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結婚式前夜。
ドラグーン公爵城は、嵐の前の静けさ……ではなく、決算期前夜のようなピリピリとした緊張感に包まれていた。
執務室の灯りは、深夜になっても消えていない。
「……引き出物の配送手配、完了。料理の最終確認、完了。当日の天候予測、晴れのち曇り、降水確率ゼロ」
ルーアはデスクにかじりつき、明日の結婚式の『進行台本(タイムスケジュール)』を睨みつけていた。
「完璧よ。一分の隙もないわ。移動動線も最短ルートを確保したし、挨拶の時間は一人三分で区切った。これなら予定通り三時間で終了し、撤収作業を含めても十八時には解散できる」
彼女はペンを回しながら、ブツブツと呟く。
「……でも、何かしら。この胸のモヤモヤは」
数値上は完璧なはずなのに、心拍数が安定しない。
胃のあたりがキリキリする。
「まさか、ロランド殿下の呪い? いえ、あの人にそんな魔力はないわ。となると……ストレス性胃炎?」
ルーアが胃薬を探して引き出しを開けようとした、その時。
コンコン。
窓ガラスが軽く叩かれた。
「……はい?」
ここは三階だ。
ルーアが振り返ると、窓の外に、月光を背負って浮かぶ人影があった。
銀色の髪が夜風になびいている。
「……閣下。玄関から入ってくださいと、何度言えば学習するのですか?」
ルーアが窓を開けると、クラウスが苦笑しながら入ってきた。
「すまない。だが、どうしても今、君に会いたくなってな」
「明日の朝には嫌でも会いますよ。祭壇の前で」
「数時間が待てないんだ」
クラウスは悪びれもせず、ルーアのデスクに腰掛けた。
「君こそ、まだ起きているのか? 明日は主役だぞ。目の下にクマを作っていたら、化粧師が泣くぞ」
「眠れないんです。……脳が覚醒状態で、明日のシミュレーションを無限ループしています」
ルーアはため息をついた。
「失敗が許されないプロジェクトですから。もし私が転んでケーキに突っ込んだら? もし誓いの言葉を噛んで『健やかなる時も、病める時も、損益分岐点を越える時も』って言っちゃったら?」
「……それはそれで面白いが」
クラウスはクスクスと笑い、そして優しくルーアの手を取った。
「少し、外の空気を吸おう。頭を冷やした方がいい」
「ですが、まだ最終チェックが……」
「業務命令だ。ついてこい」
クラウスは有無を言わせず、ルーアを抱き上げると、再び窓から夜空へと飛び出した。
「きゃっ!?」
ふわりと体が浮く。
風魔法によって、二人は城の屋根の上へと降り立った。
そこは、王都の夜景と、満天の星空を一望できる特等席だった。
「……綺麗」
ルーアは思わず息を呑んだ。
眼下には、明日の祝典のために飾り付けられた街並みが、宝石箱のように輝いている。
「ここなら、計算機も書類もない。あるのは星と、私と、君だけだ」
クラウスが隣に座り、肩を抱き寄せる。
冷たい夜風が心地よい。
ルーアの張り詰めていた神経が、少しずつ解れていくのがわかった。
「……閣下は、緊張しないんですか?」
「緊張? 私がか?」
クラウスは鼻で笑った。
「私は魔物討伐の最前線で、死線を何度もくぐり抜けてきた男だぞ。たかが結婚式くらいで……と言いたいところだが」
彼は少し言葉を濁し、照れくさそうに頬をかいた。
「……実は、足が震えている」
「えっ」
「君を幸せにできるか。君のその優秀さに、私が釣り合う夫になれるか。……考え出したら、私も眠れなかった」
最強の氷の公爵が、まるで初恋に悩む少年のようだ。
ルーアは驚き、そして自然と笑みがこぼれた。
「……ふふ。私たち、似た者同士ですね」
「ああ。臆病で、不器用で、考えすぎる」
二人は顔を見合わせ、夜空の下で笑い合った。
その時、クラウスが居住まいを正した。
「ルーア。……一つ、渡したいものがある」
「渡したいもの? また計算機ですか? それとも新しい椅子?」
「違う」
クラウスは懐から、小さなベルベットの箱を取り出した。
以前、計算機が入っていた箱とは違う。
