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本編
【閑話】???年前のお話
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リーナがここダンジョン内のフェンリル親子の住む場所に移り住んでからもう1ヶ月が過ぎた。
この1ヶ月でダンジョン内はかなり変わった。
「今日のところはここまでかな。」
リーナは一息つくと大きく伸びをする。
〈リーナ!!〉
「わっ!びっくりしたー。どうしたの?」
〈父さんがリーナを呼んでるよ!〉
飛びついてきた小フェンリルにリーナは笑顔で抱きつく。
「フェンリルさんが?何の用かしら。今、どこにいるの?」
〈2階のなんだっけ。お花とかがたくさんある…〉
「ふふっ。温室よー。じゃあ、フェンリルさんのとこへ行きましょう。」
リーナはそう言うとゴーレムを呼ぶ。
〈マスター…お呼び…ですか〉
「えぇ。2階のハウス、温室へ連れて行って頂戴。」
〈…了解…しました〉
ゴーレムは魔法陣を展開した。その上にリーナと小フェンリルは乗り温室へと移動する。
「よっと。ありがとうゴーレム。」
お礼を言うとゴーレムは自分の守護する階層へと戻って行った。
〈相変わらずあのゴーレムたちは凄いね。リーナったらゴーレムたちに自律意思を持たせたりとか規格外すぎるよ。しかもどれもこれも強さがレベルアップしてるし。〉
「私だってビックリしたのよ?ちょーっと軽い気持ちで試したつもりがまさかの結果になったんだもの。でもでも!損はないでしょ?だからこれでいいのよ!」
リーナはゴーレムダンジョンを改造するにあたって、まずはゴーレムを支配下に完全に置くための魔法を展開したのだ。各層を徘徊しているゴーレムたちに自律意思を確立させた。オリハルコンゴーレムはダンジョンの力によって簡単な質疑応答は元々出来たが難しい質問等には一切答えられなかった。また、そのゴーレム単体についての質問には一切応えが返ってこなかった。彼らは全であり、個単体という概念はないのだ。十人十色などはなく、決められた事をただただ遂行する人形そのもの。それをリーナは、ゴーレムに自律意思を持たせる魔法式を開発し、ダンジョンへと組み込んだのだ。さすがのリーナも初めて魔力切れを起こし、ぶっ倒れたのだが…
「あははは!」
〈リーナ?急にどうしたの?〉
「いやさぁ、私が魔力切れで倒れた時の事を思い出してね。目が覚めたらフェンリルさんたちがもう大慌てだったのが面白くて」
〈笑い事じゃないんだからね!!〉
ぷりぷりしている小フェンリルに余計に大笑いするリーナ。
〈我が子の言う通り、笑い事ではないのだぞリーナよ。〉
「あっフェンリルさん!」
〈あれだけ叱ったというのに反省はしておらんのか。〉
呆れかえる大フェンリル。
「反省はしてるわよ?でも嬉しさが勝つ出来事だったんだもの。あんなに心配してくれるなんて…まるで夢のよう。」
〈夢にされたら、たまったものではないぞ。あんな無茶はもうしないでくれ。我らの心臓を止める気か?〉
「フェンリルさんたちの心臓が止まったら困るから、努力はするね。」
本当に分かっているのか不安でしかないとフェンリルは思った。
「それで、何の用だったの?」
〈この前、植えた苗を覚えているか?〉
「ええ!なんか凄い力を秘めている苗でしょう?気になったから持って帰って来て、ここに植えたやつ!」
〈そうだ。アレらが咲いたから見せようと思ってな。〉
リーナはフェンリルの言葉のアレらに引っかかった。
「私が持ってきたのは1つだったよね?」
〈そうだな。今では驚異的な成長を得て、あれは勝手に自らを増産しているぞ。〉
「どゆこと!?」
〈見れば分かる。〉
そう言ってリーナが見た光景とは…
