転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

パッチーナ攻防戦 20

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「攻撃隊の皆さん、ご協力頂きありがとうございます。急ぎ、外へ向かいましょう。前方からの残党の相手は私とこのディクスが引き受けます。後方は手の空いている救出隊並びに攻撃隊の方々に任せます。それでは、行きます。」



「「「はいっ!」」」



 キャスは先頭に立ち、外へと駆け抜ける。




 そして、外の光が見えた。皆が安堵しかけた次の瞬間…



「全員、止まって!!!」


 キャスの静止の声に慌てて足を止める。キャスの目線の先には空を覆う魔法陣があった。


 その光景に外で戦闘を行なっていた攻撃隊もコルチカムの戦闘員も唖然として空を見上げている。


「あーあ。遅かったかー。ありゃ、発動直前だぞ。」


 ディクスが時間切れだなと言わんばかりに空を見上げて言う。


「あんなの発動したら、さすがに私1人じゃ……」


「ん?なぁ、後方から誰か来るぞ?」


「あっ!師長!!ご無事でしたか!?」


 こんな時に新手かと振り返るキャスは、視界にとらえた人物を見て無性に安堵する。そう、二手に分かれ地下へと向かったデュースがそこにはいたのだ。






♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

救出隊+攻撃隊


「師長…あれ」


「…ん。…見えてる。……パッチーナ…全域…覆うね…多重発動…すごい。」


「すごいって褒めてる場合ですか!このままだと逃げ場なしですよ!」


「…とりあえず…救出した人たち…集める。…近くの避難所で…1人でも多く…守る体制…整える。」



 キャスはデュースの指示に素早く対応する。



「攻撃隊は…バン」


「おう、まかせろ。すでにここと反対にいるナックにも伝達済みだ。向こうの攻撃隊も近隣の避難所へ向かっている。」


 少し離れたところにいたバンはデュースの視線に気づくと駆け寄り、情報を共有する。


「…ん。…さすが。それじゃあ…っ!!!」



 移動開始と言いかけたデュースは空に浮かび上がる魔法陣が発動したのを感じとる。バンもほぼ同時に気づき、眉を寄せ険しさを露わにした。


「総員、一ヶ所に集まれ!!救出対象を優先に守りの体制をとれ!」


 バンの大声に攻撃隊は救出隊を囲むようにして集まる。



 空より降り注ぐは荊の嵐。



「無差別か!」



 バンは先ほどまで交戦し、地へと倒れていたコルチカムの構成員にも降り注ぐ魔法に舌打ちをする。あいにく、敵まで守る余裕はないのだ。


「デュース!!!」


「…ん。分かってる。…セシィ。…またお願い。」
 

〈出番が本日は多いですね。無茶しすぎでは?〉


「…問題ない。…まだ魔力はある。」



 セシィは先ほども自身を召喚し、魔力を大幅に消費したデュースを気遣う。


「……ホットウォーターウォール熱水の壁



 デュースは傘のように頭上にマグマのように熱い水の防御魔法を展開した。厚みのある水の膜は高温を維持し、それに触れた荊はふやけて焦げるにとどまらず、枯れ果てる。


「頭上はデュースが引き受けてくれる!だが範囲は最小限だ。デュースを中心に保護した者たちを集め、隙間なく攻撃隊が囲め。側面からの攻撃はなんとしても攻撃隊が抑えろ。いいな!?」


「「「了解っ!!」」」


 バンは先頭に立ち、避難所まで誘導する。後尾にはディクスがキャスに指名され、迫り来る攻撃を薙ぎ払う。キャスは後方中央より左右側面のサポートに回っている。




「避難所の教会だ。先行して状況を確認してくる。」



 バンは1人加速し、避難所へ向かう。キャスはバンに代わって先頭へとまわる。
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