混成魔獣は牙を剥く

をずわるど

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第一章

第一話 【出会い】

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流れる水の音がした。

意識は朦朧としている。

流されているのだろうか?分からない。

ここはどこだろう。そもそも僕は、誰なんだろう。

寒い。力が入らない。

何だか眠くなってきたな…。瞼が重い。

目の前が…暗く……なって………。





──────────────────────


………

…………………

…………………………………


「やっぱり拾わない方がよかったんじゃないですか?」

「そりゃあ無ぇだろ!!目の前のガキ一人助けれねぇで何が冒険者だ!!」

「うるさいね!!あんた達!!面倒見てんのはアタシなんだよ!!少し黙ってな!!」

「そうです。まずは落ち着いてください。正しい判断も出来なくなりますよ?」


誰かが喋ってる?…ひとりじゃない?4人…かな。

それに何だか………暖かい。助けてくれたのかな?

とりあえずお礼……言わないと………。


「あっ!!目が覚めたようですよ!?」

「おうおう!!無事で良かったぜ少年!!」

「あんた達やめときなさい!!こういう時は一斉に喋らない方がいいんだから。」

「回復したようですね……。」


なんだろこの人たち……賑やか…だな。

でもなんか悪い感じがしない。

それになんか、体が楽になった気がする………。

…………あ………お礼……お礼しないと……。


「あの…………。」

「「「「ん?」」」」

「た…助けてくれて……ありがとう…ございます。」

「「「「どういたしまして。」」」」


すごいな………息ぴったりだ……………。


「私の回復魔法が効いたみたいでよかったです。」

「オレが見つけてなかったらどうなってたことか…。」

「あんた達……その後の看病は全部アタシがやったんじゃないか。」

「僕は炎魔法で火を着けたりして環境を整えましたよ?」


……?…まほう?ってなんだろ。


「あの………。」

「はい?なんでしょうか?」

「おう?どうした?」

「なんだい?」

「どう致しました?」

「まほうってなんですか?」

「「「「え?知らないの?」」」」

「………はい。」

「えっとね……魔法っていうのは…………。」

「はい。なんですか?」

「……………なんだろ?」

「お前が説明出来なくてどうすんだよ!!」

「あんたが説明出来なくてどうすんのよ!!」

「はぁ……いいです。僕が説明します。」

「まずはですね…この世界には魔力という概念があるのですよ。その魔力はこの世界の全てのものが持っているものなのです。稀に魔力を持って生まれる道具もあります。それらは魔道具と呼ばれていまして、この世界のダンジョンと呼ばれる場所に眠っているお宝なのです。そして、それぞれ様々な特性を持っています。中には………。」

「ビリーさん?脱線してますよ?」

「おっと失礼……。そう言えば君の名前を聞いていなかったね。」

「ああ……そう言えばそうだね。」

「おっと。そりゃそうだ。」

「あんた。名前…なんて言うんだい?」

「僕は……………僕には……名前…無い。」

「そうかい………。」

「うむ。名無しか………。」

「…………成程。」

「……そうだ!!私たちで名前を付けてあげましょう!!」

「そりゃあいいね!!」

「じゃあ軽くアタシ達も自己紹介をしようか。」

「アタシはルーシィ。このパーティのリーダーだよ。職業は女戦士だ。」

「よし!!オレか!!オレはバルト。見ての通り武闘家だ。」

「私はレイラです。このパーティの回復の要である僧侶をやっています。」

「改めてだが。僕はビリー。魔法使いだ。攻撃魔法専門だ。」


「ちなみにね、ルーシィとバルトは夫婦なんだよ!!」

「え?……………,。」

「なんだいその顔、珍しいものでもみたのかい?」

「なんでも…無い………です。」


カァーカァー


「む?暗くなってきたようだな。野宿の準備でもするか。」


…………………………

…………………

…………


──────────────────────


夜はテントで過ごすようだ。
炎を起こすついでに魔法を教えて貰った。
僕は筋がいいらしい。日用魔法ならすぐに使えるようになると言われた。4人の中はとても心地がよかった。
ずっとこの4人と一緒にいたいと思った。


「ところであんた。その身体中のツギハギの傷どうしたんだい?それと前髪も長過ぎるよ、切ってあげようかい?」

「それが……何も覚えていないんです………自分が【何者】なのかを。」

「……なるほどね。記憶が無いんだね。……………それじゃあアタシ達と新しい記憶をつくろうじゃないか。楽しい楽しい記憶をね!!」

「……………え。…………いいん…………ですか?」

「当たり前だろう?なぁ、あんた。」

「もちろんだ!!お前はもう俺達の家族だ。」

「……うぅ………ひぐっ………。」

「おおっと……泣いちまったよ。」

「きっと安心したんだろ。さあ、アタシの所へおい
で。」


初めて泣いた。人の愛情というもので。これがフツウなのだろうか。とても心が軽くなった気がした。


「ルーシィさん。バルトさん。」

「ん?なんだい?」 「おう、どうした?」

「お母さん、お父さんって呼んでもいいですか?」

「……………ああ。いいよ。」
「おう。遠慮すんなまだ子どもなんだから。」


「ええーーー!!!ずるいですよ!!ルーシィさん!!バルトさん!!私も親しくなりたいです!!」

「じゃあ………レイラお姉ちゃん////………。」

「あぁ……尊い。私死ねる気がします……。」

「僕は!?」

「メガネ兄?」

「………悪くないです。」

「「まじかよ!!」」


こうして僕は彼らと出会った。
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