もっと小さく、しかし重厚な気配を放つ箱だ。
彼はパカッと蓋を開けた。
「……!」
そこにあったのは、指輪だった。
しかし、ただの指輪ではない。
透明な台座の上に、青白く、内側から光を放つ宝石が嵌め込まれている。
それはダイヤモンドよりも硬質で、サファイアよりも深く、見たこともない輝きを放っていた。
「これは……?」
「『永久氷晶(エターナル・クリスタル)』だ」
クラウスが静かに説明する。
「私の魔力の核から生成した、世界に一つだけの結晶だ。ダイヤモンドより硬く、決して傷つかず、そして……決して溶けない」
「魔力の……核?」
ルーアは絶句した。
それはつまり、彼の命の一部を削って作ったということではないか。
「市場価値は?」
ルーアの口から、無意識にいつもの言葉が出た。
クラウスはニヤリと笑った。
「算出不能(プライスレス)だ。世界中の富を集めても買えない」
「……計算できないものを渡さないでください。資産台帳に載せられません」
「載せなくていい。君の指に載せてくれ」
クラウスは指輪を取り出し、ルーアの左手を取った。
そして、屋根の上で、恭しく片膝をついた。
「ルーア・バーンスタイン」
真剣な声。
契約の時のような取引口調ではない。
ただの男としての、熱い告白。
「第18話で契約書を交わしたが……あれは『書類上』のことだ。私は、君にきちんと言葉で伝えていなかった」
彼はルーアの薬指に、冷たくも温かい指輪を滑り込ませた。
サイズは、驚くほど完璧だった。
「君の、その計算高いところが好きだ」
「……え?」
「がめつくて、現実主義で、色気がなくて、すぐに電卓を叩く。……そんな君が、私はどうしようもなく愛おしい」
クラウスはルーアの手の甲にキスをした。
「君が数字を愛するように、私は君を愛する。この命が尽きるまで、私の隣で、私の人生の収支決算をし続けてくれないか?」
それは、ルーアが今まで聞いたどの言葉よりも、非論理的で、非効率で、そして最高に心に響く『プロポーズ』だった。
ルーアの目から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。
「……ずるいです」
「何がだ?」
「『計算高いところが好き』なんて……そんなの、褒め言葉として処理していいんですか?」
「最大の賛辞だ」
「……それに、こんな高価な指輪。減価償却はどうするんですか。固定資産税がかかりますよ」
「私が払う」
「……ううっ、バカ……」
ルーアは泣きながら、クラウスに抱きついた。
「結婚してあげます! 私の人生というリソースを、全部あなたに投資します! だから……絶対に黒字にしてくださいね!」
「ああ、約束する。世界一幸せな『黒字経営』を」
クラウスはルーアを抱き締め、月明かりの下でキスをした。
屋根の上。二人きりの世界。
そこには、計算機も契約書もない。ただ、溢れんばかりの愛だけがあった。
「……ふふ、計算外だわ」
唇を離したルーアが、涙目で笑う。
「まさか私が、こんな非効率な『愛』という感情に振り回されるなんて」
「それが人生の醍醐味だ」
クラウスは指輪を愛おしそうに撫でた。
「さあ、戻ろうか。明日は早い」
「はい。……あ、待ってください」
ルーアは急に真顔に戻り、指輪を凝視した。
「この『永久氷晶』、魔力増幅効果がありますね? これをつけて魔法を使えば、冷房効率が30%アップします」
「……君は、この期に及んでそんな分析を……」
「当然です。機能美も重要ですから」
「ははは! さすが私の妻だ!」
クラウスは高らかに笑い、再びルーアを抱えて窓へと飛び込んだ。
結婚式前夜の『計算外のプロポーズ』。
それは、二人の絆を、どんな契約書よりも強く、深く結びつけるものとなった。
そして、夜が明ける。
いよいよ、伝説となる結婚式の幕開けである。
「よし、寝ましょう! 睡眠不足はお肌の敵、ひいては写真写りの敵です!」
「ああ。おやすみ、ルーア」
「おやすみなさい、あなた」
二人は幸せな眠りについた。
