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「右翼の騎士団! 動きが三秒遅いわよ! そんなノロマな旋回じゃ、隣の国の牛にさえ追い越されるわ!」
北部要塞『鉄壁の牙』の訓練場。
私の怒声が、冷たい冬の空気に響き渡った。
夜逃げを決行してから、早いもので二ヶ月。
今の私は、ドレスを脱ぎ捨て、司令官レオンハルト公認の「非公式戦術アドバイザー」として、この要塞を支配……もとい、効率化していた。
「……イーズ嬢。君が来てからというもの、我が軍の練度は上がったが、兵士たちの顔から生気が消えていく気がするんだが?」
隣で腕を組むレオンハルトが、遠い目で訓練風景を眺めている。
彼の赤い軍服は今日も完璧に着こなされているけれど、その肩には少しだけ「管理職の疲れ」が滲んでいた。
「あら、司令官。無駄な動きを削ぎ落とせば、自由な時間が増えるのよ。彼らも、私のシゴキ……いえ、指導のおかげで、夜はぐっすり眠れているはずだわ」
「それは単に、気絶するように倒れているだけではないのか……?」
「細かいことは気にしないの。ほら、あそこの三番隊! 槍を構える角度が五度ズレてる! やり直し!」
私が指を差すと、屈強な兵士たちが「ひっ、イーズ軍曹殿(非公式)だ!」と震え上がって整列し直す。
公爵令嬢として培った「完璧を求める心」と、定食屋で磨いた「荒くれ者を黙らせる度声」。
この二つが合わさった今の私は、もはや無敵と言っても過言ではない。
「イーズ様ぁ……。おやつにジャガイモのガレットを焼きましたよぅ……。さあ、一休みしましょう?」
訓練場の隅から、ララさんがホカホカの皿を持って現れた。
彼女もこの二ヶ月で随分と逞しくなった。
相変わらず方向音痴で、要塞の中でさえ迷子になって地下牢に閉じ込められたりするけれど、じゃがいもの皮剥きスピードだけは、今や要塞一の料理番に匹敵する。
「ありがとう、ララさん。……ふぅ、美味しいわね。やっぱり炭水化物は筋肉の味方だわ」
「良かったですぅ。……でも、イーズ様。もう二ヶ月も王都を離れているんですね。ヴィル様、今頃どうしているんでしょう……」
「……あの名前を出すのはやめて。せっかくのガレットがポエム味になっちゃうじゃない」
あの「日記帳全放送」事件以来、ヴィルフリードは要塞の門前で十日間ほど泣き崩れていたらしいが、その後は「更なる愛の言葉を研鑽してくる!」と捨て台詞を残して姿を消した。
レオンハルト曰く、王都に戻って「愛のポエム・ハードトレーニング」に励んでいるとのことだが、正直一生戻ってこなくていい。
平和だ。
お父様からの仕送り(という名の、隣国での活動経費)も定期的に届くし、仕事はあるし、飯は美味い。
……だが、そんな安穏とした空気を切り裂くように、要塞の正門から鋭い笛の音が響いた。
「報告! 南の街道より、一人の旅人が接近中! ……あ、あれは……!」
見張り兵の声が震えている。
私は嫌な予感がして、訓練場のフェンスから身を乗り出した。
門をくぐって現れたのは、見覚えのある「黒ずくめ」の男だった。
「……ううっ。胃が……。誰か、白湯を……。あるいは、死ぬほど効くあの粉薬を……」
「……ゼクス!?」
私は思わず叫んでいた。
ポート・サウスで別れ、ウェスト・エンドで密書を届けてくれたあの用心棒が、ボロボロの姿で要塞に辿り着いたのだ。
彼は私を見つけると、力なく片手を上げた。
「……よぉ、エド。……いや、今はイーズ嬢だったな。……最悪だ。また閣下に……こき使われて……ここまで来たぞ……」
「お父様に? 今度は何よ。……ちょっと、大丈夫? 顔が土気色よ」
私は駆け寄り、彼の口に秘蔵の胃薬を流し込んだ。
数秒後、ゼクスは大きく息を吐き、ようやく自分の足で立った。
「……助かった。……いいか、イーズ。今すぐ荷物をまとめろ。……『影』が来ている」
「影? 何のことよ。王子ならレオンハルトが追い返してくれるわよ」
「違う。王子じゃない。……お前の『婚約破棄』を、王室が正式に撤回した。それだけじゃない。……国王陛下が、お前を『王国の至宝』として、強制的に連れ戻すための特別捜索隊を組織したんだ」
「はぁ!? 至宝!? 私が!?」
ゼクスの言葉に、私の思考が停止した。
撤回? 連れ戻す?
