【完結】令嬢は愛されたかった・冬

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アビゼル・クォーツは、最初、面倒事を押しつけられて辟易していた。
「全適性の聖獣使い…魔力は俺より上。いや、全世界で1番。とんでもない10歳だ」
10歳という幼さも問題だった。無意識に魔法を使い、世界を破壊してしまうかもしれない。
ファリナが本気になったら、アビゼルでも止められない。その事実も腹立たしい。しかし、やって来た少女は、アビゼルが思っていたのとまったくちがっていた。

一目でわかった。少女は年齢よりずっと大人だ。そうあらねばならなかったから。アビゼルは、過去を見る魔法なんて使えない。だが、一目見て、ファリナを気に入った。彼女を育てることに初めて興味を持った。
魔法で王都に飛ぶと、ファリナはものすごく驚いていた。
その様子も微笑ましい。
少女は口数が少ない。連れている聖獣、ネコの姿をしている聖獣にだけは、ささやくように話している。

「さて、まずは防寒着や外出用ドレス、室内着が一式必要だな」
ファリナが今着ているものでは、寒いだろうと思い、まずは質の良いコートを買うことにした。
ファリナは不思議そうにアビゼルを見上げている。
「どうした?」
ファリナはしばし迷っているようだった。だが、ネコを見つめ、少し言葉を交わした後、アビゼルに言った。
「お金がありません」
アビゼルは、驚いた。そして、珍しく微笑んだ。
「大丈夫だ。ほとんど機密事項みたいなお前用にたんまりと費用をもらってる」
そう言うと、やっと納得したのか、
大人しくアビゼルと一緒に歩き出した。

衣装店に着くと、アビゼルは店員に言った。
「質の良いコート、ドレス数着、室内着10着、それに付随する小物すべて。
それをまずは買いたい。また来るが、今回必要なのはそれだけだ」
アビゼルは店内のソファに座り、ファリナを店員に預けた。アビゼルに少女の服などわからない。
オドオドしながら、連れて行かれるファリナが少し面白かった。

「こちらはいかがでしょうか?」
店員が見繕った服を着たファリナは少し恥ずかしそうだった。
アビゼルは、服に詳しくないが、ファリナを見て、良し悪しを決めた。
ファリナが気に入っているかどうかはわかりやすい。
そうやって当面の衣服が揃った。
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