【完結】深く青く消えゆく

ここ

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6.アレスは

アレスは悔いていた。奇跡的にミッシェルの目は覚めた。レオがなんとか2人で森から脱出して、ミッシェルを騎士団の医務室に連れて行った。ミッシェルはもう目が覚めないかもしれないと言われた。アレスは絶望した。自分がやったことを妻は許さなかったのだ、と思った。だが、レオの強い願いが叶ったのか、ミッシェルは目覚めた。
「レオ、俺はどうしたんだっけ?」
目をこすりながら、ミッシェルはレオに説明を求めた。
「森で俺を助けて、魔力を使い果たして倒れたんだよ」
「魔力」
ミッシェルは手を握ったり放したりして、全身の感覚を研ぎ澄ましてみた。
「俺、魔力を失ったかもしれない」
未熟な身で魔力を使いすぎたのだ。普通なら、寝て回復してゆく魔力が、ミッシェルのどこにもなくなっていた。
「俺、騎士になれないや」

後方に控えていたアレスは、ミッシェルの寝ているベッドまで近づいて泣き叫んだ。
「すまなかった、ミッシェル。魔力も騎士ももう必要ない。お前が生きていればそれだけでいいんだ。私が悪かった」
ミッシェルは父親をじっと見た。
「別に父さんのせいじゃない。騎士になれないのは残念だけど、自業自得だし」
ミッシェルは切り替えの早いタイプだ。
「まぁ、いいや。レオが嫁にもらってくれるだろ?」
「もちろん!」
ミッシェルはレオを大きな飼い犬みたいだな、と思った。まあ油断はしない方がいいが。

「問題は口調や服装か」
ミッシェルはつぶやいた。レオは気にしないだろうけど、レオの両親はどうだろう?
「大丈夫だよ、ミッシェルはミッシェルだから」
「レオの両親はどうかな?」
レオはニコニコ笑顔で答える。
「父さんは、ミッシェルのさっぱりした気性がいいって。母さんはミッシェルのかっこいいところが好きみたい」
ということは、ミッシェルはミッシェルのままでよい?ミッシェルは、ちょっとだけ料理の練習をするか、と思った。野営で慣れているから、家庭料理なら、きっとマスターできるだろう。

ミッシェルは歩き方や振る舞いは、少し時間がかかるけれど、女性らしく変えるのは不可能ではないと思った。要は鍛錬の型を意識して女性らしく動けばいいのだ。たぶん口調はなかなか難しいだろう。それも、レオの両親がいいならいいかと開き直る。
ミッシェルはあまりくよくよできない性格だ。やってしまったことはしかたがない。選べる中で幸せになりたい。騎士にはなれないけれど、レオの花嫁にはなれる。その人生もきっと悪くないものだ。

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