DREAM

真亭 甘

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FANCY

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カキス「はぁ、離せや、貴様・・・!ぎぃやぁあああああ」
突然カキスが大きな悲鳴を上げた瞬間に、カキスは白目になりながら空を向いて、背中から倒れていった。

アナウンス「なんだ、何なのだ。一体どうなった、先程まで優勢だったカキス選手が、いきなり悲鳴を放ったと思ったら、白目を向かせながら気絶したではないか!」

観客「・・・!おい、この試合、どうなったんだよ!結果を言え」
観客からヤジを飛ばされ始めて、アナウンサーが舞台の上に上がった。

アナウンス「えーカキス選手?カキス選手?・・・ロイ選手?」
カキスの方は、呼びかけても起き上がらなかったが、ロイは呼びかけに応じて起き上がった。

観客「おぉおおおおお」

アナウンス「えー、ただいまの結果を持ちまして、勝者ロイ!」

観客「おおおおお!」

アナウンス「舞台の上の破損状況も少ないようですので、このままA,B戦に入りたいと思います。Aグループ勝者、オテオ。Bグループ勝者」
アナウンスが進行される中、強制転送でまた控え室に戻りたくは無かったロイは、舞台から降りて、観客席の中へと潜り込んで行った。

観客席の中に入っていったロイを、観客たちは見向きもしなかった。勝者のロイより、AとBの試合に興味を持ってロイを気にしなかった。

ロイ「試合に勝っても、中途半端な俺には興味ないか・・・」
そう思うと、頭を下げて盛り上っている観客とは逆を向いてズルズルと舞台から離れていった。

歩いていると、後ろから後頭部を叩かれた。ロイは、試合観戦に夢中になる観客の腕が当たったのだと思い気にしなかった。しかし、また後頭部を叩かれた。

ロイ「・・・」

2度叩いても反応しないロイ、それにムカついたのか、左肩を思いっきり引っ張り、ロイの体を後ろに向かせた。

ロイ「う・・・なんだ・・・よ」

振り返り肩を引っ張った人を見ようと、目を上げるとそこには少しムッとしているルナがいた。

ロイ「ル・・・ナ・・・」

後ろにルナがいることにビックリしたロイ。やっと自分に気がついたことを確認したルナは、ロイの腕を掴み半ば強引に観客席から連れ出し、さらに外の木々に入って止まった。

ルナ「時間になって戻ってきたら、いなくて周りを見渡してみたら。あんたが大会に出ていたのよ。それより何よ!大会に何か出て、外に出るまでの修行の期間は、無かったことにする気?それとあんた、なんでアニマを使っているの?」

ロイ「・・・そりゃぁ試合だし・・・」

ルナの質問攻めにロイは、目を横に逸らしながら答えると、ルナは手で下向きたくなる顔を支えて、(ハァー)とため息を漏らした。

ルナ「だから、なんで大会に出て試合やってのよ・・・。外に出るまでアニマをなるべく人に見られないようにって決めたじゃない!外に出たら、例えどんな人でも無制限の戦闘状態なのだよ?それわかっている?」

ロイ「わ、わかっているよ・・・」

ルナ「わかってない!全然わかってない、わかっていたら試合をしない。無論、大会にも出ない!」

ロイ「・・・」
ルナの言葉に言い返せないロイは、ただただ黙々と黙っているしか無かった。

ルナ「いい、ロイ。アニマってのは自分の唯一の力や武器なのだよ?まだまだこれから冒険は始まるってのに、自分だけの物を人に見せてどうするの?これから大事なコンクールと一緒!・・・いや、コンクールに参加する前、コンクールに発表する自分の考えを、あなたは人に見せるの?」
ルナは俺の顔をじっと見ながら、言う。対する俺は、言われ考える。コンクールの前なんかに自分のアイデアを、見せる真似なんかしないよ!そんなの審査や発表に見してやりたいよ。そう思い、そのまま言い返す。

ロイ「そんなの全然思わないよ!コンクールの前なんかに自分のアイデアを、見せる真似なんかしないよ!そんなの審査や発表に見してやりたいよ。」
しかし、この発言をルナにする時点で、間違っていた。言われてから考えるのでは、ダメなのに毎回やってしまう。と思いながらも・・・そして、ルナは

ルナ「ならなんでやるの?・・・・・」
お決まりのセリフが帰ってきた。それからは、何も言い返せなくなった。何もかもが、ルナの発言が正論に聞こえてくる。頭ごなしに押し付けるような、説教・・・だんだん人と話すのが嫌になる。人と接するのが嫌に・・・逃げたくなる。逃げるように・・・しかし、約束を忘れた俺がいけない。

そんな話をしていると、アナウンスが流れてきて、AとBの試合の決着がついたみたいだ。

ルナ「ハァ・・・でも、まぁ始めちゃった事には、後には引き下がっては、いられれないし。・・・出たからには、ちゃんとやらなくてはね!」
怒るだけでは無く、ちゃんと切り替えて励ましをしてくれる。ルナにはいろいろな意味で救われている。


アナウンス「さぁさぁ、今大会もとうとうここまでやって来ました!大会記録は、初代優勝者のリークが出した記録ですが、今大会はその記録に及ばない結果となっているので、残念ですが・・・ここまで来たのですから、是非とも優勝をしていただきたい。」