「わぁお。一体何が起こったわけ~」
そこにはカラフルなお花がたくさん。リーナが植えた苗を中心に花壇一角がその苗と同じ品種だろう花が増殖していた。
〈これは宝花という花だ。滅多に見かける事もなく名前の通り宝のような花だ。我もここまで一ヶ所に咲いているところは初めて見た。少し話してみるとリーナをよっぽど気に入っていて、ここが快適で感謝しているとのことだぞ。〉
「へぇ~。ん?話してみたって言った?この宝花さんたち話せるの!?」
〈言葉で話せはしないが、反応で会話は出来るぞ。〉
「すごっ!なら、宝花さんたちはここでこれからも過ごす?いやならお外に連れて行ってどこかに植え直してあげるよ?」
すると宝花たちは激しくプルプルしてイヤイヤアピールする。
「ここに居たいってことでいいのかな?」
サワサワ♪
〈ふむ。リーナよ、時に宝花とは争いの種になるのだ。宝花を求め戦争が起きることもある。それほど貴重な代物なのだ。宝花はストレスを感じたりすると次第に弱まりこの世を去る。そなたは宝花たちにとって安息地であるここを奪うのか?ここはリーナの心遣いもある最高の環境だ。気温、風量、明暗、どれをとっても完璧だ。〉
サワサワ♪
「そ、そう?かなり凝って作ったからね。快適に育ってくれてるなら何よりだよ。」
リーナはダンジョンの中にハウスと呼ばれる別空間を作り各層に分けて改装をしたのだ。ここは温室。フェンリルたちにも手伝ってもらい多くの種類の植物たちが揃っている。そしてリーナは魔道具を1から作り、自動気温調節機能をつけたりと、とんでも魔道具を量産したのだ。
「フェンリルさんたち、私また少しの間だけあっちに戻るわね。」
リーナはほぼ毎日と言っていいほど、このダンジョンで過ごしているが定期報告で城へと戻ることがある。と言っているも用件だけ済ますとその日には帰ってくるのだが。
〈気をつけて行ってくるのだぞ。〉
〈リーナ早く帰ってきてね!〉
「はーい」
リーナは上達した転移魔法を使って姿を消した。
この1ヶ月でダンジョン内はかなり変わった。
「今日のところはここまでかな。」
リーナは一息つくと大きく伸びをする。
〈リーナ!!〉
「わっ!びっくりしたー。どうしたの?」
〈父さんがリーナを呼んでるよ!〉
飛びついてきた小フェンリルにリーナは笑顔で抱きつく。
「フェンリルさんが?何の用かしら。今、どこにいるの?」
〈2階のなんだっけ。お花とかがたくさんある…〉
「ふふっ。温室よー。じゃあ、フェンリルさんのとこへ行きましょう。」
リーナはそう言うとゴーレムを呼ぶ。
〈マスター…お呼び…ですか〉
「えぇ。2階のハウス、温室へ連れて行って頂戴。」
〈…了解…しました〉
ゴーレムは魔法陣を展開した。その上にリーナと小フェンリルは乗り温室へと移動する。
「よっと。ありがとうゴーレム。」
お礼を言うとゴーレムは自分の守護する階層へと戻って行った。
〈相変わらずあのゴーレムたちは凄いね。リーナったらゴーレムたちに自律意思を持たせたりとか規格外すぎるよ。しかもどれもこれも強さがレベルアップしてるし。〉
「私だってビックリしたのよ?ちょーっと軽い気持ちで試したつもりがまさかの結果になったんだもの。でもでも!損はないでしょ?だからこれでいいのよ!」
リーナはゴーレムダンジョンを改造するにあたって、まずはゴーレムを支配下に完全に置くための魔法を展開したのだ。各層を徘徊しているゴーレムたちに自律意思を確立させた。オリハルコンゴーレムはダンジョンの力によって簡単な質疑応答は元々出来たが難しい質問等には一切答えられなかった。また、そのゴーレム単体についての質問には一切応えが返ってこなかった。彼らは全であり、個単体という概念はないのだ。十人十色などはなく、決められた事をただただ遂行する人形そのもの。それをリーナは、ゴーレムに自律意思を持たせる魔法式を開発し、ダンジョンへと組み込んだのだ。さすがのリーナも初めて魔力切れを起こし、ぶっ倒れたのだが…
