金ぴか!スピリット

千田 陽斗(せんだ はると)

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騙された気分はどうだい? 一

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「騙された気分はどうどい?」 
  彼はいたずらっぽい顔でそう言いました。
 いったいなんのこととお思いでしょう。
 では時系列を巻き戻して、説明します。
 それは、私の目の前で起こりました。
 朝、ダイチが自転車に乗って大学に来て、私はそこに鉢合わせしたのですが、なんとタイミング悪くダイチの自転車のタイヤがパンクしてしまったのです。
 よろめきながらも右足で踏ん張ったので、ダイチの体は転倒こそ防げたものの、彼の移動手段は使い物にならなくなってしまいました。
(こないだはかっこいいパンク、こんかいはカッコ悪いパンク) 
「別にいいよ。ついてこなくても」
 「……」
 「なんでついて来るんだよ。学校行かないの?」
「ダイチこそその自転車どうするの?捨てちゃうの?」
「ははは。捨てるわけないじゃん。星野サイクルでパンク直したいと思うんだが」
「星野サイクル?わたしもそこで自転車買ったよ」
「ああ、そうか。星野サイクルはガキのころからお世話になってるんだ」
 この際、大学はサボります。なんか今日はそんな気分になったのでした。
 そうダイチは’ガキ’のころからこの景色とともに育ってきたのです。なんというやんちゃ坊主をこの街は育んでしまったのでしょう。
 星野サイクルまでの短い道のりで、もう少し言葉を交わしたのです。 
「ダイチ。あのラーメン屋は?おいしいの?」
「ああ、いちばんのオススメは一一時半のラーメン」
「え?」
「高校の授業をサボってその時間に食べるラーメンがめちゃうまだったんだよ」
「そうなんですか。あなたは案外ワルですね」

「ありゃー、こりゃパンクだけじゃなくてチェーンも緩んどる。これ何年乗ってる?」
「おやっさん、中学のときからだよ」
「ほら。大学生っていったら酒も飲める大人だのに、中学のチャリンコか。せっかくかわいい彼女もつれてるのにかっこつかねーべ」
「で、おれに新しいのでも買えって?おやっさん商売上手だね」
 か、か、か。端から見るとそう見られるのか。
 奥から奥さんがお茶を持って来てくれました。
「そう、奥にいるから奥さんっていうのかもねー。でも今は女も手前の時代かもしれないけど。ほらダイチ。せっかくかわいい子連れてきたんだから、いろいろお話してあげなさい」
「……」
「そうそう。さっき家を出てった息子のケンシロウの部屋を掃除してたら、こんなの出てきたのよ。小さいときダイチとケンシロウによく読み聞かせてたやつよ」 
「おばさん。そんなガキのころの話ははずいよ」
「いいじゃん。えーと七福神のお話にノアの方舟。それからダイチが特に好きだったのがこれ。ヒルコの伝説。」
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