翌朝、式場に現れる『招かれざる珍客』の存在など、この時はまだ知る由もなかった。
ドラグーン公爵城は、嵐の前の静けさ……ではなく、決算期前夜のようなピリピリとした緊張感に包まれていた。
執務室の灯りは、深夜になっても消えていない。
「……引き出物の配送手配、完了。料理の最終確認、完了。当日の天候予測、晴れのち曇り、降水確率ゼロ」
ルーアはデスクにかじりつき、明日の結婚式の『進行台本(タイムスケジュール)』を睨みつけていた。
「完璧よ。一分の隙もないわ。移動動線も最短ルートを確保したし、挨拶の時間は一人三分で区切った。これなら予定通り三時間で終了し、撤収作業を含めても十八時には解散できる」
彼女はペンを回しながら、ブツブツと呟く。
「……でも、何かしら。この胸のモヤモヤは」
数値上は完璧なはずなのに、心拍数が安定しない。
胃のあたりがキリキリする。
「まさか、ロランド殿下の呪い? いえ、あの人にそんな魔力はないわ。となると……ストレス性胃炎?」
ルーアが胃薬を探して引き出しを開けようとした、その時。
コンコン。
窓ガラスが軽く叩かれた。
「……はい?」
ここは三階だ。
ルーアが振り返ると、窓の外に、月光を背負って浮かぶ人影があった。
銀色の髪が夜風になびいている。
「……閣下。玄関から入ってくださいと、何度言えば学習するのですか?」
ルーアが窓を開けると、クラウスが苦笑しながら入ってきた。
「すまない。だが、どうしても今、君に会いたくなってな」
「明日の朝には嫌でも会いますよ。祭壇の前で」
「数時間が待てないんだ」
クラウスは悪びれもせず、ルーアのデスクに腰掛けた。
「君こそ、まだ起きているのか? 明日は主役だぞ。目の下にクマを作っていたら、化粧師が泣くぞ」
「眠れないんです。……脳が覚醒状態で、明日のシミュレーションを無限ループしています」
ルーアはため息をついた。
「失敗が許されないプロジェクトですから。もし私が転んでケーキに突っ込んだら? もし誓いの言葉を噛んで『健やかなる時も、病める時も、損益分岐点を越える時も』って言っちゃったら?」
「……それはそれで面白いが」
クラウスはクスクスと笑い、そして優しくルーアの手を取った。
「少し、外の空気を吸おう。頭を冷やした方がいい」
「ですが、まだ最終チェックが……」
「業務命令だ。ついてこい」
クラウスは有無を言わせず、ルーアを抱き上げると、再び窓から夜空へと飛び出した。
「きゃっ!?」
ふわりと体が浮く。
風魔法によって、二人は城の屋根の上へと降り立った。
そこは、王都の夜景と、満天の星空を一望できる特等席だった。
「……綺麗」
ルーアは思わず息を呑んだ。
眼下には、明日の祝典のために飾り付けられた街並みが、宝石箱のように輝いている。
「ここなら、計算機も書類もない。あるのは星と、私と、君だけだ」
クラウスが隣に座り、肩を抱き寄せる。
冷たい夜風が心地よい。
ルーアの張り詰めていた神経が、少しずつ解れていくのがわかった。
「……閣下は、緊張しないんですか?」
「緊張? 私がか?」
クラウスは鼻で笑った。
「私は魔物討伐の最前線で、死線を何度もくぐり抜けてきた男だぞ。たかが結婚式くらいで……と言いたいところだが」
彼は少し言葉を濁し、照れくさそうに頬をかいた。
「……実は、足が震えている」
「えっ」
「君を幸せにできるか。君のその優秀さに、私が釣り合う夫になれるか。……考え出したら、私も眠れなかった」
最強の氷の公爵が、まるで初恋に悩む少年のようだ。
ルーアは驚き、そして自然と笑みがこぼれた。
「……ふふ。私たち、似た者同士ですね」
「ああ。臆病で、不器用で、考えすぎる」
二人は顔を見合わせ、夜空の下で笑い合った。
その時、クラウスが居住まいを正した。
「ルーア。……一つ、渡したいものがある」
「渡したいもの? また計算機ですか? それとも新しい椅子?」
「違う」
クラウスは懐から、小さなベルベットの箱を取り出した。
以前、計算機が入っていた箱とは違う。
もっと小さく、しかし重厚な気配を放つ箱だ。
彼はパカッと蓋を開けた。
