【完結】あいしていると伝えたくて

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しばらくは、マディアはシファラの信頼を勝ち取ることに重きを置いた。
「さぁ、シーちゃん、お膝においで」
シファラは母を知らない。
産みの母は、娼婦だった。公爵は、たった一度の遊びだったという。妊娠したと伝えてきたときも、自分の子である可能性はほぼないと思って、いくばくかの金をやった。
その娼婦が命と引き換えに子どもを産んだという話を聞いてもどうということもなかった。
だが、産まれてきた赤子の瞳の色が金色だと聞いて、放っておくことができなくなった。金色の瞳は王族の血を引く証なのだ。
娼館で持て余されていた赤子を引き取ると、誰にも知られずに殺すために、黒い小屋に閉じ込めた。

すぐに毒を与えるつもりだった。妻に知られる前に。だが、親の情などかけらもないのに、殺すことができなかった。
結局公爵は、放置して、最低限の食べ物だけを与えた。
シファラをリュートが連れ去ったときも、
公爵は放置した。
シファラという名前は公爵がつけたものではない。死んだ母親が生前に考えていたものだ。

「しー、あれ、たべゆ」
マディアの膝の上で、シファラは甘えていた。
「まぁ、気に入ったのね?そういうときは?」
「しー、すき」
ふふふ、とマディアは笑いながら、
侍女にチョコレートケーキの用意を頼む。
あの黒い部屋にはケーキなんてなかった。
甘いものを初めて食べたシファラの感激はすごかった。
「シーちゃんは、チョコレートが好きねえ」
マディアはいずれは家庭教師をつけていろんな知識を身につけさせたいと思っているが、まずはゆっくりと育てる必要があると考えていた。
少なくとも骨と皮の状態から脱してからだ。
それまではたっぷり甘やかして、義理ではあるものの、親子っぽくなりたかった。

「しー、とるー、あそびゅ」
チョコレートケーキをたっぷり食べたシファラは、最近お気に入りのトルドと遊びたがった。
だが、トルドはお勉強中だ。
「トルドはあと1時間はお勉強なの。私ではダメかしら?」
シファラは少し考えた。
「マー、ホン」
シファラは最近絵本もお気に入りだ。
マディアの膝に乗って、絵本をたくさん読んでもらう。
「また同じ本ばかり読んでない?」
トルドの勉強は終わったようだ。
「しー、とるー、あそびゅ」
トルドはシファラのすぐそばに来て、
「いいよ」
と言った。
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