アンデッド・ロイヤル

千田 陽斗(せんだ はると)

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内乱

ツチラトVSオクタヴィアン そして東西分裂へ 一

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 オクタヴィアンのもとへ、一羽の鳩が飛んできた。
 窓辺に止まったその白い鳥の左脚には、小さな紙の束がくくりつけてあった。
「伝書鳩か」
 オクタヴィアンに手紙を送りつけたのは、そうツチラトだ。
「いつぞやの長髪の騎士か…どれどれ」
 その手紙は、行間から闘志が伝わってくるような果たし状。ツチラトがオクタヴィアンに個人的な決闘を申し込んだのであった。
 しかしオクタヴィアンは軍のそれなりに責任ある立場だ。いくら相手が反乱者の一味であっても個人として相手にしていられようか。
 愛国心あふれる騎士は黙考した。

「家族を愛するように国を愛する」
 これがオクタヴィアンの座右の銘であった。
 戦争で家族を亡くし、命辛々と逃れ、軍に庇護された彼にとって、国は愛すべき家族そのものであると思われた。
「この国のために何が最善か」
 彼ははじめて、己の戦術的思考の枠組みを破壊した。
「私が個人的にツチラトと戦うのは組織の論理に反するだろう。しかし組織の論理に縛られてツチラトの申し入れを無視してしまったら?」
 オクタヴィアンは反乱者から見て遊撃手であるツチラトがどれだけたのみの綱であるかを想像した。まるで友を思いやるかのように敵の事情を想像した。
「よし!私はツチラトの決闘を受ける!そして奴を、奴らの希望を粉砕せしめよう。国を守るために」
 
 約束の時刻なるとツチラトがやってきた。
 月明かりに照らされた訓練場、古代のコロッセウムをそのまま利用した円形のフィールドに長髪の騎士ツチラトが立っている。
 オクタヴィアンは体から炎のような赤いオーラを発しているように見えた。
「貴様、なぜ私にわざわざ決闘を申し込んだのだ?こざかしい細工でもしているのであるまいな」
 ツチラトはオクタヴィアンの暑苦しい詰問を鼻であしらう。
「なにも細工なんかしちゃいないさ。俺ひとりで勝手に来てやったぜ。番犬さんよ」
 防人としての自負に溢れた赤の騎士を番犬呼ばわりしながらツチラトは余裕の表情を浮かべた。
 立て続けにこう言い放った。 
「ダークソードがもっと戦えと俺に囁いているんだ…」
「貴様、戦いが純粋に好きなのだな。背負うものがないというのは身軽なのだろう」
「ははは。そうだよ。俺は自由だ。自由は無敵だ。番犬なんかに敗けはしない」
 ツチラトの嘲笑に、オクタヴィアンが怒声をぶつける。
「自由は空虚だ。私が背負うものの重さをこの剣で思い知らせてやる!」
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