僕の運命の番は魔王。闇堕ち主人公は勇者だったようだけど祖国にざまぁを決意する

ミクリ21 (新)

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3◆レヴィ視点

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「それでは、我らが陛下がお待ちです。それはもうワクワクし過ぎてオヤツ前の犬のように」

「え」

我らが陛下……魔族の陛下なんだから、それは魔王ということだろうと理解する。

けれど、魔王をオヤツ前の犬のようだと例えるのはどうなんだろう。

大丈夫?セルフィの首が物理的に飛ばされない?

ちょっと心配になった。



僕はセルフィに案内されて廊下を歩くけれど、鉄球がないだけで身体が軽く感じる。

鎖も何気に重かったんだ。

首輪がないから、呼吸が楽にできる喜びを感じる。

酸素がなんとなく美味しいとすら思えるよ。



とある部屋の扉をノックしてから中に入ると、すごく美しいエルフの男性がいた。

「エルフ?」

「私の母がエルフだったからね。これでもちゃんと魔族の魔王なんだよ。名前はユリウス。よろしくね!君の名前は?」

「レヴィです」

「愛しいレヴィ、結婚しよう♡」

「……………?」

「陛下、色々すっ飛ばしてますよ」

「あ、ごめんね。レヴィは私の運命の番だから、結婚しよう♡」

「……………………………?」

「レヴィ様、説明します。番とは、人族にとっての伴侶を意味するものです。運命の番とは、運命で結ばれた伴侶ということです。一度出会ったなら、強烈に惹かれ合う存在です」

「……たぶん、理解しました?つまり、僕がユリウス様の運命で結ばれた伴侶だから、結婚してということであってますか?」

「ユリウスと呼び捨てにしてくれ。そして、その認識で合っているから、私と結婚しよう♡」

「……よろしくお願いします」

「うおっしゃーーーっ!!」

ユリウスが勝利の雄叫びをあげて拳を天高く突き上げた。

見た目に似合わず熱い男なのかもしれない。

ここまでいい思いをさせてくれた相手に、拒否感なんてものは僕にはないよ。

僕なんかをほしいなら差し出せる。



だけど、もう奴隷にはなりたくない。

僕を差し出すから、せめて人として扱ってほしい。

もう、あんな生活には耐えられない。

いや、もう僕は許せないみたいだ。

元々何も許してなんていないけど、今までは黙ってされるがままだった。

心に、悪しき存在を滅ぼせという炎が宿る。

……あぁ、きっとこれは、白く輝くはずだったもの。

でも、もう僕は堕ちてしまったから……。

炎は黒く燃え上がる。



急に、胸元がピカッと黒く光った。

「「「?」」」

胸元を緩めてみると、そこには見慣れない紋章が黒く輝いている。

「こんなの僕知らない」

「それは勇者の紋章だね」

「まさか陛下の運命の番が勇者とは……というか、勇者の紋章って確か白かったような?」

「黒い紋章は闇堕ちした証拠だ。まぁ、闇堕ちしても勇者としての能力は使えるよ」

勇者、心に宿る悪しき存在を滅ぼせという力。

僕は、この降って湧いたとしか言えない力の使い道を理解した。

「なるほど。僕、決めました。祖国にざまぁをすると」

「つまりそれは………私とする初めての共同作業か!!滾るね!」

ユリウスは、初めての共同作業というワードに酔いしれる。

ざまぁが初めての共同作業って、物騒だけど助かるから否定はしないよ。
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