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内乱
ウーゾイル共和国内乱 十二
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万博のメインイベントは飛行船の試乗会だ。
全長約一五メートル、全高約十メートル、全幅約八メートル。最大時速約四十キロ、鉛の飛行船(レッド・ツェッペリン)は鈍く光りながら広場に鎮座しておる。
「ねえ、あれに乗りましょう」
ブランシュはベルティーユの軍服の裾をつまむ。
「あの卵みたいなやつが空を飛ぶのかい?落ちたらどうする?」
ベルティーユは目を細めて飛行船の丸っこい船体に視線を送りながら、からかうように笑う。
「落ちません。たぶん…」
「ブランシュ?怖いのかい?大丈夫だよ。なにかあったら、わたしが守ってあげる」
二人が乗り込んだ飛行船はフェイユ村の上空まで飛んだ。
カンタンは、アンセルムとともに医務室にいた。アンセルムの傷ついた両目はまだ開かずフェイユ村にて足留めをくらっている状況だ。
カンタンは医務室の窓から空を眺めた。青い夏の空に、飛翔するなんらかの物体を認めた。
彼の目には豆粒ほどの大きさに、空に浮かぶ飛行船が映っている。
ブランシュとベルティーユが乗り込んだ銀色の飛行船だ。
「アンセルム来てみろよ。なにかが空を飛んでいる。飛行船?新聞かなんかで見たやつだ」
アンセルムはカンタンの手を借りてベッドから身体を起こし、窓際までゆっくり歩いた。今の状態ではなにも見ることはできないので、カンタンの口から外界の状況を説明してもらうしかない。
「飛行船だって?こっちに来るか?」
「いや、ゆっくり旋回している。首都から来たのかな?どうやら引き返すようだ」
アンセルムは、力なくうなだれた。
「ブランシュが、来てくれたのかなと期待したんだがな」
もちろんアンセルムに透視能力はない。あるいはただの思い込みだったかもしれない。
なぜか、飛行船には婚約者であるブランシュが乗り込んでいる気がした。
じっさいにブランシュは飛行船に乗っていた。
アンセルムとブランシュは知らないうちにすれ違ったのだった。
蝉の鳴き声だけが響いていた。
「おかしいわね」
フェイユ村に二〇〇年は住んでいると言うオロールは自室で頭を傾げた。 いつも身に付けているペンダントを、めずらしくはずして置いていたら、いつの間にか姿が見えない。
昼食の用意にキッチンに出ている間にテーブルから姿を消していた。
「あのラムウニウム製のペンダントが消えるなんてねえ。これも精霊の導きなのでしょうか」
オロールは独り言を唱えながら姿見を二つ向かい合わせに配置する。
そして二枚の鏡のあいだに立つと、みるみるうちにオロールは白い狼の姿に変身した。
狼に姿を変えたオロールは窓から外へ躍り出ると、あっと言う間に森へ姿を変えた。
誰にも気づかれずに。
全長約一五メートル、全高約十メートル、全幅約八メートル。最大時速約四十キロ、鉛の飛行船(レッド・ツェッペリン)は鈍く光りながら広場に鎮座しておる。
「ねえ、あれに乗りましょう」
ブランシュはベルティーユの軍服の裾をつまむ。
「あの卵みたいなやつが空を飛ぶのかい?落ちたらどうする?」
ベルティーユは目を細めて飛行船の丸っこい船体に視線を送りながら、からかうように笑う。
「落ちません。たぶん…」
「ブランシュ?怖いのかい?大丈夫だよ。なにかあったら、わたしが守ってあげる」
二人が乗り込んだ飛行船はフェイユ村の上空まで飛んだ。
カンタンは、アンセルムとともに医務室にいた。アンセルムの傷ついた両目はまだ開かずフェイユ村にて足留めをくらっている状況だ。
カンタンは医務室の窓から空を眺めた。青い夏の空に、飛翔するなんらかの物体を認めた。
彼の目には豆粒ほどの大きさに、空に浮かぶ飛行船が映っている。
ブランシュとベルティーユが乗り込んだ銀色の飛行船だ。
「アンセルム来てみろよ。なにかが空を飛んでいる。飛行船?新聞かなんかで見たやつだ」
アンセルムはカンタンの手を借りてベッドから身体を起こし、窓際までゆっくり歩いた。今の状態ではなにも見ることはできないので、カンタンの口から外界の状況を説明してもらうしかない。
「飛行船だって?こっちに来るか?」
「いや、ゆっくり旋回している。首都から来たのかな?どうやら引き返すようだ」
アンセルムは、力なくうなだれた。
「ブランシュが、来てくれたのかなと期待したんだがな」
もちろんアンセルムに透視能力はない。あるいはただの思い込みだったかもしれない。
なぜか、飛行船には婚約者であるブランシュが乗り込んでいる気がした。
じっさいにブランシュは飛行船に乗っていた。
アンセルムとブランシュは知らないうちにすれ違ったのだった。
蝉の鳴き声だけが響いていた。
「おかしいわね」
フェイユ村に二〇〇年は住んでいると言うオロールは自室で頭を傾げた。 いつも身に付けているペンダントを、めずらしくはずして置いていたら、いつの間にか姿が見えない。
昼食の用意にキッチンに出ている間にテーブルから姿を消していた。
「あのラムウニウム製のペンダントが消えるなんてねえ。これも精霊の導きなのでしょうか」
オロールは独り言を唱えながら姿見を二つ向かい合わせに配置する。
そして二枚の鏡のあいだに立つと、みるみるうちにオロールは白い狼の姿に変身した。
狼に姿を変えたオロールは窓から外へ躍り出ると、あっと言う間に森へ姿を変えた。
誰にも気づかれずに。
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