アンデッド・ロイヤル

千田 陽斗(せんだ はると)

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内乱

ウーゾイル共和国内乱 十一

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 ベルティーユは、頭ひとつ小さなブランシュを連れて万博会場をめぐった。
 万博会場に陳列されているのは未来、テクノロジストが想像した未来だ。
「変な機械がたくさん並んでるわね」
  "変な機械"の群れの中からひとつを指差す。渦巻き状に天に向かいそびえる筒のようなそれを見てブランシュはけらけら笑う。
「これは、洗濯機と言うものらしい。自動で服を洗ってくれるみたいだ」
「本当かしら、こんな変な形の大きな機械、どこに置くのかしら」 
 男装の女将軍と商才の片鱗を見せ始めた少女、周りの人から見たら恋人同士に見えただろうか。 
 万博会場ではビラを配る者がいたが、すぐ憲兵に取り押さえられた。
「社会主義者め」
 憲兵が怒鳴る。
「この国で格差が開いて行るのは誰の目にも明らかだ!隣のオクチャブリでも革命が起こるはずだ!社会主義革命の時代がはじまるのだ!」
 そう喚きながら社会主義者は連行された。
 その際、ビラが数枚ほど地面に散らばった。
 ブランシュはそれをこっそりビラをかばんにしまった。店の切り盛りをはじめてから彼女の世界は広がった。目の前の女将軍も、未来の機械も、社会主義も、すべてが興味深い。

 コランタン科学大臣が広場の中央に設けられたステージで演説を終えると、待ち受けていたのはウスターシュだった。 
 きんきんとした金切り声のジャーナリスト!
「わかってます。わたしはわかってますよ。あなたは利用されただけ。わたしはあなたを利用した者たちについて知りたいのです!」  
 ウスターシュは、コランタンを取り囲む取り巻きの中へ細身な身体を滑り込ませる。
「コランタン大臣に取材をさせてください!決して大臣を悪く書きませんから!」 
 こうして半ば無理矢理に取材の許可をもらうのは彼にとって朝飯前。 
 コランタンは人目を遮る舞台裏で適当に椅子を見つけて腰かけるとウスターシュを試した。
「きみ、コーヒーは好きかね。奢ってあげようか」
 ウスターシュは、コランタンの確信犯めいた表情を見て、ある種の共犯意識を感じた。 
「いえ。コーヒーを飲むジャーナリストはくずです。あ、訂正します。政治家から奢ってもらったコーヒーを飲むジャーナリストは、すべからずくずであります!わたしは人でなしの記者ですがくずではありませんので」
 コランタンは、その丸い童顔でいたずら小僧のように笑った。
 この五分の取材でウスターシュが得た情報が、政府の命運を握ることとなる。
 そして、一部の人間の利益のためだけに好き放題に政府の権力を動かす者たちの命運を。
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