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時評Ⅰ
クロノ・トリガー 動くものが時を刻む
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『クロノ・トリガー』は一九九三年の三月一一日に発売されたロールプレイング・ゲームです。
余計な説明が不要なくらいの有名タイトルですが、「巨大な名前は意味を奪う」。
これも、あえて語らなければなりません。
『クロノ・トリガー』を金字塔たらしめているのはなにか?
それは「ストーリーの良さ」に尽きると思います。
ストーリーを簡単におさらいすると、主人公のクロノ青年と建国千年祭における少女マール(実はガルディア王国の姫)との出会いからお話は始まります。
クロノの幼なじみでサイエンス・ガールのルッカが作り上げた物質転送装置とマールが持っていた不思議なペンダントの力が共振してタイムゲートが開きマールは過去へ飛ばされてしまいます。
マールを助けにクロノとルッカも後を追い、やがて複数の時代をめぐる大タイム・トラベル・ストーリーへ発展していきます。
ひょんなことから三人がたどり着いた未来の世界は荒廃しており、わずかに生き延びた人類がドームに身を寄せて暮らしていました。
コンピューターに記録されていたのは、世界破滅の日の悲惨な映像。
地下深くからその姿を表したラヴォスと呼ばれる巨大なウニのような生き物が、地上のすべてを壊滅させます。
三人は、誓います。ラヴォスをやっつけてこの惑星の未来を救うと。
この破滅の映像を見たときのマールの「こんなのってないよ!」というセリフが印象的ですが、三人の「未来を救いたい」という動機ははっきり言って端的です。
世界が破滅するのは主人公たちが生きる時代から九九九年後です。彼らの寿命よりも先の、タイムトラベルさえしなければ知るよしもない話です。
しかし彼らは運命を受け入れない。
最初にマールが飛ばされた過去は四〇〇年前の中世で、そこでマールの先祖に当たる先代の姫に命の危機が訪れていました。そこで姫が死んでいたらマールの存在も歴史から抹消されていました。
彼ら主人公たちは歴史を守りました。そして同時に改変者にもなります。
『クロノ・トリガー』は王道のタイトルトラベルSFとして優れたストーリーを持っていることが分かります。
ここからは、ストーリーのテーマを掘り下げてみましょう。
物語の中盤、原始時代の人類と恐竜人との生き残りをかけた抗争劇が印象的です。
この話はラヴォスの脅威から未来を救うためにタイムトラベルを繰り返す主人公たちの姿に重なります。
原始人の女リーダーであるエイラも、恐竜人のリーダーであるアザーラもともに「勝ったものが生き残り、負けた者は滅ぶ」という端的な世界観を開示します。
ちなみに世界を壊滅させるラヴォスは、惑星そのものを餌として生きる生命体であり、地球には原始時代に飛来して長い間地下に潜伏して惑星のエネルギーを吸収していました。
ラヴォスの動機も善悪ではなく、人類や恐竜人と同じ端的な生き残りです。
エイラに協力した主人公たちによりアザーラは倒されます。
「私たちのことを忘れないでくれ」と誇り高き尊敬できる敵として死んでいきます。
かつての原始人と同じように、端的な生き残りのために戦うなかで、冒険の記憶が輝かしいものになっていくのが、『クロノ・トリガー』体験なのだと思います。
キャラが協力して繰り出す連携技もアツいです。
なんだか、『アラモ』という西部劇を思い出すお話です。
『クロノ・トリガー』ってあんがい血沸き肉踊る要素があるんですねー。
それから『クロノ・トリガー』は登場キャラたちも魅力的です。
弱さや欠けた部分を持ったキャラが感情移入を誘うのだと思います。
中世では、勇者サイラスの親友でカエルに姿を変えられてしまった、その名も「カエル」。
未来では、人類の新たな敵として造られたものの一人だけ人間の味方をして仲間から外される「ロボ」。
それからカエルとは因縁の関係でありながら、やがて主人公たちと目的を一致させることになる「魔王」。
個人的には、やはり魔王好きですよねー。
絶対的な悪がいない世界、弱さをもった存在が輝く世界。日本的ですよねー。
でもこの世界を味わいなおすために「つよくてニューゲーム」なんか繰り返しちゃうと、すごい時間をとられてしまいます。
自分の人生や社会やらどーするんだ??
