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第二章 ダンジョン攻略編
第27話 借金 5374万3490ゴル
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久しぶりの首都。
ニクラスは前回同様、身バレしないようにフードを被っている。
テレージアと道具屋を見て回るが、”シーカーズマップ” は見当たらない。
そもそも、ほとんど出回らないアイテムなのだ。
「やっぱり、見つからないか…。」
がっくりと首をうなだれるニクラス。
分かっていても、なんとしても手に入れたかった…。
「この調子だと、また騙されてしまいそうだな…。」
ボソッと呟いたテレージアの言葉は、ニクラスには聞こえなかった。
「テレージアさん?
今何か言った?」
「いや…。」
「何か悩んでるの?」
「ん?
ん~、いや…、なんでもないよ…。」
「なんでもなくないよね?
……もしかして、何か心当たりがあるの!?!?」
「いや、そんなんじゃ…ないんだけど…。」
「テレージアさん!
何かあるんでしょ!?
お願い!
教えて!?」
「う……い、いや………。」
「お願いだよ……。
手がかりになるならなんでもいいんだ……。」
結局いつもの通り押し切られて、白状することになった。
「はあ……。
本当に気が進まないのよね…。」
「なに??
どんなことなの!?」
「…1人、顔の広い商人に心当たりがあってね……。」
「ほんと!?」
「うん…。
ただ…、性格に問題があってね……。」
「手に入るなら、僕一生懸命その人にお願いするよ!」
「お願いというか…、私が耐えられるかどうか……。」
「え?
ど、どういうこと……??」
「まあしょうがない…。
行けばわかるわ……。
…ニクラス。」
「な、なに?」
「心を強く持つのよ?」
「わ、分かった…。」
テレージアの様子を見て、さすがにちょっと怖くなってきたニクラスだが、アイテムのためには引くわけにはいかない。
「ここよ。」
テレージアに連れられて行った先には、一軒の小さな店があった。
裏路地にあり、知らなければ営業しているかもわからない、なんの店かもわからない佇まいだ。
「こ、ここ、お店なの?」
「そうよ。
…入りましょう…。」
「うん…。」
店に入ると、薄暗い店内に1人の男が座っていた。
「あん?
誰だ??」
(客に対して「誰だ?」って…。
本当にお店なの?)
一言目から不安を駆り立てる店主の言葉。
「久しぶりだな、フリーダー。
…テレージアだ。
……ハーゼンバイン家の。」
「ハーゼンバイン…?
ハーゼンバインっていうと…、あの汚職貴族のハーゼンバインか!!」
「…くっ。」
「汚職貴族……?」
「…気にしないで、ニクラス。」
「ハハハハ!!
久しぶりだな!
テレージアっていうと、あそこの娘か!
確か親父と何回か来てたな!」
「…ああ。」
「お前今なにしてんだ!?
家族はもうみんないないんだろ??」
「…冒険者だ…。」
「冒険者?!
貴族だったのに、落ちぶれたもんだなぁ。
まあ、剣術は習ってたし、確かジョブ持ちだったから、やれねえことはねえか。」
「ちょ、ちょっ……」
あまりに無礼なフリーダーの物言いにニクラスが言い返そうとするが、テレージアが制する。
「私が使う剣を父がここで買ってくれたからな。
人柄は最悪だが、商人としては誰よりも信頼できる、ってな。」
「ガハハハ!!
人柄は最悪ってか!」
「成長して強くなったらまたここで自分に見合った武器を買うといいと、父が連れてきてくれたのよ。
まあ、色々あって買いには来なかったけどね。」
「なんだその喋り方?
気持ち悪いな。
…その坊主は誰だ?
まさか、お前のガキじゃあねえよな?」
「そんな歳に見えるか?」
「見えねえな。
…ん?
どこかで見たことあるような……?
坊主、フード取ってみろ。」
「ニクラス、取らなくていいわ。」
「フードも取らねえような無礼な奴に、物は売らねえぞ?」
「嘘つくんじゃないよ。
ここにくる客に無礼じゃないやつなんていないだろう?」
「ハハッ!
まあ、お前も含めてな!
だが、俺は気に入らねえ奴には売らねえ。
どうする?
