146 / 314
本編
【閑話】???年前のお話
しおりを挟む
それから時は流れ、バルフと小フェンリルは毎日のように特訓をしていた。
〈ガウゥ!!〉
〈ガウッ、ガウガウッ!〉
小フェンリルは着々と力をつけバルフともやり合えるようになってきた。
〈ふぅ。今日はここまでにしよう。〉
〈はーい!〉
2匹は休憩しようとその場に楽になる。
〈またか…〉
バルフは小さく呟いた。その声を拾った小フェンリルは悲しい顔をした。
〈また来なかったね…〉
〈あぁ…〉
バルフはリーナと同じ魂の持ち主がこの世にまた生を受ければ感じ取れる。繋がりが完全にあるわけではない為、あくまで気配だけと言っても過言ではない。故に気配を感じる度に今か今かと期待をするが打ち砕かれる。気配を感じては消え去るを繰り返している。
〈早く会いたいね…〉
〈そうだな…〉
2匹はいつか現れる少女を想う。
それは突然だった。
〈ーーッ!!くっ…はぁはぁ〉
バルフは荒く息を吐く。
〈時間がない…〉
バルフは自身の神力をこれまでリーナの魂へと送り続けてきた。仮契約状態と言えど繋がりが薄っすらだが確立していたからこそ行えていたのだ。リーナの魂を覆うように守るように敵のアイツに対抗していた。だが時を重ねるに連れアイツの力は増し、侵食は徐々に進んでいた。バルフは次第に抑えることが出来なくなくなってきていた。
〈そろそろ終わりが近い。リーナも我も、そしてこの世界も…〉
バルフは深いため息を吐くと自主練をしている息子のフェンリルのもとへ向かった。
〈我が子よ、大事な話がある。少し時間はあるか?〉
〈父さん!ちょうどキリのいい所だったから大丈夫だよ。〉
ますます強くなった我が子に微笑むバルフ。ただ中身の方はあまり成長していないようだが…
〈それで、話って何?〉
〈ここが開くのも近いぞ。〉
〈ここ?………えっ!?それって!!〉
バルフの言うことを理解した小フェンリルは驚愕した。それはつまりその時がくると断言したということ。
〈我が子よ、我と約束をしてくれぬか?〉
〈約束?〉
急に変わった話に今度は混乱する小フェンリル。バルフは至って変わらない様子で言った。
〈我の神力が底をつく。神力の回復よりも消費の方が上回るようになって永く経つ。あの子の魂は限界が近い。そしてあのお方によると次が最後らしい。〉
〈色々気になる事はあるけどまずあのお方って誰?ここには僕と父さんしかいないよね。〉
〈我のいうあのお方とはこの世界の主神であられるアティス様だ。〉
〈へー、アティス様か…ってえぇえええ!!神様がここに来たの!?〉
まさかの人物に思わす飛び跳ねた小フェンリル。
〈来た、とは少し違う。ここは我らが何百年も過ごしていた為、神気が染み渡っている…故にあちら側と繋がりやすくなった。まぁ、本来なら繋がりやすくなった程度にしかならないのだがな。だが我はあの子の魂と繋がりがあり、あの方もまたあの子の魂に関わりがある。我の繋がりとあの方のお力が交わったことで一時的ではあるが直接会ってお話する事が可能になったのだ。〉
〈直接!?僕たちマースの神獣はアティス様の眷属であるけど直接お会いする事は生涯でもないに等しいんじゃないかったの!?お声を聞く事も条件が揃わないと出来ないし、それも僕たちからではダメで、アティス様からしかつなぐことは出来ないでしょう?〉
異例中の異例ではないかと興奮気味の小フェンリル。そう、神獣といえども気軽に神と関わることはないのだ。神とは世界を管理する立場であって干渉しすぎることは許されないものであり、滅多な事がない限り神託もしないのだ。神託とは神が一方的に声を届けるものである。眷属である神獣には神託でも、上位神託にあたり、神の声が一方的に届くのではなく会話も可能だ。なお神からの信号がない限りこちらからはコンタクトは取れないのではあるが。つまり、神の声を聞き、話すことが出来た事だけでも大事件だというのに、バルフは直接会ったとも言ったのだ。これが興奮せずにいられるか。いや興奮せずにはいられない!
