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それでも求愛をし続ける伯爵
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この話の主人公マモンは、平民の少年である。
マモンは、朝は井戸で水を浴びて身体を洗う綺麗好き。
平民は風呂なんてものは家にはなくて、井戸で水を浴びるのが普通だ。
寒い時期になるとお湯を沸かして、それで綺麗にするという選択肢になる。
公衆浴場というものはあるけれど、マモンは事情があって入れない。
マモンは水浴びの前に、公衆浴場を使えない元凶な上に堂々と覗きをしているある男を箒で殴り飛ばす。
「ああぁぁっ!!」
「ホームラーーーン!☆」
ナイスホームランが今日も決まった。
………これが毎朝の日課だ。
男の名はカイザック・アドン伯爵。
そう、貴族である。
本来ならば、マモンのしていることは不敬罪で処っぴかれてもおかしくない行為だ。
それなのに何も咎められないのは、カイザックがマモンを好きだから………。
何をマモンにされても、全てカイザックの中で愛に変換されるから問題にならないのだ。
カイザックはマモンに好きになってほしい気持ちと、自分自身の欲望に素直になりすぎて、威厳は欠片も残っていない。
威厳は家出してしまった。
………いつか威厳が帰ってくると周囲は信じたい。
マモンが雑貨屋で仕事の時間は、カイザックはお客様として必ずくる。
モロバレの変装……つけ髭と丸眼鏡と明らかなカツラで。
しかし、お客様は神様ということでスマイル0円精神で対応している。
ちなみに、カイザックは購入品を思い出の品として保管していたりする。
『○月✕日。木彫りの兎。
今日のマモンは、私の瞳を昨日よりも3秒も多く見つめてくれた。私を好きだと訴えていたのかもしれない。嬉しい!!』
たまたま目が合っただけだ。
『○月☆日。赤い硝子のペンダント。
今日のマモンは、私にキスしたそうだった。私もしたかったよ』
それは気のせいだよ。
『○月◇日。花柄のハンカチ。
今日のマモンは、私の手に触れてくれた!!マモンから触ってくれるなんて!!きゃっ!』
乙女か!!
購入品と日記はセットである。
毎晩のカイザックの日課は、マモンへの求愛ダンスを踊ること。
求愛ダンス……といえば聞こえはたぶんいいが、早い話が変態ダンスというか、奇行というか………。
全裸のカイザックが必死で踊るぶらぶらダンス。
いや、腰フリダンスというべきかな?
股のアレが揺れる見苦しいダンスだが、カイザックは無駄にイケメンなためにそこまで見苦しくはない。
そして、身分が高い故に警邏隊ではどうにもできない。
だから、マモンは箒を手にするのだ。
「ほーれ、飛んでけーーー!☆」
「ああぁぁっ!!」
今夜もホームランだ。
見苦しいぶらぶらするものをぶらぶらさせたまま、全裸の伯爵は今夜も空を飛ぶ。
マモンは、朝は井戸で水を浴びて身体を洗う綺麗好き。
平民は風呂なんてものは家にはなくて、井戸で水を浴びるのが普通だ。
寒い時期になるとお湯を沸かして、それで綺麗にするという選択肢になる。
公衆浴場というものはあるけれど、マモンは事情があって入れない。
マモンは水浴びの前に、公衆浴場を使えない元凶な上に堂々と覗きをしているある男を箒で殴り飛ばす。
「ああぁぁっ!!」
「ホームラーーーン!☆」
ナイスホームランが今日も決まった。
………これが毎朝の日課だ。
男の名はカイザック・アドン伯爵。
そう、貴族である。
本来ならば、マモンのしていることは不敬罪で処っぴかれてもおかしくない行為だ。
それなのに何も咎められないのは、カイザックがマモンを好きだから………。
何をマモンにされても、全てカイザックの中で愛に変換されるから問題にならないのだ。
カイザックはマモンに好きになってほしい気持ちと、自分自身の欲望に素直になりすぎて、威厳は欠片も残っていない。
威厳は家出してしまった。
………いつか威厳が帰ってくると周囲は信じたい。
マモンが雑貨屋で仕事の時間は、カイザックはお客様として必ずくる。
モロバレの変装……つけ髭と丸眼鏡と明らかなカツラで。
しかし、お客様は神様ということでスマイル0円精神で対応している。
ちなみに、カイザックは購入品を思い出の品として保管していたりする。
『○月✕日。木彫りの兎。
今日のマモンは、私の瞳を昨日よりも3秒も多く見つめてくれた。私を好きだと訴えていたのかもしれない。嬉しい!!』
たまたま目が合っただけだ。
『○月☆日。赤い硝子のペンダント。
今日のマモンは、私にキスしたそうだった。私もしたかったよ』
それは気のせいだよ。
『○月◇日。花柄のハンカチ。
今日のマモンは、私の手に触れてくれた!!マモンから触ってくれるなんて!!きゃっ!』
乙女か!!
購入品と日記はセットである。
毎晩のカイザックの日課は、マモンへの求愛ダンスを踊ること。
求愛ダンス……といえば聞こえはたぶんいいが、早い話が変態ダンスというか、奇行というか………。
全裸のカイザックが必死で踊るぶらぶらダンス。
いや、腰フリダンスというべきかな?
股のアレが揺れる見苦しいダンスだが、カイザックは無駄にイケメンなためにそこまで見苦しくはない。
そして、身分が高い故に警邏隊ではどうにもできない。
だから、マモンは箒を手にするのだ。
「ほーれ、飛んでけーーー!☆」
「ああぁぁっ!!」
今夜もホームランだ。
見苦しいぶらぶらするものをぶらぶらさせたまま、全裸の伯爵は今夜も空を飛ぶ。
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