【完結】令嬢は愛されたかった・冬

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レンデル伯爵もさすがにこの件を放り出したりしなかった。
魔力の暴走は恐ろしいものだ。
村一つ破壊してしまうこともある。
伝手をたどって、ファリナの師匠になれるとても強い魔法使いを探し出した。
なかなか弟子を取らないことで有名な
偏屈な男で、クォーツ侯爵の四男だった。
名はアビゼル・クォーツ。
赤い瞳が印象的で、どんなに冷たくされても、アビゼルの愛を得ようとする女が絶えない。中身も優れているが、外見も飛び抜けていた。

ファリナはミーと一緒にいることで笑顔が増えた。
ミーは口は悪いが、外見の可愛さで、どんなことも許してしまう。
「なんで笑うの」
ケーキを食べているミーの鼻にはクリームがついている。ファリナはそれを優しく拭き取る。
「ミーが可愛いからいけないの」
ミーはファリナの行くところにはどこへでもついてくる。
お昼寝中以外は。
寝ているミーも可愛いから、ファリナはミーのそばにいる。
もうずっと前から一緒にいたような気がするのだ。

レンデル伯爵は、師匠となるべき人物を見つけると、ファリナに何の説明もなく、馬車に乗せた。ファリナの肩にミーが乗っているのを見て、
「そのネコは魔法使いの大事な要素らしい」とだけ言うと、どこへ行くのかといった説明抜きに黙り込んでしまった。
不思議な形をした塔の前で馬車は止まった。
レンデル伯爵は、ファリナを降ろすと、
不機嫌な顔を隠しもせず、言った。
「ここで一生暮らせ。二度と顔を見せるな」

ファリナは驚いた。嫌われているのは知っていたが、そこまでだとは気づかなかった。泣きそうになるが、ミーが言う。
「ここは魔法使いの集まる自由の塔だ。ファリナの師匠もここに住んでる。
ファリナも今日からここに住むんだ」
師匠、ファリナが呟くと、ミーはもう少し説明した。
「アビゼルって言うんだ。オレが組んでた魔法使いが師匠だった。アビゼルはその弟子の中で1番だ。愛想はないけど悪い奴じゃない」

ファリナは高い塔を見上げた。
今日からここに住む。現実感がまったくない。だいたい自分が魔法使いになれる気もあまりしない。
アビゼルという師匠とうまくやっていけるだろうか。
ファリナはメリーやミーとしかまともな会話をしたことがない。

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