〈ぼ、僕もアティス様とお話してみたい〉
〈残念だが今のお前では無理だ。〉
〈やっぱりそうだよね~〉
なんとなく分かってたけどと残念がる小フェンリル。
〈我は今はと言ったであろう?あの方はお前にも期待している。そして、我もだ。故に約束をしてほしいのだ。〉
コクコクと頷き続きを促す。
〈あの子の従魔になれ。あの子と契約するのだ。今のお前なら契約に堪えられるはずだ。そして、あの子を守り抜け。我の代わりに世界を見届けてくれ。〉
〈えっ…〉
〈あの子がここに訪れる時、我の生命を全てあの子に捧げる。1つになるのだ。少しでもあの子の力になり、最後のあの子の時を共に過ごす。我は内から、お前は外から守るのだ。〉
すぐには受け止められない。なぜなら、バルフは死ぬと言っているようにしか聞こえないのだ。
〈勘違いするでない。我は死なんよ。ただ、あの子の中で眠り続けるだけだ。あの子の魂の一部となり生きるのだ。故に悲しむ必要はない。むしろ誇れる事なのだ。我の全てを懸けてでも成し遂げたい未来があるのだ。〉
〈…分かった。父さんが選んだ道にどうこう言える義理じゃないしね。〉
〈フッ、強くなったな我が子よ。正直、泣き喚くか暴れ回るかぐらいはするかと思ったぞ。〉
〈酷いな…僕だって成長してるんだからね!〉
プンプンする姿を見るとやはりまだまだ子どもだと口には出さないが思うバルフである。
〈あの子と契約をすれば、あの子の魂を守護するあの方のお力にも触れる事になる。そうする事でお前もあの方と直接お会いして話す事も可能になるだろう。〉
大きく頷いた小フェンリル。そこに迷いは見えない。あるのは強い意志だ。
〈それでこそ我の子だ。〉
バルフは満足気に微笑んだ。
〈ガウゥ!!〉
〈ガウッ、ガウガウッ!〉
小フェンリルは着々と力をつけバルフともやり合えるようになってきた。
〈ふぅ。今日はここまでにしよう。〉
〈はーい!〉
2匹は休憩しようとその場に楽になる。
〈またか…〉
バルフは小さく呟いた。その声を拾った小フェンリルは悲しい顔をした。
〈また来なかったね…〉
〈あぁ…〉
バルフはリーナと同じ魂の持ち主がこの世にまた生を受ければ感じ取れる。繋がりが完全にあるわけではない為、あくまで気配だけと言っても過言ではない。故に気配を感じる度に今か今かと期待をするが打ち砕かれる。気配を感じては消え去るを繰り返している。
〈早く会いたいね…〉
〈そうだな…〉
2匹はいつか現れる少女を想う。
それは突然だった。
〈ーーッ!!くっ…はぁはぁ〉
バルフは荒く息を吐く。
〈時間がない…〉
バルフは自身の神力をこれまでリーナの魂へと送り続けてきた。仮契約状態と言えど繋がりが薄っすらだが確立していたからこそ行えていたのだ。リーナの魂を覆うように守るように敵のアイツに対抗していた。だが時を重ねるに連れアイツの力は増し、侵食は徐々に進んでいた。バルフは次第に抑えることが出来なくなくなってきていた。
〈そろそろ終わりが近い。リーナも我も、そしてこの世界も…〉
バルフは深いため息を吐くと自主練をしている息子のフェンリルのもとへ向かった。
〈我が子よ、大事な話がある。少し時間はあるか?〉
〈父さん!ちょうどキリのいい所だったから大丈夫だよ。〉
ますます強くなった我が子に微笑むバルフ。ただ中身の方はあまり成長していないようだが…
〈それで、話って何?〉
〈ここが開くのも近いぞ。〉
〈ここ?………えっ!?それって!!〉
バルフの言うことを理解した小フェンリルは驚愕した。それはつまりその時がくると断言したということ。
〈我が子よ、我と約束をしてくれぬか?〉
〈約束?〉
急に変わった話に今度は混乱する小フェンリル。バルフは至って変わらない様子で言った。
〈我の神力が底をつく。神力の回復よりも消費の方が上回るようになって永く経つ。あの子の魂は限界が近い。そしてあのお方によると次が最後らしい。〉
〈色々気になる事はあるけどまずあのお方って誰?ここには僕と父さんしかいないよね。〉
〈我のいうあのお方とはこの世界の主神であられるアティス様だ。〉
〈へー、アティス様か…ってえぇえええ!!神様がここに来たの!?〉
