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狐は嫁になりたい
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真夜中の丑三つ時。
玄関の扉をノックする音がした。
三日に一度はノックされている。
相手は何気にわかっている。
きっとまたあいつだ。
俺は眠いと思いながらも玄関にいき外に声をかけた。
「誰だ」
「……」
……無反応。
まるで誰もいないようだ。
いるのはわかっているが、返事をしないなら俺は寝るぞ。
なので俺は部屋に戻ったが……。
しかしまたノックが聞こえた。
「今、俺、フルチンだけど、誰だ?」
「!?」
あいつが息をのむ気配がした。
ちなみに、俺は今フルチンではない。
フルチンとは嘘だけど、どうせみえないのだから大丈夫だ。
よし、ちょっとふざけてみよう。
「もしや……俺のゴールドボールを掴みに来た勇者か!」
「……ゴールドボール……とは?」
男の声が返事をしたが、知っている声だな。
やっぱりあいつだなと思って、冗談を続ける。
「金・玉」
「!!」
ドン!
何かが扉を叩いたが、扉が凹んだら弁償代を地獄の果てまで求めて追いかけるからな。
まぁ、あいつは追いかけたら喜ぶかもだけど。
「玉狙いじゃないなら……チン狙い……!?」
「!?」
ドンドン!!
何かが扉を叩く。
ノックなんて音ではない。
殴るがぴったりの音だろう。
おいおい、人の家を攻撃するなよ。
「……玉もチンも狙ってません」
「まさかの乳首狙いか」
「!?」
気配が消えた。
扉を開けると誰もいないし、その夜はもう誰もノックしなかった。
俺はニヤリと笑った。
へいへい、一人暮らしの男の部屋に夜這いしにきたならセクハラぐらい覚悟しろよ。
といっても、流石に俺も知らない相手ならそんな発想にはならない。
実は、最近とある男に言い寄られている。
この声はその男の声である。
あれは数週間前のことだった。
夜の森を仕事帰りに歩いていると、背後から呼び止められた。
「あの……」
「なんだ」
「……」
黒いローブの怪しい男は、俺にもじもじとしながら告白してきた。
「僕の旦那様になってください」
「顔も知らない奴の旦那様にはなれん」
「ご主人様でも大丈夫です」
「……考えさせてくれ」
「じゃあ、旦那様を前提のご主人様でお願いします♡」
「……こいつ、要求レベルをあげてきやがった!?」
そして、煙のように消えた男は翌日から俺をつけ回すようになった。
考えさせてくれと言ったのは俺だから、ストーカー呼ばわりはしないつもりだ。
「来ちゃった♡」
「……不法侵入は流石にダメだろ」
ストーカー呼ばわりはしないつもりだったが、寝ている間に部屋に不法侵入されて寝込みを襲われた場合はどうしたらいいんだろうな。
「あんまり待たせるから、堪えきれなくて合鍵作りました」
「何してくれてんの?」
「僕、今日からここに住みます!」
「俺の許可は?」
「ご主人様に忠誠を誓います!きゅん!」
ポン!
「……え?」
……俺の想像では、ご主人様とはSMのことだと思っていた。
しかし、どうやら勘違いだったのかもしれない。
だって、男は目の前で狐になったのだから。
「僕の故郷では、僕の嫁入りを今か今かと手ぐすね引いて準備してるので、いつでも嫁にもらってください!ご主人様♡」
「……あぁ、えっと、とりあえず……まずは名乗ろうか」
「きゅん!」
尻尾をフリフリしている喋る狐に、未だにお互い名乗っていないことを指摘する。
そして俺は、こいつを受け入れると心に決めた。
だって、モフモフだったから……めっちゃヘヴン♡
玄関の扉をノックする音がした。
三日に一度はノックされている。
相手は何気にわかっている。
きっとまたあいつだ。
俺は眠いと思いながらも玄関にいき外に声をかけた。
「誰だ」
「……」
……無反応。
まるで誰もいないようだ。
いるのはわかっているが、返事をしないなら俺は寝るぞ。
なので俺は部屋に戻ったが……。
しかしまたノックが聞こえた。
「今、俺、フルチンだけど、誰だ?」
「!?」
あいつが息をのむ気配がした。
ちなみに、俺は今フルチンではない。
フルチンとは嘘だけど、どうせみえないのだから大丈夫だ。
よし、ちょっとふざけてみよう。
「もしや……俺のゴールドボールを掴みに来た勇者か!」
「……ゴールドボール……とは?」
男の声が返事をしたが、知っている声だな。
やっぱりあいつだなと思って、冗談を続ける。
「金・玉」
「!!」
ドン!
何かが扉を叩いたが、扉が凹んだら弁償代を地獄の果てまで求めて追いかけるからな。
まぁ、あいつは追いかけたら喜ぶかもだけど。
「玉狙いじゃないなら……チン狙い……!?」
「!?」
ドンドン!!
何かが扉を叩く。
ノックなんて音ではない。
殴るがぴったりの音だろう。
おいおい、人の家を攻撃するなよ。
「……玉もチンも狙ってません」
「まさかの乳首狙いか」
「!?」
気配が消えた。
扉を開けると誰もいないし、その夜はもう誰もノックしなかった。
俺はニヤリと笑った。
へいへい、一人暮らしの男の部屋に夜這いしにきたならセクハラぐらい覚悟しろよ。
といっても、流石に俺も知らない相手ならそんな発想にはならない。
実は、最近とある男に言い寄られている。
この声はその男の声である。
あれは数週間前のことだった。
夜の森を仕事帰りに歩いていると、背後から呼び止められた。
「あの……」
「なんだ」
「……」
黒いローブの怪しい男は、俺にもじもじとしながら告白してきた。
「僕の旦那様になってください」
「顔も知らない奴の旦那様にはなれん」
「ご主人様でも大丈夫です」
「……考えさせてくれ」
「じゃあ、旦那様を前提のご主人様でお願いします♡」
「……こいつ、要求レベルをあげてきやがった!?」
そして、煙のように消えた男は翌日から俺をつけ回すようになった。
考えさせてくれと言ったのは俺だから、ストーカー呼ばわりはしないつもりだ。
「来ちゃった♡」
「……不法侵入は流石にダメだろ」
ストーカー呼ばわりはしないつもりだったが、寝ている間に部屋に不法侵入されて寝込みを襲われた場合はどうしたらいいんだろうな。
「あんまり待たせるから、堪えきれなくて合鍵作りました」
「何してくれてんの?」
「僕、今日からここに住みます!」
「俺の許可は?」
「ご主人様に忠誠を誓います!きゅん!」
ポン!
「……え?」
……俺の想像では、ご主人様とはSMのことだと思っていた。
しかし、どうやら勘違いだったのかもしれない。
だって、男は目の前で狐になったのだから。
「僕の故郷では、僕の嫁入りを今か今かと手ぐすね引いて準備してるので、いつでも嫁にもらってください!ご主人様♡」
「……あぁ、えっと、とりあえず……まずは名乗ろうか」
「きゅん!」
尻尾をフリフリしている喋る狐に、未だにお互い名乗っていないことを指摘する。
そして俺は、こいつを受け入れると心に決めた。
だって、モフモフだったから……めっちゃヘヴン♡
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