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本編
もはやゾンビなのでは!?
しおりを挟む〈まぁいいや。それでね、ティアにも分かるように説明すると、あいつの欠損した部位から魔力が大量に溢れ出ているんだ。そうだな…水を入れた水槽に小さな穴が1つ空いたとすると、そこから少しずつ水が漏れて行くよね?それと一緒で怪我とかした時って魔力が患部から僅かだけど漏れちゃうんだ。普通なら自然と魔力の流出は抑制され止まるんだけど、あいつは止まらない。いや、止められないと言った方が正しいかな。水槽の話に戻して話すと、1つの穴から水槽にヒビが入り、次第に割れて大きな穴へとなった。すると、水は小さな穴の時よりも一気に漏れ始めることになり、止めようと思っても勢い余って止まらない。あとは中身の水がなくなるのを待つしかない。〉
私たちはスノウの話に耳を傾けて聞く。
〈で、アイツは今、身体の中に溜まっていた魔力…水槽の水が穴と言う名の大きな欠損部位から一気に漏れ出て行っているわけ。あとは全部無くなるのを待つだけ状態。〉
「原理は理解しましたが、それがなぜ…」
〈なぜ、僕やエリックがアイツを化け物のように言うかって?〉
うんうん。私も同じこと思った。たしかに水槽の話は分かりやすくて、ヤヤが魔力切れになりかけてることは理解した。けど、スノウ言ってよね。普通は魔力漏れは自然とおさまるものだって。なら、なんで魔力漏れがおさまる気配がないんだろう?そういう体質の人も世の中にはいるだろうけど、たまたまヤヤがそうだった!なんて都合のいいことあるわけないよね。そんな体質なら最初から怪我しないように気をつけるはず。なのに私やアルもヤヤに傷を負わせれたし。
〈アイツが化け物なのはエリックも言ってたように人間やめてるからだよ。アイツは半分死体なんた。〉
「まさかのゾンビ!?」
ホラー映画はここにあったのかと鳥肌が立ちアルに抱きつく。
〈おいコラ、アルベルタ、ティアから離れろ。ティアが減る!!〉
「なんで俺が責められるんだ!?てか、ティアが減るって何だよ!?」
理不尽すぎるスノウである。
「え、その…つまり、ヤヤは死んでいるんですか?」
〈半分ね。だから気持ち悪いんだよ。完全な死人じゃない。普通のアンデットよりタチが悪い。肉体という器そのものは生者のものだから白魔法の聖の力にも対抗できる。ただ中はぐちゃぐちゃなんだよ。おそらく魔力チャージする事で活動可能なんだと思う。だから睡眠も食事も要らないはずだ。感覚だってあってないようなものだと思う。そこらへんの器官は死んでるし。そもそも心臓が動いているのかすら怪しいよアイツ。なのに確実に脳は生きているし。〉
もうそれホラーじゃん!私とアルはつい先程まで話してたりしたんだよ。そんなやばい奴だったって知ってたら強気になんて出れなかったわ!
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