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16◆返ってきた宝玉(リューレン視点
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返ってきた宝玉は、神気の光を放ちながら私の側を飛んでいた。
本来龍神の宝玉は、こうして側を飛んでいるものなのだ。
だが、うっかりで落としてしまうことは稀にある。
歴代の龍神も似たような失敗をわりとやっていたそうだ。
龍神の歴史書に書いてた。
ジゼルの壊れてしまった身体を抱きしめる。
宝玉を取り出してしまったせいで、私と同じだった髪と瞳の色は人形としての本来の色になってしまった。
胸に空いた穴が、とても痛々しい。
たとえジゼルがオートマタだったとしても、血の一滴もない存在だとしても、それでもちゃんと生きていたんだ。
………死んでいいはずがないんだ。
宝玉なんて、返さなくて良かったんだ………。
なのに……!
「私が……あんな賊に苦戦したせいで………」
そういうことなのだろう?
ジゼルは優しい子だ。
私を守りたかったのだな。
宝玉を私に返せば、私は助かると思ったのだな。
………自分は死んでしまうのに。
「ジゼル………?」
賊がジゼルの名を呼ぶ。
私は賊に氷の刃を十前後程投げつけた。
賊の身体に全て掠り、一瞬で賊は傷だらけになる。
「くっ!?」
「誰が、ジゼルの名を呼ぶことを許した」
「なんだこいつ?急に強くなった……!?」
「もう、ジゼルは動かない。ただの壊れた人形になってしまったから。私は、貴様を許せない。今の私は、貴様を殺すだろう。だが、貴様はどれほど憎くとも、昔ジゼルの飼い猫だったという事実がある。だから、今だけ温情をやろう。去れ、そして二度と私達の前に現れるな。逆らうなら殺す。早々に去らぬなら殺す」
「ジゼルが、壊れた人形になったって……うっ!」
「そうか。死ぬことを選ぶというなら遠慮なく殺そう」
「……クソっ!」
賊は逃げていった。
賊はジゼルの飼い猫だったという事実があるから、殺したらジゼルが悲しむと思ったんだ。
残念だ……向かってくるなら遠慮なく殺せたのに。
………私は、ジゼルが死ぬきっかけになった賊を許せない。
不甲斐ない自分自身も許せないけれど………。
私はあの賊を嫌悪して、その名を呼ぶことを嫌う。
本来龍神の宝玉は、こうして側を飛んでいるものなのだ。
だが、うっかりで落としてしまうことは稀にある。
歴代の龍神も似たような失敗をわりとやっていたそうだ。
龍神の歴史書に書いてた。
ジゼルの壊れてしまった身体を抱きしめる。
宝玉を取り出してしまったせいで、私と同じだった髪と瞳の色は人形としての本来の色になってしまった。
胸に空いた穴が、とても痛々しい。
たとえジゼルがオートマタだったとしても、血の一滴もない存在だとしても、それでもちゃんと生きていたんだ。
………死んでいいはずがないんだ。
宝玉なんて、返さなくて良かったんだ………。
なのに……!
「私が……あんな賊に苦戦したせいで………」
そういうことなのだろう?
ジゼルは優しい子だ。
私を守りたかったのだな。
宝玉を私に返せば、私は助かると思ったのだな。
………自分は死んでしまうのに。
「ジゼル………?」
賊がジゼルの名を呼ぶ。
私は賊に氷の刃を十前後程投げつけた。
賊の身体に全て掠り、一瞬で賊は傷だらけになる。
「くっ!?」
「誰が、ジゼルの名を呼ぶことを許した」
「なんだこいつ?急に強くなった……!?」
「もう、ジゼルは動かない。ただの壊れた人形になってしまったから。私は、貴様を許せない。今の私は、貴様を殺すだろう。だが、貴様はどれほど憎くとも、昔ジゼルの飼い猫だったという事実がある。だから、今だけ温情をやろう。去れ、そして二度と私達の前に現れるな。逆らうなら殺す。早々に去らぬなら殺す」
「ジゼルが、壊れた人形になったって……うっ!」
「そうか。死ぬことを選ぶというなら遠慮なく殺そう」
「……クソっ!」
賊は逃げていった。
賊はジゼルの飼い猫だったという事実があるから、殺したらジゼルが悲しむと思ったんだ。
残念だ……向かってくるなら遠慮なく殺せたのに。
………私は、ジゼルが死ぬきっかけになった賊を許せない。
不甲斐ない自分自身も許せないけれど………。
私はあの賊を嫌悪して、その名を呼ぶことを嫌う。
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