自由を満喫している私を、今更どの面下げて呼び戻そうというの。
「ヴィルフリードの野郎が、あの日記放送を逆手に取ったんだ。『これほどまでに情熱的な僕の愛を、全土に公開してくれた! イーズはやはり僕を誰よりも愛しているのだ!』と陛下に泣きついたらしい」
「……あの大バカ、ポジティブすぎるでしょ!」
「陛下も陛下だ。あいつの暴走を止めるどころか、『それほど愛し合っているなら、早く結婚して世継ぎを作れ』と盛り上がってしまって……。現在、精鋭の黒騎士団が、この要塞に向かって爆走中だ。指揮を執っているのは、お前の実の兄……カイン卿だぞ」
「……お兄様まで!?」
お兄様は、お父様に似て超がつくほどの効率主義者だが、同時に極度の「妹大好き人間」でもある。
彼が本気で追いかけてくるということは、この要塞の壁なんて紙同然に突破される。
「猶予はない。数時間後には、ここが包囲されるぞ。……逃げるか、諦めるか。選べ、お嬢様」
ゼクスは鋭い視線で私を射抜いた。
私は、手に持ったガレットをギュッと握りしめる。
「……決まってるじゃない。捕まったら一生、あの王子のポエムを聞かされながら『至宝』として箱詰めされるのよ? そんなの、死んでもお断りだわ!」
私はララさんを振り返った。
「ララさん! 荷物をまとめて! 今度は北の雪山を越えて、さらに遠くへ行くわよ!」
「ええっ!? 雪山ですかぁ!? せっかくパン屋さんの常連になったのにぃー!」
「命が大事でしょ! ゼクス、あなたも来なさい! 胃薬の予備なら、雪山三つ分はあるわ!」
「……チッ、やっぱりこうなるか。……胃が痛え」
こうして、私の二ヶ月にわたる「要塞ニート(アドバイザー)生活」は、一瞬にして崩壊した。
迫り来る兄と黒騎士団。
そして、ポジティブモンスターと化した王子の執念。
悪役令嬢イーズの逃亡劇は、ここから「極寒の第二章」へと突入するのだった。
北部要塞『鉄壁の牙』の訓練場。
私の怒声が、冷たい冬の空気に響き渡った。
夜逃げを決行してから、早いもので二ヶ月。
今の私は、ドレスを脱ぎ捨て、司令官レオンハルト公認の「非公式戦術アドバイザー」として、この要塞を支配……もとい、効率化していた。
「……イーズ嬢。君が来てからというもの、我が軍の練度は上がったが、兵士たちの顔から生気が消えていく気がするんだが?」
隣で腕を組むレオンハルトが、遠い目で訓練風景を眺めている。
彼の赤い軍服は今日も完璧に着こなされているけれど、その肩には少しだけ「管理職の疲れ」が滲んでいた。
「あら、司令官。無駄な動きを削ぎ落とせば、自由な時間が増えるのよ。彼らも、私のシゴキ……いえ、指導のおかげで、夜はぐっすり眠れているはずだわ」
「それは単に、気絶するように倒れているだけではないのか……?」
「細かいことは気にしないの。ほら、あそこの三番隊! 槍を構える角度が五度ズレてる! やり直し!」
私が指を差すと、屈強な兵士たちが「ひっ、イーズ軍曹殿(非公式)だ!」と震え上がって整列し直す。
公爵令嬢として培った「完璧を求める心」と、定食屋で磨いた「荒くれ者を黙らせる度声」。
この二つが合わさった今の私は、もはや無敵と言っても過言ではない。
「イーズ様ぁ……。おやつにジャガイモのガレットを焼きましたよぅ……。さあ、一休みしましょう?」
訓練場の隅から、ララさんがホカホカの皿を持って現れた。
彼女もこの二ヶ月で随分と逞しくなった。
相変わらず方向音痴で、要塞の中でさえ迷子になって地下牢に閉じ込められたりするけれど、じゃがいもの皮剥きスピードだけは、今や要塞一の料理番に匹敵する。
「ありがとう、ララさん。……ふぅ、美味しいわね。やっぱり炭水化物は筋肉の味方だわ」
「良かったですぅ。……でも、イーズ様。もう二ヶ月も王都を離れているんですね。ヴィル様、今頃どうしているんでしょう……」
「……あの名前を出すのはやめて。せっかくのガレットがポエム味になっちゃうじゃない」
