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「……ちょっと、ララさん。あなた、何をしてるの?」
定食屋『鉄鍋亭』の裏手、仕込み場。
私は、目の前の光景に頭を抱えた。
私の隣で、やる気だけは満々のララさんが、一個のじゃがいもと格闘している。
格闘しているのだが――。
「ええっ!? だ、だって店員さん……あ、エドさん! このお野菜、泥がついてて、なんだかゴツゴツしてて、どこをどうすればいいのか分からなくて!」
「皮を剥くのよ、皮を! 包丁の背……じゃなくて、このピーラーを使いなさい。シュッ、シュッとやるだけよ」
「シュッ、シュッですね! わ、わかりました! えいっ!」
ガリッ、という嫌な音が響いた。
ララさんの手元を見ると、じゃがいもが半分近く削り取られ、見るも無惨な姿になっている。
剥かれた皮というより、もはや「じゃがいもの身を削った何か」が床に散乱していた。
「……ララさん。それ、もうじゃがいもじゃないわ。ただのビー玉よ」
「ふぇぇ……。ご、ごめんなさい……。お家では、いつもお皿の上に乗った状態で出てくるので……」
お嬢様育ち、恐るべし。
これが「ヒロイン」のスペックだというのなら、世界は今すぐ自炊を義務付けるべきだわ。
私はため息をつき、彼女からじゃがいもをひったくった。
「見てなさい。こうして、こうよ!」
私は目にも止まらぬ速さでじゃがいもを回し、薄く、完璧に皮を剥いていく。
公爵令嬢としての教育にはなかったけれど、この数日間の「鉄鍋亭」での修行で、私は野菜の皮剥きマスターへと進化したのだ。
シュシュシュシュ、と小気味良い音が響き、あっという間に一つのじゃがいもが白く輝く。
「すごいですっ! エドさん、魔法使いみたい!」
「ただの効率化よ。ほら、感動してる暇があったら、剥き終わったのを水にさらして。マーサさんが『まだか!』って怒鳴り込んでくるわよ」
「は、はいっ! ええと、お水、お水……。わわっ、冷たいっ!」
いちいちリアクションが大きいのよ、この子は。
私がララさんをこき使っていると、壁際で白湯を飲んでいたゼクスが、呆れたように口を開いた。
「……坊主。そんなお嬢ちゃんを働かせて、人探しはどうした。今日は港の方へ聞き込みに行くと言っていなかったか?」
「軍資金がないのに旅ができるわけないでしょ。この子はまず、働くことの厳しさを知るべきなの。ねえ、ララさん?」
「はい! 私、頑張ります! イーズ様を見つけるためなら、じゃがいも一万個だって剥いてみせます!」
「一万個も剥かれたら店が潰れるわよ。……それよりララさん。さっき言っていた『公爵令嬢』について、もう少し詳しく教えてくれない?」
私は作業を続けながら、さりげなく情報を引き出すことにした。
敵を知り己を知れば百戦危うからず、よ。
「イーズ様ですか? ……そうですね。最初は、とっても怖い方だと思っていました。いつもヴィル様に厳しく注意されていましたし、お茶会でもピリピリされていて……」
「へぇ。どんな風に?」
「『殿下、そのネクタイの色は今流行りのブルーとは三度も色相がズレておりますわ。今すぐ付け替えなさい!』とか、『そのお菓子の食べ方は美しくありません。筋肉の使い方が間違っています!』とか……」
(……。私、そんなこと言ってたかしら。……言ってたわね、確かに)
公爵令嬢時代の自分の言動を客観的に聞かされると、なんというか、非常に「面倒くさい女」だった自覚が湧いてきて辛い。
「でも、ヴィル様がイーズ様のことを話す時は、いつも楽しそうだったんです。……あ、いえ、時々ポエムを自作して読み聞かせていた時は、イーズ様、本当に死にそうな顔をされていましたけど」
「……あの、それ、本当に楽しみにしてたの?」
「ヴィル様は『彼女は僕の愛の深さに圧倒されて、言葉を失っているのだ。なんてシャイなんだ!』と喜んでいました。……でも、ある日イーズ様に『殿下の脳みそはバラの肥料にでもした方が国のためですわ』って言われたらしくて、その日は三日三晩寝込んでいましたね」
(……。言ったわ。言った覚えがあるわ。だって、あの王子、バラ園のど真ん中で膝をついて『君の瞳は朝露に濡れたナメクジのように輝いている……』とか言い出したんですもの。ナメクジって何よ、ナメクジって!)
