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内乱
ツチラトVSオクタヴィアン そして東西分裂へ 二
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そして戦いは厳かに幕をあげた。
両者は剣を合わせ向き合う。それはまるで古代の戦士の決闘の儀のごときである。
月の光が照らす舞台に緊張した感じが広がる。
両手で大剣を構えるオクタヴィアンは赤のオーラを、片手剣を構えるツチラトは黒のオーラをはなった。
ツチラトの心には一切の憎しみはない。近代以前の戦士たちがおそらくそうであったように、戦いに生き戦いに死ぬことだけを考えている。
彼の信じる神は、戦を、生を、死を、すべてのものを人に与えた。戦は神の掌で踊る剣舞だ。
オクタヴィアンがその右脚を前に摺らせると同時にツチラトがステップをきかせ飛びかかる。
振り上げられた漆黒の刃が愛国の騎士を急襲する。
自慢の薔薇の剣の太い刃を器用におどらせ、オクタヴィアンはガードした。
ツチラトはぎりりと歯ぎしりする。
刹那、オクタヴィアンの強い斬撃が、ツチラトの脳天めがけ繰り出される。
ツチラトは体ごと左側に回転しながら避ける。一回転して、屈んだ体勢から細身の刃でオクタヴィアンの脚を狙う。
刃はわずかにオクタヴィアンの脚の防具をかすめたが、彼の太い脚の筋肉は反射的にキックした。
肩にキックを食らったツチラトは、体重の軽さから、けっこう吹き飛んだ。しかしすぐに立ち上がった。
「ツチラトとやらよ。華奢なわりに意外と頑丈であるな」
「そうさ。俺の身体は鋼のように鍛えてある。しなやかだが強い!」
オクタヴィアンが剣と言葉で追い討ちをかける。
「貴様の戦う動機はなんだ?本当に戦いが好きなだけか?国を憎むような気持ちはないのか?」
きっとツチラト個人としては純粋に戦いが好きなのかもしれないとオクタヴィアンは推測している。しかしなぜ彼が反乱者の味方をするのか理解に苦しんでいた。
オクタヴィアンの重い剣攻撃を、揺れる柳のようにかわしながらツチラトが語る
「馬鹿をいうな。俺には国なんか関係ない。イデオロギーもだ。神話の戦士たちがそうであったように、俺も戦う、それだけだぜ」
ツチラトにも放蕩の時代があった。しかし平和が彼には退屈だった。それを回避できるなら傭兵だろうが殺し屋だろうがなんでもよかった。彼からしたら現世的な営みの一切が仮初めのものなのだ。
「もう神話の時代ではない。今が近代だ、民主主義の時代だ。自分で愛するものを守りたい!そのために、おまえたちを……」
「倒す……!」そう言い切る前にオクタヴィアンは筋肉質の大柄な身体をジャンプさせた。
「喰らえ……必殺、大剣落とし」
空中で剣先を地面に向けるように持ちかえるとオクタヴィアンは加速度をつけてツチラトを狙う。
オクタヴィアンの剣の直滑降からツチラトはギリギリのタイミングで逃れた。彼の黒髪が切れて何本か宙に舞った。あと数秒タイミングがずれていたらツチラトは死んでいただろう。
オクタヴィアンが地面に着地した瞬間をツチラトは確かに捉え、その背中に一太刀をお見舞いした。
不意をつかれ、オクタヴィアンはその場に倒れこんだ。
「ぐふっ」
「やったか?!」
戦意の熱で沸騰したツチラトの血を冷ますように、夜風が吹いた。
大ダメージを食らいうつ伏せの体勢のままのオクタヴィアン。過剰分泌したアドレナリンに酔ったように、ボーッとたたずむツチラト。
訪れたつかの間の静寂を切り裂いたのは大爆音だった。
なんと!なにかがコロッセウムに発射され炸裂したのだ!
