80歳から始めるラノベ生活

TAITAN

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第Ⅲ話「ゴミ箱」

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【ゴミ箱】に付いて諸君が知りたがっている事だろうことは想像に難くない。

 いや、イマジネーションに難くない。

 あ、意味通じねぇなコレ。

 とにかくだ。

 気になるだろう【ゴミ箱】の話だ。

 当時、表現の自由の侵害がジョジョ……少しずつ大きくなっていた。

 それで出版社の連中が密かにアーカイヴを造る事にしたんだ。

 元々は国会図書館の巨大データベースを丸々コピーして移設する為の計画を転用。

 これでデータを有用なものではないと印象付ける為に彼らは秘匿コードでゴミ箱とソレを呼ぶ事にしたんだ。

 おっと、今日の名前をまだそう言えば、教えていなかったな。

 今日のワタシは神田川次郎かんだがわ・じろうだ。

 南北に分割される前の日本において始まったゴミ箱の移設作業は困難を極めた。

 しかし、それを犯り切ったのは正しく当時の人々の努力のたまも……努力あってのものだろう。

 まぁ、政府側の対応が政治的な混乱で遅かったというのもある。

 そんな最中で次世代に残す書籍において最も若者に親しみ易いものとしてラノベが選ばれたのだ。

 諸君はラノベが一体何なのかを知らないからこそ興味を惹かれているだろう。

 だが、嘗て政府推薦のアニメやマンガよりも面白いアニメやマンガが沢山あった。

 と、言ったら驚くはずだ。

 ラノベはソレらの原作にもなったし、あるいはツマラナイと言われつつも傑作とも言われるモノも多数含んでいた。

 このような書籍内容の大半はジャンル毎に区分され、同じような設定の物語が多数存在していたが、それでも個性のある作品の多くは極めて面白かったわけだ。

「ふぉおおおお?! さすが北日本!! 東北美人結構いる!!」

 諸君は北は未開で野蛮で怖ろしい程に非文明的な国家と教えられているかもしれないが、世界基準では南が進み過ぎているだけだ。

 あまりにも利便性と合理性が追及された現在の南日本は確かに生きる上では楽だが、他の地域に見られるような共同体の希薄化が社会問題になっているのはご存じの通りだろう。

 各家庭で造られる3Dプリンター方式の食材が安全なのは誰もが知るところだが、土から育てた食材が劣っているわけではない。

 リスク0を取り続ける故に失われてしまった社会、家庭、文化がこの地には未だ息衝いているのである。

 では、さっそくワタシも女性に声を掛けてみる事にしよう。

 南の文化人であるところの人間ならきっと普通に仲良くなれるに違いない。

 マッチングシステムで最良の伴侶を選ぶのにとやかく言う気はないが、こうして伴侶のいる女性とも性接触罪とか言われずに接触を愉しむ事も人生における大きな意味の一つになるだろう。

 え、何で官憲さんがこっちに?

 職質?

 え?

 え?

 ワタシは単なる南からの亡命してきた文化人ですが何か!?

 怪しいだって!?

 確かに片手でVRキーボード使ってたけど、コレくらい南じゃ普通ですよ?

「署までご同行!? 北では全天候野外対応VRの標準視認性デバイスって普通じゃないの!?」

 どうやら今日は此処までのようだ。

 取り敢えず、北は思っていたよりも文明がちょっと遅れているらしい。

 南で生活していると分からない事が北に来て良く解る。

 はぁぁ、では、官憲の御厄介になった後、また会おう。

 この文章を見ている諸君はよく考えて亡命後は女性との接触活動をして欲しい。

 では、またの機械に。
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