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3◆レヴィ視点
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「それでは、我らが陛下がお待ちです。それはもうワクワクし過ぎてオヤツ前の犬のように」
「え」
我らが陛下……魔族の陛下なんだから、それは魔王ということだろうと理解する。
けれど、魔王をオヤツ前の犬のようだと例えるのはどうなんだろう。
大丈夫?セルフィの首が物理的に飛ばされない?
ちょっと心配になった。
僕はセルフィに案内されて廊下を歩くけれど、鉄球がないだけで身体が軽く感じる。
鎖も何気に重かったんだ。
首輪がないから、呼吸が楽にできる喜びを感じる。
酸素がなんとなく美味しいとすら思えるよ。
とある部屋の扉をノックしてから中に入ると、すごく美しいエルフの男性がいた。
「エルフ?」
「私の母がエルフだったからね。これでもちゃんと魔族の魔王なんだよ。名前はユリウス。よろしくね!君の名前は?」
「レヴィです」
「愛しいレヴィ、結婚しよう♡」
「……………?」
「陛下、色々すっ飛ばしてますよ」
「あ、ごめんね。レヴィは私の運命の番だから、結婚しよう♡」
「……………………………?」
「レヴィ様、説明します。番とは、人族にとっての伴侶を意味するものです。運命の番とは、運命で結ばれた伴侶ということです。一度出会ったなら、強烈に惹かれ合う存在です」
「……たぶん、理解しました?つまり、僕がユリウス様の運命で結ばれた伴侶だから、結婚してということであってますか?」
「ユリウスと呼び捨てにしてくれ。そして、その認識で合っているから、私と結婚しよう♡」
「……よろしくお願いします」
「うおっしゃーーーっ!!」
ユリウスが勝利の雄叫びをあげて拳を天高く突き上げた。
見た目に似合わず熱い男なのかもしれない。
ここまでいい思いをさせてくれた相手に、拒否感なんてものは僕にはないよ。
僕なんかをほしいなら差し出せる。
だけど、もう奴隷にはなりたくない。
僕を差し出すから、せめて人として扱ってほしい。
もう、あんな生活には耐えられない。
いや、もう僕は許せないみたいだ。
元々何も許してなんていないけど、今までは黙ってされるがままだった。
心に、悪しき存在を滅ぼせという炎が宿る。
……あぁ、きっとこれは、白く輝くはずだったもの。
でも、もう僕は堕ちてしまったから……。
炎は黒く燃え上がる。
急に、胸元がピカッと黒く光った。
「「「?」」」
胸元を緩めてみると、そこには見慣れない紋章が黒く輝いている。
「こんなの僕知らない」
「それは勇者の紋章だね」
「まさか陛下の運命の番が勇者とは……というか、勇者の紋章って確か白かったような?」
「黒い紋章は闇堕ちした証拠だ。まぁ、闇堕ちしても勇者としての能力は使えるよ」
勇者、心に宿る悪しき存在を滅ぼせという力。
僕は、この降って湧いたとしか言えない力の使い道を理解した。
「なるほど。僕、決めました。祖国にざまぁをすると」
「つまりそれは………私とする初めての共同作業か!!滾るね!」
ユリウスは、初めての共同作業というワードに酔いしれる。
ざまぁが初めての共同作業って、物騒だけど助かるから否定はしないよ。
「え」
我らが陛下……魔族の陛下なんだから、それは魔王ということだろうと理解する。
けれど、魔王をオヤツ前の犬のようだと例えるのはどうなんだろう。
大丈夫?セルフィの首が物理的に飛ばされない?
ちょっと心配になった。
僕はセルフィに案内されて廊下を歩くけれど、鉄球がないだけで身体が軽く感じる。
鎖も何気に重かったんだ。
首輪がないから、呼吸が楽にできる喜びを感じる。
酸素がなんとなく美味しいとすら思えるよ。
とある部屋の扉をノックしてから中に入ると、すごく美しいエルフの男性がいた。
「エルフ?」
「私の母がエルフだったからね。これでもちゃんと魔族の魔王なんだよ。名前はユリウス。よろしくね!君の名前は?」
「レヴィです」
「愛しいレヴィ、結婚しよう♡」
「……………?」
「陛下、色々すっ飛ばしてますよ」
「あ、ごめんね。レヴィは私の運命の番だから、結婚しよう♡」
「……………………………?」
「レヴィ様、説明します。番とは、人族にとっての伴侶を意味するものです。運命の番とは、運命で結ばれた伴侶ということです。一度出会ったなら、強烈に惹かれ合う存在です」
「……たぶん、理解しました?つまり、僕がユリウス様の運命で結ばれた伴侶だから、結婚してということであってますか?」
「ユリウスと呼び捨てにしてくれ。そして、その認識で合っているから、私と結婚しよう♡」
「……よろしくお願いします」
「うおっしゃーーーっ!!」
ユリウスが勝利の雄叫びをあげて拳を天高く突き上げた。
見た目に似合わず熱い男なのかもしれない。
ここまでいい思いをさせてくれた相手に、拒否感なんてものは僕にはないよ。
僕なんかをほしいなら差し出せる。
だけど、もう奴隷にはなりたくない。
僕を差し出すから、せめて人として扱ってほしい。
もう、あんな生活には耐えられない。
いや、もう僕は許せないみたいだ。
元々何も許してなんていないけど、今までは黙ってされるがままだった。
心に、悪しき存在を滅ぼせという炎が宿る。
……あぁ、きっとこれは、白く輝くはずだったもの。
でも、もう僕は堕ちてしまったから……。
炎は黒く燃え上がる。
急に、胸元がピカッと黒く光った。
「「「?」」」
胸元を緩めてみると、そこには見慣れない紋章が黒く輝いている。
「こんなの僕知らない」
「それは勇者の紋章だね」
「まさか陛下の運命の番が勇者とは……というか、勇者の紋章って確か白かったような?」
「黒い紋章は闇堕ちした証拠だ。まぁ、闇堕ちしても勇者としての能力は使えるよ」
勇者、心に宿る悪しき存在を滅ぼせという力。
僕は、この降って湧いたとしか言えない力の使い道を理解した。
「なるほど。僕、決めました。祖国にざまぁをすると」
「つまりそれは………私とする初めての共同作業か!!滾るね!」
ユリウスは、初めての共同作業というワードに酔いしれる。
ざまぁが初めての共同作業って、物騒だけど助かるから否定はしないよ。
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