リアルワールドにいる僕たちがタイムトラベルできないのが色々と悩ましいですよね。
余計な説明が不要なくらいの有名タイトルですが、「巨大な名前は意味を奪う」。
これも、あえて語らなければなりません。
『クロノ・トリガー』を金字塔たらしめているのはなにか?
それは「ストーリーの良さ」に尽きると思います。
ストーリーを簡単におさらいすると、主人公のクロノ青年と建国千年祭における少女マール(実はガルディア王国の姫)との出会いからお話は始まります。
クロノの幼なじみでサイエンス・ガールのルッカが作り上げた物質転送装置とマールが持っていた不思議なペンダントの力が共振してタイムゲートが開きマールは過去へ飛ばされてしまいます。
マールを助けにクロノとルッカも後を追い、やがて複数の時代をめぐる大タイム・トラベル・ストーリーへ発展していきます。
ひょんなことから三人がたどり着いた未来の世界は荒廃しており、わずかに生き延びた人類がドームに身を寄せて暮らしていました。
コンピューターに記録されていたのは、世界破滅の日の悲惨な映像。
地下深くからその姿を表したラヴォスと呼ばれる巨大なウニのような生き物が、地上のすべてを壊滅させます。
三人は、誓います。ラヴォスをやっつけてこの惑星の未来を救うと。
この破滅の映像を見たときのマールの「こんなのってないよ!」というセリフが印象的ですが、三人の「未来を救いたい」という動機ははっきり言って端的です。
世界が破滅するのは主人公たちが生きる時代から九九九年後です。彼らの寿命よりも先の、タイムトラベルさえしなければ知るよしもない話です。
しかし彼らは運命を受け入れない。
最初にマールが飛ばされた過去は四〇〇年前の中世で、そこでマールの先祖に当たる先代の姫に命の危機が訪れていました。そこで姫が死んでいたらマールの存在も歴史から抹消されていました。
彼ら主人公たちは歴史を守りました。そして同時に改変者にもなります。
『クロノ・トリガー』は王道のタイトルトラベルSFとして優れたストーリーを持っていることが分かります。
ここからは、ストーリーのテーマを掘り下げてみましょう。
物語の中盤、原始時代の人類と恐竜人との生き残りをかけた抗争劇が印象的です。
この話はラヴォスの脅威から未来を救うためにタイムトラベルを繰り返す主人公たちの姿に重なります。
原始人の女リーダーであるエイラも、恐竜人のリーダーであるアザーラもともに「勝ったものが生き残り、負けた者は滅ぶ」という端的な世界観を開示します。
ちなみに世界を壊滅させるラヴォスは、惑星そのものを餌として生きる生命体であり、地球には原始時代に飛来して長い間地下に潜伏して惑星のエネルギーを吸収していました。
ラヴォスの動機も善悪ではなく、人類や恐竜人と同じ端的な生き残りです。
エイラに協力した主人公たちによりアザーラは倒されます。
「私たちのことを忘れないでくれ」と誇り高き尊敬できる敵として死んでいきます。
かつての原始人と同じように、端的な生き残りのために戦うなかで、冒険の記憶が輝かしいものになっていくのが、『クロノ・トリガー』体験なのだと思います。
キャラが協力して繰り出す連携技もアツいです。
なんだか、『アラモ』という西部劇を思い出すお話です。
『クロノ・トリガー』ってあんがい血沸き肉踊る要素があるんですねー。
それから『クロノ・トリガー』は登場キャラたちも魅力的です。
弱さや欠けた部分を持ったキャラが感情移入を誘うのだと思います。
中世では、勇者サイラスの親友でカエルに姿を変えられてしまった、その名も「カエル」。
未来では、人類の新たな敵として造られたものの一人だけ人間の味方をして仲間から外される「ロボ」。
それからカエルとは因縁の関係でありながら、やがて主人公たちと目的を一致させることになる「魔王」。
個人的には、やはり魔王好きですよねー。
絶対的な悪がいない世界、弱さをもった存在が輝く世界。日本的ですよねー。
でもこの世界を味わいなおすために「つよくてニューゲーム」なんか繰り返しちゃうと、すごい時間をとられてしまいます。
自分の人生や社会やらどーするんだ??
リアルワールドにいる僕たちがタイムトラベルできないのが色々と悩ましいですよね。
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