坊主。」
ニクラスは一瞬ためらったが、フードをパサリととる。
「……ん~。
どこかで見たような…。
ニクラス…、ニクラス……。」
「僕は【予知者】のニクラスです。」
ニクラスは前回同様、身バレしないようにフードを被っている。
テレージアと道具屋を見て回るが、”シーカーズマップ” は見当たらない。
そもそも、ほとんど出回らないアイテムなのだ。
「やっぱり、見つからないか…。」
がっくりと首をうなだれるニクラス。
分かっていても、なんとしても手に入れたかった…。
「この調子だと、また騙されてしまいそうだな…。」
ボソッと呟いたテレージアの言葉は、ニクラスには聞こえなかった。
「テレージアさん?
今何か言った?」
「いや…。」
「何か悩んでるの?」
「ん?
ん~、いや…、なんでもないよ…。」
「なんでもなくないよね?
……もしかして、何か心当たりがあるの!?!?」
「いや、そんなんじゃ…ないんだけど…。」
「テレージアさん!
何かあるんでしょ!?
お願い!
教えて!?」
「う……い、いや………。」
「お願いだよ……。
手がかりになるならなんでもいいんだ……。」
結局いつもの通り押し切られて、白状することになった。
「はあ……。
本当に気が進まないのよね…。」
「なに??
どんなことなの!?」
「…1人、顔の広い商人に心当たりがあってね……。」
「ほんと!?」
「うん…。
ただ…、性格に問題があってね……。」
「手に入るなら、僕一生懸命その人にお願いするよ!」
「お願いというか…、私が耐えられるかどうか……。」
「え?
ど、どういうこと……??」
「まあしょうがない…。
行けばわかるわ……。
…ニクラス。」
「な、なに?」
「心を強く持つのよ?」
「わ、分かった…。」
テレージアの様子を見て、さすがにちょっと怖くなってきたニクラスだが、アイテムのためには引くわけにはいかない。
「ここよ。」
テレージアに連れられて行った先には、一軒の小さな店があった。
裏路地にあり、知らなければ営業しているかもわからない、なんの店かもわからない佇まいだ。
「こ、ここ、お店なの?」
「そうよ。
…入りましょう…。」
「うん…。」
店に入ると、薄暗い店内に1人の男が座っていた。
「あん?
誰だ??」
(客に対して「誰だ?」って…。
本当にお店なの?)
一言目から不安を駆り立てる店主の言葉。
「久しぶりだな、フリーダー。
…テレージアだ。
……ハーゼンバイン家の。」
「ハーゼンバイン…?
ハーゼンバインっていうと…、あの汚職貴族のハーゼンバインか!!」
「…くっ。」
「汚職貴族……?」
「…気にしないで、ニクラス。」
「ハハハハ!!
久しぶりだな!
テレージアっていうと、あそこの娘か!
確か親父と何回か来てたな!」
「…ああ。」
「お前今なにしてんだ!?
家族はもうみんないないんだろ??」
「…冒険者だ…。」
「冒険者?!
貴族だったのに、落ちぶれたもんだなぁ。
まあ、剣術は習ってたし、確かジョブ持ちだったから、やれねえことはねえか。」
「ちょ、ちょっ……」
あまりに無礼なフリーダーの物言いにニクラスが言い返そうとするが、テレージアが制する。
「私が使う剣を父がここで買ってくれたからな。
人柄は最悪だが、商人としては誰よりも信頼できる、ってな。」
「ガハハハ!!
人柄は最悪ってか!」
「成長して強くなったらまたここで自分に見合った武器を買うといいと、父が連れてきてくれたのよ。
まあ、色々あって買いには来なかったけどね。」
「なんだその喋り方?
気持ち悪いな。
…その坊主は誰だ?
まさか、お前のガキじゃあねえよな?」
「そんな歳に見えるか?」
「見えねえな。
…ん?
どこかで見たことあるような……?
坊主、フード取ってみろ。」
「ニクラス、取らなくていいわ。」
「フードも取らねえような無礼な奴に、物は売らねえぞ?」
「嘘つくんじゃないよ。
ここにくる客に無礼じゃないやつなんていないだろう?」
「ハハッ!
まあ、お前も含めてな!
だが、俺は気に入らねえ奴には売らねえ。
どうする?
坊主。」
ニクラスは一瞬ためらったが、フードをパサリととる。
「……ん~。
どこかで見たような…。
ニクラス…、ニクラス……。」
「僕は【予知者】のニクラスです。」
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