コロッセウムの真下には地下室があり、爆発により床面を構成する岩盤がその地下の空間にぐちゃぐちゃに崩れ落ちた。
両者は剣を合わせ向き合う。それはまるで古代の戦士の決闘の儀のごときである。
月の光が照らす舞台に緊張した感じが広がる。
両手で大剣を構えるオクタヴィアンは赤のオーラを、片手剣を構えるツチラトは黒のオーラをはなった。
ツチラトの心には一切の憎しみはない。近代以前の戦士たちがおそらくそうであったように、戦いに生き戦いに死ぬことだけを考えている。
彼の信じる神は、戦を、生を、死を、すべてのものを人に与えた。戦は神の掌で踊る剣舞だ。
オクタヴィアンがその右脚を前に摺らせると同時にツチラトがステップをきかせ飛びかかる。
振り上げられた漆黒の刃が愛国の騎士を急襲する。
自慢の薔薇の剣の太い刃を器用におどらせ、オクタヴィアンはガードした。
ツチラトはぎりりと歯ぎしりする。
刹那、オクタヴィアンの強い斬撃が、ツチラトの脳天めがけ繰り出される。
ツチラトは体ごと左側に回転しながら避ける。一回転して、屈んだ体勢から細身の刃でオクタヴィアンの脚を狙う。
刃はわずかにオクタヴィアンの脚の防具をかすめたが、彼の太い脚の筋肉は反射的にキックした。
肩にキックを食らったツチラトは、体重の軽さから、けっこう吹き飛んだ。しかしすぐに立ち上がった。
「ツチラトとやらよ。華奢なわりに意外と頑丈であるな」
「そうさ。俺の身体は鋼のように鍛えてある。しなやかだが強い!」
オクタヴィアンが剣と言葉で追い討ちをかける。
「貴様の戦う動機はなんだ?本当に戦いが好きなだけか?国を憎むような気持ちはないのか?」
きっとツチラト個人としては純粋に戦いが好きなのかもしれないとオクタヴィアンは推測している。しかしなぜ彼が反乱者の味方をするのか理解に苦しんでいた。
オクタヴィアンの重い剣攻撃を、揺れる柳のようにかわしながらツチラトが語る
「馬鹿をいうな。俺には国なんか関係ない。イデオロギーもだ。神話の戦士たちがそうであったように、俺も戦う、それだけだぜ」
ツチラトにも放蕩の時代があった。しかし平和が彼には退屈だった。それを回避できるなら傭兵だろうが殺し屋だろうがなんでもよかった。彼からしたら現世的な営みの一切が仮初めのものなのだ。
「もう神話の時代ではない。今が近代だ、民主主義の時代だ。自分で愛するものを守りたい!そのために、おまえたちを……」
「倒す……!」そう言い切る前にオクタヴィアンは筋肉質の大柄な身体をジャンプさせた。
「喰らえ……必殺、大剣落とし」
空中で剣先を地面に向けるように持ちかえるとオクタヴィアンは加速度をつけてツチラトを狙う。
オクタヴィアンの剣の直滑降からツチラトはギリギリのタイミングで逃れた。彼の黒髪が切れて何本か宙に舞った。あと数秒タイミングがずれていたらツチラトは死んでいただろう。
オクタヴィアンが地面に着地した瞬間をツチラトは確かに捉え、その背中に一太刀をお見舞いした。
不意をつかれ、オクタヴィアンはその場に倒れこんだ。
「ぐふっ」
「やったか?!」
戦意の熱で沸騰したツチラトの血を冷ますように、夜風が吹いた。
大ダメージを食らいうつ伏せの体勢のままのオクタヴィアン。過剰分泌したアドレナリンに酔ったように、ボーッとたたずむツチラト。
訪れたつかの間の静寂を切り裂いたのは大爆音だった。
なんと!なにかがコロッセウムに発射され炸裂したのだ!
コロッセウムの真下には地下室があり、爆発により床面を構成する岩盤がその地下の空間にぐちゃぐちゃに崩れ落ちた。
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