アナウンス「さて決勝では、恒例の選手紹介をさせていただきます。では会場のみなさま、舞台上のスクリーンを見てください。」
観客が一斉に顔を上げて、スクリーンを観だした。

アナウンス「まずはオテオ選手、Aグループで絶大に人気を誇り、そのまま優勝かと思われたフェグ選手を倒し、A・B戦でもBグループ勝者を倒し、決勝へとコマを進めてきました」
オテオ選手の紹介に、ざわつく会場の観客。

アナウンス「続きましては、ロイ選手。ロイ選手はDグループで、始まる前から大会は優勝候補と扱っていたテラゾを撃破。C・D戦でも、かなりの強者と思われていたカキス選手を最後の最後で逆転勝利を飾り、決勝に進出してきた。」
オテオの時と同じくらいにざわつく観客。
試合会場のボルテージは最高潮。

アナウンス「A・B戦の勝者、オテオ。VS.C・Dの勝者、ロイ」
アナウンスの掛け声と共に、ロイとオテオは舞台の上に立っていた。舞台の周りから大勢の観客が大歓声を上げて、賑わっていた。舞台の近くでは、ルナがロイの応援として見守っていた。

ロイ「フェグを卑怯な真似をして倒しやがって。オテオ貴様は、この俺が絶対に倒す。」
試合が始まるや、ロイはオテオを指差し。K.O宣言をした。

オテオ「ふん。なんだ、お前!あの男の仲間なのか?弟子か?あのめんどくさいヤツのどこがいいのだ?まぁいいけど、どうせ俺の敵じゃない」
笑いながら、ロイの発言を流した。そして、ロイの前から姿を消した。


ロイ「え!・・・あれ、どこに行った?」
オテオが消えたことにロイは、動揺を隠せずにキョロキョロと慌てていた。
しかし、オテオはロイの後ろに立っていた。その姿は、観客やアナウンサーやルナに視認できるほどにはっきりとただ立っていた。しかし、ロイには見つけることが出来ずにいた。それを見てルナがロイに声をかけた。

ルナ「ロイ!なにやっているの?後ろだよ、後ろにいるのだよ」
ルナはオテオの居場所を伝えるが、声をかけるのは、いけないとスタッフに止められて、アナウンスでも注意されたが、オテオは笑って言い返した。

オテオ「このアニマは、発動中に1人の後ろに乗る事ができる能力。そして、最大のメリットは僕が対象者と思った人間には、確認されることは無いのだよ!なんで、例え部外者に僕のことを認識されたとしても、僕は攻撃や存在を知られることは出来ない。いわゆる無敵状態なんだ。だから君を反則とは思わない」
と言って、ロイの後ろで座り込んだ。その時ロイが飛び跳ねて、体を一回転して後ろを見る。が、そこにはロイの姿はいなく。ロイの後ろで座っていた。

ロイ「くっそぉ」

ルナ「嘘、なんで。オテオは座り込んでいるのに、ロイの後ろにいるのよ!」
ロイとルナは、もちろん。会場の観客が唖然としていた。

アナウンス「な、なんと!これは驚きだ!オテオ選手が座った瞬間にロイ選手が飛び跳ねて、回り込んで不意を付いたと思ったら、オテオ選手一緒に移動してロイ選手の後ろにいるではないか・・・スクリーンでも確認をして・・・なんと、オテオ選手座りながら、ロイ選手と一緒に浮き上がり回転して移動した。なんだ、これは金魚のフンのように背後に密着しています」
スクリーンでリプレイを確認しながら話す。しかし、アナウンサーの言い方に怒り、オテオは石を投げ込んだ。

アナウンス「わぁ、オテオ選手石を投げないでください。これは忠告です」
負けまいと言い返す、アナウンサー。しかし、オテオは言い返した。

オテオ「この僕の乗るアニマを、金魚のフンと馬鹿にするな!今度言ったら、貴様殺すぞ」
そう言った後に、脇から短剣を取り出して言った。



オテオ「そろその、こんなつまらない試合も終わらせるか・・・決勝戦もつまらなかったな」
ロイの背中に短剣で斬りつけた。ロイは突然に背中を斬りつけられ、始めてそこに居たかのように、オテオが短剣を持って背後にいることに驚いて倒れた。

フェグ「ロイ!避けろ」
救護室から出てきて試合観戦をして来た、フェグが叫んだ。

オテオ「人間は、お腹側と比べたら皮膚の強度や筋肉量も違う。背中の後ろにあたる部分は人間の最大の弱点とも言える。そんな場所の近くに入れる僕の能力はまさに、無敵なのだよ!なんで、君に負けることは無い、ぼくはもう最強だから」
そう言って、オテオは短剣をもった腕を上げて、勝利宣言をした。
観客は、「オテオ、オテオ」と、決まったかのようにオテオコールが鳴り響いた。

フェグ「ロイ」

ルナ「ロイ」

アナウンス「勝者、お」

オテオ「がっはぁ」
アナウンスの勝利発言をするの前に、オテオは舞台の上から吹っ飛ばされた。後ろには白髪のロイがいた。
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