宝花を使用した事により莫大な力を得たそうです。初級魔法しか使えなかったのになんと上級魔法を糸も容易く扱えるようになり、さらにはありとあらゆる水を操るようになったのだとか。しかしその者はその力に溺れ、自然にも干渉し洪水などを意図的に発生させたりした罪で処刑されたそうですがね。」


「そんな歴史もあって、宝花を求める輩が続出し、争いの末に宝花は今では保存してあるもの以外は絶滅したのではないかと言われているんだ。ラーロルド王国で管理、保存してるってやつも確か500年だったか?それくらい前のものらしいぞ。枯れる事はなく、使用されるか花にストレスを与えすぎない限り保存は可能なんだとよ。不思議だよなー。」


 へぇー!宝花にはそんな歴史があったんだ。どれどれちょいと鑑定で…



【宝花】
 今ではこの温室以外で自然での生息地は確認出来ない。
 色によって効果属性が異なる。(例:赤→赤属性、青→青属性……、紫→赤と青属性…等)
 効果は人によりそれぞれだが少なくとも2倍以上の効果が得られる。
 外部からのストレスに弱い。
 使用方法は宝花に認められること。(宝花には意思があり使用者の想いを聞いて判断する)
 
 

 ………どうやらとんでもない代物なのは分かった。

 




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