金ぴか!スピリット

千田 陽斗(せんだ はると)

文字の大きさ
7 / 13

二宮先輩の回し蹴り

しおりを挟む
 なんと、安孫子先輩が旅に出るというのです。
 きっかけは例のインフルエンサーのバイトのあっせん疑惑。
 あれはまさに修羅場。
 奨学金研究会のメンバーが全員集まるなか、追求される先輩。
 奨学金の返済に四苦八苦する現実があるということに、わたしたちもなんとなく目を反らしていました。
 せっかく就職できても返済のため貯金に回せなかったりとか、そんなことを知るようになると、なんのために勉強するのかわからなくらりそう。
 卒業後のことが不安でたまらなくなった安孫子先輩は、在学中からおカネを貯めようとネットで稼げそうな話を検索しまくったそうです。
 そしてインフルエンサーのバイトに行き詰まった先輩はトモカははじめ複数の人にバイトをあっせんしていったのでした。
 二宮アキコ先輩は、辛辣でした。
「安孫子が、くだらない金儲けに他人を巻き込んだってのが、よくないね。第一やつは真面目に研究会に参加しないじゃないか。やれ七福神だなんだ。ここでやるな」
「話し合いもわかるが、いま助かることをせにゃならんと思ってだな、おれは……」
 なんとも歯切れが悪い安孫子先輩。
 そこで二宮先輩は、もっと先の戦略があることを示唆しました。
「わたしとて、この研究会をただのサークル活動でおわらせようとは思ってない。みんな奨学金の返済に苦しむ運命だ。孫子を読んだか?クラウセヴィッツは?状況を打開していくには戦略が必要だ。この活動を本格化させる段階に
おいて、ついていけないものは切り捨てる心づもりもある。安孫子、わたしと話し合うつもりがないなら、身の振り方を考えたほうがいいぜ」
 安孫子先輩は、青ざめました。青ざめたままミネラルウォーターのペットボトルをぎゅっと握りしめています。
「安孫子、水でも飲みたいか?そこに立ってペットボトルをこう掲げてみろ」
 おずおずと、言われた通りにする安孫子先輩。
 二宮先輩もすっと立ち上がると、そのカモシカのような脚が弧を描きます。
 先輩の回し蹴りは、ペットボトルのキャップにジャストヒット。見事に開封されました。
 一同は呆然としています。
 トモカなどは、この時の二宮先輩の迫力を鎌倉時代の金剛力士像に例えました(なんだそのセンス)。
 安孫子先輩は顔を真っ赤にして絶叫しました。
「そんなことされたらもう、まともに二宮の顔見れないじゃないか!」
 ん?
 そのまま安孫子先輩は私たちの前から姿を消してしまいました。
 わたしとトモカは安孫子先輩の七福神のキーホルダーは案外気に入ってたりしたので、淋しい気持ちもあるし、なんか残念だなと思いました。

 さてさて、さいきんなんだかダイチとトモカが急接近しているみたい。
 こないだなんかトモカがダイチだけにお菓子をあげていました。
 う~ん、なんかもやもやするな~。あの泥んこダイチのどこがいいのか……。

 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...