私はじゃがいもを握りつぶしそうになるのを必死で堪えた。
思い出せば思い出すほど、夜逃げして正解だったと確信する。
「エドさん……? なんだか、すごく怖い顔をしていますよ?」
「……気のせいよ。ほら、じゃがいも! 次は芽を取るのよ! この包丁の角を使って、ぐりっとね!」
「ひえぇぇ、ぐりっとですね! や、やってみます……。えいっ!」
案の定、ララさんは自分の指を突き刺しそうになり、私はそれを間一髪で止める羽目になった。
じゃがいもの皮剥きは、まさに戦場。
そして、私の精神にとっても、過去の黒歴史と向き合う激戦区となっていた。
「おい、エド! じゃがいもはまだかい! 客が腹を空かせて暴れそうだ!」
「今行くわよ、マーサさん! ……ララさん、残りは私がやるから、あなたは皿を拭いてなさい!」
「は、はい! お役に立てなくてごめんなさいっ!」
ララさんは慌てて皿洗いの列へと戻っていった。
それを見送った後、ゼクスがふらりと近づいてきた。
「……坊主。お前、さっきから妙に詳しいな」
「……何がよ」
「あの王子の奇行を聞いている時、お前、自分のことのように嫌な顔をしていたぞ。……まるで、その場にいたみたいにな」
用心棒の勘、鋭すぎ。
私は胃薬の袋を彼の口に突っ込みたくなった。
「……想像力が豊かなのよ。さあ、仕事仕事!」
私はバケツ一杯のじゃがいもを抱え、戦場(厨房)へと飛び込んだ。
自分の黒歴史を上書きするには、今は目の前の仕事を完璧にこなすしかない。
港町の朝は、まだまだ終わらないのだ。
定食屋『鉄鍋亭』の裏手、仕込み場。
私は、目の前の光景に頭を抱えた。
私の隣で、やる気だけは満々のララさんが、一個のじゃがいもと格闘している。
格闘しているのだが――。
「ええっ!? だ、だって店員さん……あ、エドさん! このお野菜、泥がついてて、なんだかゴツゴツしてて、どこをどうすればいいのか分からなくて!」
「皮を剥くのよ、皮を! 包丁の背……じゃなくて、このピーラーを使いなさい。シュッ、シュッとやるだけよ」
「シュッ、シュッですね! わ、わかりました! えいっ!」
ガリッ、という嫌な音が響いた。
ララさんの手元を見ると、じゃがいもが半分近く削り取られ、見るも無惨な姿になっている。
剥かれた皮というより、もはや「じゃがいもの身を削った何か」が床に散乱していた。
「……ララさん。それ、もうじゃがいもじゃないわ。ただのビー玉よ」
「ふぇぇ……。ご、ごめんなさい……。お家では、いつもお皿の上に乗った状態で出てくるので……」
お嬢様育ち、恐るべし。
これが「ヒロイン」のスペックだというのなら、世界は今すぐ自炊を義務付けるべきだわ。
私はため息をつき、彼女からじゃがいもをひったくった。
「見てなさい。こうして、こうよ!」
私は目にも止まらぬ速さでじゃがいもを回し、薄く、完璧に皮を剥いていく。
公爵令嬢としての教育にはなかったけれど、この数日間の「鉄鍋亭」での修行で、私は野菜の皮剥きマスターへと進化したのだ。
シュシュシュシュ、と小気味良い音が響き、あっという間に一つのじゃがいもが白く輝く。
「すごいですっ! エドさん、魔法使いみたい!」
「ただの効率化よ。ほら、感動してる暇があったら、剥き終わったのを水にさらして。マーサさんが『まだか!』って怒鳴り込んでくるわよ」
「は、はいっ! ええと、お水、お水……。わわっ、冷たいっ!」
いちいちリアクションが大きいのよ、この子は。
私がララさんをこき使っていると、壁際で白湯を飲んでいたゼクスが、呆れたように口を開いた。
「……坊主。そんなお嬢ちゃんを働かせて、人探しはどうした。今日は港の方へ聞き込みに行くと言っていなかったか?」
