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15◆本当の願い
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ライラックとドールが戦い、魔王はそれを高みの見物で楽しんでいた。
ドールが負けるとは思っていなかったのだ。
しかし、日頃ドMの調教で研ぎ澄まされたライラックの鞭の攻撃がドールに圧倒的な力を示し、勝敗はライラックの勝利になった。
「馬鹿なっ!?」
魔王は驚き、ドールは座り込んでギルバートをみつめる。
「ギルバート………」
ライラックに負けて、魔王の洗脳が解けたドールは涙を流す。
………例え洗脳が解けても、一度魔に落ちたドールはもう人には戻れないのだ。
本当の願いはなんだった?
思い出せなかった気持ちをドールは思い出す。
復讐?………そんなもの願っていない。
願いは………。本当の願いは………。
ただ、愛されたかった………。
ギルバートに、愛されたかったのだ。
しかし復讐が願いだと気持ちを歪められたドールは、本当の願いがギルバートからの愛だと思い出せないまま、ギルバートを殺すように魔王に導かれた。
それで復讐が果たされると囁かれて………。
ギルバートを殺せば、本当の願いを思い出すように仕組まれ、思い出した瞬間にドールの深い絶望を魔王は得るはずだったのだ。
ドールは、ライラックのことを無意識で恨んでいた。
ギルバートに愛されるライラックをみて、どうしてドールじゃなくてライラックが愛されるのかと許せなかった。
そこにはドールが……本物のライラックであるドールがいるはずなのに。
………洗脳された状態で、そう無意識で恨んでいた。
フェイク……偽物という言葉は、蔑む言葉である。
ちなみに、ミリアナのこともドールは恨んでいた。
自分からギルバートを奪った元凶なのだから、恨まないわけがない。
倒れゆくドールを、そっとギルバートが抱き起こす。
「ギルバート……愛していました………」
「……ライラック」
「………名前、最期にギルバートに呼んでもらえて……嬉しいです。貴方を……殺さずにすんで……良かった………」
「………裏切って、すまなかった」
「……っ!………あり…がとう……」
力なくぐったりとしたドールは、もう言葉を喋ることはない。
ギルバートはその身体を抱きしめて、過去の……いや前の世界の自分を殴り飛ばしたくなっていた。
………ギルバートは、前の記憶を思い出していたのだ。
自分がミリアナと浮気して、ライラックに婚約破棄をした前の記憶を………。
あんなにライラックを愛していたのにとギルバートは涙を流した。
婚約破棄はミリアナに魅了を使われていたのだが、そんなの言い訳だろうとギルバートは思う。
「俺も……愛していたよ………。愛していた。……なのに、すまない。すまなかった……ライラック。すまない………。もう、裏切らない……絶対に。二度と……だから、ゆっくりおやすみ……愛してくれて……ありがとう………」
「………」
今の世界のライラックを愛し続けると、ギルバートはドールに……前の世界のライラックに誓うのだった。
ドールが負けるとは思っていなかったのだ。
しかし、日頃ドMの調教で研ぎ澄まされたライラックの鞭の攻撃がドールに圧倒的な力を示し、勝敗はライラックの勝利になった。
「馬鹿なっ!?」
魔王は驚き、ドールは座り込んでギルバートをみつめる。
「ギルバート………」
ライラックに負けて、魔王の洗脳が解けたドールは涙を流す。
………例え洗脳が解けても、一度魔に落ちたドールはもう人には戻れないのだ。
本当の願いはなんだった?
思い出せなかった気持ちをドールは思い出す。
復讐?………そんなもの願っていない。
願いは………。本当の願いは………。
ただ、愛されたかった………。
ギルバートに、愛されたかったのだ。
しかし復讐が願いだと気持ちを歪められたドールは、本当の願いがギルバートからの愛だと思い出せないまま、ギルバートを殺すように魔王に導かれた。
それで復讐が果たされると囁かれて………。
ギルバートを殺せば、本当の願いを思い出すように仕組まれ、思い出した瞬間にドールの深い絶望を魔王は得るはずだったのだ。
ドールは、ライラックのことを無意識で恨んでいた。
ギルバートに愛されるライラックをみて、どうしてドールじゃなくてライラックが愛されるのかと許せなかった。
そこにはドールが……本物のライラックであるドールがいるはずなのに。
………洗脳された状態で、そう無意識で恨んでいた。
フェイク……偽物という言葉は、蔑む言葉である。
ちなみに、ミリアナのこともドールは恨んでいた。
自分からギルバートを奪った元凶なのだから、恨まないわけがない。
倒れゆくドールを、そっとギルバートが抱き起こす。
「ギルバート……愛していました………」
「……ライラック」
「………名前、最期にギルバートに呼んでもらえて……嬉しいです。貴方を……殺さずにすんで……良かった………」
「………裏切って、すまなかった」
「……っ!………あり…がとう……」
力なくぐったりとしたドールは、もう言葉を喋ることはない。
ギルバートはその身体を抱きしめて、過去の……いや前の世界の自分を殴り飛ばしたくなっていた。
………ギルバートは、前の記憶を思い出していたのだ。
自分がミリアナと浮気して、ライラックに婚約破棄をした前の記憶を………。
あんなにライラックを愛していたのにとギルバートは涙を流した。
婚約破棄はミリアナに魅了を使われていたのだが、そんなの言い訳だろうとギルバートは思う。
「俺も……愛していたよ………。愛していた。……なのに、すまない。すまなかった……ライラック。すまない………。もう、裏切らない……絶対に。二度と……だから、ゆっくりおやすみ……愛してくれて……ありがとう………」
「………」
今の世界のライラックを愛し続けると、ギルバートはドールに……前の世界のライラックに誓うのだった。
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