転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

【閑話】???年前のお話

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 それから時は流れ、バルフと小フェンリルは毎日のように特訓をしていた。


〈ガウゥ!!〉


〈ガウッ、ガウガウッ!〉


 小フェンリルは着々と力をつけバルフともやり合えるようになってきた。


〈ふぅ。今日はここまでにしよう。〉


〈はーい!〉


 2匹は休憩しようとその場に楽になる。


〈またか…〉


 バルフは小さく呟いた。その声を拾った小フェンリルは悲しい顔をした。


〈また来なかったね…〉


〈あぁ…〉


 バルフはリーナと同じ魂の持ち主がこの世にまた生を受ければ感じ取れる。繋がりが完全にあるわけではない為、あくまで気配だけと言っても過言ではない。故に気配を感じる度に今か今かと期待をするが打ち砕かれる。気配を感じては消え去るを繰り返している。


〈早く会いたいね…〉


〈そうだな…〉


 2匹はいつか現れる少女を想う。













 それは突然だった。


〈ーーッ!!くっ…はぁはぁ〉


 バルフは荒く息を吐く。


〈時間がない…〉


 バルフは自身の神力をこれまでリーナの魂へと送り続けてきた。仮契約状態と言えど繋がりが薄っすらだが確立していたからこそ行えていたのだ。リーナの魂を覆うように守るようにに対抗していた。だが時を重ねるに連れの力は増し、侵食は徐々に進んでいた。バルフは次第に抑えることが出来なくなくなってきていた。


〈そろそろ終わりが近い。リーナも我も、そしてこの世界も…〉


 バルフは深いため息を吐くと自主練をしている息子のフェンリルのもとへ向かった。





〈我が子よ、大事な話がある。少し時間はあるか?〉


〈父さん!ちょうどキリのいい所だったから大丈夫だよ。〉



 ますます強くなった我が子に微笑むバルフ。ただ中身の方はあまり成長していないようだが…





〈それで、話って何?〉


〈ここが開くのも近いぞ。〉


〈ここ?………えっ!?それって!!〉


 バルフの言うことを理解した小フェンリルは驚愕した。それはつまりその時がくると断言したということ。


〈我が子よ、我と約束をしてくれぬか?〉


〈約束?〉


 急に変わった話に今度は混乱する小フェンリル。バルフは至って変わらない様子で言った。


〈我の神力が底をつく。神力の回復よりも消費の方が上回るようになって永く経つ。あの子の魂は限界が近い。そしてによると次が最後らしい。〉


〈色々気になる事はあるけどまずって誰?ここには僕と父さんしかいないよね。〉


〈我のいうとはこの世界の主神であられるアティス様だ。〉


〈へー、アティス様か…ってえぇえええ!!神様がここに来たの!?〉


 まさかの人物に思わす飛び跳ねた小フェンリル。


〈来た、とは少し違う。ここは我らが何百年も過ごしていた為、神気が染み渡っている…故にあちら側神界と繋がりやすくなった。まぁ、本来なら繋がりやすくなった程度にしかならないのだがな。だが我はあの子の魂と繋がりがあり、あの方もまたあの子の魂に関わりがある。我の繋がりとあの方のお力が交わったことで一時的ではあるが直接会ってお話する事が可能になったのだ。〉


〈直接!?僕たちマースの神獣はアティス様の眷属であるけど直接お会いする事は生涯でもないに等しいんじゃないかったの!?お声を聞く事も条件が揃わないと出来ないし、それも僕たちからではダメで、アティス様からしかつなぐことは出来ないでしょう?〉


 異例中の異例ではないかと興奮気味の小フェンリル。そう、神獣といえども気軽に神と関わることはないのだ。神とは世界を管理する立場であって干渉しすぎることは許されないものであり、滅多な事がない限り神託もしないのだ。神託とは神が一方的に声を届けるものである。眷属である神獣には神託でも、上位神託にあたり、神の声が一方的に届くのではなく会話も可能だ。なお神からの信号がない限りこちらからはコンタクトは取れないのではあるが。つまり、神の声を聞き、話すことが出来た事だけでも大事件だというのに、バルフは直接会ったとも言ったのだ。これが興奮せずにいられるか。いや興奮せずにはいられない!


〈ぼ、僕もアティス様とお話してみたい〉


〈残念だが今のお前では無理だ。〉


〈やっぱりそうだよね~〉


 なんとなく分かってたけどと残念がる小フェンリル。


〈我はと言ったであろう?あの方はお前にも期待している。そして、我もだ。故に約束をしてほしいのだ。〉


 コクコクと頷き続きを促す。


〈あの子の従魔になれ。あの子と契約するのだ。今のお前なら契約に堪えられるはずだ。そして、あの子を守り抜け。我の代わりに世界を見届けてくれ。〉


〈えっ…〉


〈あの子がここに訪れる時、我の生命を全てあの子に捧げる。1つになるのだ。少しでもあの子の力になり、最後のあの子の時を共に過ごす。我は内から、お前は外から守るのだ。〉


 すぐには受け止められない。なぜなら、バルフは死ぬと言っているようにしか聞こえないのだ。


〈勘違いするでない。我は死なんよ。ただ、あの子の中で眠り続けるだけだ。あの子の魂の一部となり生きるのだ。故に悲しむ必要はない。むしろ誇れる事なのだ。我の全てを懸けてでも成し遂げたい未来があるのだ。〉


〈…分かった。父さんが選んだ道にどうこう言える義理じゃないしね。〉


〈フッ、強くなったな我が子よ。正直、泣き喚くか暴れ回るかぐらいはするかと思ったぞ。〉


〈酷いな…僕だって成長してるんだからね!〉


 プンプンする姿を見るとやはりまだまだ子どもだと口には出さないが思うバルフである。


〈あの子と契約をすれば、あの子の魂を守護するあの方アティス様のお力にも触れる事になる。そうする事でお前もあの方アティス様と直接お会いして話す事も可能になるだろう。〉


 大きく頷いた小フェンリル。そこに迷いは見えない。あるのは強い意志だ。


〈それでこそ我の子だ。〉


 バルフは満足気に微笑んだ。
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