「軍資金がないのに旅ができるわけないでしょ。この子はまず、働くことの厳しさを知るべきなの。ねえ、ララさん?」
「はい! 私、頑張ります! イーズ様を見つけるためなら、じゃがいも一万個だって剥いてみせます!」
「一万個も剥かれたら店が潰れるわよ。……それよりララさん。さっき言っていた『公爵令嬢』について、もう少し詳しく教えてくれない?」
私は作業を続けながら、さりげなく情報を引き出すことにした。
敵を知り己を知れば百戦危うからず、よ。
「イーズ様ですか? ……そうですね。最初は、とっても怖い方だと思っていました。いつもヴィル様に厳しく注意されていましたし、お茶会でもピリピリされていて……」
「へぇ。どんな風に?」
「『殿下、そのネクタイの色は今流行りのブルーとは三度も色相がズレておりますわ。今すぐ付け替えなさい!』とか、『そのお菓子の食べ方は美しくありません。筋肉の使い方が間違っています!』とか……」
(……。私、そんなこと言ってたかしら。……言ってたわね、確かに)
公爵令嬢時代の自分の言動を客観的に聞かされると、なんというか、非常に「面倒くさい女」だった自覚が湧いてきて辛い。
「でも、ヴィル様がイーズ様のことを話す時は、いつも楽しそうだったんです。……あ、いえ、時々ポエムを自作して読み聞かせていた時は、イーズ様、本当に死にそうな顔をされていましたけど」
「……あの、それ、本当に楽しみにしてたの?」
「ヴィル様は『彼女は僕の愛の深さに圧倒されて、言葉を失っているのだ。なんてシャイなんだ!』と喜んでいました。……でも、ある日イーズ様に『殿下の脳みそはバラの肥料にでもした方が国のためですわ』って言われたらしくて、その日は三日三晩寝込んでいましたね」
(……。言ったわ。言った覚えがあるわ。だって、あの王子、バラ園のど真ん中で膝をついて『君の瞳は朝露に濡れたナメクジのように輝いている……』とか言い出したんですもの。ナメクジって何よ、ナメクジって!)
私はじゃがいもを握りつぶしそうになるのを必死で堪えた。
思い出せば思い出すほど、夜逃げして正解だったと確信する。
「エドさん……? なんだか、すごく怖い顔をしていますよ?」
「……気のせいよ。ほら、じゃがいも! 次は芽を取るのよ! この包丁の角を使って、ぐりっとね!」
「ひえぇぇ、ぐりっとですね! や、やってみます……。えいっ!」
案の定、ララさんは自分の指を突き刺しそうになり、私はそれを間一髪で止める羽目になった。
じゃがいもの皮剥きは、まさに戦場。
そして、私の精神にとっても、過去の黒歴史と向き合う激戦区となっていた。
「おい、エド! じゃがいもはまだかい! 客が腹を空かせて暴れそうだ!」
「今行くわよ、マーサさん! ……ララさん、残りは私がやるから、あなたは皿を拭いてなさい!」
「は、はい! お役に立てなくてごめんなさいっ!」
ララさんは慌てて皿洗いの列へと戻っていった。
それを見送った後、ゼクスがふらりと近づいてきた。
「……坊主。お前、さっきから妙に詳しいな」
「……何がよ」
「あの王子の奇行を聞いている時、お前、自分のことのように嫌な顔をしていたぞ。……まるで、その場にいたみたいにな」
用心棒の勘、鋭すぎ。
私は胃薬の袋を彼の口に突っ込みたくなった。
「……想像力が豊かなのよ。さあ、仕事仕事!」
私はバケツ一杯のじゃがいもを抱え、戦場(厨房)へと飛び込んだ。
自分の黒歴史を上書きするには、今は目の前の仕事を完璧にこなすしかない。
港町の朝は、まだまだ終わらないのだ。
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