まさかの人物に思わす飛び跳ねた小フェンリル。
〈来た、とは少し違う。ここは我らが何百年も過ごしていた為、神気が染み渡っている…故にあちら側と繋がりやすくなった。まぁ、本来なら繋がりやすくなった程度にしかならないのだがな。だが我はあの子の魂と繋がりがあり、あの方もまたあの子の魂に関わりがある。我の繋がりとあの方のお力が交わったことで一時的ではあるが直接会ってお話する事が可能になったのだ。〉
〈直接!?僕たちマースの神獣はアティス様の眷属であるけど直接お会いする事は生涯でもないに等しいんじゃないかったの!?お声を聞く事も条件が揃わないと出来ないし、それも僕たちからではダメで、アティス様からしかつなぐことは出来ないでしょう?〉
異例中の異例ではないかと興奮気味の小フェンリル。そう、神獣といえども気軽に神と関わることはないのだ。神とは世界を管理する立場であって干渉しすぎることは許されないものであり、滅多な事がない限り神託もしないのだ。神託とは神が一方的に声を届けるものである。眷属である神獣には神託でも、上位神託にあたり、神の声が一方的に届くのではなく会話も可能だ。なお神からの信号がない限りこちらからはコンタクトは取れないのではあるが。つまり、神の声を聞き、話すことが出来た事だけでも大事件だというのに、バルフは直接会ったとも言ったのだ。これが興奮せずにいられるか。いや興奮せずにはいられない!
〈ぼ、僕もアティス様とお話してみたい〉
〈残念だが今のお前では無理だ。〉
〈やっぱりそうだよね~〉
なんとなく分かってたけどと残念がる小フェンリル。
〈我は今はと言ったであろう?あの方はお前にも期待している。そして、我もだ。故に約束をしてほしいのだ。〉
コクコクと頷き続きを促す。
〈あの子の従魔になれ。あの子と契約するのだ。今のお前なら契約に堪えられるはずだ。そして、あの子を守り抜け。我の代わりに世界を見届けてくれ。〉
〈えっ…〉
〈あの子がここに訪れる時、我の生命を全てあの子に捧げる。1つになるのだ。少しでもあの子の力になり、最後のあの子の時を共に過ごす。我は内から、お前は外から守るのだ。〉
すぐには受け止められない。なぜなら、バルフは死ぬと言っているようにしか聞こえないのだ。
〈勘違いするでない。我は死なんよ。ただ、あの子の中で眠り続けるだけだ。あの子の魂の一部となり生きるのだ。故に悲しむ必要はない。むしろ誇れる事なのだ。我の全てを懸けてでも成し遂げたい未来があるのだ。〉
〈…分かった。父さんが選んだ道にどうこう言える義理じゃないしね。〉
〈フッ、強くなったな我が子よ。正直、泣き喚くか暴れ回るかぐらいはするかと思ったぞ。〉
〈酷いな…僕だって成長してるんだからね!〉
プンプンする姿を見るとやはりまだまだ子どもだと口には出さないが思うバルフである。
〈あの子と契約をすれば、あの子の魂を守護するあの方のお力にも触れる事になる。そうする事でお前もあの方と直接お会いして話す事も可能になるだろう。〉
大きく頷いた小フェンリル。そこに迷いは見えない。あるのは強い意志だ。
〈それでこそ我の子だ。〉
バルフは満足気に微笑んだ。
91
あなたにおすすめの小説
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。
しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。
オリバーはエミリアを愛していない。
それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。
子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。
それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。
オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。
一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる