【完結】虐げられた少女は優しい婚約者に巡り会う

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第十一話

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お店をぐるっと回って、何軒かを候補にして中へ入った。スパイみたいでドキドキした。
ドレスの生地、仕立て、センス、価格。
なかなか厳しい条件で探したけれど、二つ候補が見つかった。

一つ目に、紹介状を頼りにして店長さんを訪ねた。
ぱらりと開いて、紹介状を見て、
「最近縫ったものはあるかしら?
刺繍も見せて」
両方とも持参していた。
着ているのも自分で作った服だ。

「いいわ。最初は見習いからよ」
あっさりと雇ってもらえた。
今度のお店は、高位貴族より中流の貴族の店だった。
スカーレット用には前よりは安く、侯爵夫人は決して訪れない店だ。

ナティは感謝した。今度こそ他の店員ともうまくやっていこう。
全員が出勤してきた。前の店より人数が多い。12人の同僚ができた。
中には気の合う人もいるかもしれない。
 
昨日はボロ泣きしていたナティだったが、クマのぬいぐるみ、ルダに話しかけているうちに泣き止んだ。
ルダは侯爵夫妻からの初めてのプレゼントだった。ずっと一緒にいた。
ナティが幸せだった時間を1番わかってくれる。ナティはルダが大好きだった。

新しい店での修行も楽しかった。自分がこんなに服を作ったり、着せ方を考えたりするのが好きだなんて知らなかった。

最近は接客を任されることもある。お店に緊張して入ってきて、途方に暮れてるお客様の対応が多い。
「何をお探しですか?」
ナティの言葉にすんなり答えられるお客様は少ない。

いつの間にかナティは、変わったお客様対応係に決まっていた。それというのも、ナティはそういうお客様の相手がうまい。最初はオドオドしていたお客様は、ナティの案内の後は本来の貴族に戻っていた。そして、そういう方は買い方が半端ない。ナティは無理にすすめたり買わせたりはしない。
相性なのか、ナティの魅力なのか。

「今月のベストは、ナティよ」
売り上げナンバーワンはこのところ、ナティばかりだ。同僚に嫌われないか心配だったが、売り上げに貢献できていることはうれしかった。
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