転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

反省

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「スノウさん、あなたもですよ?ティアさんには強力な防護壁を付けているから大丈夫だと言っていましたよね?おかしいですね?何故ティアさんは趣味の悪いあのようなものを付けられたのでしょうか?」


 ニールは持ち帰っていた魔封じの首輪に指を差してスノウを見据える。全身の毛が逆立つような震えを感じたスノウはピクリと身体を揺らした。ニールはいたって笑顔である。その笑顔が逆に心臓に悪いというか…スノウは沈黙した。


「ニールさんの言う通りだ!思い出したぞ!スノウのやつ、ティアの気配を辿って向っていた時に、防護壁が発動したようだけど、壊される事はないから大丈夫だって言ってたぞ!」


〈壊されてはないもん!!〉


「はぁ?何言ってんだ!ヤヤのやつに効いてなかったじゃねぇか。大丈夫じゃなかったからティアが危なかったんじゃないか!悔しいがアルベルタの時間稼ぎがなかったらヤバかったんたぞ。」


〈ウグッ…〉


 それはスノウのせいじゃないのに。


「スノウの防護壁は完璧だったんだよ?そんなにスノウを責めないで…」


〈いやいいんだティア。僕が悪い…〉


「スノウさんだけが悪いわけではありません。反省すべきは我々にも、そしてティアさん自身にもあります。そうですよね?」


 ニールさんの言葉に頷く。もともとスノウの言う事を聞かないで勝手な行動をしたのは私だ。


「ティアさん、自分から捕まったのはいけなかった事だと分かりますね?」


「はい…」


「ですが、もとはと言えば安全だろうとたかを括ってギルドに置いて来てしまった私たちにも責はある。ティアさんが自ら敵のもとへと行くことを許してしまいました。」


 すみませんと謝るニールに首を横に振るティア。


〈僕も…ごめんなさい。防護壁を付けたからって安心してたところがあった。結局、使えない防護壁になっちゃってたし…〉


「使えない防護壁なんかじゃなかったよ!ちゃんとヤヤに対して発動してた!」


「お前の防護壁の強さは、俺のお墨付きだぞ。ヤヤに巻き込まれて俺まで被害を与えられかねなかったくらいだからな!!お前、ティアにしか防護対象にしてなかっただろ!発動と同時に俺まで吹っ飛ばされるかと思ったぞ!?」


〈あぁ、そうだったっけ?僕はティアさえ護れれば問題なかったし。〉


「ケロッと言うな!!」


 スノウはくってかかるアルベルタにフンと鼻を鳴らして答える。


「なんだ、最初は正常に発動していたのか?なら何故俺たちが駆けつけた時、ティアはヤヤに魔封じの首輪までされていたんだ?防護壁が破られたのか?」


〈それは僕も不思議だったんだ。僕がティアにつけた防護壁の効果は3日だよ?だから今も防護壁の効果は残ってる状態だもん。〉


「ん?待てよ?てことは、あの魔爆竹から逃げてる時も発動したのか?」


〈もし本当にティアに怪我が及びそうになっていたら発動していたよ。その場合、エリックがまず吹っ飛んで、アルベルタとビスもバイバーイしてたんじゃないかな(笑)。〉


 もちろん僕は防護壁をつけた本人だから効果の対象外だから被害はないよ。と付け足すスノウ。これには、あの場にいたアルベルタとビスは「「はぁ!!?」」と声をあげて文句をスノウに言う。


 スノウ!ツーンじゃないから!!しれっと答えてるけど、言ってることとやってること酷いからね!?




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 久しぶりの投稿です。なかなか時間が取れず遅くなりました(>人<;)今年は何かと忙しくなりそうで、しばらくは不定期更新になるかと……
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