「……!」
そこにあったのは、指輪だった。
しかし、ただの指輪ではない。
透明な台座の上に、青白く、内側から光を放つ宝石が嵌め込まれている。
それはダイヤモンドよりも硬質で、サファイアよりも深く、見たこともない輝きを放っていた。
「これは……?」
「『永久氷晶(エターナル・クリスタル)』だ」
クラウスが静かに説明する。
「私の魔力の核から生成した、世界に一つだけの結晶だ。ダイヤモンドより硬く、決して傷つかず、そして……決して溶けない」
「魔力の……核?」
ルーアは絶句した。
それはつまり、彼の命の一部を削って作ったということではないか。
「市場価値は?」
ルーアの口から、無意識にいつもの言葉が出た。
クラウスはニヤリと笑った。
「算出不能(プライスレス)だ。世界中の富を集めても買えない」
「……計算できないものを渡さないでください。資産台帳に載せられません」
「載せなくていい。君の指に載せてくれ」
クラウスは指輪を取り出し、ルーアの左手を取った。
そして、屋根の上で、恭しく片膝をついた。
「ルーア・バーンスタイン」
真剣な声。
契約の時のような取引口調ではない。
ただの男としての、熱い告白。
「第18話で契約書を交わしたが……あれは『書類上』のことだ。私は、君にきちんと言葉で伝えていなかった」
彼はルーアの薬指に、冷たくも温かい指輪を滑り込ませた。
サイズは、驚くほど完璧だった。
「君の、その計算高いところが好きだ」
「……え?」
「がめつくて、現実主義で、色気がなくて、すぐに電卓を叩く。……そんな君が、私はどうしようもなく愛おしい」
クラウスはルーアの手の甲にキスをした。
「君が数字を愛するように、私は君を愛する。この命が尽きるまで、私の隣で、私の人生の収支決算をし続けてくれないか?」
それは、ルーアが今まで聞いたどの言葉よりも、非論理的で、非効率で、そして最高に心に響く『プロポーズ』だった。
ルーアの目から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。
「……ずるいです」
「何がだ?」
「『計算高いところが好き』なんて……そんなの、褒め言葉として処理していいんですか?」
「最大の賛辞だ」
「……それに、こんな高価な指輪。減価償却はどうするんですか。固定資産税がかかりますよ」
「私が払う」
「……ううっ、バカ……」
ルーアは泣きながら、クラウスに抱きついた。
「結婚してあげます! 私の人生というリソースを、全部あなたに投資します! だから……絶対に黒字にしてくださいね!」
「ああ、約束する。世界一幸せな『黒字経営』を」
クラウスはルーアを抱き締め、月明かりの下でキスをした。
屋根の上。二人きりの世界。
そこには、計算機も契約書もない。ただ、溢れんばかりの愛だけがあった。
「……ふふ、計算外だわ」
唇を離したルーアが、涙目で笑う。
「まさか私が、こんな非効率な『愛』という感情に振り回されるなんて」
「それが人生の醍醐味だ」
クラウスは指輪を愛おしそうに撫でた。
「さあ、戻ろうか。明日は早い」
「はい。……あ、待ってください」
ルーアは急に真顔に戻り、指輪を凝視した。
「この『永久氷晶』、魔力増幅効果がありますね? これをつけて魔法を使えば、冷房効率が30%アップします」
「……君は、この期に及んでそんな分析を……」
「当然です。機能美も重要ですから」
「ははは! さすが私の妻だ!」
クラウスは高らかに笑い、再びルーアを抱えて窓へと飛び込んだ。
結婚式前夜の『計算外のプロポーズ』。
それは、二人の絆を、どんな契約書よりも強く、深く結びつけるものとなった。
そして、夜が明ける。
いよいよ、伝説となる結婚式の幕開けである。
「よし、寝ましょう! 睡眠不足はお肌の敵、ひいては写真写りの敵です!」
「ああ。おやすみ、ルーア」
「おやすみなさい、あなた」
二人は幸せな眠りについた。
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