「あははは!」
〈リーナ?急にどうしたの?〉
「いやさぁ、私が魔力切れで倒れた時の事を思い出してね。目が覚めたらフェンリルさんたちがもう大慌てだったのが面白くて」
〈笑い事じゃないんだからね!!〉
ぷりぷりしている小フェンリルに余計に大笑いするリーナ。
〈我が子の言う通り、笑い事ではないのだぞリーナよ。〉
「あっフェンリルさん!」
〈あれだけ叱ったというのに反省はしておらんのか。〉
呆れかえる大フェンリル。
「反省はしてるわよ?でも嬉しさが勝つ出来事だったんだもの。あんなに心配してくれるなんて…まるで夢のよう。」
〈夢にされたら、たまったものではないぞ。あんな無茶はもうしないでくれ。我らの心臓を止める気か?〉
「フェンリルさんたちの心臓が止まったら困るから、努力はするね。」
本当に分かっているのか不安でしかないとフェンリルは思った。
「それで、何の用だったの?」
〈この前、植えた苗を覚えているか?〉
「ええ!なんか凄い力を秘めている苗でしょう?気になったから持って帰って来て、ここに植えたやつ!」
〈そうだ。アレらが咲いたから見せようと思ってな。〉
リーナはフェンリルの言葉のアレらに引っかかった。
「私が持ってきたのは1つだったよね?」
〈そうだな。今では驚異的な成長を得て、あれは勝手に自らを増産しているぞ。〉
「どゆこと!?」
〈見れば分かる。〉
そう言ってリーナが見た光景とは…
「わぁお。一体何が起こったわけ~」
そこにはカラフルなお花がたくさん。リーナが植えた苗を中心に花壇一角がその苗と同じ品種だろう花が増殖していた。
〈これは宝花という花だ。滅多に見かける事もなく名前の通り宝のような花だ。我もここまで一ヶ所に咲いているところは初めて見た。少し話してみるとリーナをよっぽど気に入っていて、ここが快適で感謝しているとのことだぞ。〉
「へぇ~。ん?話してみたって言った?この宝花さんたち話せるの!?」
〈言葉で話せはしないが、反応で会話は出来るぞ。〉
「すごっ!なら、宝花さんたちはここでこれからも過ごす?いやならお外に連れて行ってどこかに植え直してあげるよ?」
すると宝花たちは激しくプルプルしてイヤイヤアピールする。
「ここに居たいってことでいいのかな?」
サワサワ♪
〈ふむ。リーナよ、時に宝花とは争いの種になるのだ。宝花を求め戦争が起きることもある。それほど貴重な代物なのだ。宝花はストレスを感じたりすると次第に弱まりこの世を去る。そなたは宝花たちにとって安息地であるここを奪うのか?ここはリーナの心遣いもある最高の環境だ。気温、風量、明暗、どれをとっても完璧だ。〉
サワサワ♪
「そ、そう?かなり凝って作ったからね。快適に育ってくれてるなら何よりだよ。」
リーナはダンジョンの中にハウスと呼ばれる別空間を作り各層に分けて改装をしたのだ。ここは温室。フェンリルたちにも手伝ってもらい多くの種類の植物たちが揃っている。そしてリーナは魔道具を1から作り、自動気温調節機能をつけたりと、とんでも魔道具を量産したのだ。
「フェンリルさんたち、私また少しの間だけあっちに戻るわね。」
リーナはほぼ毎日と言っていいほど、このダンジョンで過ごしているが定期報告で城へと戻ることがある。と言っているも用件だけ済ますとその日には帰ってくるのだが。
〈気をつけて行ってくるのだぞ。〉
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「はーい」
リーナは上達した転移魔法を使って姿を消した。
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