あの「日記帳全放送」事件以来、ヴィルフリードは要塞の門前で十日間ほど泣き崩れていたらしいが、その後は「更なる愛の言葉を研鑽してくる!」と捨て台詞を残して姿を消した。
レオンハルト曰く、王都に戻って「愛のポエム・ハードトレーニング」に励んでいるとのことだが、正直一生戻ってこなくていい。
平和だ。
お父様からの仕送り(という名の、隣国での活動経費)も定期的に届くし、仕事はあるし、飯は美味い。
……だが、そんな安穏とした空気を切り裂くように、要塞の正門から鋭い笛の音が響いた。
「報告! 南の街道より、一人の旅人が接近中! ……あ、あれは……!」
見張り兵の声が震えている。
私は嫌な予感がして、訓練場のフェンスから身を乗り出した。
門をくぐって現れたのは、見覚えのある「黒ずくめ」の男だった。
「……ううっ。胃が……。誰か、白湯を……。あるいは、死ぬほど効くあの粉薬を……」
「……ゼクス!?」
私は思わず叫んでいた。
ポート・サウスで別れ、ウェスト・エンドで密書を届けてくれたあの用心棒が、ボロボロの姿で要塞に辿り着いたのだ。
彼は私を見つけると、力なく片手を上げた。
「……よぉ、エド。……いや、今はイーズ嬢だったな。……最悪だ。また閣下に……こき使われて……ここまで来たぞ……」
「お父様に? 今度は何よ。……ちょっと、大丈夫? 顔が土気色よ」
私は駆け寄り、彼の口に秘蔵の胃薬を流し込んだ。
数秒後、ゼクスは大きく息を吐き、ようやく自分の足で立った。
「……助かった。……いいか、イーズ。今すぐ荷物をまとめろ。……『影』が来ている」
「影? 何のことよ。王子ならレオンハルトが追い返してくれるわよ」
「違う。王子じゃない。……お前の『婚約破棄』を、王室が正式に撤回した。それだけじゃない。……国王陛下が、お前を『王国の至宝』として、強制的に連れ戻すための特別捜索隊を組織したんだ」
「はぁ!? 至宝!? 私が!?」
ゼクスの言葉に、私の思考が停止した。
撤回? 連れ戻す?
自由を満喫している私を、今更どの面下げて呼び戻そうというの。
「ヴィルフリードの野郎が、あの日記放送を逆手に取ったんだ。『これほどまでに情熱的な僕の愛を、全土に公開してくれた! イーズはやはり僕を誰よりも愛しているのだ!』と陛下に泣きついたらしい」
「……あの大バカ、ポジティブすぎるでしょ!」
「陛下も陛下だ。あいつの暴走を止めるどころか、『それほど愛し合っているなら、早く結婚して世継ぎを作れ』と盛り上がってしまって……。現在、精鋭の黒騎士団が、この要塞に向かって爆走中だ。指揮を執っているのは、お前の実の兄……カイン卿だぞ」
「……お兄様まで!?」
お兄様は、お父様に似て超がつくほどの効率主義者だが、同時に極度の「妹大好き人間」でもある。
彼が本気で追いかけてくるということは、この要塞の壁なんて紙同然に突破される。
「猶予はない。数時間後には、ここが包囲されるぞ。……逃げるか、諦めるか。選べ、お嬢様」
ゼクスは鋭い視線で私を射抜いた。
私は、手に持ったガレットをギュッと握りしめる。
「……決まってるじゃない。捕まったら一生、あの王子のポエムを聞かされながら『至宝』として箱詰めされるのよ? そんなの、死んでもお断りだわ!」
私はララさんを振り返った。
「ララさん! 荷物をまとめて! 今度は北の雪山を越えて、さらに遠くへ行くわよ!」
「ええっ!? 雪山ですかぁ!? せっかくパン屋さんの常連になったのにぃー!」
「命が大事でしょ! ゼクス、あなたも来なさい! 胃薬の予備なら、雪山三つ分はあるわ!」
「……チッ、やっぱりこうなるか。……胃が痛え」
こうして、私の二ヶ月にわたる「要塞ニート(アドバイザー)生活」は、一瞬にして崩壊した。
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